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■春白(20)

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千里がこの改造を播磨工務店の手の空いている子に頼んでいたら、意思の伝達に問題が発生した。
 
(1)千里は「通路」と指示したので幅2m程度のものを想像していたのだが、話を半分しか聞いていなかった万奈が、敷地面積ギリギリの、幅が7mもある“通路”を作ってしまった。ほとんど地下室である。容積率がヤバい気がしたが、検査とか受けるわけでもないからバっくれることにした。
 
(2)千里の言い方が明らかに悪かったのだが、千里は8台駐めたかったので、「3層構造のものを2組作って」と頼んだ。つまり最上フロア=天井を入れて8台駐められる計算である。ところが頼まれた九重は“フロアが3つ”と思い(普通そう考える)駐車フロアが3段になっているもの、つまり地下空間は2段のものを作ってしまった。
 
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千里の思惑
  0  (地上)
┏━━━┓
┃ 1 ┃(地下)
┣━━━┫
┃ 2 ┃
┣━━━┫
┃ 3 ┃
┗━━━┛
地下3層で4フロア
 
九重はこう考えた。
  1  (地上)
┏━━━┓
┃ 2 ┃(地下)
┣━━━┫
┃ 3 ┃
┗━━━┛
全部で3フロア
 
これだと6台しか駐められない!
 
仕方ないので、取り敢えずオーリスは近くの月極駐車場に駐めた。また、青葉の車は青葉がこちらに来た時だけなので、その時はまた考えることにして、取り敢えず来客用に1枠空けた。
 
ところがここで困った事態が起きた。2020年春に“アクアのアクア”の特別限定車をプレゼントされた雨宮先生が、その車を千里のこの家の前に置き去りにしていったのである。
 
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雨宮先生が車やバイクを“飽きたら”千里の家や駐車場に放置していくのは以前から日常茶飯事で、その車を駐めるために作ったのが常総ラボである。あそこは千里が最初に作った体育館だが、実は主体は1階の駐車場であり、2階の体育館はおまけである。月極駐車場の費用があまりにかかりすぎるので、いっそのこと土地を買って建物を建てたというのが実態である。
 
それで“アクアのアクア”も常総ラボに持って行こうかと思ったのたが、早月が「この車可愛いね。私、アクアちゃん好き。アクアちゃんみたいな可愛い女の子になりたいと思ってるの」などと言うので(アクアの性別問題は置いといて)、“アクアのアクア”はここに置くことにした。昇降式駐車場の隣に、取り敢えずイナバの物置のガレージタイプを《げんちゃん》に頼んで建ててもらい、“アクアのアクア”はここに収納する。
 
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《げんちゃん》はこのガレージを2時間ほどで建ててくれたのだが、ちょうどその組み立てをしている所に冬子(ケイ)が来て
 
「いっそ垂直循環式の駐車場建てたら?」
と言った。千里は真剣にその選択肢を考えてみたくなった。
 
垂直循環式を作る場合、家の前の道路の幅か6mなので、道路から2m後退した所に建てる場合、(6m+2m)×1.25 = 10m が高さ限界である。1段の高さを2.5mとすれば、地上4段・地下2段取れて、ターンテーブル無しの中間乗入方式として、12台までの車を駐めることができることになる。中間式は普通の下部乗り入れ式に比べて目的の車が平均して半分の時間で出てくるメリットがある。ただし建設費はたぶん5000-6000万円かかる。ちなみに九重が作ってくれた昇降式の駐車場は800万円掛かっている(“前橋に”1000万円払った)。
 
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千里はそこまで改造したところで、1階と地階をぶち抜いたシュート練習場の隣に秘密の空間を作ることにした。これはあまり人に知られたくないので、《こうちゃん》と《りくちゃん》の2人だけでやってくれるよう頼んだ。眷属の中でも最もパワフルな2人なのでこの作業を実質1晩でやってくれた。但し、接着剤の臭いを抜くのに1週間掛かった。その改造結果が↓である。
 

 
重要なのがB02,B03 の部屋で、ここは千里2・千里3の居室兼創作部屋なのである。ここに自分達の居場所を造り、10年間使用した葛西のマンションは解約することにした。千里が退去すれは“守り”が無くなるので多分1年以内に崩れるか火災で焼失するだろう。
 
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図でラウンジと書いているのは、ゆったりした場所で創作したい時のための場所で、ここにはグランドピアノ Yamaha S6X も置き、また多数の楽器をここに置いた。
 
B02, B03はもちろん、このラウンジも桃香や貴司には秘密である。ここに招待してもいいと考えているのは、盟友である冬子とコスモス、ゴールデンシックスのカノンとリノン、それに青葉と龍虎たちくらいと考えている。
 
(実は将来的には、存在を公にできない龍虎Fが密かに暮らし、赤ちゃんを産んで育てて行く場所として貸してもいいと考えていた。その場合、個室をもう1個作る)
 
バスケット練習室の壁のように見えるドアを開けると、そこにトイレがある。トイレ前の空間の右側の壁を開けるとバスルームがある。ここまではいいが、左側の壁を開けると、そこに小さな空間があり、そこからラウンジに入れる。この小さな空間から更にB02, B03に入れるのは千里2・千里3のみである。トイレを正面に見て、右側のバスルームに行く“壁”は、後に青葉には開放することにする(後述)。
 
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ここまでの改造が終わったのが12月下旬で、ここで桃香たちおよび貴司を引越させることにした。これを押し迫った12月26日(土)に実行した。4トントラックを持って来て、《りくちゃん》《とうちゃん》《げんちやん》《せいちゃん》の男子4人と、《すーちゃん》《てんちゃん》の女子2人でマンションの荷物を運び出し、一戸建てに移動する。その後川口市の貴司のマンション、大宮の彪志のアパートにも行き、そちらの荷物もトラックで移動する。作業は5時間ほどで終わった。
 
これで浦和のマンション、川口市のマンションは解約する。彪志のアパートも解約して、もうここが“彪志と青葉のおうち”ということにする。
 
そしてこの日、千里は彪志の口から衝撃的な言葉を聞くのである。
 
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「そういえば青葉が、浦和の家にプールがあったらいいのになあと言っていたんですが、さすがに無茶ですよね」
 
げっ。
 
その話、聞いてたけど、忘れてたよぉ。
 

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慌てて図面を確認する。土地の幅をチェックする。これは実測してみたが、24.8m×8.4m くらいである。
 
惜しい!!あと20cmあれば25mが取れるのに。
 
一応斜めの線は、√(24.82+ 8.42) = 26.1m でギリギリ取れる。しかしそれでは「敷地境界から50cm空けて建物は建てなければならない」という民法の規定に反してしまう。スタート台も作れない。特に青葉は飛び込みスタートもタッチも下手(へた)だから、特にそれは練習させたい。
 
悩んだ末、千里は北側(建物がある側)のお隣さんを訪ねた。
 

 
加藤という表札が出ていた。この並びの家は、みんな庭が南側に取られている。千里はマスクをしたままドアホン越しに話す。
 
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「こんにちは、この度、お隣に引っ越して参りました、細川と申します。取り敢えずご挨拶をと思いまして」
 
「ああ、そうですか。それはよろしくお願いします」
「取り敢えずご挨拶代わりに詰まらないものですが」
と言って、三越の包みを見せるので、応対した御主人がドアを開けてくれた。
 
それで千里は、三越で買ってきたハムのセットを渡した。
 
「それで突然申し訳無いのですが、御主人に折り入ってお願いがありまして」
「はい、何でしょう?」
「本当にぶしつけなのですが、お宅のお庭の地下を貸して頂けませんでしょうか?」
「は!?」
 
千里は説明した。
 
「実は私の妹が水泳で東京オリンピックの日本代表候補になっていまして」
「それは凄いですね」
「妹は富山県に住んでいるのですが、大会などで東京に出て来た時に、コロナの心配なく、安心して練習できる場所があったらいいのになあと言っておりまして」
 
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「ああ、それは心配ですよね」
 
「それで今度一戸建てに引っ越すから、そしたら地下に練習用のプール作ってあげるよ、などと言っていたのですが」
 
「それは凄い」
 
「ところがうちの土地、図面で見た時は25mある気がしたのですが、実測してみたら幅は24.5mしかなかったんですよ」
 
「惜しいですね!」
 
「それで本当に申し訳ないのですが、お宅の庭に少し掛けてプールを作らせてもらえないだろうかと。もちろん賃貸料は充分にお支払いしますので」
 
「うちの庭に掛けてですか」
 
「地下に作りますので、お庭は今まで通り普通に使えますので」
「でも工事の時は掘り返しません?」
「いえ。うちの土地の地下からトンンネルを掘るように作ります」
 
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「でも延長するなら、どちらに延長してもいいと思うのですが、うちにお話を持って来られたのは?」
「南側のお隣はその部分に建物が建っていますから。こちらはお庭なので」
「あっそうか」
と御主人は言ってから
 
「どのくらいこちらに侵入します?」
と訊く。
 
千里は図面を提示して説明する。

 
「プールの分25mと、プールサイドを最低両端に1.3-1.4mくらいは取りたいんですよね。それと敷地境界から50cm空ける必要があるので、できたら、25+1.3×2+0.5×2 = 28.6m = 32半間が欲しくて。うちの土地が27半間なので、5半間、つま2間半飛び出したいのです。土地の奥行きが4間半ありますから、11.25坪お借りできないかと。賃料は月50万円くらいでどうでしょうか?」
 
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御主人は明らかに興味を示している。月50万の固定収入が入るのはかなり美味しい。
 
「あるいはいっそその分を買い取らせて頂いてもいいですが」
「でも売っちゃうと、うちがその部分を使えず、車を駐められなくなるから」
「あら。こちらで必要なのは地下だけですから、地上は普通に今まで通り使っていただいて構いませんよ」
「その場合の賃料は?」
 
「便宜を図って頂くのですから、賃料なんて要りません。無料で使って下さい」
「買い取る場合の価格はどのくらいをお考えです?」
「この付近は土地の価格相場が坪200万円くらいのようですから、11.25坪なら2250万円になりますが、売って頂けるのでしたら、3000万円くらいならどうでしょう」
 
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「その支払い方法はローンですか」
「いえ、今すぐ現金でお支払いしますよ」
 
「売ります!」
 

それで御主人は土地を売ってくれたので千里は御主人の指定口座に3000万円を振り込んだ。覚え書きを書き、地上は加藤家で自由に使えると明記して、双方署名捺印した。ただし、加藤家がどこかに転出したりここを売却したりする場合は、この部分の土地は細川家に帰属するという条件を付けた。つまり無料使用権は加藤さんのみに適用される。
 
加藤さんは、大宮で小さな会社をやっていて、この3000万円が物凄く助かったようであった。
 
むろん千里は直前に青山司法書士に法務局に行ってもらい、この土地に抵当権などが設定されていないことを確認していた。抵当権などが掛かっている場合はあくまで賃貸の線で行くつもりだった。
 
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しかしこうして、ここに青葉のための練習場が作られることになったのである。
 
このプールの建設も《こうちゃん》と《りくちゃん》の2人だけでやってもらった。1月までにできたので、ジャパン・オープンに間に合った。さすがに青葉が驚いていた。千里もしばしば気分転換で泳いだりする。
 
このプールへは、通常地下の隠し扉の向こうにあるエレベータのみからアクセスできる。使うのは青葉と千里だけである。南端にある非常口は、ハシゴを8mほど昇ることで地上に脱出できる。ハシゴを8m登るのは青葉や千里の身体能力なら全く問題無い。出口は、ガレージ前の“廂”(ひさし)の下の隠し出入口につながっており、扉は敷石に偽装されている。
 
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でも本当に非常時には、眷属の誰かがきっと助けてくれる。
 
 
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