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■娘たちのエンブリオ(30)

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0:30から先日の『性転の伝説Special』の続き『これが性転換だ!』が放映される。ハルラノの慎也が番組の企画で女装させられている所から0点の評価になる所。そして優勝と告げられて驚いている所。拉致されていく所が映る。そして慎也は病室に連れ込まれ、明日手術すると言われた。「これジョークだよね?」などと言って不安そうな慎也。
 
やがて暗い中、病室に医師たちが入って来て、寝ていた慎也は手術室に運び込まれてしまう。手術中のランプが付いた所で場面転換して、性転換手術を多数手がけている医師が術式の説明をする。また慎也の母と妹に取材して、慎也さんが女になりましたよというと、母は「名前は桜にしよう」と言った。
 
映像は病院に戻る。手術中のランプが消えて慎也が運び出されてくる。やがて目覚めた慎也は「性転換手術は終わりました」と告げられ、実際に胸が大きく膨らんでいる様子、股間に男性器が無くなっているのが映し出される。この辺りは深夜番組だから出せる映像である。
 
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「こんなの困る!」
 
と言っている慎也の所に「ドッキリ」の看板を持ったハルラノの鉄也が入ってくる。それでこれがドッキリ企画であったことが明らかにされる。女体化している慎也も実はコスプレ用?の女体ボディスキンを装着されていたことが明らかになる。また医師・看護婦を演じていたのは『ときめき病院物語』で医師と看護婦を演じる共に新人の倉橋礼次郎・沢田峰子であった。ところがそこにもう1人看護婦がいる。
 
「あれ?君は?」
 
「すみません。4月から放送される『ときめき病院物語』で院長の息子を演じさせて頂きますアクアです」
 
看護婦姿のアクアの映像が映った瞬間、凄まじい数のツイートが発生した。
 
「結局あんた女の子役になったの?」
「違います。僕は息子役なんですけど、プロデューサーさんがこれ着ろこれ着ろって言って、ナースの衣装着せられちゃったんです。スカート恥ずかしい」
 
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などとアクアは言っていた。この撮影をした時点では、アクアは佐斗志役だけをすることになっていて、友利恵役は高崎ひろかがする方向で検討中だったのである(そのまま進行していればむしろ松梨詩恩が演じていた可能性が高い)。
 

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それで話が一段落した所でハルラノの桜(慎也)が言った。
 
「これ脱いでいい? きついよ、これ」
 
それで相棒の鉄也も協力して脱がせる。そして慎也はボディスキンを脱いだ裸の状態でカメラの方を向いた。
 
テレビで見ていた多くの視聴者が衝撃を受けた。
 
「桜、ボディスキンを脱いでも、おっぱいあるんだけど」
と鉄也が言う。
 
「あれ?そうかな」
測ってみるとC75のバストである。
 
「あれ〜、じゃ俺ほんとに豊胸手術されちゃったの?」
と桜は平然とした口調で言った。
 
「お股にもチンコ無くて、割れ目ちゃんがあるんだけど」
 
「やっぱり俺のチンコ取られちゃったのかなあ」
と本人はやはり平気そうな声で言う。
 
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「お前、実は元々女だったのでは?」
 

司会の古屋さんが言った。
 
「桜さん、視聴者の方が混乱していると思うので、ご自身から説明して下さい」
 
すると桜は病院用寝間着を羽織って裸体は隠した上で、今までずっと男声でしゃべっていたのを、女声に切り替えて衝撃の告白をした。
 
「みなさん、ごめんなさい。実は私、物心ついたころからずっと女の子になりたいと思っていたんです。それで高校を出てすぐにタイに渡って性転換手術しちゃったんです。それが10年ほど前のことです」
 
「でも私、女として就職できるところが全然無くて。特に私あまり女に見えないし、当時は女の声も出せなかったから、女の格好で面接に行っても『あんた男だろ?』と言われちゃって、バッくれて就職もできなかったんですよね」
 
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「それで私、いっそ芸人になれないかなと思って、芸人学校に入って。でも当時はまだ特例法が施行されてなくて戸籍を女に直せなくて、男の戸籍で入学したから、男の格好しなきゃダメと言われて。それで結局男の芸人として訓練を受けて、鉄也と出会ってコンビ組んで。なかなか売れなかったけど、相性がいいからずっと鉄也とは組んでいていいと思いました」
 
「鉄也さんは桜さんが性転換していたことは知ってたの?」
と古屋さんが尋ねる。
 
「それは最初から聞いてたよ。だからプライベートでは俺、桜は素敵な女性だと思っているよ」
と鉄也。
 
「それで男同士のコンビとして8年ほどやってきたけど、私、やはり本来の自分に戻るべきじゃないかと思ったんです。事務所の社長に相談したら、どうせなら盛大なカムアウトやろうよということで、今回の企画を頂いたんです」
と桜は説明した。
 
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「じゃ今後は男女ペアの芸人としてあんたらやってくの?」
「はい。それで昨日のお正月番組にも男女ペアで出して頂きました」
 
「ちなみにこいつもう戸籍上も女になってるから」
と鉄也が言う。それで慎也は自分の戸籍謄本も見せた。
 

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場面が変わり、桜がちゃんと女の服を着て(男の服を着た)鉄也と並んでいる図になる。桜はOL風のスカートスーツで、お化粧もしている。『性転の伝説』での適当メイクと違ってきちんとメイクしていると、結構このくらいのおばちゃんはいるよな、という感じになっている。
 
「そういう訳で、私が性転換して、今後はハルラノの鉄也と桜ということでやっていきますので、よろしくお願いします」
 
と桜は(女声で)挨拶した。
 
「あんた、そんな格好してたら一応何とか女に見えないこともないな」
と古屋。
 
「その点については私も迷ったんですよ。私、性転換しても不細工だからなあと。高校の同級生に美少年がいて、その子は女装すると可愛い女の子になってたんですよ。でも私は女装しても変態にしか見えなかったんですよね。だから私って最初からオチに使われてたんです。でも、私みたいな不細工な女にしかならない人でも自分の心が女なら、女性として生きていいと思うんです。似たようなことで悩んでいる人って居ると思うので、頑張ってください」
 
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と桜は締めくくった。
 

1月1日のローズ+リリー公演で鈴割りをしたアクアは、コスモスと一緒に2日朝、東京に戻った。帰りの北斗星の中では何事も無くアクアもコスモスもぐっすり寝ていた。郡山をすぎたあたりで目を覚まし、車内販売の駅弁を買ってきて食べたが、アクアはコスモスに
 
「変なこと訊きますけど、オーチンチンという歌知ってます?」
と訊いてみた。
 
「ああ。声優の岩田光央さんが歌ってたね。元々は1960年代に何とかいう歌唱グループ(*5)がヒットさせた曲らしいよ。ちょっと面白い歌だね」
などと言っていた。その反応を見て、アクアはあれはやはり夢だったのかなあ、などと思った。だいたいコスモスさんがあんなに歌うまい訳無いし。
 
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(*5)ハニーナイツである。
 
「でもあの歌はちんちん持ってる人が歌わないといけない歌だよね。ちんちんの無い私や龍ちゃんが歌ったら男の子たちが怒るかも。あのチンポコよ、どこ行った?と言っても最初から付いてないじゃんと言われて」
 
などとコスモスは笑って言っていた。
 
「最初から無かった訳じゃなくて以前はあったんですけどー」
「でも小1の時に病気の治療で取っちゃったんでしょ?大丈夫だよ。バレないから」
 
なんかボクやはり誤解されている??
 
「それに男か女かなんて、ちんちんの有無とは関係無いよ。ちんちんがあっても自分は女だと確信している人は女だし、ちんちんが無くても自分は男だと思っているなら、その人は男なんだよ。だから龍虎ちゃんも、ちんちん無くたって、気にしなければいい。堂々と自分は男だと思っているといい」
 
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とコスモスは言った。アクアはそれを聞いて、それ凄く大事なことなんじゃないかという気がした。
 

11時に、品川ありさ・高崎ひろか・松梨詩恩と待ち合わせ、一緒に明治神宮に初詣に行った。3人が小振袖を着ていたので、龍虎はいいなあと思った。龍虎は黒のボーイズスーツ(オーダーして作ってもらったもの:実はズボンは女児用を転用していて前開きが無い)、コスモスはシックなレディススーツである。
 
その後、予約していた割烹の個室で一緒にお昼を食べてから、4時間ほど掛けて放送局やレコード会社に挨拶に回るが、途中で川崎ゆりことも一緒になり、夕食はゆりこも含めた6人で一緒に食べた。その後、解散になる。
 
「邦江(高崎ひろか)ちゃんは寮に戻るの?」
「いえ。飛鳥(松梨詩恩)と一緒に母の家に行きます。外泊許可は取りました」
「絢香(品川ありさ)ちゃんは自宅に戻る?」
「はい、そうします。電車を間違えないように祈っていて下さい」
「絢香は今朝も電車に乗り間違ったと言ってたね」
「うん。あれで邦江たちとの待ち合わせに30分遅れちゃった」
 
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宏美(秋風コスモス)は急に不安になった。
 
「絢香ちゃん、私が付いていくよ。絢香ちゃんのお母さんたちにも挨拶しておきたいし。エルミ(川崎ゆりこ)ちゃん、龍虎ちゃんを川南ちゃんたちとの待ち合わせ場所まで連れて行ってくれない?」
 
「OKOK」
 
それでコスモスは品川ありさと一緒に海老名市まで行くことにし、龍虎は川崎ゆりこと一緒に、川南たちと会う予定の池袋に向かった。ゆりこは言った。
 
「挨拶回りだからそんな男っぽい服を着てたのね。それ疲れるでしょ。もっと楽な服に着替えようよ」
「えっと・・・」
「私が見立ててあげるから」
「そうですか?」
 
龍虎はとっても嫌〜な予感がした。
 

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千里は12月31日夕方、車のあいのりで旭川に着き、母と叔母に保証人の印鑑をもらってから札幌に移動し、玲羅のアパートで新年を迎えてから、眷属たちにアパートの荷物の整理!を頼み、ローズ+リリー公演の楽屋に顔を出した。
 
玲羅のアパートに戻ると、眷属たちはかなり分別を進めてくれていた。
 
「こないだのレンタルボックスの荷物整理は大変だったけど、これもまた大変だ」
「ごめんねー」
「でもこれでやっと寝られるようになったよ」
「昨夜は荷物の上に布団敷いて寝たもんね〜」
 
織絵の荷物を分別し、必要かも?と思われるものを箱詰めしてくれていたので、これを《くうちゃん》に頼んで、錦糸町の織絵たちの新しいマンションのドア前に転送してもらった。
 
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この日も玲羅のアパートで寝て、2日の夕方近くになって、千葉で神社に奉仕のため残ってくれていた《きーちゃん》と入れ替わる。それでインプレッサを運転して川南たちとの待ち合わせ場所にしているスーパーの駐車場に行った。
 
「龍ちゃん、可愛い喪服着てるね!」
と千里は微笑んで言った。
 
「川崎ゆりこさんが買ってくれたんです」
と本人は言っている。
 
ティアードスカートになったドレッシーなブラックフォーマルである。髪には黒いカチューシャまでつけている。履いている黒いローファーもリボンのような飾りが付いていて可愛い。
 
「さすが川崎ゆりこさん、いいセンスしてるよね〜。こんな可愛いドレスがあるとは思いもよらなかったよ」
と川南は言っていた。
 
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長野支香を浦和でピックアップするので、首都高の埼玉大宮線方面に行き、浦和南ICで降りる。中浦和駅で支香を拾った。これが21時半くらいだった。千里が浦和南ICに戻ろうとしているので、川南が
 
「首都高は混むだろうから、上尾道路から圏央道に回った方がよくない?」
と言う。しかし千里は
「今日は何だか圏央道は通りたくない気分なんだよね〜」
と言って、浦和南から乗って首都高方面に戻った。
 
志村PAで一休みしてここで長野支香が用意してきてくれた豪華なお弁当をインプレッサの車内でみんなで食べた。なお、座席だが、志村PAに来るまでは支香を乗せやすいように助手席に川南が乗っていて、後部座席に夏恋と龍虎が乗っていた所に左側に支香が乗ったのだが、ここでトイレに行った後、支香が助手席に行き、後部座席は両側に川南と夏恋、真ん中に龍虎という配列にした。
 
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それで首都高の中央環状線から新宿線に行き高井戸ICから中央道に入った。初狩PAに到着したのは0:20頃で、すぐに冬子のカローラ・フィールダーも来た。降りて彼女たちを迎え、一緒にPAの施設に入って休憩した。トイレに行って来てから自販機で飲み物を買っておしゃべりしながら他の人たちが来るのを待つ。0:40頃になって、山根が運転するフェラーリFFが到着した。
 
「ごめん。ごめん。遅くなったかな?」
「いえ。集合時刻は1時ですし」
「加藤さんたちがまだ来ていませんし」
 
今夜はワンティス関係者を中心とする、アクアの両親の慰霊の旅である。
 
その加藤課長が運転するブルーバード・シルフィは0:45頃到着した。
 
「すまーん。遅くなって。しかし参った参った」
と加藤さんは言っている。
 
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「何かトラブルありました?」
「圏央道を走ってきたら、途中事故があってさ。身動きできなくなって3時間近くロス。トイレが辛かった」
「ああ。高速で事故があるときついですね」
 

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