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■娘たちのエンブリオ(7)

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26日(日)。明け方、すーちゃんと千里が入れ替わる。すーちゃんはグラナダのアパートで寝る。千里は葛西で仮眠する。てんちゃんが朝ファミレスの夜勤を終えてバイクで桃香のアパートに戻る。ここできーちゃんと交替し、きーちゃんがインプレッサを出して、昨日と同様40 minutesのメンバーを拾って武蔵野市に行き、今日も秋季選手権2回戦に臨む。試合直前に千里と入れ替わり、試合には千里が出る。今日も勝利する。試合の後、きーちゃんと入れ替わり、きーちゃんが40 minutesのメンバーと一緒に打ち上げをした後、メンバーを自宅近くまで送っていく。全員を送り終えた所で、きーちゃんは千里と交代した。千里はインプレッサに満タン給油して、東京の恵比寿に向かった。
 
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これをずっと、佐野君と麻央は追跡していたのだが、千里の“連続稼働時間”に驚くのを通り越して呆れかえっていた。
 
北海道から帰った後、ノンストップで大阪まで運転し、彼氏とデートした後、またノンストップで東京に戻り、バスケの練習をして千葉に戻っている。この間、日曜の朝から月曜の夜まで36時間ほど稼働している(飛行機内での休憩のみ)。
 
火曜日の朝から水曜の夜までも36時間連続稼働。これは休憩時間が全く無かったはずである。木曜の朝から金曜の夜までも36時間稼働。これも同じく休憩はできなかったはずである。
 
千里という人は2日に1度しか寝ないのか!?と佐野君たちは呆れていたのである。その間、佐野君と麻央は交代で寝ながら追跡しているのだが、こちらは向こうがいつ動くか分からないので安眠出来ない。この一週間の追跡で、もうかなり疲労困憊になりつつあった。土日は武蔵野市まで遠征して2日とも試合をやっているのに、それで寝ようとせず、更に給油した上で東京に行くというのは、どこか遠征するつもりか?と思う。ところが千里は恵比寿の冬子のマンション近くまでやってきた。
 
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そしてちょうどマンションから出てきた女子高生のそばに車を寄せると窓を開けて声を掛けた。
 
助手席の麻央が冬子に現状報告のメールを入れた。
 

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10月21日(火).
 
白浜藍子は「お世話になりました」と挨拶してその家を出た。6月に結婚してから4ヶ月間住んだ家であるが、ここにはひとつもいい想い出が残らなかった。彼の子供たちとも全然馴染めなかった。藍子が家を出る時、下の子供がアカンベーをしていた。電話でタクシーを呼び、取り敢えず自分の実家に戻ったが、両親と同居している弟のお嫁さんが迷惑そうな目をしていた。
 
弟の子供たちにお小遣いをあげようとしたら、そのお嫁さんから「子供のお小遣いは金額を管理しているから、余分にあげられるのは困ります」と言われてしまった。藍子はここは全く安住の地ではないことを認識し、東京に戻ろうかなとも思ったが、そのためにはアパートなどを借りる必要がある。しかし今手元にそのお金がない。母に相談してみたのだが「流産したばかりで無理してはいけない。取り敢えず半年くらいはここに居なさい」と言われた。
 
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半年もここで針のむしろの生活をしなければならないのか?身体の傷もホルモンバランスもメチャクチャな状態で?
 
「これって・・・いつか麻生杏華さんが言ってたビッグリップかなあ」
と藍子は独り言を言った。
 

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10月22日(水).
 
札幌の玲羅のアパートに、ケイ、スイート・ヴァニラズのエリゼ、松原珠妃、麻生杏華、そして##放送の高柳さとみ記者が来訪して、玲羅も織絵もびっくりする。ケイから事情を聞いた杏華が織絵の話を聞きたいと言って、札幌までやってきたのである。杏華はケイと前日インドネシアでテレビ番組の撮影で一緒になったのだが、それでケイが株主である杏華に株主としての見解を尋ね、悠木朝道社長から全く違う説明(織絵が妊娠したので休養させると聞いていた)を受けていた杏華が驚愕して、織絵の許を訪ねることになったのである。
 
杏華は美来(光帆)や旧知のスタッフ・横浜網美とも電話で話しながら事態把握に務めた。杏華は更に斉藤前社長の奥さん・友里さんとも連絡を取った。実は前社長のスマホを奥さんが持っていたのである。それで友里さんと、かなり突っ込んだ内容の話をしたようである。斉藤氏本人は∞∞プロの鈴木社長に頼まれてアメリカに行っているということだった。それで知り合いから斉藤氏に電話連絡があった場合に、対応出来ないので奥さんに預けていったらしい。斉藤氏が持っていった別の携帯の番号は、奥さんと鈴木社長の2人だけが知っている。
 
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2014年10月23日(木)。日本バスケットボール協会のF会長が辞任した。しかし後任の会長には誰も就任せずM副会長が会長職務代行となった。
 
FIBAからの回答期限は10月末までであり、残り1週間しかない。この時点での会長辞任は、回答を諦めたも同然であり、あり得ないほど無責任な職務放棄であった。
 
そして日本は回答しなければ制裁すると警告されているのに、無策のまま制裁を待つことになった。全く信じがたいことである。日本バスケットボール協会が完全に機能不全に陥っていることをあまりにも明確に示したできごとだった。
 

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10月24日(金).
 
&&エージェンシーはXANFUSが全国ドームツアーを行うことを発表。同日からチケットの予約を開始した。6ヶ所7回公演で、発売する座席数は23万席にも及ぶ。しかしその日程が11月14-24日というので、業界には困惑の声が広がる。
 
こんな巨大なツアーをこんな間近になって発表するというのがあり得ない。
 
10月18日に唐突に音羽が解雇され、テレビ局のワイドショーはそれ以前に、神崎美恩・浜名満里奈が契約解除されたこと、Purple Catsの4人も解雇されたことを掴んでそれを報道している。
 
つまりXANFUSといっても、光帆ひとりしか居ない。
 
その光帆も沈黙していて、18日以降全くツイッターへの投稿が無い。ブログの更新も9月以降止まったままである。
 
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10月15日に新しいプロデューサー、ガラクン・アルヒデトの許で製作されたCDは4000枚しか売れていない。聴いた人たちも「素人未満の出来。Purple Catsを含めたXANFUSが即興で演奏してもこれより遙かに良いできになったはず」などと評していた。
 
そういう訳でチケットは全く売れなかった。
 

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龍虎は10月22日(水)の放課後、上島さんから電話があり、海外で写真撮影とかをする可能性があるから、すぐにパスポートを取ってと言われた。それで夕方帰宅した母に相談したら
 
「急ぐというのなら、明日は学校を休んですぐ申請してきた方がいい」
と母は言った。
 
まずは必要なものを確認する。
 
・申請書(窓口でもらう)
・戸籍謄本または抄本
・パスポート用写真
・本人確認書類
 
龍虎は未成年なので申請書に親権者の署名が必要である。これを長野支香にしてもらわないといけない。ふたりは親子ではないが、龍虎の戸籍には支香が未成年後見人として選任されたことが記載されているので、それで問題無い。龍虎は支香に電話してみた所、明日の午前中なら自宅に居るということだったので、明日の朝一番に書類をもらってから、支香が住んでいる浦和まで行ってくることにする。実は龍虎の戸籍も浦和になっているのである。
 
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本人確認書類は、運転免許証・写真付き住基カードなど、写真付きの公的身分証明書があればそれ1点で済むが、それが無い場合は、下記のイから2点またはイ・ロから1点ずつの提示が必要である。
 
イ.健康保険証・年金手帳・印鑑登録証明書と登録印など
ロ.学生証・会社等の身分証明書(写真付きのもの)
 
ここで龍虎はこの春に中学に入学したとき、担任の先生から「写真付き住基カードを作っておいた方がいい」と言われ、申請して作っておいたので良かった、と思った。
 
龍虎の場合、健康保険証は長野支香の被扶養者証として発行されたものがあるが、20歳未満なので年金手帳は無い。15歳未満なので印鑑登録ができない!つまり「イ」で2点揃えることができない。また「ロ」の場合、学生証の名義は「田代龍虎」なので、名義が異なることからこういう場合の証明書として使用出来ない。
 
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つまり住基カードが無かったら、本人確認書類を揃えることができなかったところであった(住基カードは住民票の住所に送付された通知書または照会書を持って取りにいくことで本人確認をして引き渡している)。
 

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そういう訳で翌10月23日龍虎は朝一番(9時)にパスポートセンター熊谷支所に行き申請書をもらってから、電車で浦和に行き、浦和区役所で支香と落ち合った。ここで申請書に署名をもらい、長野夕香を戸籍筆頭者とする戸籍謄本(全部事項証明書)を発行してもらう。これも支香が居ないとできないのである。この発行を待っている間に龍虎はパスポート申請書への記入をおこなった。
 
その後、支香は写真館にも付き合ってくれて、パスポート用の写真を撮影する。それで別れる予定だったのだが、支香に電話が入る。
 
「予定が変わって出発するのが明日になったから、パスポートセンターまで付き合ってあげるよ」
 
と言って、支香は熊谷市まで付き合ってくれた。
 
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そしてこれで結果的には助かったのである。
 

パスポートセンター熊谷支所で申請書を出すと、最初
「あなた性別が間違ってますよ」
 
と言われて、あやうく性別:女、に直されそうになる。それで龍虎が
 
「私男です。戸籍謄本を確認して下さい」
と言うと
「本当に男と書いてある!」
 
と言われたものの、龍虎は女の子にしか見えないので、今度は住基カードが偽造(写真の貼り替え)ではないかと疑われてしまう!
 
「中学生なら生徒手帳持っていますよね?それを見せて下さい」
と言われるので見せるが、田代龍虎名義になっているのを、里子なので通称使用しているのだと説明するが、向こうは疑いを持ったままである。
 
結局、長野支香が
 
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「この子は私の甥で、間違い無く男の子です」
と言い、支香自身は運転免許証を提示して本人確認されたので、その支香の証言で、やっと長野龍虎本人と認めてもらい、パスポートの申請は通ったのであった。
 
もし支香が付いてきてくれなかったら、更には支香に連絡するのが1日遅れて支香が海外に出ていたら、パスポートの申請がハワイでの写真集撮影に間に合わなかったかも知れないところであった。
 
(住基カードのICチップ内に写真データも入っているはずなので、本来はそれと表面の写真、本人の顔を見比べればよかったはずである)
 

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「自分が男だと証明するのがこんなに大変だとは思わなかった」
 
とパスポートセンターを出た後、マクドナルドをおごってもらいながら龍虎は言う。
 
「龍が女の子だと証明するのは簡単だろうね。やはり女の子になっちゃったら?」
と支香は言う。
 
「うーん。。。人生を考え直したくなる感じ」
「どうせ性転換するなら若い内の方がいいよ。少なくとも声変わりが来る前に決断しよう」
 
「ボクが性転換しようかな、とか言ったら反対する人がひとりも居ない気がする」
「全員、大賛成するだろうね」
と支香は楽しそうに言った。
 
「ちなみに、ちんちんあるんだっけ?」
「あると思うけどなあ」
「でも実際問題として、睾丸はもう無いんでしょ?」
「それもあるはず」
 
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龍虎は今自分の身体にくっついているおちんちんとタマタマはどうも偽物あるいは仮のもの?のようだという結論に達していたが、本物のおちんちんとタマタマは、こうちゃんさんが治療してくれているはずだから、捨てられたりはしていないはず、と思う。
 
支香は龍虎が曖昧な答え方をするので、実はこっそり手術したのでは?と思ったようである。ただ「どこまで」手術したのかは、よく分からないようだ。
 
「あんたはやはりそうなっていくのかも知れないけど、もし睾丸取ったのなら、ちゃんとしっかり女性ホルモン飲んでないと骨粗鬆症になるからね」
 
「それ言われた。その件はちょっと専門家の人に頼もうかと思っている」
「ああ。それがいいかもね。素人が適当にホルモン剤飲んでたら絶対身体壊すから」
「それも言われた」
 
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