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■春花(20)

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「テニスコートは基本的にハードコート、クレーコート、グラスコートに大別されます」
と芳永さんは基本的なことから説明してくれる。
 
「ハードコート(hard court) というのはアスファルトの上に合成樹脂でコーティングしたもので、世界のテニスコートの主流です。日本でも強豪高はだいたいこのタイプのコートを用意しています」
 
「わあ」
 
「クレーコート(clay court) というのは土のコートで、ハードコートではないコートのほとんどがこれです。土なので雨が降った後はしばらく使えません」
 
「中学のテニスコートは土だったかも」
「普通の学校には多いですね」
と芳永さんも言う。
 
「グラスコート(grass court)というのはウィンブルドンのセンターコートなどで使用されていますが、芝生のコートで、これは傷みやすいので普段の練習などでは使えません。ウィンブルドンのセンターコートもあの大会だけに使って1年間養生してますね」
 
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「それはほとんど使う機会無いですね」
「まあほとんどのプレイヤーにとっては多分そうです」
「ウィンブルドンなんて、おとぎ話の世界だし」
と幸花は言う。
 

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「日本で非常に多いのが砂入り人工芝のコートで、これは住友の商品名からオムニコート(*7)と呼ばれることが多いです。日本とニュージーランドのみで見られるコートで、世界的には特異なコートです。ところが日本ではこれが雨に強いことから“全天候型コート”とか呼ばれて、物凄く多いんですよ。それで日本のテニス愛好者にはこのコートに慣れている人がまた多いんですよね」
 
「へー!」
 
そういえば幸花が津幡運動公園のコートが全天候型と言っていたなと思い起こす。
 
(*7)住友ゴム工業が“オムニコート”、東亜道路が“スパックサンド”、三菱化成が“ダイヤアリーナ”、積水樹脂が“サンドグラス”などなど。
 

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「このコートは柔らかいので足腰に負担が掛からないのがいい所なんですけどね」
と芳永さん。
 
「床面が色々あるから、テニスシューズもそれに合わせて色々必要なんですよね」
と幸花が補足する。
 
「そんなに色々床面があったら、床面が違うとボールの跳ね方とか変わりません?」
と青葉が尋ねる。
 
「変わります。ですからテニス選手は色々な床面を体験しておく必要があるんですよ。それでも各々得意なコート、苦手なコートが出ますけどね」
 
「でしょうね!」
 
「インドアのテニスコートの場合は、WAVEのとでも使用されているカーペットコートが物凄く多いです。これは普通の床にカーペットを敷くだけで作れるので、都会のビルの中にあるスポーツクラブなどでこれを採用している所が多いのもありまして」
 
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「ああ。クレーコートとかハードコートは地面でないと無理っぽいですね」
 
「そうなんです。インドアのコートでも1階に専用で作られたものでは屋外のコートと同じ加工をしたものがあります。能登町さんはそういう作り方をしてもよかったと思うのですが、なぜカーペットを採用したのか、疑問を感じますね」
 
「なぜでしょうね」
 
「もし川上さんが進めておられる体育施設でインドア・テニスコートを作ってくださる場合は、できたらハードコート、やむを得ない場合はオムニコートでお願いしたいと、テニス愛好者としては思いますよ」
と芳永さんは言った。
 

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青葉は帰りの車中でも色々芳永さん・幸花と話し合った上で、途中の別所岳SAで町長さんに電話を掛けた。
 
(珠洲道路・のと里山海道は携帯圏外の所ばかりなのでPA/SA/道の駅あるいはコンビニの駐車場などから電話しないと途中で切れてしまう。以前は道の駅なのに携帯圏外で公衆電話が唯一の連絡手段などという所も存在したが、現在は解消されている。そもそも能登半島自体、au や docomo ならよいが、softbank は使い物にならない。 au しかつながらない地区、 docomo しかつながらない地区があるため2台持ちのビジネスマンも多い)
 
「テニスコートの需要があれば作るのはいいのですが、体育館にテニスコートとバスケットコートを多階構造で作ると、天井の高さがテニスコート12m、バスケットコート14mになるのですが、これは各々4階建て・5階建てのビルに相当する高さです。合計すると9階建ての高層ビル相当になり、建築費が多分4〜5倍掛かると思います。そしてそれ以上に非常時の避難の問題が出てくるんですよ。音響を考えると、ライブ会場を兼ねるバスケットコートを上にせざるを得ないのですが、その場合、万が一地震や火災が起きた場合に、5階に1万人居るのをどうやって安全に避難させるかといった問題が生じます」
 
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「それは問題ですね!」
と町長さんも理解を示した。
 
「あと建築費が4倍になった場合、現在の津幡町さんの公共テニスコートのように学生100円・一般200円という料金ではとても採算が取れないです。能登町さんの場合は、学生の部活は無料ということになっているので、これではほぼ無収入ですよね。しかし室内テニスコートは維持費がかなり高いと思います。また上に作ることになるバスケットコートの方も維持費が高くなってしまいます」
 
「困りましたね。。。いや待って下さい。室内テニスコートと体育館は別棟にしてはいけないんですか?」
 
「それをやると建蔽率をオーバーするんですよ」
「建蔽率ですか!」
 
「この土地は270m×270mで、72900m2あります。体育館が140m×140m = 19600m2, アクアリゾートが140m×120m = 16800m2, これにテニスコートを8コートで設計した場合、さっき芳永さんと検討したレイアウトでは 88m×84m = 7392m2となって合計 43792m2になりまして、建蔽率が60%をわずかに越えます」
 
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( 43792÷72900 = 60.07% とても惜しいがテニスコートはざっと計算しただけなので、もっと必要になる可能性がある)
 
↓屋内テニスコートの概略配置設計

 

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「ちょっと、検討してお電話します」
と町長は言っていったん電話を切る。
 
森下さんが飲み物を買ってきて全員に配った。
 
「ねえ、あのライダー、男だと思う?女だと思う?」
と今SAに停まったバイクの乗り手について幸花が言った。
 
「微妙。体型だけではどちらとも取れる気がする」
と青葉は答える。
 
「女じゃないですか?」
と芳永さん
 
ライダーがヘルメットを脱ぐ。
 
「・・・」
 
「分からん!」
と全員が言った。
 
顔を見ても男女の判断ができなかった!
 
彼または彼女がトイレに行けば性別が分かるかと思ったのだが、そちらには行かずに施設の中に入る。スナックコーナーを見ている。声を聞けば分かるかな?・・と思ったのだが、オーダーする声を聞いても性別を判断できなかった。
 
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「うーん・・・」
と幸花が悩んでいる。
 
それで彼または彼女はサンドイッチとコーヒーをのんびりと食べている。こちらはテニスコートの軒で色々打ち合わせているのだが、その人物にもさりげなく?注意を払っている。
 
やがてその人物は立ち上がると建物を出て行く。幸花が「ちょっと失礼」と言って続いて建物の外に出た。
 
幸花は嬉しそうな顔で戻ってきた。
 
「男子トイレに入って行ったよ」
「男の子だったのか!」
 
「でも凄く中性的だったね」
 

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町長からの電話は30分後に掛かってきた(上述の電波事情の問題があるので移動できない。特に穴水ICから柳田ICまでの区間は電波事情が悪い)。
 
町長は言った。
 
「あの付近はほとんどが町有地なんですよ。隣接した町有地を売りますので、それで建蔽率を下げられますよね?」
 
「できますが、追加分の土地に開発許可を取る必要が出てくるのですが」
と青葉。
 
「そのくらいは大丈夫ですよ。出させますから。どのくらいの土地があれば建蔽率をクリアできますかね」
 
「計算してみますが、そちらに戻ってから直接話し合いましょうか?」
「それがいい気がしますね」
 
それで青葉たちはのと里山海道を南下して、津幡町役場まで戻った。幸花が運転して、青葉と芳永さんが後部座席で話し合いながら絵を描いて計算し、その様子を森下さんが撮影する。町役場に行くと神谷内さんも来ていた。
 
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ところが町長は新たな提案をした。
 
「こちらも少し考えていたんですが、屋内テニスコートの他にですね、屋内人工芝のグラウンド・ゴルフ場も建てられませんか?利用者多いですよ。多分入場料収入大きいですよ」
と町長は言った。
 
「すみません。グラウンドゴルフってどんなスポーツでしたっけ?」
 
「似たようなものにパークゴルフというのもあるんですが」
「そのあたりがさっぱり分からなくて」
 

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「1980年代にはお年寄りのスポーツとしてゲートボールが広く普及したのですが、ゲートボールの問題点はチーム対抗戦だということなんですよね」
 
「はい」
 
「それでどうしても下手な人がチームメンバーから責められるんですよ。度々ゲートボールを巡って殺人事件とかも起きていますし」
「ああ、殺人までいかなくても、いじめとかもあるのでは?」
 
「そういうのもあるようですよ。それで人間関係に嫌気が差してやめる人が相次いで競技人口もかつての10分の1になったと言われます。代わって最近シニア人口の人気を2分するのが、パークゴルフとグラウンドゴルフなんですが、どちらも個人競技なんです。だから下手な人が責められることがなく気楽なんですね。せいぜい『まだ終わらないの?』とか言われる程度ですよ」
 
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「その程度なら、いいでしょうね」
 

「パークゴルフは、かなり広い場所を必要とします。ティーからホールまでが数十メートルあって、これを9ホールで1セットにします。ですからこれは屋外でないと無理です」
 
「ああ」
 
「でもグラウンド・ゴルフはかなり狭い所でできます。ちょっとした広場があれば、ここに持って来ましたが、このホールポストというものを立ててプレイできます」
 
と実際のゲーム器具を見せてくれる。
 
「あ、やってるの見たことある気がする」
と幸花。
 
「例えばスタート地点から、外回りで南へ30m 東へ50m 北へ30m 西へ50m とまわって、その後、今度は内回りで東へ25m 南へ15m 西へ25m 北へ15m と回って終了です」
 
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「外回りと内回りが逆方向なんですね」
「すみません。たとえで言っただけで色々なコースがあります」
「そうでしたか!」
 
「でもそういうわけで50m×30m+アルファの広さがあればプレイできるんですよ。それで手軽なものだから競技人口はパークゴルフの3倍くらいあるんです」
 
「なるほどー」
「しかしこれも冬季は閉鎖されるところが多くてですね」
「ああ」
「でも屋根があって、オールシーズン天候と無関係にプレイできる所があれば、絶対来ますよ。田舎は年寄りだけは豊富で、年寄りは時間を持て余してますから」
 
「確かにそうかも」
 
と言いながら青葉は紙に50m×30mのフィールドを持つ競技場の図を書いてみた。たぶん60m×50mくらいの建物があればいいだろう。余裕を見て60m×60mかな?お年寄りなら広い休憩室があった方がよい気がする。たぶんプレイよりその後のお茶タイムとかの方がメインになったりして?
 
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と考えていたら芳永さんは「いい?」という表情をして、青葉が書いた50m×30mの四角の下に同じ大きさの四角をもうひとつ書いた。
 
そうか!競技人口が多いのなら2つあった方がいい。
 
すると・・・建物は80m×60mくらいになるかな。テニスコートとサイズ合わせたほうが美しいから88m×60mくらいでもいいな、と青葉は考えた。
 
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