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■春からの生活(10)

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18日の夕方、久しぶりに母が帰宅した。
 
西湖が勉強しているので
「あんた、まだ受験終わってないんだっけ?」
と訊く。
 
「明日最後の試験だから頑張る」
「でもこないだ1つ合格したんじゃなかった?」
「あそこは滑り止めというか」
「じゃそこに行けばいいじゃん」
「でもS学園は女子高なんだよ」
「あんた女子高に行くの?」
「そんなの行ける訳が無いから、必死で勉強してる」
「でも男子が女子高を受験させてもらえて、合格するもんなんだ?」
 
「ちょっと色々間違いとか勘違いとかあった末に、そういうことになった。女子として通学するなら受け入れられると言われてしまったし」
 
「ふーん」
と母は言うと、何か自分の机の中で探していた。
 
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「だったらあんた、ここに行けばいいよ」
と言う。
 
どこかの学校の案内かと思ったら病院のパンフレット?ここ美容外科??
 
「病院とか行って何するの?」
「女子ならそこに入れるんでしょ?だから入学前に女子になっちゃえばいい」
「え?」
「ほら、この病院では性転換手術をやってるんだよ。あんた性転換手術ってどういうふうにやるか知ってる?」
 
西湖は首を振る。
 
すると母は性転換手術の具体的な方法を説明し始めた。
 

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うっそー!?そういうことやるの?と初めて聞く手術内容にかなりのショックを覚えた。というか、あそこがむずかゆい気がする!こんな手術を受けることになっちゃったら、ボクどうしよう??ついでになぜかあそこが大きくなっちゃって、それが母にバレないように、さりげなくお股付近で手を組んだ。
 
しかし話を聞いてから西湖は言った。
 
「お母ちゃん、こういう時にジョークはやめてよ。ボク少しでも勉強していたいから」
 
「冗談じゃなくてマジなのに」
と母は言っていた。
 
確かにこの母は昔からジョークとマジの区別がいまいちよく分からない。西湖がわりと物事に動じない性格に育ったのは、母のジョーク(?)に随分振り回されてきたからだ。
 
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「もしあんたが女の子になるんだったら、成人式には振袖買ってあげるよ」
などとまだ母は言っている。
 
でも成人式で振袖か・・・。西湖は仕事柄これまで何度も振袖は着ているのだが、そういうの着て成人式に出るのもいいなあ、と少しそのシーンを想像した後で、でもボク女の子になりたい訳じゃないのにーと思う。
 
しかしともかくも母は「明日勝つように」と言ってトンカツを作ってくれたので西湖は「ありがとう」と言って笑顔でそれを食べてから、また夜遅くまで勉強を続けた。
 

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「天月西湖さん」
「はい」
 
西湖は名前を呼ばれて部屋に入った。西湖はもちろんセーラー服を着ている。
 
「あなたに当校に入学する許可をします」
「ありがとうございます」
「ただ当方は女子校ですので、入学する以上、女子になってもらいます」
「はい」
「今すぐ処理しますので、そこのベッドに寝て下さい」
「分かりました」
 
それで西湖がベッドに横たわると、スカートがめくられ、パンティが下げられる。
 
「では、女子生徒には不要なものを除去します」
「よろしくお願いします」
「少し痛いですが、我慢して下さい」
「はい」
 
それで何かされているようだった。
 
「処置が終わりました。あなたはもう立派な当学園の女子生徒です」
「ありがとうございました」
 
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それで西湖が自分のお股を見ると、おちんちんもたまたまも無くなっていて、きれいな縦の割れ目ちゃんができていた。
 
西湖はパンティーを上げ、スカートを戻すとベッドから降り、一礼をして部屋から退出した。
 

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そこで目が覚めた。
 
まだドキドキしている。
 
やはり、女子校に行くにはおちんちん取らないと行けないのかなあ、などと考える。なぜかそこが大きくなっていた。
 
自分の部屋を出て居間に行くが誰も居ない。母の部屋を覗いてみたものの居ない。母は西湖が起きる前に出かけたようである。
 
しかし台所に行くと、キッチンテーブルの上に朝食とお弁当が用意されていた。西湖はお弁当なんて作ってもらったことがなかったので凄く嬉しかった。
 
それで朝御飯を食べていたら、テーブルの上に何か書類も置かれていることに気付く。封筒に入っているので出してみると4枚ある。
 
手術同意書!?
 
《私、天月湖斐は、天月西湖が去勢手術を受けることに保護者として同意します》
《私、天月湖斐は、天月西湖が豊胸手術を受けることに保護者として同意します》
《私、天月湖斐は、天月西湖が甲状軟骨の切削術を受けることに保護者として同意します》
《私、天月湖斐は、天月西湖が性転換手術を受けることに保護者として同意します》
 
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全部署名捺印がされている!
 
日付は「年」「月」「日」だけ書かれているので実際の日付は好きな時に勝手に入れろという意味だろう。ところで甲状軟骨って何だっけ??
 
しっかし・・・もうほんとにお母ちゃんってジョークがきついんだから!(ジョークだよね?)と思いながら西湖はその4枚の書類を封筒に戻し、更にクリア・ファイルに入れて、自分の通学用リュックの中に入れておいた。
 
それから横浜市のG高校の試験を受けるためにお弁当と筆記具、受験票を持って出かけた。
 

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青葉は3月14日(水)に朝から新幹線で東京に出てきて、信濃町の§§ミュージックで打合せをした上で、夕方から、北新宿のTKRでアクアの12枚目のシングル『お江戸ツツジ/帯に短し襷に長し』の発売記者会見に出席した。
 
4月から始まる『ほのぼの奉行所物語』のエンディング曲と挿入歌をカップリングしたものである。岡崎天音・大宮万葉の曲と、琴沢幸穂(醍醐春海編)の曲で構成している。
 
なお、このドラマの主題歌は元FireFly20の神尾有輝子が歌う(大店の娘役)。そちらを書いたのはFireFly20の全ての曲の歌詞を書いている月村山斗さんで、曲自体はコンペで募集したらしい。月村山斗さんは恐らく現在日本のポップミュージック界で最も稼いでいる作家である。
 
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こちらのアクアの記者会見はいつものように、エレメントガードをバックにアクアが2曲を歌い、その後、趣旨説明と質疑応答をする形式である。会見の本番が行われる前にリハーサルをしていたのだが、そこでアクアの代わりに歌っているのがいつもの今井葉月ではなく姫路スピカなので、青葉は
 
「葉月(ようげつ)ちゃん、今日はお休みですか?」
とコスモスに尋ねた。
 
「彼は今月は高校受験で時間が取れないんですよ」
とコスモスは答える。
 
「わっ、受験の学年でしたか!」
「だからその時代劇ドラマの撮影でも、今月はスピカとリズムにボディダブルをやらせているんです」
 
背の高いスピカが男物の衣裳、背の低いリズムが女物の衣裳をつけて和之介・しのを演じているらしい。
 
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「大変ですね!でもまだこの時期に高校入試とかやってるんでしたっけ?」
 
「それがあの子、忙しすぎて全然勉強してないから、ここまで受けた高校をことごとく落としてしまって」
「え〜〜〜!?」
 
「落ちた人を聞いたことのないような高校にも落ちているんですよ」
「それ何かトラブルが起きているのでは?」
 
「ひょっとしたらと、ワルツとこないで言っていたのが、あの子、見た目が女の子に見えるでしょう?」
「ええ」
 
「それで名前もセイコだし。だけど男子として受験しているから、願書の不実記載とみなされて落とされたのではと」
 
「うっ」
 
「最近は性同一性障害の生徒については高校もかなり配慮してくれるようにはなっているのですが、願書にはちゃんと戸籍上の性別を書かないといけないから」
「うーん・・・」
 
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確かに青葉も高校の願書は男子として出している。但し事前の話し合いで最初から女子として扱ってくれることになっていたし、生徒手帳の性別は女になっていた。
 
「だから、次の17日の試験ではいっそセーラー服着て受けておいでよと唆した所なんですよ」
 
青葉は考えた。
 
「それセーラー服で受験して、もし合格したらですよ。3年間、女子制服を着て通学しなければならないのでは?」
 
「それでもどこにも行けないよりマシですし」
とコスモスは言っている。
 
それでいいのか!?
 

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今回のCDではドラマの紹介とかではなく、あくまで楽曲の紹介だったのだが、やはりドラマに関する質問が多く、それに丁寧にコスモスは答えていっていた。
 
なお、この日は昼間に青山の★★レコードではローズ+リリーのアルバム『郷愁』の発売記者会見が行われたはずである。
 
ローズ+リリーとアクアの同日発売というのもしばしば行われている。こういう大物のCDが続けて発売される場合、1週ずらして発売するより同日発売にした方が相乗効果でどちらもよく売れるのである。CDショップに買いに行った人がついでに買ってくれるのが期待できる。
 
しかもシングルとアルバムなら、ランキング争いもしなくて済む。
 
実際、この2つのCDは恐らくどちらもランキング・トップだろうし、どちらもミリオン行くだろうと思われた。
 
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記者会見が終わった後、青葉は千里の所に行こうと思い、多分千葉に居るのだろうと思って念のため電話してみると、用賀のアパートに居るという。
 
あと3日で結婚式だけど、準備とか大丈夫なのかなあと思いながら、青葉は渋谷から東急で用賀まで行った。ちょうど高校生の部活が終わったくらいの時間だったようで、用賀駅には多数の高校生がいた。
 
が青葉はそこに2種類の女子制服が混じっているのに気付いた。制服の胸に刺繍されている筆記体の文字や、彼女らの持つバッグに入っている名前から、J高校というのとS学園というのがあるようだと判断した。
 
用賀のアパートに行ってみると、千里はパソコンを開いてどうも作曲の作業をしているようである。
 
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「ちー姉、もう結婚式の準備はできたの?」
「それよりもこの曲を私は明日の朝までに仕上げなければならない」
「大変だね!」
 
どうも食糧も切れているようだったので、青葉は買物に行って来て、御飯を作ってあげた。
 
「助かる。お腹空いてきたと思ってた」
と言って千里はそれを食べながら作業を続けている。
 
しかし・・・“この”千里姉もだいぶ元気になってきたなと青葉は思った。
 
「でも荷物もかなり残っているみたいだけど、引越はいつするの?」
「当面その予定は無い」
「でも結婚式を終えて新婚旅行に行って来たら、千葉で暮らすんだよね?」
「無理。主婦なんかしながら仕事できないから、信次は放置」
「同居しないの〜?」
「5月くらいになったら身の回りのものだけ持って向こうに行こうかとも思ってるんだけど。今の所ゴールデンウィーク前まで仕事が溜まっている」
 
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「身の回りの物だけ持っていくなら、ここは?」
「作曲用の設備を置いておかないといけないし。だから千葉から毎日ここに通勤してくる」
 
やはり「この」千里姉は葛西のマンションのことを忘れているようだなと青葉は判断した。あそこなら千葉から近いし、楽器とかも充実しているのに。
 
「だったら、千葉市内にマンションか何か借りて、そちらに作曲関係の装備は移したら?」
「あ、それもいいかも」
「でないと、結婚したのにほとんど居ないって変だよ」
「そうかな」
 
「ちー姉が忙しいなら、私が適当なマンション見つけてあげようか?」
「それ助かるかも」
「だったら明日やっておくよ」
 

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実際には青葉はコンビニに行くと言っていったんアパートの外に出てから、千里2に電話して、作曲作業用のマンションを千葉市内に確保できないかと訊いてみた。千里は日本時間で18日午前4時から試合があるから、その後で見つけて手続きしておくよと言った。
 
千里が使うマンションであれば「千里自身」が不動産屋さんと交渉して契約した方がすっきりするのである!
 
一方、千里2は青葉の電話にOKしたものの、これでまた自分の住所が1つ増える!と思った。
 
実は千里2が信次の所に引っ越していったとしても、この部屋は京平のために維持しておかなければならないのである。移転は可能だが、なかなかこういう《良い》土地は見つからない。
 
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なお、15日早朝何とか曲を仕上げて新島さんに送信した千里は、雨宮先生から直接「済まないけど今日中にこれを頼む」と言われて、さすがに悲鳴をあげた。千葉の川島宅では、17日朝になっても千里が姿を現さないので、まさか結婚式のドタキャン?と焦って、信次が用賀まで様子を見に来た。そして信次は早朝曲を送信したまま机に打っ伏して爆睡している千里を発見したのであった。
 

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