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■夏の日の想い出・日日是好日(10)
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§§ミュージックは新宿信濃町西部のビルの3〜4階合計600m
2ほどを占めていたのだが、そのビルが建て替えになることになり、“西信濃町”内で引越をすることになった(*9)。色々探した結果、別のビルの3階と5階を借りることができた。それで10月、ちょうど長時間時代劇の撮影が行われていた時期に引っ越した。
「3階と5階に分かれるのは不便だなあ」
「まあ仕方無い」
ところが2階に入っている会社が2023年1月1日付けで他の会社に吸収されることになった。それでビルを所有している不動産会社から打診があったのである。
「§§ミュージックさん、2階を借りたりしません?」
「5階と交換で」
「いいですよ」
ということで前の会社が12/31付けで退去するので整備作業を経て2/1から5階の代わりに2階を借りて、2−3階に入居することになった。
(*9) 信濃町は町の中央を外苑東通りが南北に走っており、その東側には某宗教団体の本部があり、関連施設も多い。§§ミュージックは設立以来何度も引っ越してはいるが、最初の2ヶ所(1996-2009) を除いては外苑東通りより西側の町域に事務所を置いている。
こちらは前のビルより少しだけ広くなり、合計800m
2ほどある。3階・5階になった時、3階に応接室・会議室の類い、ミニホール、社員食堂など、5階に執務室や仮眠室・資料室などを設定した。その5階が2階に移動したので、マネージャーの大部屋、出納係などが2階に移動する。この時、コスモスは2階のレイアウトを少し変えた。
5階の時は大部屋の隣にVIP応接室(名目上は社長室:実際にはコスモス自身は普段大部屋のワークデスクのところにいる)があり、その隣には30m
2ほどの目的のよく分からない部屋があった。前のビルより広いため一時的に空きスペースができていたのである。コスモスはここを2DK風に改造してコスモス自身が個人で§§ミュージックから借りることにしたのである(賃料100万円/月)。
「なかなか帰宅できないから、泊まる時は仮眠室じゃなくてここで寝る」
とコスモスは言った。
「それは堂々と社長控室とかにして無料で使えばいいのに」
と私(ケイ)は言ったのだが
「そういうことにしたらパブリックな場所になってそこでセックスとかできないし」
「ごめん、私、休憩室でセックスした」
「示しがつかんなぁ」
「まあ家賃相場の高い地域にプライベートな場所を借りる以上、家賃は払う」
とコスモスは言った。むろん月100万はコスモスにとっては全く負担感は無い。
「ここで赤ちゃん産もうかな。そしたら妊娠の週数が進んでもここで仕事が出来る」
「ちゃんと産休取りなよ〜」
「種(たね)の提供者はどうするんですか」
とゆりこ。
「3月くらいからはここに住んでもらうか」
「ああ」
「料理人兼任で」
「いいんじゃないですか。妊娠頑張りましょう」
「木取さんがいつも居るのなら、色々用事が頼めるな」
ゆりこは大晦日に妊娠が判明。予定日が8月27日なので5月7日〜出産3ヶ月後を産休とする。どうしても幹部が不足するので、米本愛心に音楽部長代理になってもらった。
ちなみに彼女が参加しているColdFly5は現在事実上の活動休止状態にある。田倉友利恵と栗原リアがドラマのレギュラーを持っており、花咲鈴美は4月から高3だが大学進学を考えていて“メンバーが全然集まらない”のである。
2023年1月1日10:00.
§§ミュージック恒例の“年会”を始めた。今年もリモートでの開催。これで21,22,23 と3年連続である。ただし昨年までは各地方の研修所まで来てもらっていたのが今年は各自の自宅からのリモート参加になった。
参加するのは§§ミュージックのタレント、信濃町ガールズの本部生(信濃町エルフを含む)、♪♪ハウスの一部の子(松梨詩恩・羽鳥セシル・Flower Sunshine)、トラフィックのメンバー、そして§§ミュージック音楽教室の特待生(地方ガールズ)である。お年玉は今年も地方生にはQUOカードを郵送している。現金を振り込むと親に「ちょっと貸して」と言われるからである!
(今回初参加になったFlower Sunshineの子たちは「わぁいお年玉」と喜んでいた)
いつものようにコスモスの挨拶のあと、私が音頭を取ってお屠蘇代わりの三ツ矢サイダーで乾杯する。お料理は冷凍した状態で年内に各自の自宅に届くように配送している。
A契約タレントの挨拶は今年も各自の書いたものをネットに公開し、タレントを代表して最古参の品川ありさがリアルで挨拶し、他はまとめたものを読んでねということにした。
ここでゆりこから「もう食べていいよー」という声が掛かる。そしてこのあと、A契約のタレントの中で歌手契約の人の歌唱が1組3分ずつ披露される。基本は“出席番号順である”。
品川ありさ
高崎3姉妹
アクア
西宮ネオン
花咲ロンド
姫路スピカ
白鳥リズム
七尾ロマン&石川ポルカ
桜野レイア
川内みねか
原町カペラ
Lapis-Lazuli with 甲斐姉妹
Vent-d'or with 大崎忍
恋珠ルビー&花貝パール
常滑真音with スイスイ
(羽鳥セシル)
(Flower Sunshine)
美崎ジョナ
立山煌
薬王みなみ
広瀬みづほ
月城たみよ
川泉パフェ
但し諸事情により順番を入れ換えた人もあった。年会はお昼前に終わり、締めの挨拶は川崎ゆりこがした筈だが、私はアクアの歌唱を聴いたあと仮眠させてもらった。
そして私が年会をやっている間、マリの方は中村晃湖さんにきてもらい4時間にわたってヒーリングをしてもらっていた。マリは眠っていたらしいが
「この方が深い所まで治療できます」
ということだった。マリは目覚めた時涙をたくさん流していたらしい。
2021年1月1日13:00.
あけぼのテレビでの生中継が始まる(あほぼのテレビ系ネットTV等同時放送)。
降りたままの緞帳の前に、加賀友禅の振袖を着た古屋あらたが登場して宣言する。
「これより2023年ローズ+リリー・ニューイヤーネットライブを越谷市の小鳩ホールからお届けします。このライブは定額会員の方が試聴できます」
それで緞帳があがるとそこに居るのは“マリ人形”とケイである。私は説明する。
「このライブを企画した時、マリの出産予定日との絡みが問題になりました。マリは2022年8月2日が予定日でしたので、常識的には2023年1月のライブは行けるはずです。でも万一の場合にキャンセルになっては申し訳無いのでチケットの発売は保留しておりました、そして実際マリは、以前の2度の出産では比較的短期間で回復したものの、今回はどうも調子がよくないようでした。それで私はいったんニューイヤーコンサートはしないことにしたのです」
「しかし無いのは寂しいというファンの声が多数ありました。マリは歌えることは歌えるのですが、2時間のライブをするだけの体力がまだ無いようでした。そこでマリの声は録音を使わせてもらい、私だけ生で歌うことにしたのです。それで私の横にはマリ人形を立てています。以前KARIONのライブやローズクォーツのライブで私の人形を立てておいたことがありますが、それ以来ですね。でもこれでは“ローズ+リリーのライブ”とは言えないので今回は定額視聴料だけで見られる設定にしました」
(回線のキャパが怖かった。フレームダウンすれすれだったと則竹さんから文句を言われた)
「なおマリはこの会場に来ており、きっとMCで茶々を入れてくれるでしょう。マリ〜,ご挨拶」
するとマリの声が響く。
「みんなごめんね〜。なんか調子悪くて、ほんとごめんなさい」
それで拍手が返ってきた。
ちなみにマリは楽屋に居て、とても楽な椅子に座り、おやつ・おせち・おもちを食べながらこのライブを観ている。そばにはベッドも置いてあり、横になって聞いていても良いことにした。そばには妃美貴が付いていてくれる。
今日の伴奏はマリがいないのではあまり大がかりにしても申し訳無いので、基本のスターキッズ
Gt.近藤嶺児 ASax.近藤七星 Bass.鷹野繁樹 Dr.酒向芳知 Mar/Vib.月丘晃靖 Pf.氷川詩津紅 Tb.宮本越雄 Tp.香月康宏
にマリーンコートの一部(北陸組)に入ってもらっている。
Fl.田中世梨奈 Cla.坂上透 TSax.日高久美子 Horn.吉田邦生
今回はストリング無しである。
今回マリの歌が録音なので私はそれに合わせて歌う。するとドラムスの酒向さんがその歌を聞いて前乗りでドラムス打ってくれる。他の楽器はそれに合わせるので結果的にそれで全体が合うことになる。つまりこのライブは酒向さんのすぐれたリズム感に頼っている。
前半は制作中のアルバムの曲も混ぜて、『雲と風の歌』『星のふるさと』、『ソランラソラ』『虹の隙間』『傘を忘れる法則』『Rain』『赤い服』、『夜12時の女の子』『Burning Snow』『白い雪・愛のテーマ』
マリは曲と曲の間でかなりおしゃべりして結果的に前半12曲の予定が10曲しか演奏できなかった。
幕間には今年§§ミュージックからCDデビュー予定の3人に来てもらい、歌唱してもらった。
広瀬みづほ(高1)『天神様で見付けた恋』
月城たみよ(中2)『網引きの子守歌』
川泉パフェ(中3)『はちみつパンケーキ』
伴奏は“くれは西”である。
Gt.入瀬ホルン、B.麻生ルミナ、Vn.入瀬コルネ、Fl.紺青セイラ、Dr.山本コリン
“くれは西”にドラムスを打てる人がいないので同じ富山県出身のスポーツ少女・山本コリンがヘルプしてくれた:彼女は富山市西部の出身で実は彼女も呉西の人。
幕間の間は、政子はずっと中村さんのヒーリングを受けていた。
そして後半は、いつものようにローズ+リリーの過去のヒット曲を辿るように歌っていく。
初期の頃ライブでだけ歌っていて長く音源化していなかった『言葉は要らない』に始まり、アマチュア時代の名作『虹の願い』『天使に逢えたら』、中期の名作『振袖』『寒椿』、マリの夢を楽曲化した『青い豚の伝説』、問題作『雪が白鳥に変わる』、最近の話題作『歯磨き味のイチゴ』そしておなじみの『ピンザンティン』 でいったんノーマルステージを終える。そしてサービス・ステージで『影たちの夜』、最後に私のピアノのみの伴奏で『あの夏の日』を演奏して時間通りに終了。
(13曲の予定が11曲しか演奏できなかった)
『雪が白鳥に変わる』では白鳥リズムが雪の中で踊りながら少年の姿から少女の姿に変身する様子をステージ上で演じてくれた。『振袖』『寒椿』で使用された和楽器に関しては、龍笛は千里のほか、風帆伯母(名古屋からわざわざ出て来た)・今田一家がやってくれた。
これで少し変則的な2時間のライブを終えた。最後の2曲だけはマリも
「自分で歌う」
と言って人形をどけてもらって生で歌った。
生のマリが登場した時、観客の興奮が凄かった。則竹さんがフレームダウンの指示をいつでもできるようにスタンバイしていた。
マリはライブが終わった後またずっと中村さんのヒーリングを受けていた。
結局マリは電話で会話する程度には楽しかったボーイフレンドを失った痛手以上に、多数の人を守るため、大輔とは関係ないしあの人が勝手に来て赤ちゃんを抱いてただけとか、冷たく突き放す必要があった。そのことで自分を責める気持ちがあり、その苛む気持ちと自分がしなければならないこととの葛藤で苦しんでいた(*11)
中村さんは『死人貧乏(*10) は仕方無い。君はよくやった』と励ましてくれたし、マリの行動を正しい行動だと評価してくれた。そこからマリは自分の立ち位置を確認し、立ち直っていく。(*12)
(*10) 死人貧乏とは、死んだ人が悪かったことにして生きてる人がやりやすくすること。死んだ人より生きている人の方が大事であり、生きている人のメリットを取るべきという合理主義にもとづく考え方。
また逆に亡くなった人の遺族が「全部あの人が悪いことにされてる」と嘆く意味でも使用される。
(*11) マリの言動に怒った大輔の母は夏絵をリンナに預かって欲しいとリンナに連絡したが、リンナがマリの言動の“意味”を説明し、それで母は納得した。
「マリちゃんも辛かったんだね。頑張ったね。でもそれじゃかえでは私の孫じゃ無いの〜?」
「私は顔を見てすぐ父親が誰か分かりましたよ。別の芸能人です。今名乗り出ないのは騒動に巻き込まれたくないからでしょう。でもマリちゃんちには行ってるようですよ。マリちゃんは大輔さんとは去年の夏に別れてたんですよ」
(*12) 12/25 早朝刑事さんが来て最初ケイが応対していた10分程の間に実は青葉からマリに電話があり(*13)、その短い対話でマリは全て関係無いと主張する方針を決めたのである。青葉はかえでの父親が誰か知っていた。
「だって赤ちゃんの顔を見たら誰の子供か分かりますよ」
と青葉は言っていた。
実はかえでの顔を見て
「この子、あやめちゃんの妹じゃん。すごく似てる」
と思った人は多数いた。いまだに気付かないケイが変。
(*13) 電話を掛けたのは千里(5番Grace)に頼まれたグラナダの青葉R。
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