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■女子中学生・ひと夏の体験(13)

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(C) Eriko Kawaguchi 2022-08-05
 
千里Rは6月中旬に映子から吹奏楽部のヘルプを頼まれていたものの、実際には期末テストもあったし、剣道の練習に力が入っていたし、祖父の古希の祝いにも行ったしで、全然練習していなかった。
 
それでさすがにやばいと思った千里Gは7月上旬、自分が代わりに練習することにした。Y/V、R/Gはお互いに運動能力的な記憶が連動するので、Rが剣道やピアノ・笛などの練習をすればGもそれができるようになるし、Gが覚えたものもRが使える。
 
それでGは、Rが持っているのと同じフルート(YFL-714 Covered-key, Offset, E-mecha) を調達して、映子から渡された譜面を練習することにした。譜面のコピー、およびフルートの調達について、Gはあまり留萌から離れたくないので、A大神にお願いした。
 
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するとA大神は
 
「ついでにこれも練習しなさい」
といって龍笛も渡してくれた。
 
「私も龍笛練習するんですか〜?」
「Rがたくさん練習してるから、あんたにもできる」
 
それで恐る恐る越天楽を吹いてみると、わりとまともな演奏になったのでGは自分でびっくりした。
 
この時、A大神から渡された龍笛が Tes No.229 で、Rが使用している No.228 と1番違いである。
 

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「どうせならBが吹いてたQ神社の昇殿祈祷や祭礼の曲を覚えるといいね」
とA大神は言い、A大神はQ大神に曲の譜面と録音を作ってもらってGに渡した。
 
神様本人が監修した譜面だから、極めて正確である!
 
(実際に書いたのはいつも雑用を押しつけられているQ神社摂社の少彦名神社の神で最終的にQ大神のお姉さん:旭川Q神社の神にもチェックしてもらった)
 
それでGはフルート(吹奏楽部が演奏する曲)に加えて龍笛(Q神社の曲)も練習することになった。
 
ついでにVもQ神社の曲を練習させられたので、7/17-18のお祭りでVは無事、曲を吹くことができたのである。(元々千里は初見に強く曲の覚えが速いし、横笛との相性も良い)
 
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7月5日(月).
 
夏季教室(7/1-2)明けの月曜日。
 
雅海が学校から戻ると母が
「&&エージェンシーさんからお手紙来てるよ」
と言った。
 
それで自分の部屋に行ってから開けてみるとこのようなことが書かれていた。
 
《先日はライブへの参加ありがとうね。来月8月11日(水)からParking Serviceの全国ツアーが始まるけど、またPatrol Girls として参加しませんか?もし参加してくれるなら同封の葉書の「参加する」の所にOを付けて7月11日までに返信してください》
 
《それとお友達で運動神経とリズム感の良い子(身長158-168cm程度)がいたら紹介してくれませんか?紹介してもらえる場合は良かったらその子の身長・体重・スリーサイズと全身の写真データ(640x480以上、またはサービスサイズ以上のプリント写真)を送って下さい。可能なら何か適当なダンスをしている所のビデオを後からでもいいのでメールまたはSDカードかUSBメモリなどで送ってもらうと助かります。人数の都合で確約はできないですけど、もしかしたら一緒にご招待することになるかも知れません》
 
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《なお現住所から札幌までの交通費は支給しますし、宿泊もこちらで手配します。日程は8月10日(火)夕方までに現地に来て頂いて11日は夕方まで拘束。約24時間の拘束でギャラは33333円(源泉徴収後30000円)になります。実働時間はリハーサルと本番と合わせて7時間以内で、20時以降5時前の深夜労働はありません。質問がある場合は下記へメールを》
 
「わあまたライブがあるんだ!」
それで雅海はもちろん“参加する”にOを付ける。
 
そして「紹介できる子」について雅海は“運動神経がいい”という言葉から、ある人物を思いついたのである。
 

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翌日(7/6 Tue)、雅海は昼休みに司を呼び出し、校舎の裏手で話してみた。
 
(雅海と司は先週木金の夏季教室で同室になり、お互いの実態?をよく知ることとなった)
 
「アイドルのバックダンサー〜〜!?」
「司ちゃん、運動神経いいからできると思うんだよ」
「うーん・・・。やってみたいような恥ずかしいような」
「衣裳はミニスカートだよ。穿いてみたくない?」
「みにすかぁとぉ!?」
 
司の頭の中で妄想が膨らむ。
 
「してみようかな・・・」
「OKOK」
 
それでその日、司は野球部の練習を休み、雅海の家に行くことにした。いったん自宅に戻り“お着替え”を持って雅海と待ち合わせて彼の自宅に行く。
 
「なんかこの部屋可愛い」
「あんた女の子になるなら部屋も女の子っぽくしようと言われて模様替えされちゃった」
「やっぱり女の子になるんだ?」
「今の段階では“女の子になっちゃってもいいかな”くらいの気持ちかな。司ちゃんは?」
「僕は女の子の格好するのは好きだけど、女の子になりたい訳ではないんだけどね」
「でも女の子の裸を見ても平気だよね」
 
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「平気になっちゃったかも」
 
と言って司は貴子さんに連れられて女湯に入っちゃった時のことを思い起こしていた。
 

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まず身体を測定する。身長162cm 体重55kg B80 W66 H84.
 
「バストはAカップのブラジャー着けたら90になるから90と書いとくね」
「うん。それでいい」
「でも体型がわりと中性的かも」
「そうだね。女子の友人から『安産型だね』と言われた」
 
もちろんいったん女の子になっちゃった後遺症である。
 
実は今穿いている学生ズボンも女子用のW66のものである。男子用のズボンではこの体型に適合する既製品は存在しない。野球部のユニフォームはW76cmのものに交換してもらい、ベルトは短く切って!ウェストを絞っている。
 
雅海が持っているPatrol Girlsの衣裳を着けてみない?と言って渡してみたものの「はずかしー」と言うので、結局司が持参したポロシャツと膝丈スカートに着替え、それで笑顔で写真撮影をする。そして
 
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「これ踊ってみない?」
と言って、Parking Servieの最新作『ひと夏の冒険』のバックダンスを雅海が踊ってみせる(練習してた!)。
 
「そんなに難しくない気がする」
「司ちゃん運動神経いいからすぐ覚えると思うよ」
 
それで実際司は15分ほどで踊れるようになったので、更に15分練習した所で雅海の携帯でCDを流しながら踊る所をビデオ撮影した。
 
「じゃこれを送ってみるよ。採用にならなかったらごめんね」
「ううん。こういうの応募者多いんじゃないかなあ」
と司も言っていた。
 
雅海はビデオのデータを携帯のマイクロSDカードから取り出し、写真データとともにUSBメモリに入れ、参加表明の葉書、紹介する司のボディサイズデータを書いた紙と一緒に封筒に入れて白浜さん宛て郵送した。
 
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灰麗が(中村と一緒に?)旭川に住むことが決まったので、灰麗は東京まで行って、駐車場に駐めている車を回送してきたいと言ったのだが、きーちゃんは
 
「あんたには頼みたい仕事があるし、入院中の彼氏の御見舞いもしたいでしょ?」
 
と言って(完璧にふたりはカップルだと誤解されている)、友人に依頼して取って来てもらうことにした。合わせて荷物を入れているレンタル倉庫の中身を旭川に移動し、駐車場・倉庫・私書箱を解約する。
 
きーちゃんは函館戦争以来!交友を続けている一族の当主・杉村八助(74)に連絡した。
 
「お孫さん、もし空いてたら50万円くらいのバイトしない?」
「ちょうど夏休みに入った所だよ!」
 
それで、八助の孫の初広(大学3年)と真広(大学1年)が対応してくれることになったのである。
 
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2人は、きーちゃんが前金で50万+概略の食費・ガソリン代・高速代等として10万を渡すと「おぉ!!」と喜んでいた。
 
「女の人が借りてる倉庫の解約なら女装したほうがいいですかね?」
「そのあたりは好みで。何なら性転換手術受けさせてあげようか?2人まとめて性転換すると兄弟から姉妹に華麗なる変身してお母さんが大喜びするかもよ(お父さんはショック死するかも)」
 
2人はまだ男を楽しみたいから性転換は遠慮するということだった。更に女子トイレを使う勇気は無いから女装はやめとこうという話になったようである。
 

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16日の朝、杉村家が経営するH新鮮産業のトラックを持ち出し(*9)、大型免許を持つ兄が運転して苫小牧(とまこまい)まで行く。そして大洗(おおあらい)行きのフェリーに乗った。
 
苫小牧 7/16 18:45 - 7/17 13:30 大洗
 
(*9) きーちゃんはトラックの借り賃として別途八助に3万円払っている。
 

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17日は高速のPAで車中泊し、18日に実質活動する。
 
まずは灰麗が借りていたレンタル倉庫に行き、2人で荷物を全部トラックに積み込んで、倉庫は解約する(結局弟は女装させられた!)。兄が休んでいる間に弟は(女装のまま!)電車で都心に出て、私書箱サービスに到着している郵便物を回収。解約する。電車で町田市に移動し、市役所で委任状を示して転出届けを提出する。そして契約駐車場に移動し、車を運転して出る。
 
車はエンジンが掛からなかったら、兄を呼ぶつもりだったが、エンジンは掛かったので念のため30分くらいアイドリングしてから出た。
 
不動産屋さんに行き、やはり委任状を示して駐車場を解約した。
 
灰麗の車を運転して兄と高速のPAで落ち合う。
 
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「やっとトイレ行けた」
「まさか我慢してたの?」
「だって女子トイレに入ったら痴漢で捕まりそうで」
「スカート穿いてても中身が男なら普通に男子トイレ使えば良かったのに」
「そう?」
「東京じゃスカート男子は多いらしいよ」
「ほんとに??」
 
「だけど電車乗ってたらさぁ、お尻触る男がいたんだよ」
「どうした?」
「『何すんのよ?』と言って、思いっきり蹴り上げてやったら、玉押さえてうごめいていた。潰れたかもね」
 
「お前のキック力(りょく)なら本当に潰れたかもね」
「なんか周囲で拍手起きてた」
「多分良いことをした」
「黒いサングラス掛けた40歳くらいの男だったよ」
「40年も男やってたらそろそろ男を引退してもいいな」
 
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軽食を取ってから連なって運転して大洗に向かう。そして一緒にフェリーに乗った。
 
「ご夫婦ですか」
と少し仲良くなったトラックドライバーさんに尋ねられたので
「いや兄妹なんです」
と答えておいた!
 
向こうは妹が実は弟とは全く気付かなかったようであった。
 
「一度デートしない?」
と誘われたが
「ごめんなさい。ボーイフレンドが居るので」
と言ったら
「こんなに可愛かったら彼氏居るよね〜」
と残念がっていた。
 
でも真広は「可愛い」と言われてドキドキしていた。
 

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大洗 7/18 18:30 - 7/19 13:15 苫小牧
 
そして7/19の夕方、旭川に帰着した。
 
若くないとできないハードな行程であるが、2人はなかなか楽しかったらしい。
 
「あら、初広のガールフレンドさん?」
と母に訊かれた。
 
「真広だけど」
「・・・・・女の子かと思った!」
 
母にも女に見えたというのは、わりとレベルが高い気はする。
 
でも父に見られる前に着替えなさいと言われて男装に戻された。結局丸2日女装していたことになる。
 
トラックはいったん会社の駐車場に駐めて、7/20に灰麗の新しいアパートに荷物を運び入れた。その後、ガソリン代・高速代・船賃・電車賃を精算して、バイト終了である。きーちゃんは“サービス料”と称して2人に追加で5万ずつ渡したので、2人は更に喜んでいた。
 
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「だけど楽しい旅だった」
「女の子するのも楽しくなかった?」
「ひと夏の経験かな。でも買っちゃった女物の服どうしよう?」
 
今回着た服は母が洗って真広の部屋に返してくれている。ユニクロで買ったものだが、真広は兄の初広が、平気で女物の服や下着をチョイスしてレジに持って行ったので兄のセクシャリティに疑惑を感じた。足の毛も兄がきれいに剃ってくれたし。眉毛も細くカットしてくれたし。
 
「普段に着ればいいと思うけど」
と兄は言う。
 
「え〜〜!?」
 
「この機会にもう少し女装もお化粧も練習して後期からは女の子の格好で通学するとかは?」
「ハマったら恐いからやめとく」
 
(既にハマってないか?)
 
「それに30万もあったらお前性転換手術受けられるんじゃない?いっそ本当の女子大生に変身したら?お前きっと女でもやっていけるよ」
 
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「性転換するつもりはないけど、あれは120万くらいするらしいよ」
「そんなに高いの!?」
 

P神社の例祭が終わった翌日、7月19日(月・祝)、千里Yは三重県の河洛邑に行き、光辞の朗読をすることになる。千里Yは下記の便で旅立った。
 
留萌駅前9:28(バス)11:22旭川駅前→旭川空港14:15(ANA326)16:40名古屋空港
 
旭川駅前から空港までは瑞江に運んでもらった。名古屋空港には真理さんが車で迎えに来てくれて、それで河洛邑に入った(車で約1時間)。千里Yはここで1ヶ月ほど過ごし、その間、書写が困難な「絵」で書かれた部分の光辞の朗読と千里の手による描き写しをすることになる。
 
なお、小春(のエイリアス)も千里Yをサポートするために一緒に三重県に行ったので、留萌の留守を任されたカノ子は「私ひとりで調整できるかなあ」と不安であった。状況次第では、芳子やヒツジ子も助けてくれるはずだが、
 
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カノ子:P大神の眷属
ヒツジ子:Q大神の眷属
ミミ子(瑞江)ミヨ子・芳子:A大神の眷属
 
千里は、直接契約を結んでいる、小春・小町・コリンも含めて既に8人(帰蝶も入れたら9人)もの“手駒”を駆使していることになる。
 
(ミミ子・ミヨ子・ヨシ子はG・Vのことは知らない。GとVに関することはA大神が眷属を使わずに直接行なっている)
 

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女子中学生・ひと夏の体験(13)

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