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■夏の日の想い出・日日是好日(1)
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2022年11月16日(水).
紅白歌合戦の出場者が発表された。§§ミュージック関係では下記が出場する。
北里ナナ(アクア)、常滑舞音、ラピスラズリ、薬王みなみ(§§ミュージック)
羽鳥セシル(♪♪ハウス)
いづれも紅組からの出場である!
2022年11月下旬、大和映像の大曽根専務が信濃町の§§ミュージック事務所を訪れた。
「コスモス君、来年のアクア映画を決めよう」
「そうですね。ピーターパンとかシンドバッドでもやらせますか」
「ピーターパンはもちろんウェンディ役だよね?」
大曽根とコスモスは笑顔で相手の顔を見る。
「まあ去年から持ち越しになってる『ふたりのロッテ』『モモ』というのもあるんだけどね」
「双子向きの作品なら『王子と乞食』などというのも」
「でもどっちみち弟君も結構人気だから"Mr AQIA"にも出番をあげないといけないから主人公が男女2人というのがいいよね」
「それはありますね。アクアは女の子役のみの仕事は拒否しますし」
「そうなると、ピーターパンとウェンディをやらせるとか、『ローマの休日』の王女と記者とか、『ふたりのロッテ』や『王子と乞食』にする場合は片方は女性ということにしよう」
「つまり男装・女装が発生するんですね」
「観客にはあまり男装・女装と思われないかも知れないけどね」
「結果的に入れ替わっているのが観客に分からない」
「気付かないだろうね」
「それは困った問題ですね」
「すると同性の双子が入れ替わる原作は難しいなぁ」
「それで異性の双子の話はどうだろうと思うんだよ」
「そういうの何かありまししたっけ?」
「『まりあ†ほりっく』とか?」
と川崎ゆりこ。
「それは面白いけどアクアは絶対拒否するし日本以外では知名度が無い」
とコスモス。
大曽根さんは困惑している。どうもこの話を知らないようである。
「双子の兄と妹が入れ替わる話で『とりかへばや物語』の高校生版みたいなものですね」
とコスモスが簡単に説明する。
「へー。知らなかった。読んでみようかな」
(いや、読まない方が良いと思うぞ)
「それで大曽根さんのお勧めは?」
「Twelfth Night、十二夜とかどう?」
と大曽根は言った。
「あぁ」
とコスモス。
「シェイクスピアですか?」
と川崎ゆりこ。
「そうそう」
「使えるよね?」
「2006年に『アメリカン・ピーチパイ』(原題:She' the Man)なんて映画にもなりましたね」
とコスモス。
「ああ、あれですか!」
と川崎ゆりこが驚く。
「あれは舞台を現代の高校に置き換えただけでわりと原作に忠実な作品」
「へー!」
「嵐でバラパラになった双子の女の子の方が男装して公爵に仕える。彼女は公爵が好きになったが男として仕えてるからそんなこと言えない。公爵は別に好きな娘がいてその娘へのラブレターの配達を彼に頼む。ところが娘はそのメッセンジャーの方に惚れてしまう」
「郵便屋さんを好きになるパターンですか!」
「困ってた時に男の子のほうがその娘と遭遇して娘が言い寄るので悪くない気がして結婚してしまう」
「ああ、到達点が見えた」
「公爵が激怒してるところに双子の双方が一緒に現れて事情が分かる。男装していた女の子のほうは『私実は女なんです』とカムアウトし公爵に愛を告白しそれで全てまとまる」
「アクアに『私本当は女なんです』というセリフを言わせることに価値があるな」
「和泉ちゃんが怒りそう」
「シェイクスピアって割と強引にみんなくっつけちゃいますね」
「“ヴェイユの結婚問題”(*1) だな」
「これは同じく双子をネタにした『間違いの喜劇』の数年後に書かれた作品。あれで男の双子を扱ったから今度は男女の双子でやってみたんだろうね」
「あ、『ややこしや〜』てやつですね」
「そそ。野村萬斎さんがやってるね」
「後から書かれただけあってこちらが出来がいいですよ」
「男女の双子って結構扱いにくい素材なんですけどね。シェイクスピアはとてもうまく処理した。男女の双子でないと成立しないストーリーを創り上げた」
「『お気に召すまま』と似たような執筆年代なんだよね。どちらが先かは分からない」
「私はこれが『お気に召すまま』の原形のひとつだと思うなあ。あちらの方がよりややこしいことになってる」
「ただ『お気に召すまま』では「ごめんね。ぼく女だったんだ」と言ってフィービーのプロポーズを断ってるけどこちらは受け入れているという意味ではちちらが進化形である可能性がある」
「なるほど、それはあり得ますね。2つの愛を受け入れるには2人になればいいんですよ」
「意味深だね」
「特異点の解消問題ですね」
「同じ原理だね」
「でもこれアクア姉弟でないと撮れないね」
「ええ、過去の映画化では1人2役で撮影してることが多いですけど男女両方を演じられる役者さんって少ないんですよ」
「2006年の『She is the Man』では全く別の俳優さんを使ったけどそこだけが原作と設定が異なっていた」
「ビビアン・リーが双子の双方を演じたとがあるけど彼女だと女性的過ぎたと思う」
「アクアにピッタリ!!」
それでコスモスと大曽根さんは握手したのであった。
(*1) “ヴェイユの結婚問題”。これは数学上の下記のような定理である。“問題”と言うが、未解決問題ではなく証明された定理。
同じ人数の男性グループ、女性グループがあり、男性のグループの任意のn人に対してそのお友だちの女性を集めたら必ずn人以上になるなら、お友だち同士をうまく組み合わせて全員をめでたく結婚(男女婚)させることが可能である。
ヴェイユが発見したのは「可能である」ということだけであり、実際にそういう組み合わせを見付けるのはまた別の問題になる。現代では人工知能により解かれる。
同類の問題として“秘書問題”などというものあるが解決方法は同じである。この手の問題では各人が最良のガールフレンドと結婚できる確率は1/e=約37%になることが知られている。eは自然対数の底である。
e = 2.718281828459045
船人(2.71) 奴は(828) 一発梯子(182845)
鮒(27) 一鉢二鉢一鉢二鉢(1828 1828) 至極惜しい(459045)
民謡の若山流で次期家元のことが話題になっていた。若山流では家元は70歳になった年の年度末で引退し、次の人に譲る。これはしっかりした声も出ないのに名前だけの家元に留まることは許されないという考えから来ている。家元は実力的にも派のトップでなければならないのだ。病気等で実力が衰えた場合は70歳になる前に引退する場合もある。
家元は自分の子供や直系弟子に継がせることは許されない。若山流を作った桜家・橘家・藤家の3つの派から、順に各家の中で最も優秀な人(委員による投票)に継がせる。初代が桜家、2代目橘家、3代目藤家を経て現在の桜家の4代目若山桜盛(1952生・本名:西川令子)が2009年4月から家元を務めていた。本人が70歳になったので2023年3月で引退することになる。
もっとも彼女は今でも物凄い歌唱力を持っており、声もまだ50代であるかのように若い。年齢規定が無かったらまだ引退しなくてもいいのではないかというくらいである。
委員の評価は現在橘家の中で58歳の若山橘水と52歳の若山橘鳥の2人を候補として各々が多数派工作をしている所のようである。2人は従姉妹で本来は結構仲が良い。
まあ私には直接関係無いことなので、様子を眺めている状態である。投票は新年1月8日(日)に行われる。結果のみが発表され、得票数などは公開されない。
一応従姉の若山鶴朋(1971) は委員になっているので私の所にもあれこれ言ってくる人があるが一切聞かないことにしている。中にはいきなり現金100万を持ってきた人もありギョッとした。
(鶴派トップは若山鶴音(74 本名:水野乙女)だが委員は65歳までなので娘の鶴朋(51 本名:今田友見)が継承している。しっかりした耳で聞かなければ正しい評価はできないという趣旨)
11月30日(水).
薬王みなみの4枚目のシングル『123で撃つのだぞ』が発売された。7曲入りだが、短い歌が多いので演奏時間は普通のシングルの長さである。
『進め突け引け』(蜂矢仁美作詞・滝川連歌作曲)
『競争競争さあ競争』(蜂矢仁美作詞・南海妃呂作曲)
『123で撃つのだぞ』(水野歌絵作詞・大宮万葉作曲)
『急げ急げさあ急げ』(蜂矢仁美作詞・南海妃呂作曲)
『天王山』(琴沢幸穂作詞作曲)
『戦わずして引く』(高村梓紗作詞作曲)
『変わらない距離 duet版』with立山煌 水野歌絵作詞・鹿賀カノン作曲
最後の曲以外は「The天下」で使用予定の曲である。
滝川連歌は松本花子の新しいブランチ(枝)で唱歌に特化したシステムである。二部形式16小節が基本であり、サビの無い曲を生成する。8分音符までしか使用しない。基本3和音以外は使用しない、などの特徴がある。
『競争競争さあ競争』と『急げ急げさあ急げ』は同じ曲の歌詞違い。しかし松本花子をフル動員したほか、青葉(大宮万葉)、千里(琴沢幸穂)、花ちゃん(高村梓紗)が曲を書いている。けっこうゴージャスだが、伸び盛りの薬王みなみだからこそこまで労力を注ぎ込んでいる。
最後の曲は先日、立山煌のCDでアコスティック版を公開したみなみ・煌のデュエット曲だが、こちらでは電気楽器を使用したバージョンを公開している。
全曲伴奏は“浄瑠璃バンド”と初めてクレジットしたが実は暫定バージョンである。今回の参加者は下記。
Gt.三田雪代 B.篠崎希 KB.三村愛美 Dr.中畑結貴
キーボードとドラムスを演奏してもらった2人はロックバンド“3×4”(three by four) のメンバーである。3×4はσσプロダクションに所属していたが今年の夏にリストラで契約解除された。メンバー5人の内3人は別の仕事に転職したが、この2人は新たなメンバーを入れてバンドを復活させたいと考えていて派遣で食いつなぎながらメンバーを募集中である。
三村さんは(多分)女性である。中畑さんは男性だが・・・美形だしスリムだしで
「中畑さん女装しないんですか?」
「なんで?」
「スカート穿いてみましょう」
などと言われて今回はスカート(W69)を穿いてドラムスを打っていた。
「癖になりそう」
スカートは性転換への一里塚。
12月7日(水).
アクアの記念すべき30枚目のシングル『アテネの知恵/彫刻の森』が発売された。発売と同時に百万枚を突破し、アクアの30枚目のミリオンとなった(この他に北里ナナ名義でも11枚のミリオンがある)。収録された楽曲は4曲。
『アテネの知恵』甲斐流星作詞・大宮万葉作曲(少年探偵団VI主題歌)
『誰が誰だか』南国花野子作詞・醍醐春海作曲(同挿入歌)
『1億5千万kmの彼方から』加藤珈琲作詞・琴沢幸穂作曲(太陽光パネルCM)
『彫刻の森』柴田邦江作詞・ケイ作曲(写真集テーマ曲)
アクア主演最終シーズン『少年探偵団』の主題歌と挿入歌、それからアクアがずっとやっているK製作所の太陽光パネルCM曲、そしてこの日同時に発売になった写真集のテーマ曲である。
前2曲のPVでは小林少年をはじめとする少年探偵団の全員が登場している。全員少年探偵団の制服姿である。津島啓太・浦野俊徳は女子制服を着ている!別働隊・黒豹の2人はスーツ姿である。
(きっと津島啓太はうまく乗せられて女子制服を着た。浦野俊徳はきっと女子団員から「はい制服」と女子制服を渡されて何も考えずにそれを着た)
“アマテラス・パネル”のPVでは天女の扮装をした多数の信濃町ガールズと一緒に舞っている。天女たちは白のシルクドレスだが、アクアもひときわ豪華なシルクドレスである。
「これ本当に男物なんですか?」
「もちろんだよ」
「でもスカートですよ」
「昔は男性もスカートだったんだよ」
(↑絶対分かってて欺されている)
「彫刻の森」は実際に現地で撮影していた動画の一部を使用している。多数の彫刻たちとティーパーティーをしている所や、ふたりのアクアが“希望”のポーズをするところなどが映っている。
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