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(C) Eriko Kawaguchi 2022-07-29
司は夢を見ていた。
村山さんが出て来て
「司ちゃん、睾丸は取っちゃおうね」
と言って、自分のお股に手を伸ばし、タマタマを掴むと引き抜いてしまった。それで見ると、ちんちんもタマタマも無くなっている。
「嘘!?ちんちんも取っちゃったの?」
と戸惑っていると、貴子さんが出て来て
「可愛い女の子にしてあげるね」
と言う、すると、お股に割れ目ちゃんができちゃうし、おっぱいも大きくなっちゃった。
きゃー、ぼく男子制服で学校に行けないよぉと思ったら母が出て来て
「あんた女の子になったの?娘が欲しかったのよ。明日からはセーラー服で学校に行こうね」
と言われた。
それで司がセーラー服を着て学校に出て行くと、
「司ちゃん、可愛いよ」
と女子たちから言われて、ぼくこれでもいいのかなあと思った。
野球部でバッテリーを組んでいる前川君が出て来た
「福川君、可愛いね。君はぼくの女房役だけど、ぼくの本当の女房になってよ」
と言って、司の指にダイヤの指輪を着けてくれた。
え〜!?ぼくお嫁さんに行くの?
と思ったら、司はウェディングドレスを着て、タキシード姿の前川君と結婚式を挙げていた。みんなに祝福されて、ウェディングケーキに入刀して、キスして。そしてホテルのスイートルームで、前川君にお姫様抱っこされてベッドに運ばれる。
「好きだよ」
と言われて、キスされる。
そして前川君の大きなおちんちんを見る。
きゃーっと思ってたら、それを“入れられる”。
司は「何か気持ちいい気がする」と思って、ぼーっとして前川君が腰を動かしているのを感じていた。何か声出さないと悪いかなと思い
「あ、あ、・・・・」
などと声を出していたら、誰か年配の女性に手を握られる。
「もっとしっかり力(りき)んで」
えっと??
「赤ちゃん、もうすぐ出てくるよ。頑張ろう」
ぼく赤ちゃん産むの〜〜!?
それでやがて赤ちゃんの「おぎゃー、おぎゃー」という声が聞こえる。
ぼくママになっちゃった!!
「おめでとうございます。玉のように可愛い男の赤ちゃんですよ」
と助産師さんが言っている。
男の子か・・・・
と思っていたら、前川君が言った。
「この子、凄く可愛いから男にするのもったいないです。ちんちん取って女の子にしてもらえません?」
「いいですよ。じゃ女の子にしましょうね」
と産科医さんが言い、赤ちゃんのちんちんをハサミでチョキンと切っちゃった!
「出生証明書も女の子で発行しますね」
「ありがとうございます」
「良かったね。女の子になれたね」
と言って、司は赤いベビードレスを着た娘を抱き、前川君と一緒に病院を出て自宅に向かった。
そこで目が覚めた。
何て夢なんだ!!
司はおそるおそる自分のお股に触ってみた。
そして溜息をついた。
6月中旬、千里(千里R)は映子から言われた。
「今年も吹奏楽の大会のヘルプお願いできない?」
「大会はいつ?」
「8月1日・日曜日」
「今の所特に予定は無いかな。たぶん大丈夫だと思うけど、剣道の大会に向けた練習すっとやってるから、合同練習にはあまり顔出せないと思う」
「うん。それでもいいよ。譜面渡しておくね」
と言って、映子はスコアを渡す。
「これのフルート2をお願い」
「了解、了解」
「それと最近合唱同好会の方、あまり出てこないけど、忙しいのかな」
「合唱同好会?そんなの作ったんだ!」
「・・・千里は発起人のひとりなのだが」
「え?そうなの?」
「練習場所を借りてくれたのも千里じゃん」
「うっそー!?」
と言ってから、千里は尋ねた。
「練習はどこで何曜日にやってんの?」
「毎日昼休みにQ神社の御旅所でやってるけど」
「Q神社!?遠い所でやってるね」
「遠くない。学校の正門出て左手に見える鳥居が御旅所」
「え?そんな所にそんなものがあるんだ?」
あまりにも話が通じないので、映子はもういいやと思った。姉の京子からは
「千里ちゃん最近Q神社に全然来てくれないけど忙しいのか訊いてくれない?」
と言われていたものの、何か訊ける雰囲気ではないので、そのことは訊かなかった。取り敢えず吹奏楽部の応援だけ頼んだ。
7月4日、美輪子や千里たちは10時にPARCOで待ち合わせした。この日は千里が最初からワンピース姿で現れたので
「その格好が自然な気がする」
と言われた。
PARCOでみんな水着を買う。愛子が
「みんなビキニ買おうよ」
と提案したが、優芽子に却下された。
それで全員ワンピース水着ではあるものの、吉子・愛子は結構可愛いものを選び、千里にも本人の意志は無視して!かなり可愛い水着を選んだ。
「こんな可愛いの着るの〜?」
と千里(千里R)がビビっていた。今回、水着の代金は
「私のおごり」
と言って、優芽子が出してくれた。
それで滝子が借りたレンタカーのエスティマに全員で乗り、美輪子の運転で、札幌市郊外にあるシャトレーゼ・ガトーキングダム・サッポロに行った(*3).
「レンタカーを滝子さんが借りて水着は優芽子さんが出してくれたから入場料と食事代は私が出すよ」
と美輪子は言ったが、千里が
「私にも半分出させて」
と言って、結局千里が入場料を払い、中の食事代を美輪子が払うことにした。
(*3) ここは元々は個人美容室から出発してブライダル事業などで急成長したソフィアという会社が、ドイツのフランクフルト・アム・マインで1980年に開設された新興クアハウス『タウヌス・テルメ(Taunus Therme)』と提携して、1988年に『札幌テルメ』として開業した施設である。
しかしメインバンクの北海道拓殖銀行の経営破綻がきっかけになり、資金繰りが行き詰まって、1998年にソフィアも破産。この施設も閉鎖された。整理回収機構の管理下に入り、2001年にシャトレーゼが落札。2002年7月15日に『シャトレーゼ・ガトーキングダム・サッポロ』の名前で新装オープンした。この時代はそのリニューアル・オープンして約2年が経った時期である。
なお、フランスフルトの本家タウヌス・テルメは2022年現在でも営業しているが、こちらとはもう無関係になっている。
更衣室に入る。
全員がさりげなく?千里を見ているが、こういう視線には慣れっこなので、千里は平気で着てきた服を脱いで裸になり、水着を身につけた。千里のヌードを見て、全員が納得していた(こういう役回りは千里Rにしかできなかった)。
ここは室内ジャンボプール、室外ジャンボプール、キッズプール、25mプールなど多数のプールがあり、かなり遊びがいがある。
「プールなんて10年ぶり」
という紀子は、滝子・優芽子と一緒にジャンボプールの片隅で水浴び的なことをしていたが、美輪子は吉子を誘って25mプールで泳いでいた。
そして千里は愛子から
「千里〜、スライダー行くぞ」
と言われてスライダーに連行され、これをひたすら滑ることになる。
列に並んでいると
「双子さんですか?」
と訊かれる。
「ええ。そうなんです。バストサイズは少し違いますが」
などと愛子は言っている!
「妹さんもきっとその内、お姉さんくらい大きくなるよ」
などと千里は言われた!
でも愛子ちゃん、胸大きいよ、マジ。
スライダーは80mのと120mのがあり、最初は80mから滑るが、何度も悲鳴をあげながら滑り降りた。3回目に120mの方を滑ったが、途中で3回くらい死んだと思った。この日はスライダーを10回くらい滑り降りた。
「でも吉子さんと愛ちゃんって、かなり性格が違う気がする」
と千里は言う。
「そうそう。何でも真面目で優秀なきっちゃんと、全て不真面目で出来の悪い私」
などと愛子は言っている。
「きっちゃんは、うまいこと東京の大学行ったから、私も行きたいんだけどね〜。早稲田慶應に合格する自信が無い」
「そのクラスに通れないと、道内の大学でいいじゃんと言われそうだね」
「そうなのよ!私、フライトアテンダントになりたいから東京の大学出たいんだけどね〜」
「愛ちゃん、英語得意だったんだっけ?」
「いつも50点くらいしか取れない」
「それは厳しい!」
「そうだ!ちーって英語得意だよね?英語の試験だけでもいいから、ちー、代わりに受けてくんない?」
「それはさすがにまずいよぉ」
お昼をはさんで14時頃までたっぷりプールで遊んだ。そのあと誘い合って温泉のほうに行く。
温泉は3階にあるが、男湯と女湯の間にかなりの距離がある。千里が平気な顔でみんなと一緒に女湯のほうに来るので滝子や優芽子は少し心配顔だが、愛子や美輪子は全く心配していない。それで脱衣場で普通に服を脱いだ千里を見て、優芽子が
「何か心配して損した」
と言っている。
「プールの着替えでもみんなの前で裸になってたじゃん」
と愛子は言う。
「まあそうだったけどね」
「少なくとも男湯に入るのは無理だな」
と吉子も言った。
身体を洗ってから普通っぽい浴槽に入る。
「千里ちゃんっていつから女の子なんだっけ?」
と滝子が訊いた。
「さあ。男の子だった記憶が無いので分かりません」
と本人は言う。
「私の見立てでは、生まれる前に性転換手術を受けたとみた」
と愛子は言う。
「お腹の中で!?」
「だって私、千里ちゃんがまだ幼稚園に入る前の頃に会った時、一緒にお風呂入ったもん。その時、千里ちゃんは間違いなく女の子だったから『何だ。男の子というのは間違いか』と思った記憶あるし」
などと愛子は言っている。
「そういえば温泉に入ったね」
と優芽子も思い出したように言う。
「あの時、ツキちゃんが急に呼び出されて、玲羅ちゃんはまだ小さいからツキちゃんが連れて帰ったけど、千里ちゃんは私が預かって、吉子・愛子と一緒にお風呂に入れた。小さいからいいだろうと思って一緒に女湯に入ったけど、千里ちゃんのお股までは見てない」
と優芽子。
「私は記憶曖昧だけど、千里ちゃんにちんちん付いてたら男の子のちんちんなんてめったに見られないからじっくり観察してた気がする。そういう記憶が無いから、千里ちゃんには、ちんちん無かったのかも」
と吉子。
「小さい頃、一緒にお風呂入ったお友達はたくさんいるけど、私を男の子だと思ってた子はたぶん居ないです」
と千里本人も言っているので
「うーん・・・・」
と悩みはしたものの、いいことにした!
その後は紀子を中心にふつうの話題で盛り上がった。
「まあ次に集まるのは、私か大治の葬式の時だと思うけど、葬式はいちばん安いのでいいからね。通夜を省略した直葬で。私もあの人も信心とか全然無いから坊さんも呼ばなくていいし、戒名も要らないから。これ清彦にも言ってるけどね」
と紀子は言っていた。
「最近無宗教のお葬式って増えてるよね」
「だってお坊さん呼んだら何十万だもん」
「お墓も作らずに納骨堂で」
「お墓作ると何百万だからなあ」
「貧乏人は、うかつに死ねない」
「そもそも日本人って無宗教な気がするよ」
「12月25日にクリスマスをして、12月31日にお寺の除夜の鐘を聞いて、1月1日は神社に初詣で、というのは外人さんには理解できない風習」
「元々何も信心してないから、できるんだろうね〜」
そういや、私も無信心だなあ。小学生の時は神社の巫女さんとかしてたけど、と“この千里”(千里R)は思っていた。
そもそも千里にとって神様というのは“信じる”ものではく、日々“認識して”“対話する”ものであったりする。千里YVRGはP大神と、千里BVはQ大神と、千里GVはA大神と、日常的に会話しているが、普通の人にはそういうことはできない!だいたいA大神なんて、下っ端の神様だと簡単にはお目通りできない超大物の神様なのに。
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女子中学生・ひと夏の体験(5)