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■春白(29)

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(C) Eriko Kawaguchi 2021-02-27
 
“M”は“M”に電話した。
 
「仮名Eちゃんのことだけどさ」
「あ、うん?」
「あの子、自分にまだちんちん付いてると思っているみたいなんだけど」
「嘘!?」
「自分は男の子なのに、こうやって女の子してていいのかと悩んでるみたい」
「なぜ自分が女の子の身体になっていることに気付かない?」
「本人は“性転換手術を受けた覚え”は無いだろうからね」
「だって自分のお股を見ればちんちん無いこと分かるんじゃないの?」
「元々あの子の小さかったから、無くなってても分からないのかも」
「アクアみたいな子だな」
「きちんと決着付けてあげなよ」
「面倒くさいなあ。じゃ何とかする」
「よろしくー」
 
電話を終えた“M”は呟いた。
 
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「無いちんちんは切れないし。どこかに、ちんちん無くなっても構わないと思っているような適当な生贄(いけにえ)は居ないかな・・・」
 

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雨宮は千里に電話した。
 
「尾久のマンションに入れた中島セイラなんだけどさ」
「はいはい。羽鳥セシルですね。何か?」
「あのマンション、広いけど、窓の無い部屋以外にはあまり長時間居たくないという話なのよ。何か霊障とかあるの?」
「シールドがあるから大丈夫のはずなんですけどねー。弛んでるからしれませんね。じゃ、改修工事させときますよ」
「うん。よろしくー」
 
そんなやりとりがあったのが12月23日だった。ちなみにセシルがそのことを雨宮に言ったのは、11月24日である!
 

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12月24日クリスマスイブ。
 
恵真(羽鳥セシル)はこの日も遅くまでドラマの撮影があり、尾久のマンション#に帰宅したのは25日0:30 であった。
 
恵真は違和感を覚えた。
 
「あれ〜!?部屋間違った?」
と考えてみたものの、違う部屋の鍵が開く訳無い、と思い至る。
 
「部屋が改装されてる〜!」
 

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取り敢えずLDKのテーブルの所に座るが、テーブルの上には、鶏の唐揚げ、豚肉の串焼き、ジャーマンポテト、シャンメリーの瓶、が載っていて、他に小鍋もあるので見ると中身は豚汁!?のようである。他に「ケーキは冷蔵庫」と母の字で書いたメモがあるので、恵真は豚汁の鍋をIHに掛け、冷蔵庫からケーキの箱を出してきた。
 
そしてシャンメリーを“勇気を出して”開けると、グラスに注いで
「メリークリスマス!」
と言って乾杯した。
 
おキツネさんたちが出てくる。
 
「エマちゃん、それお酒?」
「サイダーだよ。あ、きみたちにもお土産あるよ」
と言ってたくさん買ってきたお稲荷さんを、背の低い丸テーブルの上に大皿を出して並べる。
 
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「わーい」
などと言って。たくさん出て来て食べ始めた。
 
なんかクリスマス・パーティーになっちゃった!
 

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豚汁を温めている間にチキンやジャーマンポテトもチンして食べる。
 
おキツネさんたちは、お稲荷さん以外の物には興味無いようである。一度訊いてみたこともあるのだが「ボクたち、それ以外を食べることは禁止されてる」と言っていた。「人間も食べないから安心してね」などと言っていたが、禁止されてなかったら人間も喰うのか??
 
あらためて部屋の中を見回す。
 
ベランダとの間の掃出し窓に掛かった厚手の遮光カーテンが新しいものに換わっている。深緑の地に白い刺繍がされている。高そうーと思う。壁紙も交換されている。これまでのペールピンクのもの(実はマソの好み)からライトイエローのものに交換されている。パンダっぽい模様がレリーフ状になっていて可愛い。カーペットもこれまでのペルシャの絨毯っぽいものから、ブラスチック製のクッションフロアに交換されている。クリーム色とコーラルピンクとの市松模様になるように敷いてあるのが可愛いなと思った。
 
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「お母ちゃんたちがやってくれたのかな?」
 
と恵真は呟いたのだが、お稲荷さんを美味しそうに食べていたトリさんが言う。
 
「違うよ。播磨(はりま)の龍王さんたちが工事してたよ」
 
「ハリマオ??」
 
「ヴァースキさん、マナスヴィンさん、サータファーガさんの3人。サータファーガさんは2人が手抜きしないようにするお目付役って感じだった」
「へー」
 
なんか難しい名前を言われたなと思った。外国人だろうか?なんかインドっぽい名前のような気がした(勘がいい!)。
 

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「それでシールドも新しいのに交換したから、西南のベランダのある部屋で寝ても大丈夫だって」
「へー!」
 
「ベランダにも出られるけど、ベランダの窓は開けないでねって。どうも何度かベランダの窓を開けた形跡があって、それを開閉したのでシールドが傷んだんじゃないかって、サータファーガさんが言ってたよ」
 
「ふーん」
 
まあ日中ここに居ることはまず無いから、ベランダにはあまり出ないかなとは思ったものの、ちょっとベランダに出てみた。ベランダはLDKの南側と、西南の部屋(以前女性が住んでいたようで、以前は可愛いカーテンなどが残っていた)の南側を貫いて作られている。
 
「サッシが新しくなってる気がする」
「新しいのに交換してたね」
「そんなの勝手に交換していいの〜!?」
「2〜3年もすれば分からなくなるよ」
 
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いいのか!?
 
「くれぐれもこの窓は開けないでねって」
「分かった」
 
「他の部屋も改装されてるよ」
とトリさんが言うので、覗いてみる。

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↓見取り図(*13)
 

 
 
ベランダに面した西南の部屋はLDKと同様の改修がされていた。やはりカーペットが取り除かれてクッションフロアになっている。こちらはクリーム色と、アクア色の市松模様である。壁紙は御所車・櫛・手鞠などの和模様である。
 
「コロナの折、カーペットは除菌しにくいから、お掃除しやすいように取り敢えずクッションフロアにしておくと言っていた」
 
「あ、そうそう。掃除機は掛けるけど、汚れが取れにくいなと思ってた」
と恵真も言う。
 
「でもエマちゃん、ルンバ買いなよ。遅く帰ってきてからお掃除とか大変だもん」
「そうだなあ。それ考えようかな」
「通販で頼んだら、昼間でも誰かが受け取っておくよ」
「そう?じゃお願いしようかな」
 
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真ん中のいつも恵真が寝ている部屋はクリーム色とバンブーグリーンの市松模様である。ここも壁紙が交換されていた。ディズニーのキャラ模様である。
 
「あ、可愛い」
と恵真も声を挙げた。
 
「やはり女の子はディズニー好きだよね〜」
「ボクは半分くらいしか女の子じゃないけどディズニー好きだよ」
と恵真が言うと、トリさんは首を傾げていた。
 

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そして、これまで“変な臭いがするので”あまり入らないようにしていた北西の部屋も変な臭いが消えていた。
 
「消臭に苦労していたみたい」
「ああ」
 
(筒石が住んでいた部屋である:実は床のフローリング・天井板・壁板まで丸ごと交換してしまった。借りてる部屋なのに、本当にそこまでやっていいのか!?)
 
ここもクッションフロアで、クリーム色とライトコーラルとの市松模様である。壁紙はレーシングカーになっていた。そして廊下に面した窓(腰高窓)のサッシが交換されている。窓自体に厚いカーテンが掛けられている。このカーテンもレーシング・カーの模様である。
 
「ここの窓も開けないでねって」
「了解〜」
 
この窓は本来開ける必要はない。填め殺しにしてもいい所だが、開けられるのは非常時の脱出のためである。しかし筒石はしばしばここを開けて、あろうことか、カップ麺のお湯を廊下に捨てたりしていた。九重たちはブラシで頑張って掃除しても汚れが取れないので、結局、廊下のその付近のコンクリートを少し削り、新たなコンクリートを敷いた。
 
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「やばくない?」
と千里が訊いたが
 
「どうせここ不動産屋さんだって通らないから大丈夫ですよ。半年も経てば他の部分との差は無くなるし」
と九重は言っていた。
 
確かに3階以上の住人は、1階の廊下を通る用事は無いはずだ。郵便受けもマンションのエントランスの所に並んでいる。なお、千里がこの部屋を借りた時点で3階以上に住人は5人しか居なかったが、千里の“処理”のお陰で現在4階以上は全部埋まっており(3階は“敏感な人”には住めない:不動産屋も3階は“住宅としては”貸すつもりが無い)、不動産屋さんが千里に感謝していた。家賃1万円で貸すメリットが充分に出ている。
 
千里も安い家賃で借りられて得したなぁと“昨日までは”思っていたのだが・・・工事代金を200万円も七瀬に払った千里がぶつぶつ言っていた。
 
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今回は本当に“大工事”だった。
 
「どの部屋でも寝られるけど、エマちゃん、どこで寝る?」
とトリさんが訊く。
 
「真ん中の部屋で寝るよ。だって鏡のある部屋だから」
と恵真が言うと、トリさんはにこにこしていた。
 

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(*13)この部屋の住人の本命卦
 
幡山ジャネ 1993生女=艮
(マソは1969生女で艮、マラは2010死亡・女で兌 (*14))
筒石は1994生男=乾
恵真は2005生女=艮
 
ということで、艮・兌・乾で全員東四命である。
 
すると、吉方位は東北・西北・西・西南となる。玄関は東北でいわゆる鬼門だが、風水的には吉である。居室が西北・西・西南と並んでいて全て吉方位。
 
もっともリセットされていない神社跡に建っていて、そもそも風水も無いが!
 

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(*14)幡山ジャネは水渓マソの生まれ変わりで、ジャネはマソの意識を継続して持っている。血筋の上では遠い親戚(ジャネの祖母の祖母がマソの曾祖母と姉妹:9等親)になる。水渓マソは1988年に木倒サトギに無理心中を掛けられ、マソは死亡、サトギもいったん死亡したものの蘇生した。しかし蘇生した意識はマソの意識だった。
 
つまり肉体が死亡したマソの魂が加害者のサトギの身体に宿ってしまった。生き返ったマソ(サトギ?)がマラと名乗った。身体が男で心は女なので不本意ながらオカマさんとして生きた。しかし2010年に悪魔の歌を演奏して死亡した。その後は10年ほど幽霊の状態である。
 
一方水渓マソは1993年に幡山ジャネとして生まれ変わった。
 
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実は元々水渓マソは1つの身体に2つの魂(仮に水泳好きのSと音楽好きのMとする (*15))が宿っていた。ジャネに生まれ変わったのはSで、マラとしてオカマさん生活をして(性転換手術したかどうかは不明)現在幽霊になっているのはMの方である。
 
ジャネは木倒ワサオ(木倒サトギの息子だが魂はサトギそのもの)に無理心中を仕掛けられ(つまりマソはサトギに2度も殺された)、ワサオは死亡したが、ジャネはギリギリで死亡せず、植物状態の1歩手前の“最小意識状態”になっていた。しかしMと青葉の共同作業によりジャネ(S)も意識を回復し水泳選手としてカムバックした。そしてその後は、Mもジャネの身体に間借り(?)している。MとSはひとつの身体に同居している場合と、分離して行動している場合がある。
 
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青葉と千里はMをマラ、Sをマソと呼んでいるが、マソ本人は不快なようである。(マラの方は自分でも“マラ”“マソ”と言っている)
 
(*15)SとMは Swim と Music の略であり、他意は無い!?
 
S:絵が上手いが歌は音痴。常識人。恋愛には無関心でアセクシュアル。
M:歌は上手いが絵は悲惨。非常識人。恋愛大好きだしバイセクシャル。
 
どちらも水泳は上手いが、大会に出ているのはSである(多分)。ただ、Mが練習した分もSの経験になるようである。Mはピアノやギターも弾く。Sもピアノやギターは弾くが歌はどうしても音程が取れないらしい。
つまり耳は問題無いが発声に難がある、秋風コスモスと同タイプの音痴。
 
なお、マラ・マソは“マラソン”を語源とするもので、漢字では“十二六”(*16). 仏教用語の魔羅ともマックスマーラとも無関係!?
 
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(*16) 42.195kmが十里二十六町になるため。正確には十里二十六町四十七間一尺五寸。
 

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