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■娘たちのエンブリオ(2)

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10月11日から13日までは伊香保温泉でXROADの集まりをした。千里は朝からミラを出して桃香を拾い高崎まで走って、ついでに門田達磨製作所に寄り、今月分の手作り達磨割当て分を受け取った。
 
「村山さん。相談があるんだけど」
と若社長が言う。
「はい?」
 
「実は今手作り達磨を納入しているお店のひとつが年内に廃業するんだよ。土産物店で老夫婦がやっているけど体力的に辛いと言うことで」
「あら」
 
「今そこに月30体卸しているんだけど、その枠をそちらで引き受けてくれたりしない?」
「歓迎です。先月も半月で売り切れになってしまったんですよ」
「じゃ12月納品分から合計50体ということで」
「はい。よろしくお願いします」
「それと、もしそのお店で最終的に売れ残ってしまった場合、それも引き取ってもらえたら助かるんだけど。仕入れ値1割引で」
 
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「それも嬉しいです。お正月は参拝客も増えるだろうし。量産品も合わせて引き取りに来ますよ」
 

その後、高崎駅で、はくたか+新幹線で出てきた青葉を拾った。青葉はお友だちのヒロミちゃんという子を連れていた。彼女は女装女子高生ということだったのだが、この子に、おちんちんが付いているか付いていないかを調べて欲しいという話だった。彼女の性器はひじょうに曖昧な状態になっているらしい。
 
青葉は自分が近くに居ると正確な状態が分からないからと言っていたので、結局冬子のお友だちの医学生・奈緒ちゃんが彼女とふたりで草津温泉まで行き、そこで調べた結果、彼女は寝ている間は男で、起きている間は女であるという結論に達した。
 
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彼女がこのまま男性と結婚したら、初夜で相手が仰天するだろう。
 
どうも青葉の“おいた”の犠牲者のようである。
 
「これどうしたらいいんだろう?」
「男の子とセックスしている最中に眠ってしまうと、男の子のペニスごとヴァギナが消失したりして」
「なんてホラーな」
 
「寝ている間に性転換手術しちゃえばいいと思う」
「ほほお」
「だって寝ている間に女で起きている間に男だったら、起きている間でないと性転換手術できないけど」
「それは辛すぎる」
「寝ている間に男なのだから、その状態で性転換手術しちゃえば問題無い」
「なるほどー!」
 
「ただどうもヒロミちゃんは起きている間は子宮や卵巣もあるっぽい」
「へ!?」
 
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「だから寝ている間に性転換手術した場合、起きている間は完全な女で、寝ている間は性転換して女になった元男という状態に」
 
「実用上は問題無い気がする」
「それで妊娠した場合はどうなるんだろう?」
「うーん。。。」
「出産するまで10ヶ月間ずっと起きていればいいんじゃない?」
「無茶な!」
 
この問題は1年半後に、奈良の《円》様の“余計な親切”で救済されることになる。
 

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2014年10月10-17日。
 
旭川N高校の福井英美も参加しているU18日本代表はヨルダンのアンマンでU-18アジア女子バスケットボール選手権大会に出場した。予選リーグで日本はタイ、韓国、インド、台湾に勝ったものの中国に敗れて2位で決勝トーナメントに進出する。そして準決勝で韓国に勝ったものの、決勝で再び中国に敗れて2位で大会を終えた。
 
福井英美はこの大会で中国の強力なセンター陣を抑えてリバウンド女王に輝いた。
 
3位以上が来年のU19世界選手権に出場する“権利”を獲得するので、中国・日本・韓国の3ヶ国がこの権利を得た。
 
千里は福井英美に電話をして「おめでとう」と言ったが、彼女は「中国に試合で負けたのが悔しいけど、来年、世界のレベルと戦うのが楽しみです」と言っていた。
 
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2014年10月18-21日(土日月火).
 
長崎県の大村市体育文化センターで国体バスケット競技が行われた。
 
18日の1回戦は関東ブロック予選で優勝した千葉代表は不戦勝、2位だった東京は地元代表長崎と試合し、大勝した。長崎代表は優勝すべく2年前にチームを結成して練習を重ねてきたスペシャルチームだったが、プロ上位の実力を持つジョイフルゴールド・40 minutesのメンバーで構成された東京代表には全く歯が立たず、まさかの1回戦敗退となった。
 
19日の準々決勝、20日の準決勝も東京代表・千葉代表は各々勝利する。そして21日には東京代表と千葉代表で決勝戦が行われた。
 
今回も激しい戦いになったものの、関東ブロック予選で負けて以来、たくさん練習してきたジョイフルゴールド・40 minutes合同チームは、あの時突かれた弱点も克服しており、最終的には10点差で千葉選抜に勝利。優勝を掴んだ。
 
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しかし最後まで息の抜けない厳しいゲームであった。
 

2014年10月15日(水).
 
スペインで今季のLFBの試合が始まった。初戦で千里はスターターではなかったものの、第1ピリオド後半、第2ピリオド前半、第3ピリオド全部と第4ピリオド後半、全部で28分出場し、スリー5本とバスケットカウント1本、フリースロー(3)2回で合計22点を稼ぎ、チームの勝利に大いに貢献した。
 
スペインでの試合は夕方19時からで、これは日本の深夜2時に相当する。
 

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スペインでの試合を終えてから日本の市川に転送してもらった千里は朝一番の新幹線で博多に入った。16-17日の2日間、ローズ+リリーの『光る情熱』の音源製作に参加したのである。この演奏に博多に住む冬子の従姉たちに参加してもらうので福岡市で録音を行った。
 
17日の最終便で羽田に戻る。それで冬子たちと別れて、今日は千葉の桃香のアパートに戻ろうかと思い、念のため電話してみると桃香が
 
「済まない。今日はちょっとふさがっているから、千里彼氏の所ででも寝てくれない?」
などと言う。
 
千里は少し考えてから冬子に言った。
 
「ねぇ。今夜そちらに泊めてもらえない?」
「いいけど」
 
それでその日は冬子のマンションに泊めてもらった。
 
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“彼”はワクワクしていた。
 
「とうとうこれを使う日が来たかも」
 
と言って6年前に密かに細胞を採取して万能細胞に変え、“倍速”で育ててきたビーカーの中の器官をわくわくして見た。
 

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10月18日(土)朝、冬子のマンションで珍しく早起きした政子と、冬子・千里が一緒に朝御飯を食べていたら、携帯を見ていた政子が
 
「嘘!?」
と声をあげる。
 
「どうしたの?」
「XANFUSの音羽、卒業だって」
「え〜〜〜!?」
 

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それで情報を集めようとあちこち連絡してみるものの、状況はさっぱり分からなかった。そうこうしていた時、冬子のマンションに桃香が来訪したのだが、織絵(音羽)を連れているので、みんなびっくりする。
 
「桃香が冬子と知り合いだったなんて全く知らなかった」と織絵。
「織絵って桃香と知り合いだったの?」と冬子。
「織絵が歌手してるなんて全く知らなかった」と桃香。
 
話を聞いてみると、織絵は桃香と同じ高校に通っていたが、XANFUSに参加しないかと誘われ、東京の高校に転校して加入したらしい。桃香は洋楽しか聴かないので日本国内の音楽には疎く、それで織絵がXANFUSをしていることを知らなかった。
 
それで今回の件だが、事務所の発表では「音楽の勉強をするため卒業」とされていたが、実際には織絵と美来(光帆)が事実上の結婚状態にあることを、契約書で恋愛・結婚を禁止している条項に反しているとして、新社長の悠木氏から解雇されてしまったというのが実際の所らしい。
 
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「社長は、私と美来の関係は、どちらが仕掛けたものなのか調べたみたいなんだよ」
と織絵は言った。
 
「私の高岡時代の友人が、私の昔の恋愛について興信所の人が聞きに来たと言っていた。彼女は知らないと言ってくれたんだけど、かなり調べ回ったみたい。それで、私にはレスビアンの過去があり、美来にはそれが無いことが分かったんだと思う。それで私が解雇されたんだと思う」
 
桃香もその織絵の昔の恋人のひとりで、昨日織絵がふらふらと歩いている所に桃香が遭遇し、その様子が異常だったので、桃香は織絵を保護し、昨夜は千葉のアパートに泊めたということのようである。それで今日、冬子に相談してみようと言って、連れてきたのだという。
 
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織絵は取り敢えず戻る場所が無いと言った。
 
池袋のマンションの鍵は取り上げられた。スマホも取り上げられたので、美来とも連絡が取れない。昨夜桃香のスマホを借りて実家の母に連絡したら、高岡に戻っておいでと言われたらしい。
 
「それがいいかも。東京にいたら記者が殺到するよ」
「いや、高岡に戻っても記者が殺到する」
「確かに」
「どこか外国にでも行く?」
「まるで犯罪者みたいだ」
 
その時、千里が言った。
「札幌にでも行く?」
「札幌?」
 
「私の妹がアパートでひとり暮らししているんだよ。彼氏も居ない。XANFUSとは何も接点が無いから、しばらくはバレないと思う。あの子ミーハーだからXANFUSの音羽ちゃんが来ると聞いたら熱烈歓迎するよ」
 
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「そういう子だったらいいかなあ」
「じゃ電話してみる」
 
それで千里が電話すると、玲羅は物凄く喜び、直接織絵とも話させると、ずっと居てくれてもいいと向こうは言っている。それで織絵を札幌に連れていくことになった。
 

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それで飛行機を予約しようとしていた時、冬子のマンションに来訪者がある。ドリームボーイズの蔵田孝治だ。
 
「ジンギスカンでも食べに行かないか?」
と言う。
「行きます!」
と政子が即答する。
 
「ああ、君は行くと言うと思った」
 
「それひょっとして札幌まで行くんですか?」
「札幌の近くなんだけど、滝川という所なんだよ」
 
結局、その場に居た5人の内、桃香以外の4人、冬子・政子・千里・織絵が蔵田の北海道行きに同行することになった。
 

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「何時の便に乗るんですか?」
「知り合いがプライベートジェットを持っていて、それに乗る。16時に調布飛行場の飛行許可を取っている」
「だったら急がなきゃ!」
 
ということで、冬子と政子が大急ぎで荷物をまとめていたのだが、そこにまた来訪者がある。龍虎であった。
 
「龍虎ちゃん、どうしたの?」
「上島のおじさんからお使いできたんですが」
「だったら、君も一緒に来る?土日は学校休みだよね?」
 
それで桃香にマンションの鍵を渡して戸締まりを頼み、冬子・政子・千里・織絵・蔵田・龍虎の6人は慌ただしくマンションを飛び出し、下でエンジンを掛けたまま待機していた(蔵田の妻の)樹梨菜のプレマシーに飛び乗った。樹梨菜は蔵田が冬子を呼んでくるといって上がっていったのに多人数で戻ってきたので、びっくりしていた。
 
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樹梨菜の運転する車は30分ほどで調布飛行場に着いた。駐機しているGulfstream G650に乗り込む。
 
「あら、また一緒かな」
と笑顔で迎えてくれたのは、江藤愛来さんである。先日冬子がKARION公演のあった沖縄からローズ+リリー公演のある大宮まで2時間半で移動した時、那覇空港から調布まで、彼女の夫が所有するこのG650に乗せてもらったのである。
 
「今回の乗客は?」
と江藤さん。
 
「この7人なんですが、いいですか?」
と蔵田さん。
 
「蔵田先生以外はみな女性ね。OKですよ。蔵田先生も女性には興味無いでしょうし」
 
この飛行機は基本的に女性専用なので、男性を乗せる場合は女装してもらうらしい。飛行機の所有者本人である江藤さんの夫も、これに搭乗する時はスカートを穿かされるらしい!
 
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「ちなみに去勢が必要そうだったら、去勢具も用意していますから」
などと江藤さんは言っている。牛用らしいが!?
 
今回の乗客には、普通の人が見たら男性に見える樹梨菜が入っているが、江藤さんは蔵田とは旧知なので、樹梨菜が女性であることを知っている。
 
ちなみに龍虎は江藤さんにも女子に見えたようである!
 
G650は江藤、パイロットの森村、そして千里たち7人の合計9人を乗せて調布飛行場を飛び立った。
 
飛行機内部のラウンジ席でワインやサイダーを開けて歓談していたのだが、どうも話が「大人の世界」に入って行く。中学生には教育に良くないので冬子は千里・龍虎と一緒に前の方の座席に行き、龍虎が持って来た用事を聞くことにした。
 
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それで千里が副操縦士席(機長席の右)、龍虎をその後ろの席、冬子は更にその後ろに座った。千里が確かめるかのように計器を見て頷いたりしていたので機長の森村さんが
 
「村山さんでしたっけ?コーパイ席に座られたことあります?」
と訊いた。
 
「550とあまり変わらないなと思って」
などと千里が言う。
 
「ええ。G650はG550の改良型なので」
 
「翼のスイープ(後退角度)がG550より大きいですよね?」
「そうなんです。G550は27度ですが、G650は36度もあるんですよ。だから浮力が大きいから結構感覚が違いますよ」
 
「機体のサイズも結構大きくなっていますよね?」
「外形では長さ3ft 4in, 幅 4ft 1in 広いですが高さは6in低いです。但し、キャビンサイズは長さで約3ft, 幅で約1ft, 高さで約3in広いです」
「それはこの機体が楕円形だからですよね?」
「そうなんですよ。設計時にかなり揉めたんですが、デザイナーが頑張ったんです」
「本当は円形の方が空圧に強いでしょうからね」
 
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「そうなんですよね。あと重要なのは、小型機ではひじょうに珍しいフライ・バイ・ワイヤを採用していることですね。結果的には女性のパイロットにも飛ばしやすいと思います」
 
森村と千里はしばらく専門用語も交えてG650について話していた。
 

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