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■娘たちのエンブリオ(31)

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初狩PAを出たのはシルフィ組が身体を休めるのを待ち1:15頃になった。途中、中央道原(ちゅうおうどう・はら)PAで休憩してドライバーを交替。事故現場の先にあるSAに辿り着いたのが1/3 4:40くらいであった。
 
ここから現場まではだいたい14kmくらいである。みんなでそちらの方角を向き、海原が般若心経を暗誦し、松枝、上島、水上がうろ覚えっぽいながらも唱和した。
 
「千里さん、あの曲を吹いてよ」
と龍虎がせがむ。それで千里は龍笛を取り出して『アクア・ウィタエ』を演奏した。
 
みんな静かに聴く。今日は龍が5体集まってきた。その中の1匹が雷を落とす。
 
「事故現場に稲妻を落としてくれたみたい」
と演奏を終えた千里が言った。
 
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「だけど龍虎、やはりそういう格好が可愛いよ」
と川南が言う。
 
「こんな格好で良かったのかなあ」
とスカートタイプのブラックフォーマルを着た龍虎は言うが
 
「子供が可愛く育つのは、高岡も夕香ちゃんも喜ぶよ」
と上島は笑って言っていた。
 
「やはり龍虎は女子制服着て学校に行くべきだな。名前も龍虎から龍子に変えちゃいなよ」
 
「女装は楽しいけど、はまりすぎると怖い」
と龍虎が言うと、笑い転げているメンバーが数名居る。
 
「今通学に使っている制服のズボンは実は女子用なんですよね。男子用のズボンでは合う既製服が無いんです。ワイシャツも体型に合わないからブラウス着ているし」
と田代幸恵が言う。
 
「やはり龍虎は制服の下はスカートにしよう」
と川南。
 
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「学生服の下がスカートって変だよ」
「だったら上もセーラー服にすればいいな」
「セーラー服は好きだけど、それで人前には出たくないよ」
「テレビであれだけ女の子姿を曝したら今更だろ?」
 
などと日常的(?)な会話をしていたら夏恋が言った。
 
「龍虎、君の学校の女子制服を私がプレゼントしてあげるよ」
 
「えー!?」
 
「だって好きなんでしょ。お母さん、いいですか?」
と夏恋が田代母に訊く。確かに龍虎は“セーラー服は好き”と言った。
 
「持っている分にはいいのでは。じゃ、サイズ測ってそちらにメールしますね」
 
「今度から女性ホルモン剤も送りつけようかな」
「要らない!」
 

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朝食を取った後、帰ることにする。冬子がローズ+リリーのライブで名古屋に行かなければならないので、千里のインプにこの4人が乗った。
 
千里(運転)・冬子/加藤・上島
 
龍虎は東京のテレビ局で撮影があるので、加藤のシルフィを田代父が運転して東京に戻ることにする(運転は途中で田代母に替わる)。
 
田代父(運転)・田代母/松枝・龍虎・支香
 
冬子のフィールダーは夏恋と川南が運転し、下川・水上を乗せて東京に戻ることにした。雨宮・三宅・海原・山根はフェラーリでドライブを楽しみ能登半島先端に近い“ランプの宿”まで行ったようである。
 
上島が千里・冬子・加藤の車に乗ったのは、上島が多忙でなかなか話をする機会が無いので、名古屋に向かいながら4人で少し話したいという希望が加藤からあったためである。それで名古屋に着くと上島を名古屋駅で降ろし、冬子と加藤はローズ+リリーの公演会場まで連れて行った。
 
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千里はその後インプを自分で運転して大阪に向かった。
 

千里はいつもの千里(せんり)の駐車場にインプを駐め、近くのレストランでまず《びゃくちゃん》と会い“年賀状”を受け取る。実はマンションに送られて来た年賀状の中に「細川貴司様・千里様」になっているものがあるので、それを選り分けてもらっていたのである。この作業は昨年のお正月もしてもらっている。
 
その後貴司をマンションから呼び出して年賀状を見せ、一緒に正月御膳を食べた。阿倍子の状況、そして会社の状況なども話す。
 
「え〜?給料が遅配になったの?」
「うん。25日支払いのはずが29日にずれ込んだんだよ。クレカの支払い抱えている人が青くなってた」
「かなりやばいね」
「でも今月はボーナスの後だから、ほとんどの人が何とかなったみたい」
「その状況なら辞める人も出てくるのでは?」
「リストラの噂もある」
「貴司も会社やめなよ。やめてから次の仕事探してもいいじゃん」
「阿倍子の出産までは無理」
「うーん・・・」
と千里は腕を組んで考え込んだ。
 
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「じゃ、もし足りない時は遠慮無く言ってね。貸すから」
「場合によっては頼むかも。ヘルパーさんどうしよう?」
「状況次第では私が全額負担するから続けようよ。ここで流産したら大変だよ」
「うん。そうしよう。じゃ予定通り今月いっぱいは毎日頼んで2月からは週2回で」
 

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貴司は「買い物に行く」と言ってマンションを抜け出して来ていたので、千里は食事をしている間に《びゃくちゃん》に買ってきてもらった買物袋を貴司に渡して別れた。その後《くうちゃん》に頼んでインプレッサごと東京に転送してもらい、その後《きーちゃん》と交替で札幌に戻った。
 

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田代夫妻が交替で運転したブルーバード・シルフィは東京に着くとまずは龍虎をテレビ局に連れて行く。車から降ろす前に龍虎は挨拶回りで着たボーイズスーツに着換えさせた。龍虎はこっちの車に乗って良かったぁと思った。川南と一緒なら絶対ガールズスーツを着せられている。龍虎を降ろした後は、松枝と田代夫妻が東京駅で降り、最後は支香が運転して加藤課長の自宅へ回送する。
 
龍虎はテレビ局のロビーでコスモス・西湖と落ち合い、そのままドラマの打合せがある会議室に入った。実はまた出演者に変更があったのである。
 
院長役の内海四郎さんが年末に倒れて病院に運ばれ、倒れた原因自体はインフルエンザだったのだが、検査をしていて癌が見つかったのである。そのため治療で長期入院せざるを得なくなり、ドラマは降板させてくれという連絡があって橋元プロデューサーは慌てた。
 
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急遽、脚本家や内海さんの事務所などと打ち合わせた所、代役として同じ事務所の藤原重蔵さんが推薦された。ところが彼は3月まで別のドラマの撮影が入っており、それまでは必ずしも全ての撮影には参加出来ない。
 
そこで社長役の鞍持健治さんが院長役に横滑りして、藤原さんは社長役をしてもらうことにした。院長が出演しないのはまずいが、社長の方なら姿を見せなくても何とかなるので脚本が調整可能である。
 
しかしこれで12月22日の第1回目の撮影で撮ったものの一部を撮り直す必要が出たのである。
 
「僕間違って、鞍持さんに『お父さん』と言ってしまいそう」
と(社長の息子役の)岩本卓也君。
 
「僕は間違ってアクアちゃんに『佐斗志君』とか言ってしまいそう。ちゃんと『友利恵』と言わなくちゃ」
と新しく院長役をすることになった鞍持健治。
 
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「いや、アクア君は友利恵でもあるけど、佐斗志でもありますから」
 
「あれ?そうだったんだっけ?てっきり女役をするのかと」
「女役もしますが、男役もしますので」
「そうだっけ?なんか僕も混乱してきた」
 
鞍持さんは前回は出番が最初の方で終わってしまい帰っていたので、アクアの出演シーンを見ていなかったのであった。
 

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この打合せと撮り直しが夕方まで掛かったが、アクアは名古屋での出演予定があるので、16時すぎに上がらせてもらった。やはり急に集められたし、そもそも仕事の多い年始なので他にも途中で抜けさせてもらった人がいた。撮影側も早く抜けなければいけない人が出るシーンを先に撮影してくれた。
 
それでアクアとコスモスはすぐに駅に向かい、新幹線に飛び乗った。
 
六本木16:25-16:31恵比寿16:38-16:47品川16:57-18:31名古屋
 
移動の際は、コスモス・アクアともにセーラー服を着て!姉妹を装った。コスモスはわりと童顔なのでセーラー服を着るとまだ高校生くらいに見える。アクアは普通に女子中学生に見える。
 
でもその格好で楽屋に飛び込んだら、マリが超興奮していた。
 
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4日は大阪公演なので、そのまま名古屋から大阪に移動した。この日は本来は雑誌の取材が入っていたのだが、これは雑誌社の方が大阪支社のスタッフで対応してくれた。
 
5日は福岡公演でこれもそのまま移動した。この日は本来はテレビ局の対談番組(録画)に出ることになっていたのだが、これも福岡の局で福岡のローカルタレントと化している金井伊那佳さんにしてもらうことになった。彼女は10年ほど前までは女性2人組で東京を中心にかなり売れていたコントの人である。9時に入って顔合わせして10分ほど話したが、とても楽しい人だった。それで撮影用の衣装に着替えるため、局のスタイリストさんに衣装を選んでもらうのだが・・・
 
「あのぉ、この衣装変だと思うんですけど」
とアクアは遠慮がちに言った。
 
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「そんなこと無いと思うなあ。君すごく可愛いから、こういうシンプルなドレスの方が似合うと思うよ」
とスタイリストさんは言っている。アクアがどう説明しようと思っていた時、局のスタッフと打合せをしていたコスモスが様子を見に来てくれた。
 
「アクアちゃん、着替え終わった?」
「こんなの着せられちゃったんですけど」
「ああ」
と言ってコスモスは頷いている。そしてスタイリストさんに言った。
 
「すみません。この子は男の子なので、男性用の衣装を着せていただけませんか?」
 
「え?嘘?」
と言ってから彼女は言う。
 
「でも女の子の下着つけてたし、おっぱいもありましたよ?」
 
「ドラマの撮影で女装させていたので、偽おっぱいも貼り付けているんですけど、一度貼り付けると簡単には剥がせないもので、しばらく貼りっぱなしなんです」
 
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「大変ですね!でもそれだと学校に出て行く時困りません?」
「貼り付けている間は女子用のブラウスを着てもらうということで」
「大変ですね!!」
 

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千里は《きーちゃん》と入れ替わりで札幌に戻った3日の日は玲羅のアパートで作曲作業をして、翌日4日の昼に、暢子たちの車に札幌市内で拾ってもらい、函館に向かった。予約していた津軽海峡フェリー(22:05-1/4 1:45)に乗り、青森からまた交替で運転して東京に戻る。
 
東京に着いたのは1/5のお昼前で、千里はそのまま二子玉川のJソフトウェアに顔を出して、身元保証書を提出した。
 
ところがJソフトはパニックになっていた。何でも明日の朝納品しなければならないシステムのソースを納めていたハードディスクが飛んでしまい、社員総出でプログラムを印刷されたリストから再入力しているらしい。それで千里もそれを手伝ってと言われて入力作業に投入されてしまう。
 
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結局納品は6日の夕方にずれ込んだが、社内ではそれと並行して7日の朝まで掛けて、“オブジェクトだけが存在してソースが失われている”プログラムのソース入力作業、そしてシステムの全体チェックなどを進めた。
 
但し千里は主要プログラムが復旧出来た6日のお昼過ぎには開放してもらえた(バイト代として3万円現金でもらった)が、精密さを要求する作業での完徹26時間連続作業は、かなりの疲労があった。
 
なお千里は実際には《きーちゃん》や《せいちゃん》に見てもらいながら入力していたのだが、結果的に千里がバグを修正しながら入力したので、先輩の矢島さんや専務などは大いに千里を気に入ってくれたようであった。しかし入力している千里本人は「呪文を入力しているみたいだ!」と思った。
 
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それで千里はJソフトを出てから《きーちゃん》に言った。
 
『この会社にはきーちゃんがお勤めしてくれない?』
『はあ?』
 
『入力してて思ったけど、私にはやはりプログラムは無理だよ。内容を理解しながら入力しなきゃと思ったけど、見てても何してるかさっぱり分からなかった。それに私、雨宮先生からは大学院も卒業するしこれからは毎月10曲書いてもらうからなんて言われてるしさ。バスケットしながら10曲書くとほとんどそれだけで時間が無くなるもん』
 
『千里って変数のスコープとかクラスの概念とか全く分かってないし、参照渡しと値渡しもごっちゃだし、更に変数名が適当だから千里が書いたプログラムは凄くデバッグしづらい』
と何度かデバッグを手伝ったことのある《げんちゃん》が言う。
 
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『貴人がやった方がいいかもな。BASICやPerl,PHP,Rubyとかなら俺も手伝うぞ』
と《せいちゃん》が言ったが、彼はこう言ったことを後悔するハメになる。
 
千里の代わりに勤務するということは、千里が女なので、彼も女装せざるを得なくなり、千里がこの会社を退職する2018年5月までの3年間、女装生活を送る羽目になるのである。
 
『まあ、千里にはプログラミングの才能は無さそうだしね。じゃ、青龍、一緒にやろうか』
と《きーちゃん》は呆れたように言った。
 

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