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■女子中学生・ひと夏の体験(18)

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2回戦が始まる。
 
千里も木里さんも軽く相手に2本勝ちした。玖美子は他地区1位の人だったが、とても型のきれいな人だった。そして玖美子はこういう相手に物凄く強いのである。相手の太刀筋をうまく読み、2分経ったところで1本取り、そのまま終了。1回戦に続き1本勝ちでBEST16に進出した。
 
公世は2回戦はわりと簡単に2本取って勝った。実は地区4位の人が1回戦で地区1位の人に勝っちゃった場合、2回戦の相手は地区2位か3位だった人になるので、1回戦の相手より弱いことが多い。それで公世はここで勝つことができてBEST16に進出できたのである。
 
なお男子の留萌組は、R中の来宮さんは残っているが、K中の門田さん、M中の緑川さんは、いづれも1回戦で負けている。4位の公世がBEST16に残っているのはなかなか凄い。
 
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男子2回戦が終わった後、女子の3回戦が行われている間に、公世はトイレに行ってこようと思った。
 
袴でのトイレは面倒なので、できるだけ袴を穿く前に行っておくようにしている。しかし長丁場の大会ではどうしても途中で1〜2回は行く必要が出てくる。が、剣道の大会での男子トイレは諸事情により(女子トイレ以上に)混雑しがちなので、早め早めに行っておく必要がある。
 
それで公世が普通に男子トイレに入ろうとしたら、運営の腕章を付けた男性とお見合いしそうになり、慌てて横にずれ
「すみません」
と言った。ところがその男性は言った。
 
「君はなんだね?ここは男子トイレたよ。女子はちゃんと女子トイレを使いなさい」
「私男子ですぅー」
「何ふざけたこと言ってるの?高速道路のトイレとかでは“今だけ男”っておばちゃんたちが出没するらしいけど、女子中学生が性別を捨ててはいけないよ。さあ、女子の方に行った行った」
 
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それで公世は男子トイレを追い出されてしまい。結果的に女子トイレに入ることになってしまったのである。
 
(公世が華奢な体格で、優しい顔立ちである上に、長髪だというのもあると思う。他校の男子選手には、丸刈りとかそうでなくても短髪の人が物凄く多い。しかし元々S中の運動部には丸刈りの子はほとんど居ない。福川司が女の子に見えちゃうのもひとつは髪の長さの問題がある。S中の規則では男子は髪が耳に付かないこととなっているものの、実際には耳が隠れても肩に付かない程度までは黙認されている:司の場合は肩にも付いているが注意されない。どうも学校は“男の娘”っぽい生徒にはルール適用を緩くしてくれているようである)
 

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女子トイレは列ができている(実は男子トイレは女子トイレ以上に列ができている)。でも列の長さが短い気がした。
 
(現在女子の試合をやっている最中というのもある。だから公世は混雑する男子トイレを避けて、すいている女子トイレに来た形になった)
 
女子トイレの列に並ぶのは少しドキドキしたが、誰も変な顔はしない。いいのかなあ、でも男子トイレ追い出されたから仕方ないよね、などと思いながら並んでいた。
 
すぐに列がはけるので、公世は個室に入り両足を片方に入れて用を達した(*16)
 

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(*16) 袴でトイレをするには何通りかの方法がある。
 
まず袴には行灯袴(あんどんばかま)といって左右が分かれていないスカート状のものと、馬乗袴(うまのりばかま)といって左右が分かれているキュロット状のものがある(正確には他にもあるがここでは省略)。伝統的な袴は馬乗袴であるが、明治の女学生が行灯袴を使い始め、その後、特に女子の間で流行したので、これを女袴と言うこともある。
 
行灯袴を穿いていると(女子にとっては)トイレはとっても楽である。普通のスカートと同様にして用を達することができる。男性の場合でも行灯袴は個室を使用する前提では、女性がスカートを穿いている時と同様にできるので楽であり、結婚式の衣裳で新郎が袴を着る場合は、行灯袴のことが多い。
 
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行灯袴はスカートと同じなので、足が動かしにくい。それで剣道を含めた武道では男子も女子も使うことはない。剣道の袴は男女ともにキュロット状の馬乗袴である。
 
この場合、主として3通りの用の達しかたがある。
 
(a) 片方の袴を足の付け根の所までたくしあげ、裾からちんちんを出して用を達する。この場合、小便器が使用できる。この方法は男子専用で女子にはできないわざである。
 
(b) 袴を脱いで用を達し、終わったらまた穿く。単純ではあるが時間がかかるのが欠点である。袴の着脱は2分くらいかかるので、小をするだけでも5分くらいかかってしまう。(むろん個室を使う)
 
(c) 割と利用者の多い方法。袴の腰紐と腰板だけ外し、片足をもう片方の股の中に移動し、ひとつの股の中に両足を同居させる。するとスカートや行灯袴を穿いているのと同じような状態になるので、スカートと同様に用を達する。
 
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(d) お勧めしない緊急時のやり方。袴の片方の裾を思いっきりたくしあげ(a)と似た状態にし、位置を横にずらして陰裂が開放されるようにして用を達する。もう漏れそう!という時は使えるが、袴を汚してしまう危険があり、全くお勧めできない。
 
(e)袴の下にショートパンツ(ブルマ?)などを穿いておき、人前で堂々と袴を脱ぎ、ショートパンツ(ブルマ?)姿でトイレに入る。この方法はトイレ内で袴の着脱などをしていると床の汚れたトイレでは袴を汚す危険があるので、それを避けることができるのが利点。でも女子が人前でいきなり袴を脱ぐのは心臓に良くないので勘弁して下さい(でもこういう子割と居る)。
 
清香は(d)の常習犯なので、彼女はトイレが物凄く速い!「袴を汚したことは無いよ」と言っているので、きっと達人。チームメイトからは「実はちんちん付いてるのでは?」と言われている。
 
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(c)のやり方は、袴を完全には脱がないので(b)の方法より素早く用を達することができて便利である。
 
女子は(a)の方法が使えないので普通は(b)か(c)である。男子でも大の時は(b)か(c)の方式になる。それで(c)のワザは男子・女子ともにマスターしている人が多い。
 
なお、留実子みたいにトラベルメイトなどのSTPを使用すれば、女子でも(a)ができる。ただし女子トイレに小便器は無い!!
 

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公世は個室の中で↑(c)のワザでトイレをしながら、そもそも女子用ショーツを穿いていたら、どっちみち小便器は使えなかったぞと思った。でも女子トイレって個室がたくさんあっていいなあ(←少しずつ危ない道に落ちつつある)。
 
それで袴を直して個室を出て手を洗い、女子トイレを出る。すると出た所でバッタリ、前田柔良と遭遇する。やばい所見られたかなと思ったが、彼女はトイレの男女表示を確認してから、頷くようにし笑顔で手を振ったので、公世もヤケクソで笑顔で手を振り返した。
 
でも絶対誤解されたと思った!
 
(理解されただけだったりして)
 

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3回戦が始まる。
 
(女子の試合が先に行われるので、その間に公世はトイレに行った)
 
女子ではここに残っているのは各地区1位だった人が10人、2位だった人が5人で、3位で残っているのは玖美子1人である。また学年で見ると3年生が12人で、2年生が3人、1年生が1人(札幌の阿南さん)だった。2年生の3人というのが全員留萌組である!
 
このあたりから千里も木里さんもかなり本気度を上げる。千里は30%くらい本気を出して2本勝ちしたが、木里さんもかなり本気度を出したようで、鮮やかに2本勝ちした。玖美子は相手から1本取って、かなり頑張ったのだが、その後、2本取り返されて敗退。ここで消えた。
 
公世が頑張った。相手が物凄く強い人だというのが見ていて分かる。しかし公世は相手がまだエンジンが掛かる前に1本面を取り、その後、相手の攻撃をかわして、かわして、かわして、かわしまくる。フットワークが凄い。相手が次第に焦ってくる。そして相手が一瞬時計を見た瞬間、公世の鋭い踏み込みで小手が決まった。
 
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それで公世はこの強敵に勝ち、BEST8に進出した。
 
相手の油断負けという感じもあったが、ともかくも道大会でBEST8というのは本当に凄い。しかも地区4位からここまで来たのが偉い。R中の来宮さんはここで消えたので、男子の留萌勢では地区4位の公世がいちばん上まで行ったことになる。
 

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いよいよ準々決勝である。
 
女子ではここまで残っているのは3年生が6人、2年生が2人で、その2年生2人というのが、木里さんと千里である。組合せはこのようになっていた。
 
大橋(札幌)┳┓
石山(十勝)┛┣┓
浅野(上川)┳┛┃
村山(留萌)┛ ┣
葛西(札幌)┳┓┃
高野(渡島)┛┣┛
長尾(石狩)┳┛
木里(留萌)┛
 
同じ地区から2人以上残っているのは札幌と留萌だけである。また留萌の2人は初段だが、他の3年生6人は全員二段である。
 
千里は上川支庁1位の浅野さんとの対戦であった。なかなか強い相手だと思った。ただ、あまりフットワークが強くない。それで攻撃のタイミングがとっても分かりやすいので、相手の攻撃は全く千里に当たらない。それでも相手の攻撃の速度はさすがに速い。千里は最初30%くらいの感じで対戦していたのだが、結構強いなと思い35%くらいに上げる。それで終了間際に1本取って勝った。
 
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木里さんは石狩1位の長尾さんと対戦したが、2分までに2本取って鮮やかに勝った。彼女も攻撃のタイミングが分かりやすかったので、木崎さんの敵では無かった。
 
なお男子で公世は札幌1位で、昨年も(2年生で唯一人)全国大会に行った今大会の優勝候補・蓮川さんと対戦したのだが、相手が途中で足袋が滑り?、バランスを崩して竹刀を落としてしまった(竹刀を落とすのは反則)。むろん公世は、そこに面を打ち込んで1本取る。
 
その後、向こうは焦って攻めて来るも。公世の巧みなフットワークでなかなか1本が決まらない。一方の公世は常時動き回っているので攻撃のタイミングが読みにくい。そして僅かな隙があった所に踏み込み、小手で1本取って2本勝ちを収めた。
 
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留萌の4位が優勝候補に勝つという、大金星であった。
 
それで、千里、木里さん、公世、ともにBEST4に進出した。
 

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少し休憩時間を置いて準決勝となる。女子の組合せはこのようになっている。
 
大橋(札幌)┳┓
村山(留萌)┛┣
高野(渡島)┳┛
木里(留萌)┛
 
札幌の大橋さんも、渡島(函館)の高野さんも優勝候補である。
 
千里はここで初めて50%までゲージを上げた。そしてその優勝候補の大島さんに1分で2本取って勝った。相手が「え〜〜〜!?」という顔をしていた。ここまでの千里の対戦を見ていたかも知れないが、ここまでの対戦ではこんな千里を想像できなかったであろう。
 
実を言うと、50%も出すと、弱い相手では怪我してしまいかねないので、ここまではセーブしていたのである。物凄い相手だからここまで出すことができた。
 
これで千里は全国大会の切符をゲットした。
 
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木里さんの方は、高野さんと接戦を繰り広げていた。どちらも鋭い攻撃を繰り出すが、どちらもなかなか1本が取れない。とうとう延長戦になる。そして延長戦の1:50のところで、両者同時に面打ちに行った。
 
「面あり」
の声がする。旗を見る。
 
3人とも白(木里)である。僅かに木里さんの面打ちが早かったようである(千里の目には同時に見えた)。
 
それで木里さんも準決勝を勝ち上がり、全国大会の切符を手にした。
 
なんと北海道代表の2つだけある指定席を留萌が独占である。
 

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公世は物凄く運が良かった。準々決勝で第1シードの優勝候補トップの人に勝ってしまったので、準決勝で対戦した人は、準々決勝の相手ほど強くはなかった。2番目に強い人は、もうひとつの山に居るのである。
 
(公世は1回戦→2回戦でもこれをやっている)
 
そして相手は、こちらを優勝候補に勝った人ということで、物凄く警戒していた。その強すぎる警戒があだとなり、序盤で公世に1本取られてしまう。
 
その後は向こうも立て直して、激しい攻撃が来るが、公世はこの1週間鍛えたフットワークでひたすらかわしていく。
 
そして時間切れ。
 
公世は1本勝ちで準決勝を勝ち上がり、本当に全国大会行きの切符を手にした。
 
なんと男女合計4枚の栃木行き切符の内、3枚を留萌が確保である。
 
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女の子パンティーの力!?
 

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