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■女子中学生・ひと夏の体験(2)

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お風呂からあがった後は、任意参加で、星空教室が行われた。
 
この日の日没は19:12, 日暮は19:57、天文薄明終了は21:33、また月出は18:06(20時の月齢13.6)である。星空教室は20時からで、室内だが天井や壁がガラス張りのソラシドーム(空視dome)を使用する。
 
日暮れにはなっていて地上は暗いものの、まだ天文薄明しているので、空は明るく、暗い星は識別できない。しかし明るい星はかなり見える。灯りを落としたドーム内で、施設の指導員さんが、実際の星空の、明るい星や星座などを解説してくれた。
 
(室内なので蚊の心配が要らないのが良い所)
 
まずは目立つ北斗七星、そして夏の大三角形(デネブ・アルタイル・ヴェガ)と説明されると、みんなそのくらいまでは識別できるので、興味深そうに解説を聞いていた。天の川を挟んだ彦星(アルタイル)と織姫星(ヴェガ)も解説する。
 
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またこの日は西の空に物凄く明るい星があり
「あの星が木星です」
と説明されると
 
「すごーい。あんなに明るい星があるなんて」
とみんな感心していた。
 
「まあ金星の次に明るい星だね」
「金星は見えないんですか」
「今の時期は“明けの明星(あけのみょうじょう)”になるから、朝3時なら東の空に見えるよ」
と言われる。
 
でも誰もその時刻に起きる自信のある子は居なかったようである。
 
(明日2004.7.2の日出は4:00 夜明3:14 しかしここは東の空が山で隠れるので、明けの明星を観測するには不利な地形である。金星が地平線に出てくるのは
 
1:54だが、ある程度の高度になるまでは、ここからは見えない)
 

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星座教室は21時で終了し、各自部屋に帰った。
 
実はこの部屋割を決める際に少し揉めた。
 
ここの宿泊室は4人部屋が25室ある。各クラスは男子15人・女子12人なので、男子に4室・女子に3室ずつ割り当てられていた。つまり3クラスで21室使用する。その他に引率の先生が男女なので1室ずつ割り当てられている。
 
男:吉永・友永・香田・山原
女:緒方・広沢
 
さて。
 
2年1組は4月の段階での在籍数は確かに男15女12だったはずなのだが。
 
「何か人数おかしくない?」
と上原君は言った。
 
部屋割はクラス委員の恵香と上原君に任されている。
 
「雅海を女子でカウントすると男14女14になってしまう」
「各々4部屋必要じゃん。7室しか割り当てられてないのに」
「男女2人ずつの部屋を作る?」
「それは保護者から抗議される」
「それ以前にお互い安眠できないよね」
「他のクラスに頼んで男子2人を1人ずつ引き受けてもらうしかないのでは?」
「千里を呼ぼう」
 
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それで話し合いの席に千里が呼ばれる。
 
「小春の分はどうにでもするから、雅海ちゃんだけ考えればいいよ」
「そう?」
 
「雅海はまだ半分は男の子だからさ」
「そうなの?でもちんちんは無いよね?」
 
「まだ女の子の器官は無いはず。だから今は男の子とも女の子とも同室になれる微妙なポジションなんだよ」
「ああ。男性器は除去したけど、女性器の形成まではしてないのか」
「そのあたりは個人情報だから私も話せないけど、彼女は今ほぼ中性状態」
 
「だけど、祐川さんと同室では男子たちが安眠できないよ」
と上原君。
「女子は歓迎すると思うけど、女子の部屋には余裕が無いのよねー」
と恵香。
 
そうだね。“手厚く歓迎”されそうだ。まずは解剖して!!
 
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「だからさ、彼女と上原君と工藤君と3人の部屋ということにしたらダメ?」
と千里は訊いた。
 
「あぁ・・・」
 
「僕は祐川さんと一緒でも平気。工藤君もたぶん平気」
「でしょ?」
 
「上原君も工藤君も男の娘予備軍だもんね」
と恵香が言うと
 
「僕は女の子の服とか着ないよ!」
と上原君は焦ったように言った。
 

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でもこの件を工藤君に話すと
 
「ぼくは祐川さんがよければ平気だよ」
と言う。雅海本人も
 
「上原君・工藤君なら、ぼくも安眠できると思う」
と言うので、その3人で部屋を構成することにした。
 
ベッドは窓際に2つ、入口側に2つ置かれているが、窓際のベッドのひとつに雅海を寝せ、入口側のベッドに上原君と工藤君が寝る。更に上原君はホワイトボードを借りてきて部屋の真ん中に置こうと言った。
 
「僕らは決して窓側を見ないけど、そういうのがあると、少しは安心でしょ?」
「ありがとう。ごめんね。手間掛けて」
さ雅海は感謝していた。
 

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が!
 
更に変動があったのでる。
 
上原君は3組クラス委員・瀬戸君から相談を受け、上原君と3組の福川君をトレードすることにしたのである。福川君本人は
 
「ぼくは男の子だから普通に男子部屋でいい」
と言ったのだが
 
「いや、福川は男の娘疑惑がある」
と言われ、雅海と並んだベッドに寝せることにした。
 
「ぼく別に女装とかもしないのに」
と福川君は言っていたが
「ブラ跡があるのが女装している何よりの証拠」
と言われる。
 
一応、福川君も雅海も同室は構わないと言った。
 
「福川、祐川、工藤、と男の娘3人で問題無い部屋構成になったな」
と上原君と瀬戸君は言っていた。
 

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が!!
 
「ちょっと待て。ぼくは男の娘じゃない」
と工藤君が抗議した。
 
「でも男の娘と同室でもいいでしょ?」
「このままだとぼくまで男の娘だと思われる」
「いや既に工藤は男の娘だと思っている奴は多い」
「だって剣道の大会には女子として出たんでしょ?」
「ちゃんと男子に出たよぉ。なぜそういう話になってる!?」
 
上原君や瀬戸君は、工藤君がこの夏季教室中、女子トイレを使用しているのは知らない。恵香は工藤君を女子トイレに連れ込んでいる張本人のひとりだが、ここではそのことは言わない。
 
しかし
「勘弁して〜」
と工藤君が嫌がるので、
 
「俺が代わろうか?」
と、ちょうど通り掛かった2組の鞠古君が申し出た。
 
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鞠古君は男の娘ではないが、病気治療のため女性ホルモンを投与されているのでバストがあり、ブラジャーも着けている。
 
「ああ、じゃブラジャー組3人ということでいいかもね」
ということになり、結局この部屋には
 
祐川雅海、鞠古知佐、福川司、の3人が寝ることになったのである。
 
工藤君は、鞠古君が寝る予定だった2組男子の部屋に行く。
 
結局クラスを超えた移動をしている。でも工藤君は
「この部屋、男ばかりだけど大丈夫?」
と訊かれた!
 

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この雅海・司および鞠古君の3人は全員ブラジャーを着けている。
 
雅海と司は女の子ショーツ、鞠古君はトランクスである。司は最初、男の下着を着けていたのだが、鞠古君から「女物も持って来てるんでしょ?」と言われて、女の下着に替えてしまった。
 
ここで司がまだブラジャーの着け方が下手なのを、雅海と鞠古君が指導してあげていた!?
 
なお、司は男湯に入ったが、雅海と鞠古君は女子用の個室シャワー室を使わせてもらった。鞠古君は、ちんちんもあるし、おっぱいもあるので、男湯にも女湯にも入れない。姉からはちんちん全部除去して女湯に入れるようになれば?と言われるが「拒否」している。鞠古君はタックも知っているが、女の子になりたい訳ではないので、自分の男性器をタックすることはない。
 
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トイレは、雅海は女子トイレを使用し、鞠古君と司は男子トイレを使用する。今日午前中のプールで雅海は女子水着、司は男子水着、鞠古君は女子水着の上に男子水着を重ね着した。
 
「キャッチャーは女房役というけど、ほんとに誰かの女房になっちゃったりして」
「ぼく別に男の子には興味無いんだけど」
「でも多分女の子にも興味無いよね?」
「うーん・・・・・」
 
「でも司ちゃん、女子用スクール水着を着たいんじゃない?授業で着てもいいように、ぼく広沢先生に言ってあげようか?女子用水着は持ってるんでしょ?」
と雅海は言った。
 
「持ってるけど、まだ道を踏み外したくないからパス」
と司は言う(←このメンツなので気を許して持っていることは認めた)が
 
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「いや、とっくの昔に道を踏み外していると思う」
と鞠古君は言い、
 
「うん。既に後戻りできない所まで来てる気がする」
と雅海も言った。
 
鞠古君はふたりに
「まさみちゃんも、つかさちゃんも、2学期からは女子制服で登校しない?」
と言ったが、雅海は
「恥ずかしいよぉ」
と言い、司は
「そんな恥ずかしいこと出来ない」
と言った。
 
「つまり2人とも嫌ではないんだな」
と鞠古君は呆れるように言った、
 
「ちなみに2人も女子制服は持ってるんでしょ?」
と鞠古君が訊くと
 
雅海は「練ってはいるけど」、司は「えっと・・・」と言い、鞠古君は頷いていた。
 
でもこの夜3人は安眠できたようである。別に女の子になりたい気持ちは無い鞠古君も、この部屋では安心してブラジャーの装着ができるので助かっていた。
 
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(鞠古君はやむを得ずブラを着けているだけなので、寝る時は外して寝る。雅海と司は女子下着を着けていることが快感なので、着けたまま寝る)
 

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夏季教室2日目の午前中は、ウォークラリーをやった。1組は28人を5〜6人の班5つに分割した。
 
1.秋田・菊地・飛内・恵香・絵梨・小春
2.上原・工藤・中山・蓮菜・優美絵・千里
3.大越・雅海・東野・玖美子・沙苗・穂花
4.小沢・曽川・増田・世那・佐奈恵
5.加藤・高橋・三木・萌花・美都
 
要するに単純名簿順である。
 
「やはり男女比がおかしい」
「3班は男2女4だ」
「2班は全員女子だ」
「僕も女子なの?」
と中山君が焦って言うが
 
「ひろきちゃんは、振袖を着て藤娘を踊ったのが目撃されているのだが」
 
「あれは姉貴が公演日の前日に風邪引いてさぁ、他に適当な代役がいないからあんたやってと言われて振袖着て舞っただけだよ。マジ恥ずかしかった」
 
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「そうか。中山君のお母さんって日本舞踊の先生だったね」
「それで習ってるんだ?」
「習っているというか、やらされているというか」
「女舞を踊れるのね」
「男舞・女舞、どちらもやらされてる」
「振袖着てる時ってトイレどちら使うの?」
 
「男トイレ使うよぉ。ぼく男だもん」
「振袖で男子トイレに入るんだ!?」
「立ってできるの?」
「無理。個室を使う」
「だったら女子トイレでもいいじゃん」
「ぼく男なのに女子トイレとか使えない」
「振袖着てる時は女子トイレでもいいと思うけどなあ」
 

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そういう訳で、上原君と工藤君が女子としてカウントされた件はスルーされた!
 
上原君についても、昨夜の女子たちの“情報交換会”の結果、上原君の女装目撃情報が10件以上あることが確認された!
 
女子たちの間では次に「落ちる」男子は誰かというのが話題になっている。
 
「面倒臭いから、クラスの男子全員性転換しちゃおう」
「きみよちゃんは嬉し泣きしそう」
「でも飛内君は女になるのは無理な気がする」
「ああ。何人か無理っぽい子はいるね」
「飛内君はちんちん切られたらショックで泣くかもね」
「とりあえず全員ちんちん切っちゃって、どうしてもセーラー服が似合わなかった子には、ちんちん返してあげるというのでは?」
「返されてもどうやってくっつけるのよ?」
「接着剤か何かで」
 
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「セーラー服を着せてみて似合ってる子のちんちんを切ってあげるほうが実用的な気がする」
という、まっとう?な意見も出る。
 
「破壊検査と非破壊検査の違いだな」
 
「ああ、男子には全員セーラー服テスト受けさせるといいかもね」
「たぶん男子の3割は性転換コース」
「それ女子も学生服テストしようよ」
「だぶん女子の半数が性転換コース」
 

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