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■女子中学生・ひと夏の体験(21)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-08-11
 
熊肉パーティーが終わったのは、20時すぎ頃である。熊1頭8人でほんの1時間ほどでぺろりと丸ごと食べちゃったのは大したものである(1人10kg以上食べてる)。
 
この子たち、食費たいへんそう!
 
「明日は私吹奏楽の大会に行ってくるから来るの遅くなると思うけどよろしくー」
「はい。適当にやってますよ」
「吹奏楽って何演奏するんですか?」
「フルートだよ」
「吹いてる所見たーい」
 
「でもフルート持って来てないや」
「誰かに取ってこさせるといいですよ」
「女に行かせたほうがいいな」
「男が行くと、家ごと壊してしまうかも知れん」
 
荒っぽい奴らだな。
 
「誰がいいと思う?」
 
「千里ちゃん、大裳(たいじょう)を呼ぶといいよ。この手の用事はあの子が得意。物のありかをすぐ見付けるから」
と言っているのは、びゃくちゃんである。びゃくちゃんも女の子なのに!
 
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それで呼び出す。
 
未(ひつじ)の方位(南から30度西)を向き、召喚呪文を唱える。
 
「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥(シチュウインボウシンシゴビシンユウジュツガイ)の未(ビ)。大裳(たいじょう)、我が許(もと)へ本体を顕せ(あらわせ)」
 
それで召喚されて中年の漢服っぽい服装の女性が現れた。1000歳くらいかな。
 

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「大裳(たいじょう)ちゃん、こんにちは。よろしくー」
「千里さん、よろしく。“たいじょう”でもいいけど“たいも”と読まれるほうが好きだな」
 
「じゃそれで」
と言っていたら、歓喜が
 
「ニックネームつけてやりなよ」
と言っている。
 
「じゃ、たいちゃんとかでもいい?」
「可愛くて好きかも」
と彼女は微笑む。
 
「P神社って分かるかな」
「私の手を握って」
 
どうも手を握ることでこちらのイメージが彼女に流れ込むようである。
 
「倉庫部屋の2番目の桐箪笥の3番目の引出しに入れてたと思うんだよ」
「了解」
 
それで5分ほどでフルートを取って来てくれた。
「ありがとう」
と言って受け取る。
 

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そしてそのフルートを構えて吹いてみせる。
『主よ、人の望みの喜びよ』である。
 
ドレ・ミソファ、ファラソ・ソドシ、ドソミ・ドレミ、ファソラ・ソファミ、レミド・シドレ、ソシレ・ファミレ、
ミドレ・ミソファ・・・・
 
という曲である。『山の魔王の宮殿にて』と『精霊の踊り』とか吹いたら、こいつら踊り出して、せっかく建てた家が壊されるかもと思い、この選択にした。
 
しかし彼らが千里のフルートに聴き惚れているようなので、快感!だった。
 
吹き終えるとみんな拍手してくれる。
 
「マジでうまい」
「横笛を吹く少女は絵になる」
「俺絵に描いちゃった」
と言って、げんちゃんが絵を見せる。
 
おぉ可愛く描けてる。よく短時間でこれだけ描くものだ。
 
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「龍笛は吹かないの?」
「吹くよ。たいちゃん、申し訳無いけど、取って来てくれない?フルートの横にあったと思うんだけど」
 
「そういうことになりそうだったから一緒に持って来た」
「おお、サンキュ」
 
なるほどー。この子は短時間先の未来予測ができるんだなと千里は思った。
 
それで龍笛(No.228)を構えて神楽の曲を吹くと、フルートの時は楽しそうに聞いていた眷属たちがみんなシーンとしている。ありゃあ、お気に召さなかったかなと思いながらも吹き続けてやがて終曲する。
 
「お粗末様でした。ごめんね。へたくそで」
「いや、凄かった」
「身動きできなかった」
「雷でも落としたくなった」
「こんな凄い龍笛はなかなか聴けない」
などと彼らは言っている。
 
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「千里さん、マジでうまいよ。今回仕事仲間になった、天野貴子さんというか天乙貴人さんといい勝負じゃない?」
 
などと彼らが言っているので、千里は
 
「へー。きーちゃんが天乙貴人役なのか」
と思った。今後のことは7月31日に分かると言ってたのはそういうことか!
 

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「でもこのミニ精霊、私の周囲を飛び回ってて邪魔だなあ。取り外しててもいいんだっけ?」
「各々と一度でも会って言葉を交わせば、後は外していいですよ」
「じゃ外そう」
と言って、千里はミニ精霊の中でこの日会った勾陳、騰蛇、六合、青竜、玄武、白虎、大裳の7人の召喚アイテムを掴むと取り外しちゃった!
 
「・・・・・」
「どうかした?」
 
「よく識別して取り外せるなあ」
「そう?」
 
その後もしばらく談笑し、20:45頃に解散する。
 
「じゃ千里さん今後ともよろしくー」
と言って、彼らは散っていった。
 
びゃくちゃんに自宅まで送ってもらった。虎の背中に乗るのも快適だった。「毛並みがしなやかできれーい」と言ったら照れていた。
 
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しかし今日の彼らの様子を見ていて千里は思った。今自分を乗せてくれている、びゃくちゃんは、女性だけどわりと男っぽい。腕力も男並みのようだ。焼き肉パーティーの最中に倒れてきた木(勾陳が引き抜きかけて途中で外れていた木)を軽く片手で放り投げていた。一方で男性陣の中で、せいちゃんは男ではあっても少し女性的だ。言葉遣いも優しい。
 
まあ12人いると、確率的にそういう人たちが出るよね。せいちゃん女装しないのかなぁ?などと千里は妄想していた。
 

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千里(千里R)は熊肉を300gほど取っておいたのを持ち帰り(それ以外に母用と玲羅用もある)、家でプロ野球中継を見ながら寝転がっていた父に「お土産」と言って渡した。
 
「これは熊肉か!」
「お友達のお父さんが仕留めたんだよ」
「ああ、それは素晴らしい」
と言って、父は美味しそうに食べていた。
 
「ビール飲んでいい?」
「11時まではいいんじゃない?」
 
機関長である父は、出港の30時間前(土曜日の23時)からは禁酒になる。むろんそれ以前でも深酒は厳禁である。
 
父はビールを飲みながら、楽しそうにプロ野球のこととか、船の上のできごととかを話していた。千里はたまにはこういう話を聞いてあげるのも親孝行かなと思った。
 
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この日、母と玲羅に“千里”は22時頃旭川から帰ってきたが、父は(満腹して)寝ていたのでそっとしておいた。
 

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8月1日は、朝から吹奏楽の大会で今年も会場となる文化センターに出て行った。昨年は中学はC部門3校、B部門4校だったのだが、今年はC部門4校、B部門3校であった。昨年B部門に出ていた1校が今年は人数が足りずに課題曲が演奏できずC部門にしたようであった。
 
年々人数が減ってるからなあ。
 
それで千里たちはB部門3校の2番目で演奏した。助っ人が多いので全員揃ったのは今日が初めてなどという状態たったにもかかわらずノーミスで演奏できたので
「私たち天才ね」
などと言い合っていた。
 
結果は今年も金賞だが、道大会に進出するのはR中で、S中は進出しない。(B部門3校の内、R中とS中が金賞、もう1校が銀賞)
 
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ということで大会は11時頃には終わってしまった。
 

「ごめん。ちょっと用事があるから帰るね」
と言い、タクシーでC町まで行く。(他の多くの子は午後の高校や一般の部も見る)
 
そこから今日はりくちゃんに迎えに来てもらって、現場に入った。
 
見ると、また焚き火をして、イノシシ!?を焼いて食べている。大きさは昨日のヒグマの半分くらいだ。
 
「そのイノシシは?」
と千里が訊く。
 
北海道にはイノシシは棲息していない!
(ブラキストン線の南のみに分布)
 
「ああ、歓喜がちょっと飛んでって、青森で捕まえてきました」
「それは素晴らしい」
 
ということで、千里もお裾分けをもらった。
 
豚肉に似ていて、なかなか美味しい。
 
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でもこの子たち食料は自分たちで確保するみたいね。
 
さすがに毎日ヒグマは捕まえられない。
 
なお今日来ているのは、昨日のメンツの内、たいちゃん以外の8人である。彼女には力仕事は無理だろう。
 
なお、歓喜と九重が
「俺たち主人が居ないから、千里さん、眷属にしてください」
と言うので、彼らとも契約を結び眷属にした。
 
なんか大量に眷属が増えた気がするぞ。ほんとに食わせていけるかな。と少し不安になった。
 

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建物はかなり改造が進んでいた。とうちゃんが状況を説明してくれる。
 
まず、家の周囲には害獣(主としてエゾシカとヒグマ)侵入防止用の塀を二重に張り巡らせてくれていた。これは目隠しにもなるなと思った。早川家の土地はちゃんと境界を示す石が打たれているので、それを見てその内側に塀を作ってくれたようだ。
 
地下に貯水槽と浄水装置を設置して、そこから簡易な水道が使えるようにし、水も適当な場所(ってどこ?)から運んできて貯水槽に入れている。今後は雨水を雨樋で導いて貯水槽に入れるようにしてくれる。
 
「足りなくなりそうだったら言ってください。適当な場所から運んできますから」
「よろしくー」
 
バスルームひとつの他にシャワールームも3つ造り込んでいる。また太陽光パネルを設置して電気が使えるようにしている。地下の貯水槽から屋根のタンクに水を揚げるのもこの電気を使っている。
 
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ちなみに、実は作業中にうっかり昨日持って来た倉庫を九重が潰しちゃった!のだが(百叩きの刑に処せられた)、すぐ代わりの倉庫を持ってきて、再度フローリングを敷いたことは千里には内緒である。それで昨日のフローリングはミズナラ(無料)だったが、新しいフローリングは江差のヒバである!(代金は九重に払わせた:九重が払うならというのでヒバを使用した!)
 
またついでに板の“向き”を変更した。
 
昨日のフローリング
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┠──────┨
┠──────┨
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新しいフローリング
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こういう造りにすると、将来試合場を3つ作りたくなった時に拡張しやすい。実は昨日勾陳は、板を敷いてしまい、グラインダーを掛けている最中に気付いたのだが、今更作り直せないので気にしないことにしていた。九重が壊したので、新しい倉庫ではやり方を変更した。
 

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お昼(イノシシ)を食べていて、青龍がそのことに気付いた。
 
「この家に入る道。狭すぎません?」
「ああ。狭いなとは思ってた」
「少し広げていい?これじゃ軽自動車だって通れない」
「いいよ」
 
(この進入路は歩行用で、実は軽自動車なら別の進入方法はあるのだが、目印とかも無いので千里くらいにしか分からないと思う:多分大裳にも分かる)
 
「よしひと仕事しよう」
と言って8人の男たち(女もひとり居るけど)は、お昼ごはんの後、ほんの2時間ほどで、道路からこの家に至る50mほどの進入路の幅を拡張して小型乗用車(車幅1.7m)なら通れるようにしてくれた。
 
そして最後は家の方の改造を16時頃までに完了させてくれた。
 
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快適な練習場がほんの1日でできてしまったのである。8人がかりとはいえ、物凄い能力だ。
 
千里はこの子たちは凄く有能だ。かなり使い手があると思った。でもどうも最初に勾陳を呼び出したのが正解だったようだ。
 
ちょっと態度悪いけど!
 
なお彼らには、キタキツネは自分が眷属として使役しているので捕食しないようにお願いした(三重に居る小春からテレパシーで頼まれた)。
 
「ああ、キツネみたいな小さな動物は腹の足しにならないから食いませんよ」
と彼らは言っていた。
 

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作業が終わった後、千里は彼らを留萌市内の1軒の空き家に連れて行った。ここはつい先日まで市の助役さんが住んでいたのだが、怪異が酷いので、他へ引っ越して行ったのである。千里は前からここに目を付けていた。
 
(昨年12月にここでお祓いをしたのは千里Yで、今日ここに勾陳たちを連れてきたのは千里R)
 
「ヒグマやイノシシほど美味しくないけど、こいつらを好きなだけ食べていいよ」
「おお、これは素晴らしい」
 
「ここってあちらに○○があるから、どんどん悪霊が増えるんだよ。だからいくらでも流れてくるから、餌場にはいいと思う、いつでも来て食べていいから」
 
「こういうのも好きですよ〜」
と言って、彼らはその家に大量にあふれている悪霊たちを楽しそうに捕獲しては捕食していた。どうもゲームでもやってるような感覚のようであった。
 
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(多分人間が銛(もり)で魚を獲るのに似た感覚)
 

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