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■春花(18)

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9月末、ローズ+リリーのカウントダウン・ライブが、今年も昨年と同じ小浜市のミューズ・シアター+アリーナで行われることが発表された。例によって宿泊とセットの申し込みが多数見込まれた。今年も§§ミュージックの若手歌手たちが前座に出演する。
 
■入場&ウェルカム・パフォーマンス
10:00 出店関係者入場開始
13:00 観客入場開始
14:00-16:30 地元の小学校や民謡団体のパフォーマンス
 
■イブニング・パフォーマンス(司会山下ルンバ)
18:00-18:30 §§Junior Stars 東雲はるこ・町田朱美・石川ポルカ
18:30-19:00 小浜JH合唱団(市内の中高生有志による合唱団)
19:00-19:20 阿東梨鈴(○○プロ所属 2019.11debut)
19:20-19:40 花咲ロンド
19:40-20:00 今井葉月
20:00-20:40 §§Young Stars 西宮ネオン・原町カペラ・石川ポルカ
20:40-21:20 §§Senior Stars 桜野レイア・桜木ワルツ・山下ルンバ
21:20-21:40 姫路スピカ
 
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§§ミュージックのタレントの出演は、花咲ロンド・今井葉月・姫路スピカがソロで。他は3人ずつのユニットでになったが、人数の都合で石川ポルカがJuniorとYoungの2つに出ることになった。
 
ここには§§ミュージックの4大スター(アクア、品川ありさ、高崎ひろか、白鳥リズム)は出演しない。東京でのカウントダウンや紅白に出場した後、直接新年会のある福岡に移動することになっている。ここ数年元日に福岡でアクアのライブ、そして§§ミュージックの新年会というのが定着している。
 
§§ミュージックのタレントの学年:
桜野レイア(23) 桜木ワルツ(21) 山下ルンバ(21) 品川ありさ(20) 高崎ひろか(20) 西宮ネオン(20大2) 花咲ロンド(20大2) 姫路スピカ(19大1)
アクア(高3) 今井葉月(高2) 原町カペラ(高2) 石川ポルカ(高1)
白鳥リズム(中3) 東雲はるこ(中1) 町田朱美(中1)
 
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「葉月(ようげつ)ちゃん、何歌うの?」
と、彼(彼女?)の事実上のマネージャーのようになっている桜木ワルツは尋ねた。葉月は普段の活動はアクアのボディダブルの他は女優としての活動だけで、歌手デビューはしていない。していない主たる理由は時間が無い!からである。ローズ+リリーのマリなどは葉月ちゃんに歌を提供したいと常々言っているのだが。
 
「夏の小浜(アクアのライブ前座)で北里ナナの歌を歌って好評だったので、またそれで行こうかなという気がしているんですが」
 
「でも葉月ちゃん、たまには男性歌手の歌を歌ったら?葉月ちゃんが男子だということ、最近社長でさえ忘れている気がするよ。ミスチルとかどうよ?」
「あ・・・そういえば、私男子でしたっけ?」
「自分でも忘れちゃった!?」
「最近普通の男の子に戻る自信がなくなってきました」
「ちんちん付いてるよね?」
「ここしばらく見てない気もします」
「うーん・・・」
 
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と言ってワルツは腕を組んだ。
 
(葉月はあまりにも多忙なので本当に男の子の身体だった頃のことを忘れつつある。そもそも昨日のことも覚えていなかったりする)
 

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ところで和実が2017年3月仙台にオープンさせたメイド喫茶《クレール》であるが、TKR関連のライブ、信濃町ガールズの定演などもあり、土日はまあまあの売上げがあるものの、やはり市街地から遠いこともあり、平日はガラガラの状況が続いていた。2018年夏、近所にクレールに便乗する形で出来た屋台村も1年ほどで多くの出店者が撤退してしまい、2019年秋の時点で残っているのは2軒のみである。しかし淳のお給料もあり、また和実がムーランの株主になっていたおかげでその配当が凄まじく、おかげで巨額の銀行ローンを返済しながらも潰れずにやっていくことができていた。
 
2018年10月から2019年3月に掛けての和実の妊娠出産も、ライムが退職した後を引き継いでチーフになったマキコ、和実の友人の梓・照葉・伊藤君らの奮戦、東京のエヴォンからのメイド派遣などもあり、何とか営業を維持した。
 
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そんな折り、冬子は唐突にその話を聞いたのである。
 
「隣にイオンができる!?」
「仙台市議さんが誘致に熱心らしいです」
「でもそばにイオンなんかできたら、みんなそっちに行っちゃうんじゃないの?」
と冬子は言う。
 
巨大なイオンタウンがそばにあったら、誰もそんな所に喫茶店があることなど気付かないだろう。むしろイオンに来た客がクレールの駐車場に勝手に駐めて買物に行ったりするかもしれない。それに騒音で、落ち着いてコーヒーを飲む雰囲気ではなくなってしまうかも知れない
 
「ダメかも知んない」
と和実は、ため息を付いて言った。こんな顔の和実を見たのは初めてだと思った。
 
「万一の時は、銀行の借金は私が返してあげるから、変なことだけは考えないでね」
「ごめん。本当に万一の時は頼むかも。でもできるだけ頑張る」
と和実も唇を噛みしめて言っていた。
 
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和実はクレールを作る時に店舗と自宅の建設費として銀行から1.2億借りていて毎月36万円の返済をしているがお店の利益からこれを払うのは困難で、淳の給料とムーランの配当無しでは成り立たない。結果的に淳は仕事をやめられず、夫婦別居生活が続いている。(政子から借りた残額の3500万円については、政子が「軌道に乗るまで返済は延期しよう」と言っているので、その言葉に甘えている)
 

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青葉は冬子からその話を聞いて疑問を感じた。
 
「あんな所にイオンを作るっておかしいです。2kmも先にはイオンモール名取がありますよ。そもそも震災の爪痕で周辺人口の少ない地区なのに」
 
「だけどイオンの先々代は『タヌキの出るような所に店を出せ』と言っていたらしいよ」
「山の中なら分かりますが、あそこにタヌキは出ないと思いますよ。幽霊ならまだまだたくさん居ますけど」
「なんか凄い土地だなあ」
「和実が毎日2-3人は成仏させているはず」
 
「いっそお寺を建てる?和実に住職になってもらって」
と横から政子が言った。
 

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冬子も気になったので、弁護士さんに情報を収集してもらったのだが、どうも現時点では、その市議ひとりが熱心に活動しているだけで、イオン側の反応は不明らしい。ただ、イオンが来るかもという噂から周辺の土地の値段が突然あがり始めているということだった。
 

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青葉が7億円で“つい買ってしまった”土地に建てることになったスポーツ施設仮称“エグゼルシス・デ・ファイユ津幡”だが、2つの建物の内、体育館は播磨工務店(お金は千里と冬子が半分ずつ出す)、アクアリゾート(プール&スパ)はムーラン建設(お金は若葉が出す)が建築を担当し、地元の建築業者からもスタッフを受け入れることで、地元の建築業界と話がまとまった。いかにもこの道何十年という雰囲気の南田社長が地元の建築業者の社長たちを宴会に招待した上で、話をまとめてくれた。地元業者の中で萬坊工業という中堅の総合建築会社が、全体の統括をしてくれることになった。
 
ちなみに青葉は例によって南田が人間ではないことに全く気付いていない!(若葉だって察しているのに)
 
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しかし主たる建築物の建築費は千里・冬子・若葉が出してくれるおかげで、青葉自身がお金を出したのは土地代、池に関する処理と臨時50mプールの設置費用、駐車場の整備、取り付け道路の再舗装・デリネーター(路肩マーク)設置・道路と駐車場の融雪装置導入費くらいである。
 
(道路に熱線を埋め込み、また水を流す機構をつけて水で雪を融かす。この水で雪を融かす仕組みは北陸独特のもので、当然東北では不可能である)
 
千里・冬子・若葉は地主である青葉に賃貸料を払うことになるが、結果的にはこの賃料で臨時50mプールの維持費(主として管理人の給料と、清掃委託費、消毒薬剤の購入費)と取水・放水の管理委託費、冬季の除雪費用などをまかなうことができた。
 
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青葉は9月30日に土地の売買契約をすると、“清掃”と称して、池の水をいったん全部抜き、底面に溜まっていた土砂やゴミを全部取り除くことにした。
 
通常は池からあふれた水が下部にある調整池に流入するようになっているのだが、町の許可を取り、池の下方にある緊急流出口を開けて大半の水を調整池に落としてしまった(落とすのに4時間掛かる:落とすのは壁沿いの水路を使用するので落下エネルギーで調整池底面が傷むことはない)。
 
調整池に落ち込んだ水は、1000m3/h(0.28m3/s)で敷地の東側にある通称・辺来川(通常流量 6000m3/h正式名は無いらしい)に流すことができるので、この時は池に溜まっていた 8000m3が8時間で流出している(実は大雨の際は2km離れた二級河川の方へ流す水路もあるのだが、使用にはその都度、県の許可が必要である)。
 
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大半の水を抜いた後は、まずは大型のゴミを取り除く。タンス、自転車、子供用ブランコ、タイヤ、障子、本棚、エアコン、コタツ、ベッド、などなど不法投棄と思われるゴミが結構あった。レポートしている幸花が怒ってコメントしている。これらはムーラン建設の人が持ち込んでくれたクレーンで吊り上げ、ダンプに積み込み、処分場に持って行く。動物の死体が少々あったのだが、これは編集でカットして放送分には入れなかった。ちなみに人間の死体は無かった!
 
「人間の死体が必要なら2〜3体調達してくるけど。年寄りでも若者でも、男でも女でも男の娘でも」
と千里。
 
「それ、現時点では生きている人ではないよね?」
と青葉。
「死体なんてある所にはいくらでも転がっているし。男の娘の遺体は男の子をちょっと改造すれば作れるし」
「それ死体損壊では?」
などと言っていたから、神谷内さんが
 
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「警察と関わりになると番組制作が進まないから勘弁して」
と言った。
 
このあたりはどこまで冗談なのかが判然としない!?
 
魚については、魚の種類に詳しい人に来てもらっていたので、外来魚と在来種を区分けして、在来種は用意した水槽に移し(後日池に戻した)、外来魚は「僕たちが処分しておくよ」とムーラン建設の人が言ったので委ねたが、“美味しく頂いた”!らしい。
 
その後土砂の類いを取り除く。これはクレーンと似ているが、先がショベルになっている機械(ケーブル式ショベルというらしい)ですくって、取り敢えず池の近くに作った枠の中に入れた。水分が抜けるのを待ってからダンプに積んで捨てに行くことにする。
 
最後は流入口を少し開けて水を流しながらデッキブラシでお掃除して終了である(ここは明恵・真珠および彼女たちの友人を動員した。異様に男の娘が多かったが、みんな男の子並みに役立った)。このまま数日乾かしてから再度水を入れる予定だったのだが、2日後に雨が降って池は水深2mほどになってしまったので、もうそれでよいことにした。1日だけ干したことになる。
 
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この施設のプールやスパで使用する“水”だが、この池(満水時10000m3)から水を吸い上げ、浄水装置で浄化して使用することで、町側との話し合いがまとまっている。郷愁村でもそうだったが、大規模な水の使用は水道だけに頼られると自治体側も辛い。なお、“たまたま”溜まっていたら遊水池の水も使用してよい(基本的には大雨の直後しか溜まっていない)ことも“口頭で”同意を得た。要するに雨が降ったら貯水のチャンスである!
 
50mプールに蓄えられる水の量は、50m×25m×3m=3750m3で、池の容量の4割程度である。遊水池は75000m3で、50mプールの20倍もある。しかも実は遊水池の方が概して水質が良いが、遊水池は通常、空にしてある。
 
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通常川から水を取ったり流したりするのには、かなり面倒な手続きと時間が必要だし、めったに許可が降りないのだが、ここは既に10年前の開発の時にそのような手続きが行われ、取水・放水の設備も作られていたため、わりと簡単な手続きで許可が下りた。
 
基本的には以前の開発の時に当時の開発者が取得していた水利権が、10年経っても更新されなかったので権利放棄したとみなされ、新たな開発者に設定された形になった。権利料は、洪水調整機能を引き受けている代価として、認められている取水量(1000m3/h)までは無料!である。ただし、取水量・放水量・放水水質などの報告義務はある。
 
青葉はこれまでここを所有していた銀行から委託を受けて、これらの施設の管理をしていた会社に引き続き管理をしてもらうことで、銀行側、その管理会社と合意して契約を銀行から引き継いだ。細かな手続きは霧川裕子弁護士(霧川司法書士の息子?)に委ねた。彼(彼女?)は2016年に司法試験に合格。1年弱の司法修習を経て2017年秋に弁護士登録した(でもしばしば“司法書士事務所職員”の名刺を使っているし、父親から雑用でこき使われている!)。事務所は父の司法書士事務所に同居しており、“霧川司法書士事務所”“霧川法律事務所”という2つの看板が掛かっている。
 
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