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■娘たちのエンブリオ(13)

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(C)Eriko Kawaguchi 2018-12-29
 
ハワイから帰国した後、スタジオでアクアの追加撮影をやっていた最中に美来(XANFUSの光帆)から冬子に電話がある。家相とか風水とか観られる占い師を知らないかというのである。
 
「引越でもするの?」
「それが今住んでいる所なんだけど」
 
と言って、美来は状況を説明した。
 
元々織絵は吉祥寺の賃貸マンション、美来は国立市の賃貸マンションに住んでいたが、実際にはここ数年ふたりは吉祥寺のマンションにずっと居て、国立市のマンションは使っていなかった。それでふたりはこの春に池袋に分譲マンションを買い、そこに引っ越して、吉祥寺の織絵のマンションは解約した。国立市の方も解約しようとしたが、そこで斉藤前社長が、ふたりが公式に同棲するのは困ると言い、国立市のマンションは事務所が家賃を払い、美来の住民票はそこに置いたままにして、公的にはそこに住んでいることにした。
 
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ところが悠木新社長はこのマンションは何に使っているのか?と会計担当に尋ね、それで織絵と美来が事実上同棲していることを知り、ふたりに厳重に注意した。それで取り敢えず国立市の美来のマンションの家賃は美来が自分で払うことにした。ところが悠木社長は更に調査を進めて、織絵は高校時代にもレスビアンの恋愛をしていたことを突き止め、織絵の契約を解除した。
 
美来が相談したいと言ったのは、この春に新しく引っ越した池袋のマンションである。
 
そもそもここのマンションの他の部屋は5000万円だったのに、この部屋だけ3000万円だった。織絵が窓の外を歩いている男の姿を見た(この部屋は12階である)。誰も居ないのに足音がする。
 
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冬子は言った。
 
「占い師さんを呼ぶまでも無い。私が事故物件だと断言してあげる」
「やっぱり?」
 
「そのマンション出た方がいい。元々美来が借りてた国立市のマンションがあるよね。そこに引っ越した方がいい」
「実はあそこ、12月一杯で解約することにしちゃってて」
 
「だったら、それまでの期間でもいいから一時的に引っ越しなよ。今年のトラブルって、変なマンションに住んで運気が落ちたせいもあるかもよ」
 
美来が自分は車も持っていないし、ライブツアーを目前にしている。でも引越屋さんに頼むには、他人にあまり見られたくないものもあるというので、結局鍵を送ってもらい、冬子・千里・和実の3人で荷物を運んであげることにした。この時点では、冬子は、女の2人暮らしだし、大した荷物もないだろうと思っていた。正望あるいは佐野君を呼ぶことも考えたのだが「他人に見られたくない」と言っていたことから、男子は取り敢えずやめておいたのである。
 
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11月12日(水)のお昼に、冬子・千里・和実は池袋に集合した。和実はプリウス、冬子はカローラ・フィールダーで来たのだが、千里は雨宮先生から預かったままの軽トラトレーラー(2トン)を持って来ていた。
 
「随分大きな車を持ってきたね。というか変わった車だね」
「私もこんな車初めて見た」
「引越というから、このくらいは必要かなと思って」
 
冬子が預かった鍵で中に入り、まずは荷物の量を確認する。
 
「この部屋酷い」
と千里が言っているが、それは怪談的な意味ではなく散らかりようである!
 
「他人に見られたくないものがあるって、要するにこの惨状を見られたくなかったのでは?」
「織絵の部屋はジャングルだと美来は言っていたけど、想像を超えていた」
 
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「これだと玲羅のアパートの現状が目に浮かぶようだ」
「ああ。半月経てば、かなりの状態になってそうだね」
 
「でもこの荷物、とても千里の2トン車に入らないよね?」
「少し待ってて。私、4トン車持ってくる」
と和実が言っている。
 
「4トン車持って来ても、どうやってこの荷物運び出す?」
「男性の友人を呼び出す」
と言って千里がどこかに電話を掛けていた。
 
「私も男の友人を呼ぼうか?」
と冬子が言うが
「ああ。大丈夫だよ。こちら力持ちばかりだから」
と千里は言った。
 

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「でもこのマンション、やはりおかしい?」
 
と冬子が尋ねると、千里は和実に尋ねた。
 
「和実ならこのマンション買う?」
「まさか。こんな怪しい所近づきたくもない。千里がガードしてくれているから、私はここにいられる。この界隈の地域、そしてこのマンション全体がやばいけど、この部屋は特に酷い」
 
と和実は言っている。それで冬子も千里が和実と自分を霊的に守ってくれていることを認識した。
 
「まあ、そういうことだよ」
と千里。
 
「これが織絵がお化けを見たという窓か」
と言って、冬子が厚いカーテンを釘で打ち付けて開けられないようにし、織絵の字で《開けるな》と書かれている窓に触ろうとしたら千里が止めた。
 
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「冬もトラブル抱えたくなかったら、その窓には触らない方がいい」
「やばい?」
「その窓を開けるなんて、病院の床を舐めるようなもの」
 
「そんなに危険なの!?」
 

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和実が戻ってくるまでの間、千里と冬子で、楽器類やCD/DVDなど、それに貴重品っぽいものや(瓶が割れやすい)お酒類などを冬子のフィールダーに乗せた。
 
「冬、先に行っててよ。こちらは残りの荷物を何とかしてから行くから」
「分かった。でも、考えたんだけど、あの荷物、国立のマンションには入りきれない気がする。あちらは20平米くらいのワンルームなんだよ」
「それは入らないね。だったら、新しいマンション見つかるまで、取り敢えずトランクルームにでも入れておく?」
「それがいいかも。だったら私が借りるよ」
 
それで冬子は都内のトランクルームに電話して申し込んだ。以前イベント関係の大道具などを預けたことがあるらしい。しかし荷物の量を聞いたトランクルームでは
 
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「4トントラックいっぱい程度のお荷物でしたら、普通のトランクルームでは無理です。レンタルボックスを2つ借りることをお勧めします」
と言ったので、それで頼むことにした。
 
「じゃ私と和実で持ち込むよ」
「頼む」
と言って、冬子は2ヶ月分の概算料金として8万円を千里に渡した。それで冬子はフィールダーを運転して国立市に向かった。
 

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冬子が去った後で、千里は《とうちゃん》に行った。
 
「冷蔵庫、洗濯機、テレビ、衣裳ケースとか、国立市に持って行った方が良さそうなものをトレーラーに積んでくれない?」
 
「よし。みんなで掛かるぞ」
 
それで《とうちゃん》《こうちゃん》《りくちゃん》《げんちゃん》の4人でそういう大型の家具・家電を全部トレーラーに積み込んだ。
 
だいたいそれが積み終えたかな、というタイミングで和実が4トンのエルフを持って戻ってきた。
 
「凄い。重たそうなものは全部片付いている」
「生活に必要そうなものはだいたい載った。後は混沌としたものなんだけど、冬と話して、それはトランクルームというか、大型のレンタルボックスという奴なんだけど、そこに預けようかと。要するにイナバの物置みたいなのが沢山並んでいるんだよ」
 
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「ああ。それがいいかもね」
 
「それでさ、和実、牽引免許持ってる?」
「持ってるよ。トレーラーを運転することもあるから」
「じゃ、私と鍵を交換しない?それで先にこのトレーラーを国立市に持っていっておいてくれない?私は残った荷物を和実のエルフに乗せてレンタルボックスに持ち込む」
「ああ。そうしようか」
「向こうに着いたら、そのままにしておいてよ。こちらが終わってから、男手を連れてそちらに向かうから」
「分かった」
 
それで千里の軽トラトレーラーを和実が運転して国立市に向かった。
 

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千里は《とうちゃん》に
 
「じゃ残りの荷物をエルフに積んでくれる?」
と言った。
「これ荷物とゴミの区別がつかないんだけど」
「どうせ本人も分かってないから、そのまままとめて詰め込めばいいよ」
「トランクルームに預けなくても、ゴミ処分場に持って行っていい気がする」
「分別してからでないと叱られるよ」
「次マンション借りる時に、巨大なゴミ箱付きのマンションを借りた方がいいな」
 
それで4人の男性眷属たちは30分ほどで、荷物(?)を全部エルフに積み込んだが、エルフが天井まで埋まってしまった。それで千里がエルフを運転して予約したトランクルームまで行く。トランクルームの人は4トントラックにぎゅうぎゅうで入っている荷物を見て絶句し、結局レンタルボックスを3つ借りることにした!
 
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「荷物の運び入れはお手伝いしましょうか?」
「大丈夫です。男性の友人が4人、今こちらに来ますから」
「分かりました」
 
それでお店の人が事務室の方に戻った隙に千里は《とうちゃん》に
 
「よろしく」
と言った。そこで男性眷属たちの力で30分ほどでエルフに入っている荷物を全部そこに放り込んだ。
 
「これは分別なんて永久にされない気がするな」
「まあ整理出来るものなら、今までにもしてたろうね」
 
事務所に行くと「もう片付いたんですか!」と驚いていた。カードキーを3つ受け取り、空っぽになったエルフを運転して千里は国立市まで行った。
 

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国立市のマンションに着くと、ちょうどフィールダーに積んでいた楽器類・CD, 大量のウィスキー、高級っぽい食器などは既に運び込まれ、トレーラーに積んでいたものの内、衣裳ケースなども運び込まれていた。千里はエルフの鍵を和実に返し、レンタルボックスの鍵3個を冬子に渡した。
 
「3個?」
「2個では入らなかった」
「なんか凄いね」
 
「こちらは大型の家具とかは私たちでは無理だった」
「お疲れ様。後は任せて。和実と冬はサイゼリアにでも行っててくれない?」
「いいの?」
と冬子は言ったが、“事情”を察した風の和実は
「じゃ頼もうかな」
と言った。
 
それで2人がフィールダーとエルフを運転して近くのサイゼリヤに行ったので、千里は《とうちゃん》に頼んで4人で軽トラトレーナーに残っている大型の荷物をマンションに運び上げ、配線などもしてもらった。30分ほどで片付いたので千里も軽トラトレーラーを運転してサイゼリヤに行き、引越の打ち上げをした。余分に掛かったレンタルボックスの料金、今日のガソリン代と手間賃を冬子が千里と和実に払ってくれた。
 
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「千里を手伝ってくれた男性のお友だちは?」
「彼らにはお酒でもあげておけばいいかな」
「じゃうちのマンションから持って行ってくれない?最近織絵と美来が取りにこないんであふれてた」
「じゃもらって行こうかな」
 
その後で各々の車を運転して帰った。千里は冬子のマンションに寄ってお酒をたくさんもらって帰った。
 

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ところで11月上旬の段階で、アクアのプロジェクトはいったい誰が主導しているのか曖昧だった。
 
紅川社長は上島雷太が主導してくれるものと考えていた。上島雷太は★★レコードの加藤課長が暫定的に主導すると考えていた。★★レコードの町添取締役(制作部長)と加藤課長はなぜかローズ+リリーのケイがプロデュースしていると思っていた。ケイはそんな話は全く聞いていなかった。
 
それで11月13日(木)の深夜、上島・紅川・町添の3人が上島宅に集まり、話し合った結果、秋風コスモスをこのプロジェクトのリーダーにすることを決めた。言われたコスモスは
 
「え〜〜〜!?」
と言って驚いていた。それで§§プロのデスクである田所と2人でアクアのスケジュールを管理し、アクアに関して何か話を進める場合はそのどちらかに必ず連絡することと、田所とコスモスは専用の作業用wikiを作って情報を共有することにした。
 
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町添部長は
 
「てっきりアクアちゃんって女の子と思い込んでいた。御免御免」
と謝っていた。
 
「声変わりしてないのは、女性ホルモンとか飲んでるんだっけ?」
「飲んでません!」
「じゃ去勢してるの?」
「してませんし、する予定もありません」
「でも将来女の子になりたいんだよね?」
「なりたくないです。ボクは普通の男の子です」
 

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2014年11月14日。日本バスケットボール協会は、先月末にF会長が辞任して空席になっている会長を選出するための会議を開いたものの、議論は紛糾して結局新しい会長を選出することはできなかった。
 

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