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■娘たちのエンブリオ(25)

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(C)Eriko Kawaguchi 2019-01-04
 
12月22日に、織絵たちのマンション選びに付き合った後、取り敢えず全員冬子のマンションに帰る。それで千里はバイクで帰ろうとするが
 
「凄いバイクに乗ってるね!」
と織絵・美来が驚いて言った。
 
「乗ってみるなら貸そうか?私電車で帰るし」
「いいの?」
「どこに返せばいい?」
「じゃ24日までにこのマンションのこの駐車枠に。たぶん25日に私またここに来るから」
「じゃ貸して!」
 
それで大型二輪免許を持っている織絵が運転し、美来が後ろに乗ってどこかに走って行った。千里のライダースーツごと貸したが、美来の分はどこかで調達すると行っていた。千里は恵比寿駅まで歩いて戻ると、成城石井で買物をしてから常総ラボに転送してもらった。
 
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貴司はまだ練習しているようだったので、その間に前日仕込んでおいたフライドチキンを揚げる。ちょうど揚げ上がったころ、貴司は練習を終えて下に降りてきた。
 
「おいしそう」
「クリスマスケーキも買ってきたよ」
「ワインもあるね」
 
「ちょっと早めのクリスマス」
「うん」
 
それで料理を食卓に並べ、ワインを注いで乾杯する。
 
「メリークリスマス!」
それでキスしてお祝いをした。
 
「ちなみにセックスできないよね?」
「結婚している人とセックスなんてできません」
 
この会話はふたりのジャブのようなものである。
 
夕食の後は食べたものが落ち着いた頃からまた練習を始め、夜中まで0時頃まで続けた。千里はこの日はスペインでの練習を休んだ。
 
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12月22日深夜。
 
池袋のマンション12階でガス爆発があった。爆発のあった部屋は偶然住人が外出していたため、怪我人は上の階に住んでいた24歳の会社員が全治2週間の怪我をしただけだったのだが、マンション自体がこの階で折れ曲がるという大事故となった。
 
このマンションが11月12日まで美来が住んでいたマンションであり、爆発があったのも美来が住んでいたのと同じ階の部屋であった。
 
12階の部屋には折れ曲がったことで大きく変形して家具が潰れる被害のあった所も多く、また13階以上の全ての部屋は傾いてしまい、危険なので立入禁止となる。下手すると隣のマンションにぶつかるかも知れないので、すみやかに解体するということになった。その隣のマンションでも多数窓ガラスが割れ、大きな被害が出ていたし、万一のことがあったらいけないというので、傾いたマンションの12階以上が解体されるまで立入禁止になったし、その間の道路を含めて半径50m以内が通行禁止になった。
 
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不動産屋さんが代替の居住場所確保に奔走したが、正月目前に自宅に戻れなくなった2つのマンションの住人・数百人は怒る前に呆然としていた。なお、不動産会社では「一時的な引越先」とするのと、そのまま新しいマンションと今住んでいた所の等価交換との選択としたが、今より条件の良い所が多いので多くが等価交換を選択した。
 
しかしガス爆破でマンションが折れ曲がるというのは、設計ミスあるいは欠陥工事の疑いも濃厚である。
 
折れ曲がったマンションの13階以上の部屋からの大型家具の取り出しは困難で、賠償問題で大揉めになるのは必至の状況だった。
 

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龍虎は12月21日の夕方新幹線+はくたかで富山に行き、ローズ+リリーのライブで《鈴割り》をした。22日は朝一番の飛行機(富山7:10-8:15羽田)で東京に戻り、午前中はテレビ局のクイズ番組の収録に参加した。
 
コスモスと一緒にテレビ局の食堂でお昼を食べていたら、ちょうど★★レコードの加藤課長が通りかかる。
 
「昨日も凄い反響だったみたいだね」
と加藤さんが言う。
「ありがとうございます。昨日はサインまで求められちゃいました」
「私が書いていいよと言ったので、書いて30人くらいに渡しました。記念すべきサイン第一号ですね」
とコスモスが言う。
 
「どんなサインにしたの?」
と加藤さんが言うので、色紙を出して書いてみせる。
 
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「かっこいい!!」
と加藤さんは声をあげた。
 
AQUAのQの文字が大きく書かれ、まるで走っている人のように見えるサインである。
「アクアって漢字で書くと閼伽で、奈良の東大寺のお水取りでしょ?お水取りって、菩薩の修行の何億年もの時間を人間が少しでも追いつけるようにと走るんですよね。だからそのイメージで走る人というのを組み込んだんです」
 
「誰が考えたの?」
「実は夢に見たんです」
「へー!」
「夢の中で高岡の父が回廊のような所を走り回っていたんです。そしてお前も走れと言ったんですよ」
「お父さんはそれ本当に今修行中なのかもね」
「私もそう思いました。だからこのサインを書くことで私も走ります」
「うん。頑張ってね」
 
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と言って加藤さんはコーヒーを飲み終わり行きかけて
 
「しまった」
と言った。
「何か?」
 
「言い忘れる所だった。それでさ、ローズ+リリーの公演の、12月30日東京、31日福島、1月1日札幌の公演にもアクアちゃん、鈴割り役で出てくれない?これたぶん29日の放送を見たら凄い反響が来ると思うんだよ」
 
龍虎はコスモスを見た。コスモスはスマホでアクアの現時点での日程を確認した上で
「今の所は空いていますが、アクアは2日の夕方以降の予定があるのですが。それと移動のチケットが取れるでしょうか?」
 
「1月1日午前中に福島から札幌に移動できる便、1月2日朝の新千歳→羽田便を、★★レコードのスタッフ用に確保していたものから2枚そちらに回す。団体予約で取っているはずだから、名前の後付けができると思うんだよ(*1).1日の札幌のホテルも2部屋そちらに回す。ただこれは狭い部屋になるかも知れない」
 
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「それは全然問題ありません。では日程の予約を入れます」
 
と言って、コスモスはアクアのスケジュールwikiに書き込んでいた。
 
(*1)これはできなかった。詳細後述。
 

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この日の午後から深夜まで『ときめき病院物語』の最初の撮影に臨んだ。
 
ここで西湖が出演者やスタッフ一同に紹介される。最初は2人とも学生服を着て並び、その後ふたりともセーラー服に着替えてきたのだが
 
「2人とも学生服を着たら男子中学生に見えてセーラー服を着たら女子中学生に見えるのが凄い」
「でもほんとに雰囲気が似てるね」
「背丈や体型もそっくり」
「よくこういう子を見つけた」
 
とみんな感心していた。
 
しかし「あまぎ・せいこ」とコスモスがみんなに紹介したので
 
「せいこちゃんって可愛い名前だね」
「それ芸名?本名?」
などと言われ、どうも西湖は女の子だと思われた感じがあった!
 
西湖は劇団で多数の舞台をこなしているだけあって、ひじょうに演技がうまかった。アクアも充分うまいので、2人とも全くNGを出さない。ふたりが出る場面は「アクア:佐斗志−西湖:友利恵」の配役と「アクア:友利恵−西湖:佐斗志」の両方を撮らねばならず倍の手間が掛かるのだが、ふたりがどちらも1発OKの演技をするので、みんなから感心されていた。
 
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この日いちばんNGを出したのは主役の三崎さんで「申し訳無い」とたくさん謝っていた。鞍持さんが「僕も初めて主役をした時はNG連発したよ」と言って慰めていた。やはりプレッシャーが半端ないのであろう。
 

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なお西湖は今回のボディダブルの仕事をするにあたって§§プロとC契約を結んだ。基本的には放送局その他との事務手続きや請求・入金などの業務を取り次ぐだけであり、名前も§§プロのホームページのアーティスト一覧には掲載されない。
 
研修生などが結んでいるB契約より簡易な契約である。マージンが少なく本人の取り分も多いが、交通費等の支給も無い。ただし西湖はドラマ撮影のためにPasmoを渡されたし、遅くなったらホテルなども取ってもらえることが多かった。また本来はB契約以上の子にしか発行しない§§プロの契約アーティスト証(写真入り)を渡された。
 

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2014年12月23日(祝).
 
龍虎は熊谷市の文化ホール太陽ホールにやってきた。今日はバレエ教室の発表会で『白鳥の湖』を上演する。
 
アクアのテレビ番組初登場は12月29日の予定で、龍虎にとってはいわば最後の非芸能人としてのステージである。なお、TVデビュー後になるが、CDデビュー前の2月にコーラスの大会に出ることになっている。
 
龍虎は小学1年生の2月(正式には4月)からバレエ教室に通い始め、3年生までは群舞にだけ出ていたが4年生で『眠りの森の美女』の青い鳥を踊った。5年生で『くるみ割り人形』スペインの踊りの男側を踊る予定がアラビアの踊りの女側まで踊ることになる。そして昨年は同じくるみ割り人形の中国の踊りを踊るはずが、それだけでなくプリマが踊るべき金平糖の踊りまで踊ることになった。
 
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そういう訳で龍虎は去年も一昨年も女の子が踊るべき踊りを代役で踊っていたのだが、今年は最初から『白鳥の湖』の主役オデットを踊ることになってしまった。クラシック・チュチュを着てトウシューズを履いての演技だが、チュチュを着ても男の子がスカートを穿いているようには見えないのが龍虎の凄い所ある。
 
但し1学年上の蓮花とのダブルキャストであり、龍虎はプロローグの白鳥に変身した後のオデット、2幕と4幕のオデットを龍虎が、3幕のオディール(黒鳥)を蓮花が踊ることにしている。但し2人とも全ての踊りを練習し、ひとりででも全部踊れるようにしている。オディールで大変なのはクライマックスで踊る32回のグラン・フェッテである。
 
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龍虎はこれを9月頃から練習し始め、ようやく12月の頭頃に32回回れるようになった。蓮花は春から練習し始めたのだが、夏休み頃はまだ15回くらいしか回れないと言っていた。その後龍虎は芸能活動が忙しくなり、あまり話していなかったのだが、当然できるようになっているものと思っていた。
 
「え〜!?まだ29回しかできない!?」
「最高でね。安定して回れるのは25回」
「それはまた道が遠い気が」
 
先生が頭を抱えている。
「3幕と4幕を交替しようか」
と先生は提案する。
 
「仕方ないですね」
 
それで当日になって龍虎がオディール、蓮花が4幕のオデットを踊ることになってしまったのである。
 

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プロローグ。
 
ロマンティックチュチュを着たオデット(蓮花)が湖で遊んでいる。そこにロットバルト(井村君)が現れ、誘惑する。しかしオデットが拒否するのでロットバルトはオデットに魔法を掛けてしまう。それでロマンティックチュチュの蓮花がロットバルトに手を引かれて岩の後ろに行くとそこを通過した時に手を引いていたのはクラシック・チュチュを着て頭には王冠を付けた龍虎であった。この早変わり風の2人1役は大いに観客が沸いていた。
 
第1幕。
 
ジークフリート王(佐藤)の成人式前日。沈んだ様子の王を道化(森村)と家庭教師(井村:二役 *1)が盛り上げようとし、多数の村人(白鳥役や3幕の舞踏会出席者と兼任)が入って来て、乱痴気騒ぎになる。この中で多数の村娘たちが踊る『ワルツ』は第1幕の見せ場である。しかしやがて母の皇太后(日出美)がやってきて騒ぎはお開きになる。皇太后はジークフリート王に弓矢を授け、明日からは(自分の摂政も終了して)1人前なのだからと諭す。白鳥が南から渡ってきたのを見て、王はそちらに向かう。
 
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この幕にはオデットは登場しない。
 
(*1)家庭教師はしばしばロットバルトが兼任する。これが単に同じバレリーノが2つの役をこなしているだけなのか、あるいはロットバルトがパーティーに潜入しているという設定なのかは、意見が分かれる。
 

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第2幕。
 
湖の場面。冒頭にジークフリートとオデットが出会った場面、グラン・アダジオがある。これを佐藤君と龍虎で演じる。
 
この衣装は結構バストが目立つ!
 
龍虎は実は生バストで演じているのだが、多くの人はパッドを入れているのだろうと思っている。それまでの龍虎の胸はAAサイズだったのに、先日12月5日に病院で改造!?されてしまいBカップになっている。ちなみに母は「とうとう我慢出来なくなって豊胸したか」と思っていたらしい。
 
この後30人ものクラシック・チュチュを着たバレリーナが登場し、群舞するシーン(第2幕の『ワルツ』)は圧巻である。これは主として小学3〜4年生の女の子たちが演じており、後ろの方には幼稚園や1〜2年生の子も混じっている。(実は一部チュチュを着けた幼稚園や1年生の男の子も混じっている)
 
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そこから妃呂と唯花による「2羽の白鳥」になる。30人の白鳥たちは左右に分かれてそれを見守る。その後、白鳥たちをバックにジークフリートとオデット(佐藤君と龍虎)の踊りがあった上で、あまりにも有名な「四羽の白鳥」が踊られる。これは背丈が近い4人で演じられるもので今年は小4〜5年生の愛香・恵南・穂純・友音が踊った。
 
そのあとまた全体の踊りとなり、最後はジークフリートとオデットの踊りとなり『情景』で場面転換となる。
 

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