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■春からの生活(24)

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4月5日の夜。《こうちゃん》が赤羽のマンションを訪れると、龍虎のひとりが裸になっているので、ギョッとする。
 
「お前ら何やってんの?」
「あ、こうちゃんさん」
 
「この子たちに女の子の構造を教えてあげていたんだよ。性教育」
と言っているのは多分龍虎Fだろう。
 
「そんなもん、安易に男に見せるもんじゃないぞ」
「他の男には見せないけど、自分で自分のを見るのはいいんじゃない?」
 
「ところでNはどっちだ?」
と《こうちゃん》は、かなりドキドキした顔をしていたふたりの龍虎に訊く。やはり自分たちには付いてないものを見て、息を呑んでいたのだろう。
 
片方が手を挙げる。
 
「パンツを脱げ」
「え?」
「いいから」
 
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パジャマを脱ぎ、パンティーを下げると、そこには女の子のお股に見える股間が露出する。
 
「タック外して」
「はい」
 

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除光液とハサミを使ってタックを外す。マニキュア用の除光液でだいたい外れるのだが、どうしても毛にくっついて取れない接着剤の塊があるので、それはハサミで切ってしまうしかない。
 
《こうちゃん》は龍虎の股間に触り、指を少し体内にも押し込んで、睾丸が存在しないことを確認する。
 
「確かにお前Nだな」
「うん」
 
「じゃこれ取るから」
と言って、おちんちんを握ると、ぐいっと引っこ抜いてしまう。龍虎Nの股間からおちんちんが無くなるが、睾丸も無いため陰嚢が身体に張り付いていて、いわゆるヌルに近い状態になる。ヌルとの違いはおちんちんを抜いた跡がまるでヤオイ穴のように開いていることである。
 
「このちんちんはお前の本物。治療が終わったから、返す。本物だから大事にしろよ」
と言って、そこに別のちんちんをぐいっと押し込んでくっつけてしまった。
 
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「なんか大きい」
とNは自分にくっついたペニスを触りながら言う。
 
「僕のより大きいじゃん」
とMまで言っている。Fは触っている!
 
「それが3年前にお前の身体から取って、治療を続けていたもの。高校生にしてはやや小さいけど、中学生程度のサイズはあるぞ。タマタマの方はまだ待て。もう少し治療に時間が掛かる」
 
「うん。でもこんなに大きくてちゃんとタックで隠せるかなあ」
「要らないなら廃棄するが。サービスで女に改造してやってもいい。Fと同じ形にしてやろうか?」
 
龍虎Nは数秒考えたが
「取っちゃうのはいつでもできるから、今は付いてていい」
と言った。
 
なんとも龍虎らしい返事である。
 
「うん。じゃ時々“可愛がって”やれよ。じゃまた明日な。北千住駅に7時集合だから絶対遅刻するなよ」
 
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と言って部屋を出ようとして、まだFが裸であることに気付く。
 
「こら、ちゃんと服着ろ」
「はーい」
 
とFは返事して、下着を着け始めた。
 

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千里1は4月4日に仙台で体外受精をして(この作業には千里自身は全く関わっていない。卵子を提供したのは桃香で、精子を出したのは信次で、子宮に投入されたのは代理母の潘さんである)、信次と一緒に東京駅まで戻り、桃香と会食をした後は
 
「悪いけど仕事が溜まっているから」
 
と言って、信次と別れ、信次とは別ルートで千葉市内に移動して、青葉が借りてくれた(本当に借りたのは千里2)マンスリーマンションに入り、大量に依頼されている作曲の作業に取りかかった。
 
それで信次がひとりで帰宅したので、またまた康子を仰天させることになる。
 
そういう訳で千里1の「春からの生活」は、なかなか始まらないのである。
 

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2018年4月9日(月)、西湖は“天月聖子”の登録名で女子校である世田谷区のS学園高等部に入学した。
 
入学式を終えてから教室に入り、4年7組担任の大月先生のお話を聞く。その後、ひとりずつ自己紹介をした。入学式の時に教頭先生のお話で聞いたのでは現在この学校には64名、芸能活動をしている生徒がいるということだったので、1学年10人くらいの計算かなと思っていたのだが、このクラスには自分も含めて6人でびっくりする。どうも高校募集組の芸能人と音楽特待生を7組に集めたようである。(スポーツ特待生は8組に集めたらしい)
 
出席番号順(五十音順)で自己紹介するので、トップバッターで自己紹介した青島瀬梨香(歌手の田川元菜)には凄い歓声があった。まだ大きな賞こそ取っていないが、中高生にかなりの人気だし、昨年は1年間ラジオ番組 Times of JC の水曜日担当であった。彼女の自己紹介の後、しばらく騒然とした雰囲気が続く。
 
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2番の浅井童夢ちゃんを経て、出席番号3番、西湖の番である。
 
「なんか凄い人たちがいますね」
と言ってから
「こんにちは、天月聖子(あまぎせいこ)と申します。私も芸能活動していて、女優のはしくれで、今井葉月(いまいはづき)の名前で、あちこちに端役として映っているのですが、それ以外に男の子アイドル、アクアさんのボディダブルおよびリハーサル歌手をしています」
 
と言うと
「すごーい!」
という声があがる。
 
(西湖は葉月をいつも「はづき」と誤読されるので、もう「はづき」でいいことにしてしまった)
 
「いえ、凄いのはアクアさんで、私は事実上彼のスタッフなので」
と西湖は言うが、騒動は収まらない。
 
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「私、アクアさんと背丈がほとんど同じだし、わりと男装が行けるので、アクアさんがデビュー以来、代役を務めているんですよね。リハーサル歌手の時は代理歌唱もしないといけないので頑張って歌の練習をして何とか2オクターブ半くらいは出るようになりました」
 
「葉月(はづき)ちゃんって男の子の声も出るよね?」
「これかなり練習したんですよ」
と男の子の声で言ってみせる。
 
「それも凄い」
 
「アクアさんが1人2役すること多いので、アクアさんが女の子に扮している時は私が男装してアクアさんの男役の方の代理を務めます。その時、私が普通の声で話すと、雰囲気が出ないんで、さっき出してみせたような男の子の声でセリフを言うんです」
 
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と西湖は女の子の声に戻して説明する。
 
「もしかしてアクアちゃんと一緒に男声の練習したの?」
「そうなんです。お互いにチェックしあっていました。アクアさんは事務所の費用でボイトレの先生に就いて本格的に練習したんですけど、私はそこまでしてもらえないから、アクアさんが練習しているのを見て、真似して練習しただけで」
 
というと、笑い声が聞こえる。
 
そういう訳で西湖の自己紹介もかなり時間が掛かった。あんまり時間が掛かるので田川元菜が嫉妬するような目をしていた。それで西湖は言った。
 
「でもこんなに騒がれては困ります。私は凄いアクアさんのスタッフをしているだけで、それより田川元菜ちゃんとか、稲川奈那ちゃんとかは本人が凄いから」
 
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すると田川元菜も、突然名前を挙げられた稲川奈那も笑っていた。
 
このようにして西湖の女子高生生活は始まった。
 

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この日はごく普通通り、7時間目まで授業があった。明日からは朝7時登校である。通常の授業は8:25に始まる0時限目から15:50に終わる7時限目であるが、その前に7:10-7:55の補講、更に7時限目の後に15:55-16:40の補講があり、1日に授業が10回もあるのである。各々M(モーニング)時限目、8時限目と通称されている。授業日数不足になりやすい芸能人の生徒はM時限目からの登校を半ば義務付けられている。0時限目と1時限目の間の休み時間は少し長めの15分に設定されているので、その間に朝御飯を食べる子も多い。
 
西湖はさすがに出席できないが、土曜日も任意参加の授業が行われており、これで学力の低い子もしっかり指導するとともに、ハイレベルの子も鍛えられて上位の大学を狙うのである。昨年はお茶の水女子大合格1名を含む国公立大学合格15名の実績を上げている。“偏差値30”の底辺校と言われながらも、上の方はまた凄いのである。
 
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西湖はこの初日は15:50に授業が終わると、それに合わせて迎えに来てもらっていた事務所の車で放送局に入り、バラエティ番組のリハーサルに出た。アクアはその時間帯、ラジオ番組の収録をしており、そちらが終わってから放送局に来て、番組の本番収録に参加する。そしてアクアがその収録をしている間に西湖は今度は歌番組のリハーサルに出て、アクアの曲をしっかりと代理歌唱する。アクア本人はバラエティ番組の収録が終わってからこちらの放送局に来て、本番に臨んだ。
 
リハーサル歌手で大事なのは、体格や身長が本人と近いことが第1だが、できたら雰囲気や声質も本人と似ていると助かる。そのため芸歴の長い歌手はずっと専任のリハーサル歌手を伴っていたりする。あまりスポットライトが当たることは無いのだが、美空ひばりのリハーサル歌手を務めていた山本愛などは比較的知られている例である。
 
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実はアクアのリハーサル歌手は2015年度は高崎ひろか、2016年度は白鳥リズムが務めたのだが、昨年春から西湖が務めるようになり雰囲気が似てる!と言われて放送局関係者に評判が良いので今年度も引き続き務めることになった。
 
「どちらも男の娘だから雰囲気も似てるよね」
などと山村マネージャーは言うが
「ボク男の娘じゃないです〜」
とふたりともすぐ反応してくるので山村は楽しそうである。
 
(ちなみに山村マネージャーが女装者であることに、西湖は気付いていない)
 

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結局その日用賀のアパートに戻ったのは23時頃である。コンビニで冷凍うどんとハンバーガーを買ってきて、チンして食べる。オーブンレンジは千里が残していったものを使っているが、千里が料理好きだったことから、かなりしっかりしたものである。これで色々お料理してみたいなと西湖は思った。
 
S学園の女子制服もまだ脱がないままうどんを解凍している間に郵便物を見る。
 
「CBF事務局??」
 
心当たりの無い名前だなあと思いながら封書を開けると、天月西湖名義の会員証なるものと規約?が入っていた。
 
・CBF(Club Bain Femme)は女湯に入る会である。
 
・女湯に入るのは純粋に入浴するためであり、よこしまな気持ちを持ってはいけない。
・女性の裸を見て性的に興奮しないことが絶対条件。
・本人の性別は問わない。
・入浴時に化粧は禁止、水着は禁止。お股をタオルで隠すのも禁止。
・男性器が付いている人は何らかの方法で隠して見えないようにすること(一時的陰茎切断推奨)。
・バストが無い人は何らかの方法であるように見せること(一時的豊胸術推奨)。
・携帯電話やカメラなど撮影が可能な機器を持って入ってはいけない。
 
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・一緒に入っている女性の身体を注視したりしてはいけない。
・声を掛けられた時は、女声で明るく応じること。
 
・一緒に入っている女性たちに騒がれないように。女性たちに溶け込んで、まさか女ではないとは疑いもされないように、邪魔にもならないように、目立たず静かに入ること。
 
・最低2回は騒がれずに女湯に入った経験があれば入会資格を得る。
 

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「一時的陰茎切断とか、一時的豊胸術って無茶なこと言ってる」
と呟く。でもちょっと妄想してドキドキする。
 
銭湯の女湯の入口に「おちんちん預かり所」なんてあって、付いている人はそこで切断されて、お風呂からあがったあと、またくっつけてもらうとか!?
 
西湖は最後の行を見て吹き出した。
 
《CBF共同代表 久保早紀・成宮真琴》
 
(久保早紀は丸山アイの本名、成宮真琴はフェイの本名)
 
「何なの〜〜!?これ」
 
と西湖は呆れて声を出した。
 
 
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