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男子の個人戦では、竹田君と工藤君が春に続いてBEST8に進出する健闘を見せた。(吉原君もBEST16)。準々決勝で竹田君の相手は春に優勝しているR中の来宮さんで、あっさり2本取られて負けた。工藤君の相手はK中の吉永さんだった。激しい攻防で1本ずつ取り合い、終了間際に工藤君が巧みに小手を取って2本勝ちした。工藤君はBEST4になるとともに、北海道大会への進出を決めた。
工藤君は準決勝ではK中の門田さんに敗れ、3位決定戦でM中の緑川さんに敗れ4位ではあったものの、ともかくもBEST4は昨年春の沙苗(3位)以来である。
1.来宮(R) 2.門田(K) 3.緑川(M) 4.工藤(S)
今大会、R中は男女の団体戦・個人戦の完全制覇である。
しかし工藤君は春はBEST8だったが、春に続き白い道着で今回はBEST4.
“白き稲妻”健在!!であった。
「でも工藤君凄かったじゃん」
「3位決定戦にも負けちゃったけどね」
「やはり白い道着が効くんだよ。今後はずっと白い道着にしなよ」
「それは叱られるよぉ」
「ぼく女の子になりたいから白い道着を着けてるんですと言えばいいんだよ」
「別に女にはなりたくない!」
今回も運営の人から尋ねられたものの、道着を汚してしまい、替えを持っていなかったので、女子のチームメイトから借りたと岩永先生が説明したら納得してくれていた。
剣道大会の翌日7月11日(日)には、剣道の級位・段位検定が行われた。
玖美子、R中の前田さん、M中の吉田さん・麻宮さん、F中の桜井さんなどが初段に認定された。これで留萌地区の女子中学生の初段もかなり増えた。武智部長はやっと1級に合格した。清乃も1級を取った。
男子では、竹田君が初段獲得、工藤君と1年生の吉原君が1級を獲得した。でも古河部長はまた1級に落ちた。
千里や沙苗、木里さんは来年1月の審査で二段を目指すことになる。
7月11日(日).
細川保志絵は困ったような顔をして、神社内の倉庫部屋で漫画を読んでいた貴司に声を掛けた。
「あんたさ、最近千里ちゃんとはどうなってんだっけ?」
「どうって特に変わってないけど」
「別れたの?」
「お互い忙しいからあまりデートできてないけど、こないだの誕生日にはクッキーくれたよ」
「じゃ続いてんだ?」
「そのつもりだけど」
「千里ちゃん、ゴールデンウィークの後、全然神社に来てくれなくてさ」
「あ、そういえばここでは顔見てないかな」
「来週のお祭りに出てくれるかどうか聞いてみてくれない?千里ちゃんが出てくれるのと出てくれないのとでは、体制がかなり変わるから」
「分かった。どうせ毎日顔は合わせるから明日聞いてみるよ」
「顔は合わせてるんだ!?」
「同じ体育館で練習してるし」
「へー!」
ここで保志絵は“同じバスケット部だから”同じ体育館で練習していると思っているが、貴司としては自分はバスケ部、千里は剣道部で同じ体育館で練習しているという認識である!
翌日、7月12日(月).
その日貴司は放課後体育館で千里に意向を尋ねるつもりだったのだが、昼休みに体育館に向かう廊下でバッタリと千里と遭遇した。それで貴司は千里に訊いた。
「ねぇ、千里、母ちゃんから頼まれたんだけど、来週のQ神社のお祭りに出てくれるかどうか、訊いてくれないかと言われて」
「ああ、ごめんねー。最近何かと忙しくてなかなか行けなくて。でもお祭りには出るよ。今日の放課後にも、Q神社に行って、お母さんや巫女長さんと少し話してくるよ」
「すまん。じゃ頼んだ」
「OKOK」
それで“千里”は、その日の放課後、授業が終わってすぐの時間にQ神社を訪れた。
「あら、千里ちゃん」
「細川さん、長く休んでて済みませんでした。来週のお祭りには出ますし、その後、夏休みには他の日程とどうしても都合がつかない場合以外は、こちらに出させて頂きたいと思っているのですが」
「歓迎歓迎」
「一応、お祭りの次第を確認させてもらっていいですか」
「うん」
それで香取巫女長、一応メインの笛担当の京子(映子の姉)と一緒にお祭りの次第を確認する。
「ここで吹く曲覚えてる?」
と巫女長が訊くので、千里は“織姫”を取り出し、吹いてみせる。
「美事だね」
と近くに居た平井宮司も言った。
ここで、貴司と“遭遇”して神社に行くと約束し、夕方実際にQ神社に行って織姫を吹いてみせたのは、実は千里Bを装った千里Vである。
「私が代役するの〜?」
とVが言うと、Gは
「だってBとVは音が似てるし」
などと言っている。
「それにYちゃんがたくさんP神社で神楽の笛を吹いてるから、神社の祭礼の笛については、私よりVちゃんの方がうまく吹けるはず」
とGは言った。
「うーん。それはあるかもしれないなあ」
とVも認めたので、Bの振りをして代役することにした。A大神は、Bが持っていた龍笛、Tes.No 224, 200の2本を(冬眠場所から?)回収し、Vに渡してくれた。
ただここでVはY同様に胸が小さい!という問題がある。
そこでブレストフォームを貼り付けられてしまった。
それでW/Bから取り外したおっぱいはVに付けられてしまったのである。
「これ重ーい」
「腕立て伏せがんばろう」
「筋力より皮膚の問題という気がする」
「ちんちんがあるのバレないようにね」
「それはわざわざあそこを見たりしない限りはバレないと思うけどなあ」
「中学生では普通そこまでしない」
「・・・貴司君とセックスしたりすることにはならないよね?神社にいる時に押し倒されたりして。私まだセックスするの恐い」
「大丈夫だと思うよ。貴司君って根性無しだから」
「確かに」
Vの小さなヴァギナには貴司君のちんちんは入らないだろうなとGは思った。
「万一の時はRをそこに転送するよ。Rなら喜んで貴司君とセックスすると思う」
「あの子、そういう面には結構大胆だもんね」
一方“千里B”がQ神社に現れたことに、小春とカノ子はびっくりした。(学校で貴司に会ったのには気付かなかった)
「こないだ札幌行きでも姿を現したし、Bが復活するのかなあ」
「完全復活すると、Rと三角関係に」
「そこは何とか調整していくしかないね」
ただ“千里B”は学校には全く姿を見せなかった。それで数学の授業は継続してYが受けている。
「神社にだけ行くつもりなのかな」
「ありえるかもね」
7月11日(日・仏滅・なる・一粒万倍日).
灰麗はついに霊山寺(りょうぜんじ)に到達して四国一周を達成した。
9日に88番札所の大窪寺(おおくぼじ)に到達して「結願(けちがん)の証」を頂いたのだが、そこから2日掛けて1番札所まで歩いて四国一周となった。これでお遍路は終了し、灰麗はバスと電車で徳島に移動。徳島市内の旅館で2ヶ月半にわたった四国一周を振り返った。
「私が生きてここまで来たというのは、まだ死ぬなという仏様の思し召しなんだろうな」
と灰麗は思った。灰麗は四国に入った時は、お遍路の途中どこかで行き倒れするかもと思っていた。またもし一周できても、その後、どこかあまり人の迷惑にならない所で静かに死のうとも思っていた。でも71日もの間“死の向こうの地”を旅して、新たな光が見えるのを感じた。
徳島市の旅館ではお風呂に入ったが、むろん女湯に入る。もう女湯に入るのが普通になってしまったので、心理的な抵抗などは全く無い。むしろ男湯には入れてもらえない身体だけどね!
翌日7月12日には、様々な交通機関を乗り継いで高野山・奥の院まで行き、そこで最後の御朱印を頂いた。これで御朱印の掛軸は完成である。
徳島港(沖洲)6:15(フェリー)8:10和歌山港/和歌山港駅8:30(南海電車)9:35天下茶屋9:55(南海電車)11:09極楽橋11:20(ケーブルカー)11:25高野山/高野山駅前11:41(バス)11:57奥の院前
お参りした後、旅窓(旅の窓口)(*4) で大阪市内のホテルを予約し、電車等で大阪まで戻って1泊する。
奥の院前14:43(バス)14:59高野山駅前/高野山15:08-15:13極楽橋15:21-16:58南海難波
(*4) 「旅の窓口」はこの直後、2004年8月1日に「楽天トラベル」に統合された。
ホテルにチェックインしてから、大阪市内で“普通の服”を買い求め、ホテルの部屋で着替えたが、Tシャツにスカートなんて格好をするのが久しぶりなので自分で違和感があった。「人間に戻った」という感じである。
この日はぐっすり寝て、14日は新幹線を使って東京に行く。
新大阪6:00-8:22品川
契約していた私書箱サービで郵便物をチェックした。特に郵便物は来ていなかった。町田市内の駐車場に移動する。車にエンジンを掛けてみようとしたが、予想通りバッテリーがあがっている。JRSを呼んでエンジンの起動をしてもらった。それで30分くらいアイドリングしてバッテリーの充電量を上げてからイオンに行き、食料を買って車内で食べ、お昼御飯とした。
「そうだ。貴子さんから、生きて戻って来たらメール頂戴ってメール来てたな」
と思い出すと、灰麗は貴子の携帯にメールを送った。すると速攻で返信がある。
「旭川まで来れる?」
「行きます」
と返事した。
今は“住所”さえ無いし、実はアパートを借りるのに貴子さんに保証人になってもらえないかとも思っていた。灰麗には今他に頼れる人が居ない。小樽にはもう親も無い。姉が(多分)札幌に住んでいるが、結婚して夫も子供も居る身だし、そもそも10年以上やりとりがないので頼ることはできない。本当に今も札幌にいるのか、生きているのかも知るすべがない。
それで結局車は契約駐車場に戻す。またバッテリーあがったりして、とは思いつつ、羽田に行き、旭川に移動することにした。
羽田15:50(JAL1109)17:25旭川
チケットを買い、預ける荷物も無いので、セキュリティを通り、出発ロビーで待つ。灰麗は飛行機の中のトイレが苦手なので、乗る前に行ってこようと思い、トイレに行った。灰麗はもちろん女子トイレに入る。列に並んで個室に入り、用を達して出て来た時、
「あんた男じゃないの?」
という声がしてギクッ!とする。
そのまま逃げ出したい気分だったのだが、声のした方をチラッと見ると、50歳くらいのおばちゃんに、30前後のあまりにも怪しすぎる人物が捕まっている。
赤いドレス、金髪のセミロングの髪に勘違いしたかのように、10代の女の子が着けるようなカチューシャ、センスの悪いイヤリング、真っ赤なマニキュア。喉には幅の広いチョーカーを巻いている。そして化粧が酷い!女を捨てたおばちゃんたちでもこんな酷いお化粧はしないと思う。
「女ですー」
と言っている声が明確な男声である。
「声が男じゃん。やっぱあんた痴漢だね。おいで。警備員に突き出すから」
と言って、おばちゃんはその怪しい人物を連行しようという体制である。
しかし灰麗はその声に聞き覚えがあった。そしてその人物の顔を見ると、どうも見覚えのある顔である。
順番が来たので手を洗い、ハンカチで拭いてから、灰麗はその人物のところに歩み寄る。
「ひろちゃん、何やってんのよ?」
と声を掛けると、彼?を捕まえていたおばちゃんが訊く。
「あんたこの男の知り合い?」
ああ。完全に男扱いされてる。実際男にしか見えんし。
「この子、声が低いし、身体付きも男っぽいから、よく男に間違われるんですよ。温泉でも捕まって警察に突き出されそうになったことあるんですよ」
「じゃ女なの?」
「もうあんたいっそ性転換して男になったら?とよく言ってるんですけどね」
「女だったんだ?ごめんね。疑って」
と言って、おばちゃんは出て行った。
「ひろちゃん、取り敢えずトイレしてきなよ」
「うん」
と言って、彼(でいいだろう)は空いている個室に飛び込み、やがて出て来て手を洗う。
「取り敢えず出よう」
と言って、一緒にトイレを出る。
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女子中学生・ひと夏の体験(8)