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■女子中学生・ひと夏の体験(1)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-07-23
 
司は夜中に何かの気配を感じて目を覚ました。
 
耳を澄ませると、居間(*1)のほうで、母のうめき声が聞こえる。まさか強盗か何か?この日、兄で高3生の隼(はやと)は修学旅行で不在であった。父はどうしたのだろう?司は自分が対応しなければという決意をした。
 
それで野球のバットを持ち、部屋を出て居間に行く。すると、父が母の上に覆い被さるようにして、身体を動かしていた。そして母がうめき声をあげている。どうも強盗とかではなさそうだ。
 
「何してるの?」
と司は声を掛けてしまった。
 
びっくりしたように身体を起こした父はまっ裸である。そしてペニスが物凄く大きくなっていて、驚いたようにしてこちらを見ている。母は裸で布団に寝ていた。母の大きな乳房も見えた。
 
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司は、まずい所に来てしまったというのをようやく認識する。
 
それでバットを持ったまま、無言で自分の部屋に帰って襖を閉めた。
 
ドキドキしている。
 
もしかして・・・お父ちゃんとお母ちゃん、“セックス”してた!?
 
それで保健の時間のスライドだけではいまいちよく分からなかった“セックス”というものの、やりかたというのが理解できた。
 

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(*1)司の兄弟は下記である。
 
1982 航わたる 大4(札幌)
1984 拓ひらく 大2(旭川)
1986 隼はやと 高3
1990 司つかさ 中2
 
福川家は2LDKSであるが、上の2人が既に独立しているので、現在は2つの洋室を三男の隼(はやと)と四男の司(つかさ)が1つずつ使用していて、両親は居間に寝ている。それでこのようなことが起きたのである。
 
年齢を見て想像が付くように、実は隼と司の間にもうひとり妊娠していた。女の子ですよと言われて、両親は初めての女の子なので大喜びで、生まれる前から“司(つかさ)”という名前を付けていた。しかし流産してしまったのである。週数が進んでからの流産だったので、お葬式もしている。
 
そして2年後生まれた四男(男の子だと言われてがっかりした。医師に「ちんちん切って女の子にしてもらえません?」と言って「だめです」と言われた)に、長女に付けるはずだった“司”の名前を流用してしまった!!
 
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それで上の3人が男らしい名前であるのに対して、司だけ中性的な名前なのである。
 
両親は小さい頃、司に女の子の服を着せていたらしいが(写真は残っている)、小さい頃のことなので、司自身は全く記憶が無い。
 

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7月1-2日(木金).
 
S中2年生は近隣の、青年自然の家に1泊2日で夏季教室に行く。
 
木曜の朝、学校に集合し、クラス単位3台のバスで現地に向かった。
 
付き添いの先生は、1組担任の吉永先生(♂)、2組担任の緒方先生(♀)、3組担任の友永先生(♂)、体育の広沢先生(♀)・香田先生(♂)、学年主任の山原先生(♂)の6名である。
 
こういう行事には、しばしば保健室の清原先生が付き添うのだが、清原先生と山口教頭は、来週の3年生修学旅行に付き添う予定なので、2年生の夏季教室には広沢先生と山原先生の付き添いになった。さすがに2週連続では体力がもたない。
 

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到着した日の午前中は、まだ山の上にある自然の家には行かず、麓にあるレジャープール UHO (ユーホー。遊泳池→UH, O=Ooho-nay:近くを流れる大鳳川の古名。アイヌ語で“深い川”という意味で“深川市”の語源ではという説もある:深川市の語源には定説が無い)に行った。
 
ここで午前中はプール遊びをする。プールは25m×6レーン(深さ1.2m)と、長円形の遊泳プール(深さ0.6m)があり、自由に遊んでということだった。実はまだ夏休み前だし平日なので空(す)いているのである。遊泳プールに隣接して高さ8mのミニスライダーもあるので、ひたすらそれを滑っている子もいた。
 
千里や沙苗は今更だが、セナや雅海もここ1ヶ月ほどの水泳授業で女子水着にかなり慣れたので、恥ずかしがらずに水着姿で遊んでいた。あまり泳げないセナや雅海は、遊泳プールの方で、水浴びでもするかのような感じで遊んでいた。千里も遊泳プールのほうで恵香や美那たちとおしゃべりしていたのだが、玖美子・沙苗が「千里、泳ぐぞ」と言って。25mプールに連行。ひたすら泳ぐハメになった。
 
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「千里、授業の時より速い」
と沙苗や工藤君に指摘される。
「千里は授業の時は不真面目だから」
と玖美子が暴露する。
「なんでそういう所で手抜きするのか理解できん」
と工藤君は言っていた。
 

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「でも“きみよ”ちゃんは女子水着を着けなくてよかったの?胸曝すの恥ずかしくない?」
 
「ぼくは胸無いから大丈夫」
と工藤君は言っていた。
 
3組の男子に1名、ブラ跡があることを指摘されて恥ずかしがっている子がいた。
 
「なんか男の娘予備軍が多いなあ」
と工藤君。
 
「13歳って、男か女のどちらかに進化しなければならない年齢かなあと思うのよね。でもまだ塀(へい)の上を歩いている子たちがいる」
と千里は言う。
 
「祐川はとうとう落ちちゃった」
と工藤君は溜息をつきながら言う。
 
「男子の2割くらいは女子化願望があるのかもね」
と玖美子。
 
「その数字はわりと当たっている気がする」
と工藤君は言っていた。
 
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「そしてきっと女子の半数には男子化願望がある」
と沙苗が言うと
「だから女の子が『男の子になりたい』と発言しても誰も奇異に思わない」
と玖美子は言う。
「男の子も普通に『女の子になりたい』と言っていい時代が来るといいね」
と千里。
 
「女子が男装してても誰も単なるコスプレの類いだと思うのに、男子が女装してると、変態だと思われる」
と沙苗は嘆く。
 
「それも別に普通のことだとみんなが思う時代が来るといいね」
と玖美子は言った。
 
「それエマ・ユング(1882-1955)が『内なる異性』の中で似たようなこと書いてるから、きっと昔からそういう感覚があったのだと思う」
 
「でも“きみよ”ちゃんも恥ずかしがらずにセーラー服で学校に出てくればいいのに。一度セーラー服でジャスコに居るの見たことあるし。セーラー服自体は持ってるんでしょ?」
と玖美子が“かまをかける”。
 
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「誰か似た女の子の見間違いじゃない?」
と工藤君は冷静にスルーした。
 

プール遊びが終わった後は、そこのレストランで、プールで冷えた身体を暖めるのも兼ねて、ラーメンを食べる(自主的におかわりしてる子や、チャーハンとかカレーとか追加している子も居た)。
 
そして再度バスに乗って山を登り、青年自然の家に入った。
 

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さて、到着してすぐ、小さな事件が起きた。
 
工藤君が男子トイレに入ろうとしたら
「君、女の子が男子トイレを使ってはいけない」
 
と施設の人に注意されたのである。
 
工藤君は「ぼく男です」と反論しようとしたが、近くに居た優美絵が
 
「きみよちゃん何やってんのよ?すみませーん。この子近眼で」
と言って女子トイレに強制連行してしまった!
 
「まずいよぉ」
と言いながら、工藤君は女子トイレ名物の待ち行列に並ぶ。しかし並んでいる他の女子たちが彼を見ても何も言わない。
 
それで順番が回ってきた所で個室に入って用を達した。
 
「やはり、きみよちゃん、いつも女子トイレ使ってるのね」
と恵香。
「女子トイレなんて使ったの初めてだよぉ」
と本人は言うが
「だって、待ち行列に慣れてる感じだったしね」
と優美絵は言った。
 
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そういう訳で、彼はこの夏季教室中、ずっと女子トイレを使わなければならない!?
 
(さすがに1人では入れないので、恵香や優美絵が一緒に行ってあげた)
 

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午後からはまず野鳥を映像と鳴き声で紹介する映画を上映したが、かなりの生徒が眠ってしまっていた(午前中2時間ほど泳いでるから仕方ない)。
 
ティータイムの後、陶芸教室をした。茶碗やマグカップなどを制作する。これは後日窯(かま)で焼いて、“割れなかったものを”渡してくれる(PTAの人が車で取りに行く)。
 
夕食に石狩鍋を食べた後はお風呂タイムとなる。
 

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この夏季教室に参加している千里は完全女性体の千里Rである。
 
千里Rは自分は女であるという自覚があるので、何も考えずに普通に女湯に行く。沙苗は葛藤はあるものの、自分は本当の女の子になるんだからという気持ちなので、気合を入れて女湯に行く。
 
セナはおどおどしていたが、恵香に
「セナちゃーん。一緒にお風呂行こうね」
と言われて、女湯に連行された。
 
雅海は「ぼくどっちに行けばいいのかなあ」と悩んでいた。
 
男湯に入るのは無理な気がする(“現在”ちんちん無いし)。でも女湯に行っていいのかなあ。プールの女子更衣室まではいいとして、とても女湯に入る自信は無いよう。ぼくおっぱいないし・・・・などと迷っていたら、体育の広沢先生(女性)が声を掛けてくれた。
 
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「祐川さん、女性用の個室シャワールームに来ない?」
「行きます」
 
それで雅海は、広沢先生のおかげで女性専用の個室シャワールームに行った。そして1人だけで汗を流すことができたのでホッとした。実はここは生理にぶつかってしまった女性用で、雅海以外にも数人の女子生徒が使用した。
 
でも次の順番待ちをしていた女子生徒から
「ああ、まさみちゃんも生理だったんだ?」
などと声を掛けられた!
 
雅海は絶対噂を広められるぞと思った(正解!)
 

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なお、司は普通に?男湯に行ったが、脱衣場でブラ跡があることを指摘されなかったので、よかったぁと思った(プールで散々指摘されたので今更である)。
 
3日前からブラジャー着けないようにしてたから、消えたと思ったのになあ。
 
それで浴場に入った。集団浴場に入ったのは、過去に4度しかない(現代の子供たちは集団浴場の経験が少ない)。小学校の時のキャンプ体験・宿泊体験・修学旅行で1度ずつ男湯に入ったのと、先日貴子さんに連れられて女湯に入ったのとである。
 
先日の女湯の体験が強烈だったので、ちんちんのある人たちに囲まれて入浴するのが変な気分だった。もっとも今は自分にもちんちんがあるんだけど。
 
洗い場で身体を洗い、その時、お股も洗うけど、ここが女の形だった時に洗った時のことを思い出す。あれせめてあと24時間女の子体験を続ければよかったかなという気もした。ここが割れ目ちゃんになっていた時に洗ったの、気持ち良かったぁなどと思う。あの後は毎日自宅のお風呂でちんちん洗ってるけど、もう一度あの感覚を味わいたい気分だ。でも次に女の子にしてもらったら、もう男には戻してもらえない気がするし(正解!)。
 
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セーラー服で通学する自分とか想像するけど、やはり自分にはとてもできない気がする。
 
性別を変えるのって、たぶん物凄く強い意志が必要だという気がする。
 
だけど、小学校の時には何も意識してなかったけど、ちんちんの無い人たちとの入浴を経験した後で、あらためてまたちんちんのある人たちと入ると、入浴者たちのちんちんが、みんな大きいなあというのを感じた。司のちんちんはかなり小さい部類に入る。皮がかぶっている子とかぶってない子がいる。自分のがいつもかぶっているので、ちんちんが発達すると、かぶらなくなるのだろうかとも思ったが、よくは分からない。人に訊くようなことでもないし!
 
同じ野球部の前川君のちんちんが凄く大きくて、皮もかぶっておらず先端が露出しているので、なんかすごーいと思った。ぼくのちんちんも、その内あんなに大きくなるのかなあ。それとも僕のはずっと小さいままかな。個人的には小さいほうがいい気がするけど。小さいほうが女の子の服を着る時に隠しやすいし。
 
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貴子さんから、ショーツの中に後ろ向きに収納する技を教えてもらったけど、前川君のみたいに大きいと、後ろ向きでも、とてもショーツには収まらない気がする。
 

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