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■娘たちのエンブリオ(4)

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タクシーでアパートに戻った玲羅は階段を上っていった所で自分の部屋の前に千里が立っているのを見てビクッとした。
 
「お姉ちゃん!?」
「部屋があそこまで酷いとは思わなかったよ」
と千里が言う。
 
千里はさっき玲羅のアパートに寄った時、あまりにもアパートが酷い散らかりようなのに呆れて、眷属たち(こうちゃん・りくちゃん・せいちゃん・げんちゃん)に「片付けるのに必要な道具と収納を買ってきて」と言って、お金を渡してホームセンターに行ってもらっていたのである。そして全日空ホテルで各々が各部屋に入った所で《こうちゃん》と位置交換でここに飛んできた。
 
「ごめーん」
「朝までに私が少し片付けるから鍵貸して」
「あ、うん。えっと鍵って・・・私は?」
「近くのCホテル予約だけしたから、今晩はそこで泊まって」
と言って玲羅に1万円札を渡す。
 
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「分かった!でも着替えとかだけ持ってく」
 
それで玲羅は鍵を開け、その鍵を千里に渡した後、部屋の中から荷物の中に埋もれている自分の下着とトレーナーを引っ張り出してその付近に埋もれていたコンビニの袋に詰めると、後を千里に任せてCホテルに向かった。
 
そして千里はこの後、一晩かけて《せいちゃん》たちと一緒にこの部屋を片付けたのであった。
 

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取り敢えず、押入れの中身を出してカラーボックスや衣裳ケースを入れ、きーちゃん・たいちゃん・わっちゃんと千里の4人で散らばっている洋服を片付けていく。洗濯が必要そうなのはまとめてコインランドリーに持っていく。こういう作業は男の眷属にはさせられないので女手が足りない。それで《くうちゃん》に頼んで、兵庫に居る《いんちゃん》も呼び寄せた。しかしやってきた《いんちゃん》は言った。
 
「貴人は休んでいた方がいい。明日運転する可能性があるから」
「じゃ代わりにびゃくちゃんを呼ぼう。あの子もたぶん女の子だろうし」
 
と本人が聞いたら「“たぶん”とは何だ?」と怒りそうなことを言っている。
 
それで《きーちゃん》は葛西に居る《びゃくちゃん》と位置交換し、《きーちゃん》は向こうで休んでもらうことにした。
 
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(てんちゃんはファミレスに出ているし、すーちゃんはスペインにいる)
 
そんなことをしている内に電話が掛かってくるが、見たら龍虎である。
 
「どうしたの?龍ちゃん」
「すみません。ボクのパジャマそちらに行ってませんよね?」
「ちょっと待って」
 

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ホテルに居る《こうちゃん》に直信で聞いてみると確かにあるらしい。
『じゃ龍虎そちらに行かせるから渡してやって』
『OKOK』
 
それで龍虎に自分の部屋(実際には、こうちゃんが居る)に取りに来てと言った。
 
『ところでこうちゃん、あの子を今夜勝手に女の子に改造しちゃおうとか思ってないよね?』
と千里は言った。
 
こうちゃんはギクッとする。
 
『万一そんなことしたら、こうちゃんのちんちん取ってあの子にくっつけちゃうからね』
『俺の大きいから、龍虎は困ると思うぞ』
 
などと《こうちゃん》は言っていた。
 
千里もその後少し仮眠させてもらってからスペインに居る《すーちゃん》と入れ替えてもらい、スペインでLFBの試合に出場した。試合が終わったらいったん試合のあった地区のホテルに帰ってシャワーを浴び少し仮眠した所で《すーちゃん》と入れ替わりで札幌に戻った。
 
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ちなみに札幌に来ている間《すーちゃん》は「いい所に来た」と言われて沢山掃除の手伝いをする羽目になった!
 

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龍虎は“千里”が泊まっている部屋に行きノックをしたのだが、中に居たのは千里では無かった。
 
「こうちゃんさん・・・」
「久しぶりだな」
 
龍虎は《こうちゃん》の存在は日々感じているし、男物の服を隠そうとする彼と、何とか着ようとする龍虎の戦いは一種のゲームのようになっていたが、彼の顔を見るのは本当に久しぶりだった。
 
「可愛い女の子になったな」
「なってません。ボク男の子ですよ」
「でも女の子になりたいんだろ?」
「なりたくないです!」
「だって女物の服着てるじゃん」
 
「せっかく“誰かさん”の悪戯をかわして学生服を着て家を出たのにアルトお姉さんに『ケイ先生のマンションは男子禁制だから』と言われて、これ着せられちゃったんですよ。なぜかボクのサイズに合う女の子の服が用意してあるんだもん」
 
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《こうちゃん》は龍虎の至近距離まで顔を近づけた。
 
「ほんとにチンコ付いてるんだっけ?」
「付いてますよー」
「じゃ見せてみー」
「なんでですかぁ?」
「男同士だし見られても構わんだろ?俺のも見せてやるぞ」
「見せてもらわなくてもいいです!」
 
ともかくも龍虎はスリムジーンズとパンティを脱いでその付近を《こうちゃん》に見せた。
 
「ちょっとぉ、触るのやめてください」
「これまだ幼稚園生並みに小さい」
「身長を伸ばすのに去年1年間積極的に女性ホルモン摂ってたから縮んじゃったんです。この春からは中止したから伸びてきました。たぶん来年くらいまでには小学4年生の男の子程度にはなるんじゃないかなぁ」
 
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「男性ホルモン飲むか?。俺が調達してきてやるけど」
「男性ホルモンは・・・・身体に入れたくないんです」
「んじゃ女性ホルモン飲む?」
「だからそれはやめたんです」
 
「まだお前の骨格とか、脂肪の付き方は、性的に未分化だよ。去年は80%くらい女の子だったけど、今は60%くらいの女の子だな。女性ホルモン再開すれば1年くらいで完璧に女らしい身体になる」
 
「そしたら、どうなるんですか?」
「そのまま女性ホルモンを摂り続けて、18歳くらいになったら、ちゃんと手術して完全な女になればいい。ホルモンだけで男性器はほぼ消失すると思うけど、割れ目ちゃんとか結婚するのに必要なものとか作るのに手術が必要だからな」
 
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「手術かぁ・・・」
といいながら“結婚するのに必要なもの”って何だろう?と思う。
 
「女になる手術受けたいだろ?今すぐ手術してやってもいいぞ。ちゃんと赤ちゃん産めるようにしてやるから」
 
それ霧島神宮の沙耶さんにも言われたな、と龍虎は思った。
 
一方、こうちゃんは千里に言われたのは“勝手に”女の子に変えるの禁止ということだから、本人が望むなら変えてやってもいいよな、などと思っている。
 
「でもボク18歳まで生きられるんですか?ボクって、あの時に本当は死ぬはずだったんでしょ?」
 
「それは確かにそうだけど、少なくとも20歳や30歳で死ぬことはないから安心しな」
「こうちゃんさん、ボクの寿命を知っているんですか?」
「知っているが言ってはいけないことになってる。でも寿命なんて気にすることないよ。死んでみれば分かるしさ」
 
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「そうですよね!でも取り敢えず20歳までは生きられるんだったら、少し頑張ってみようなかあ」
 
「ああ、日々自分ができるベストのことをしていくことが、良い人生につながるんだよ。日々後悔ばかりしてたらダメだぞ」
 
「はい!」
と龍虎は明るく答えた。
 

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「そうだ。サービスでその金玉取ってやろうか?」
「なんでそうなるんです!?」
 
龍虎の陰嚢は身体に張り付いているのだが、《こうちゃん》はその正中線に沿って鋭い刃物のようなものを当てた。
 
「きゃっ」
 
「ふーん。ちんこ大きくならないな」
「え?」
「普通の男の子だったら、ここに刃物突きつけられると、大きくなる」
「そうなんですか?」
 
そして《こうちゃん》は中央線をスッと縦に切ってしまった。
 
「あれ?痛くない」
「そりゃこれは夢だからな」
「そうなの?」
 
「ほら、これがお前の金玉」
と言って、《こうちゃん》は2個の睾丸をその切れ目から引き出してしまう。龍虎はそれを見てドキドキした。
 
「それどうするんですか?」
「よければこのまま取っちゃうけど」
「まだ取りたくないです」
 
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「『まだ』取りたくないねぇ」
と言って《こうちゃん》は笑うと、それを2個とも切り離してしまった!
 

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「ちょっとぉ、まだ嫌だって言ったのに!」
 
タマタマが無くなっちゃったら・・・もうボク男の子ではなくなった?などと思ってドキドキする。
 
しかし《こうちゃん》は言った。
 
「この金玉はほとんど死んでる。こんなの付けてたって男性ホルモンなんて分泌しないから、お前はいつまでも男にはなれんよ。だから俺が治療してやる」
 
「治療?」
 
「数年かかると思う。20歳になった時に、まだお前が男になりたいと思っていたら、その治療が終わった金玉を返してやるよ」
 
「20歳・・・」
「それまではお前はほぼ中性だから、男にも女にもなれる状態のまま。そんな感じがいいんだろ?」
「そうかも」
と龍虎は素直に言った。
 
「女の子になりたいなら、今すぐ、チンコも切ってやるけど」
 
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と言って、《こうちゃん》は龍虎の小さなおちんちんの付け根付近を切開した。龍虎のおちんちんは表面に出ているのはわずかだが、根本まで切開してみると結構長いので驚く。彼はその根本に刃物を当てた。
 
「切られると困ります!」
と慌てて言う。
 
「そうか。困るか」
と言うと、彼はそれを切り落としてしまう。
 

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「いやー!」
 
龍虎は突起物が無くなった股間を見てドキドキしていた。おちんちんもタマタマも無かったら、もう女の子と同じ?《こうちゃん》は切開した所をくっつけてしまうと、切り取ったおちんちんを弄ぶ。
 
「このチンコも20歳になった時、お前が男になりたいと思っていたら返してやるよ。金玉と一緒に治療するから」
 
「はい。でも、20歳になるまで、ボク、おちんちん無しですか?」
 
「チンコ無い方が女の子パンティ穿くのには楽だぞ」
「おちんちん無いと男湯に入れないです」
「女湯に入ればいいじゃん。お前、実際男湯に入ったこと無いくせに」
「えっと・・・」
 
龍虎は「あれ〜?本当にボクいつ男湯に入ったっけ?」と考えていた。
 
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「そうそう。どっちみちお前、人工的にホルモンのコントロールした方がいい。そうしないと骨粗鬆症とかになるんだよ」
 
「あ、はい」
 
「去年のやり方は無茶すぎる。きちんと管理して投与しないとあちこち身体を壊すぞ。専門家に委ねろ。それ千里の妹が得意だから、頼んでみな」
「妹って玲羅さんですか?」
「あ、そうか。玲羅じゃなくて、もうひとり青葉ってのがいるんだよ」
「へー」
 
「千里よりむしろケイから紹介してもらうといい。千里はお前があまり女性化するのは好まないと思うし」
「千里さんだけなんですよ!ボクを男の子として扱ってくれるのは!みんなボクに女の子になりたいんだろ?とか言うんです」
 
「だから千里から頼まれたらきっと青葉はお前を男らしくしてくれる」
「いやだあ」
と龍虎が言うので、やっぱりこいつ男にはなりたくないんだなと、こうちゃんは思う。
 
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「ケイから頼まれたら、青葉はお前をちゃんと女らしい体つきにしてくれるよ」
「それもちょっと困ります」
「おっぱいも大きくしてもらえるぞ」
「おっぱい・・・どうしよう?」
 
「じゃ、またな。可愛い女の子アイドルになれよ」
「男の子アイドルですぅ!」
 
「女の子の方が売れるのに」
「でも将来、男の俳優になりたいんです。だから、おちんちんが無いのは困るんですけど」
「そんなの、人に見せるもんでもないし、無くたってバレないって」
「付いてないと困ります」
 
「しょうがないな。だったら・・・」
 

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龍虎はハッとして目が覚めた。ベッドの中で寝ている。
 
あれ〜?今のって夢?
 
そっとあそこに手をやる。
 
おちんちんある!
 
指で探ってみるとタマタマもあるようだ。
 
龍虎はちょっと拍子抜けした気分だった。そうか。夢だったのか。。。ボクやはり女の子みたいになりたい願望があるのかなぁ。などと思っている内に気が付く。
 
このおちんちん、サイズが違うんですけど!?
 
もしかして作り物?と思って引っ張ったりねじったりしてみたが外れないので取り敢えず自分の身体にくっついているようだと龍虎は認識した。
 
パジャマの入った紙袋はベッドのそばにあった。龍虎はそもそもこれが手元に無かったというのが夢なのか、無かったのは本当で、千里さんの部屋に行った以降が夢なのか、よく分からなかった。もしかしたら、夢と現実が混じっているのかも知れない気もした。
 
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気分転換にシャワーを浴びてきてから、パジャマを広げてみた。
 
可愛い!さすがマリさんが選んだだけある。値段のタグは切ってあったけど、これ結構するよね?
 
こういうの着れるのが、女の子のいい所だよな、と龍虎は思う。男の子の服って詰まらないんだもん。龍虎は小学生の頃は、スカートこそ穿かないものの、結構女の子の服で学校にも行っていた。中学になると学生服になって楽しみがなくなってしまった。
 
誰かセーラー服買ってくれたりしないかなあ。。。などと龍虎は考えてしまった。
 
 
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