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■春花(6)

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月乃岬は2019年6月22日のロックギャルコンテスト石川県大会で優勝。翌日の北陸大会でも優勝。そして7月21日の全国大会でも優勝して歌手デビューが決まった。親友の落合茜も3位ながらもハイスコアだったので、彼女はいったん研修生になるものの、来年の適当な時期にデビューということになった。芸名も決まり、月乃岬は東雲はるこ(しののめ・はるこ)、茜は町田朱美ということになった。どちらも駅名シリーズである!
 
コンテストの翌日地元に戻って学校で転出学の手続き、市役所で転出の手続きをし、23日に足立区の寮の隣り合う部屋番号の部屋に入居、その日の内に足立区役所で転入の手続き、翌7月24日には区内の中学校に行き転入学の手続きを取った。
 
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岬(東雲はるこ)は研修生ではないものの、デビューまでは研修生と同様に扱われる。それで他の研修生たちと一緒に都内の提携している芸能スクールでレッスンを受けたり、また寮内の講義室で先輩や§§ミュージックと関連のあるミュージシャンなどの講義を聴いたり、あるいは自主的な歌や楽器のレッスン、それに「これは大事なこと」と言って、10代の女子の心の成長に関わる問題の講義を、心理学の専門家から受けたりした。
 
性教育もしっかり受けた!
 
が、男子の性器・性行動の話、恋愛やセックスに関する話は、みんな息を呑んでビデオ上映などを見ていた。むろん女子の性器・性行動、また性周期のことも講義では取り上げられるのだが、女性器の構造について意外に無知も子も居て「え?そうなってるんだっけ?」などという声もあがっていた。
 
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「それが分からないというのは、ひょっとして君には女性性器が無いとか?」
「多分あるはず」
 
岬は自分の身体が“純正品”の女子とは少し違うので、別の意味で熱心に映像を見ていた。
 

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8月4日(日).
 
寮生たちが本邸(旧紅川邸)のダイニングに集まり、がやがやと食事をしていた時、岬は急に下腹部が痛いような気がした。すると副寮母の花さん(山下ルンバ)が
「みさきちゃん、トイレ行っておいで」
と言う。
「あ、はい」
「君が席を外している間に食事誰かが食べちゃうことないから、ゆっくりしといで」
と高校生の高島瑞絵さんが言うと笑いが起きる。
 
「じゃ、ちょっと行ってきます」
と言って、岬が席を立つと
 
「ついでにプレゼント」
と言って花さんが何かポケットティッシュみたいなものを投げてよこしたので反射的に受け取り、
 
「ありがとうございます」
と言って、本邸のトイレに行った。
 

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ここは個室が4つもあるので、気兼ねなく籠もっていることができる。岬は最も奥の個室に入ると、スカートをめくり、パンティを下げて便器に座る。するとあの付近から血が出ているのでギョッとする。私どうしちゃったの?どこか怪我した?と焦るが、その時、岬は初めて花さんが投げてくれたものの“正体”に気付いた。
 
そして3分くらい便器に座ったまま考えていて、やっと出血の“正体”に気付く。
 
昔読んだ漫画で変態っぽい警官が敬礼して「署長、報告します!」とか言っているシーンを岬は思い出していた。
 
でもなんで私がそうなるの??
 
取り敢えず出血をトイレットペーパーで拭き、それからしばらくぼーっとしていたら、足音がしてドアがトントンと軽くノックされる。壁をノックして
「入ってます」
と答える。
 
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「私」
という声は茜である。
 
「どうしたの?」
と彼女が小声で訊く。
 
「茜、どうしよう?私、ショチョーになっちゃった」
「うーん。中学2年で所長というのは割と出世した部類かもね」
と茜は言った。
 
「取り敢えず私のパンツ適当なの1枚持って来てくんない?」
「了解了解」
 
それで茜が替えのパンティをビニール袋に入れて持って来て、上から投入してくれたので、岬はそのパンティに花さんからプレゼントされた生理用品を取り付けた(使い方は何度も“生理ごっこ”で、やったことがあるので知っている。ついでに部屋に行けば1パックある)。汚れたパンティはビニール袋の中に入れた。
 
私がパンツとだけ言ったのにビニール袋も一緒に渡してくれるって、茜すごく気が回るなあ、と岬は親友を尊敬する気持ちになった。
 
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岬は次は9月1日に同様の体験をするが、この時は予め「そろそろかも」と思って最初から“おざぶ”を付けていたので、パンティを汚さなくて済んだ。
 

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青葉は9月9日は小樽ラボ2階の“男子禁制エリア”に泊めてもらい、10日の飛行機(新千歳13:45-15:15富山)で高岡の自宅に戻った。
 
そして、翌11日は〒〒テレビ取材班の“浄土ツアー”に出発する。これはこのような行程で走行した。明恵たちは金沢から出発しているが、青葉は小杉ICで北陸道に乗り、呉羽PAで合流している。
 
金沢9/11 8:00 (北陸道・磐越道) 15:00 喜多方(喜多方ラーメンを食べる)
喜多方9/12 9:00(レークライン・スカイライン)15:00 高湯温泉
高湯温泉9/13 9:00 (東北道)10:30 郡山市浄土松公園 12:00 (磐越道・北陸道)19:00金沢
 
結局岩手の浄土ヶ浜は遠すぎるということで断念した。特にバイク初心者の明恵が参加していることもあり、あまり無理はしないことにした。
 
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ツーリング参加者は、金沢ドイル(青葉)、吉田君、明恵、真珠の4人で、吉田君(Ninja 1000)が先頭、明恵(YZF-R25)、真珠(GSX250F)、と続き青葉(FJR1300)がしんがりを務める。神谷内さん、森下カメラマン、幸花は別途放送局のカローラフィールダーで一緒に行くことにした。運転は神谷内と幸花が交替でおこなう。
 
バイクの4人、車に乗る3人が全員インカムをつけており、常時グループ会話ができるようにしている。この会話は録音用にもう1台同じインカムを用意し、これにピックアップを付けていて全部録音しておく。このインカムは16人までグループトークできる優れものである(同時にマイクを使用できるのは6人まで)。
 
この日程は幸いにも雨が降らず、念のため用意していた雨対策の装備は使わなかった。明恵や真珠は浄土平の風景に感動し、また浄土松公園の奇岩に騒いでいた。
 
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「やはり女の子たちが騒いでいる所は絵になるねえ」
と神谷内さんは言っていたが、幸花は「女の子ねぇ…」と腕を組んで微妙に悩んでいた。
 

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このツアー中に青葉は、喜多方で泊まった夜、明恵と真珠から女の子の身体になってしまったことで相談を受けた。ちなみにこの日はホテル泊だったので、各個室にお風呂がある。部屋割りは、神谷内と森下、幸花と青葉、明恵と真珠、そして吉田君単独である。青葉が明恵たちの部屋に行って話を聞いた。
 
「性転換した原因は千里姉と握手したせいだと思う」
と青葉は言った。それで千里が現在“暴走中”であることを説明した。
 
「男に戻りたいなら、戻せる人を手配するけど」
と青葉は言ったが、ふたりとも
「女の子のままでいいです!」
と言った。
 
「でも原因が分かって良かった」
「実はまた突発的に男に戻っちゃわないか不安だったんです」
 
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「でも千里さんと再度握手すると、また性転換しちゃうんですか?」
「性転換したら、再度千里姉と握手すればいいね」
「だったら問題ない気がする」
 
それで病院で診察を受けた上で、半陰陽ということにして性別訂正をする方向で進めることにした。ふたりとも、取り敢えず母親と話し合うと言っていた。
 
なお明恵の高機能ブレストフォームの試用は終了することになるので、青葉からその旨、高園舞耶に連絡することにした。なお青葉は明恵の代わりのモニター利用者として、ハイライト・セブンスターのヒロシ!を紹介した。彼は同棲中のフェイに唆されて最近ほぼ常時ブレストフォームを付けてはいるものの、女の子になる気は全く無いので、安心してモニターができるはずである!もっとも彼の女湯進入を幇助することになるかも知れないが!?
 
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浄土ツアー2日目の高湯温泉では、明恵と真珠は青葉に連れられて女湯に入った。明恵は春の能登半島巡りでも女湯に入ったが、真珠は女湯初体験(本人の弁を信じれば)ということで結構ドキドキしていたようである。幸花はまだ2人が本当の女の子になってしまったことを知らないので
 
「あんたたち堂々と入るね。まあいいけど」
などと言っていた。実際には4人でけっこうガールズトークが盛り上がった。
 

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9月13日は、浄土松公園を見た後、磐越道に戻り、磐梯山SAで磐梯山を間近に見て一緒に早めのお昼を食べた所までで青葉は一行と別れた。磐越の上り・郡山方面に乗り直すが、郡山JCTから北へ向かい、安達太良SAに入る。ここで千里2と合流することにしていたのである。実際には向こうがこちらを見付けてくれた。波動で人を見付けるというのは青葉もできるが、千里姉の方が上手いよな、といつも思う。
 
ここで再度お昼を一緒に食べてから、千里2のオーリスに同乗して北上する。青葉のバイクは『回送させておくからキーだけ貸して』というので渡しておいた。きっと明日くらいには、高岡の自宅に戻されているのだろう!
 
千里が運転する車は途中、前沢SAで短い休憩をした他は、ほぼノンストップで青森まで走り、車ごと青函フェリーに乗る。
 
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青森20:30-0:20函館
 
そして函館から夜通し走り、輪厚(わっつ)PAで時間調整を兼ねて休憩仮眠する。そして朝7時頃、札幌に到着した。
 
「女の子になって便利になったことは、毎朝ヒゲを剃らなくてもいいことだと思わない?」
などと千里が言うので
「ちー姉も、私もヒゲを剃ったことはないはず」
と言うと千里は笑っていた。
 
「クロスロードのメンツでヒゲの処理をしていたのは、淳とあきらだけだろうね」
「呉羽はヒゲを剃っていたらしいよ」
「へー。あの子にヒゲって、あまり考えられないけどなあ」
 
「明恵ちゃんと真珠ちゃんもクロスロードに勧誘する?」
「明恵ちゃんはCBFに誘われて入っちゃったらしいから、たぶん真珠ちゃんもそちらに入るんじゃないかな」
「素早い!」
「フェイちゃんが勧誘したらしい」
「どこでそういう子を見付けるんだろうね」
「情報網が凄いね」
 
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千里と青葉がホテルに入って行くと、ちょうどロビーで今日の花嫁(玲羅)と花婿(長内陽介)が一緒に食事をしているところだった。
 
「結婚おめでとう」
と言って、青葉の祝儀と千里2の祝儀を渡した。
 
「今着いたの?」
「そうそう。昨日の昼頃東京を出て夜通し走って来た。青葉はバイクだったから途中で拾って一緒に車で来た」
 
「千里さんは青葉さんを迎えに行ったの?」
と長内さんが不思議そうに訊くので
「そうそう。東京まで迎えに行った」
と千里2が答える。
 
「東京まで?」
と長内さんが驚くので
「姉貴は冗談がつまらない」
と玲羅が言っていた。
 
長内さんが混乱しているのは千里1が昨夜の内に来ていたからである。むろん彼は千里が3人に分裂していることは知らない。
 
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千里1は桃香と一緒に、早月・由美を連れて新幹線で昨日の内に札幌に入っている。長内さんとも挨拶を交わしていたであろう。
 
経堂9/13 4:49-5:06新宿5:13-5:32東京6:32-10:53新函館北斗11:09-14:41札幌
 
おとなだけなら飛行機のほうが楽だが、子供を2人も連れて飛行機はなかなか大変である。泣いたりしないように気を紛らせてあげているだけで、大人がくたくたになる。それで新幹線を使うことにしたのだが、朝が苦手な桃香を4時に起こすのは、きっと大変だったろう。
 

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