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■春からの生活(14)

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「でも普段から、けっこうプライベートではこういう格好してるの?」
「というより、少し女の子するのに慣れておこうかなと思って」
「君、充分慣れていると思うけど」
「そうですか?」
「君は普通にしていても女の子だよ。視線の使い方って意識したことある?」
「いいえ」
と言って西湖は首を振る。
 
「男の子は刺すように見る。女の子は受け入れるように見る。女装に慣れてない男の子は普段と同様に刺すように見てしまうから、女装がバレる」
 
「そういうの意識したこと無かったです」
「龍虎ちゃんも西湖ちゃんも、実は男装していても受け入れるように見ている」
「え〜〜!?」
 
「それもあって、君たちは男装していても女の子に見える」
「そうだったのか・・・」
 
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西湖が少し暗い顔をしたのでアイが尋ねた。
 
「何かあったの?」
「実は・・・」
 
と言って、西湖は今年は高校受験の年だったのに、受けた高校をことごとく落としてしまったこと。その中で様々な偶然と誤解の積み重ねから、女子高のS学園を受けることになり、合格してしまったこと。結局それ以外の全ての高校に落ちたのでS学園に行くしか道はなく、3年間女子高生をしようと決意したことを語った。
 
「ふーん。別に女子高に行くくらいそう深刻に考えるほどのことじゃないと思うけど」
と丸山アイは言った。
 
「ボクが男の子なのは知っておられますよね?」
と西湖が念のため言うと
 
「もちろん。でも肉体的な性別なんて、大した問題じゃないし」
とアイは言う。
 
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アイにそう言われると、ほんとに大した問題ではないような気がしてきた。
 
「じゃボク、女子高に通ってもいいのかなあ」
「いいと思うよ」
「性転換とかしなくてもいいんですよね?」
「君が性転換したければしてもいいし、したくなければする必要はない」
「ですか?」
 
「性転換なんて他人(ひと)から言われてするようなことじゃない。あれって一種の自己満足だから」
 
「そうなんですか!?」
「自分の身体は男であった方がいいと思ったら男でいればいいし、女の身体でいたいと思ったら女の身体に変えればいい。恋愛とも無関係だよ」
 
「え?でも女の人と結婚するなら男でないといけないですよね?」
 
「恋愛や性欲の向きと、自分の性自己認識も関係無いんだよ。君が男の人と結婚して、ヴァギナが無かったとしても彼氏を悦ばせてあげる方法はいくらでもある。逆に君が女の人と結婚して、その時、おちんちんを取ってしまっていたとしても、ちゃんと彼女を満足させてあげることはできるよ」
 
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そういう話を聞いていると男か女かなんて、大した問題ではないし、女子高校に行くのも大した問題ではない気がしてきた。西湖はアイさんと話して良かった!と思った。ただ、今のアイの話は6割くらいしか分からなかった。
 
「私、そのあたりの男女のなんかすることがいまいち分かってないんですけど」
と西湖は言う。
 
実は西湖は《セックス》というのもよく分かっていない。それどころか、女の人にはヴァギナというものがあるらしいということは小学校の保健の時間に習ったのだが、その役割とか、どこにあるか!?というのも分かっていない。だって映像とかイラストだけでは全然分からなかったんだもん。
 
ただ先日母が説明してくれた「性転換手術のやり方」によると、おちんちんをヴァギナに改造可能らしい。逆に言うと女の子にとって大事な物らしいヴァギナを作ろうとすると必然的におちんちんは無くなってしまうことになる。
 
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「まあ、君は学校にあまり出ていってなくて、性教育もきちんと受けてないだろうから、よく分からないだろうね」
と丸山アイは言っている。
 

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「ただ・・・」
「はい?」
「君が女子高生をやる場合、おっぱいはブレストフォームでごまかして、おちんちんはタックで隠すとしても、ひとつだけ隠せないものがあるね」
「えっと」
 
「君、既に声変わりしているから、喉仏があるよね」
「あ、はい!」
「普段はかなりうまく隠している」
「これ女の子の声で話している間は上の方にあがっていて目立たないんですよ」
「うんうん。あと息を吸って停めても目立たないよね」
「ええ。女子トイレとかでよくそれやってます」
 
「それ削って取っちゃえばいいよ」
「もしかして手術ですか?」
「うん。でも大した手術じゃない。君、喉仏必要?」
 
西湖は首を振った。
 
「要らないんだったら、ボクが削ってあげようか?」
「アイさん、手術できるんですか?」
「ちょっと貸して」
 
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と言ってアイは西湖の喉の所に左手を置いた。
 
体温が低いようで、ややひんやりとした感触があった。
 

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「喉仏を動かさないでね」
「はい」
と女声で答えるとほとんど動かない。
 
アイはそのまま5分くらい手を置いていた。
 
「終わったよ」
 
「え!?」
 
西湖は手鏡を出して自分の喉を見てみた。
 
「無くなってる〜?」
「無くしたくなかったのなら、1分以内なら戻せるけど」
 
西湖は考えた。
 
「喉仏は要りません」
「じゃ、このままで」
とアイは言った。
 
「これって、魔法か何かですか?」
「手術したよ」
と言って、アイは自分のバッグから1枚の紙を取り出した。
 
「あっ」
 
そこには
 
《私、天月湖斐は、天月西湖が甲状軟骨の切削術を受けることに保護者として同意します》
 
という文章が母の字で書かれていた。
 
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「このままでいいなら、ここに日付だけ書いて」
「はい」
 
それで西湖はそこの「年」「月」「日」と書かれた所に 2018 3 21 という数字を書き込んだ。
 
「じゃこれボクがもらっておくね」
と言って、アイはその紙をしまう。
 
「甲状軟骨って、もしかして喉仏のことですか」
「そうだよ。知らなかった?」
「知りませんでした! でもいつの間に?」
 
と言って、西湖は自分のバッグの中に入っていたはずの、手術同意書の封筒を取り出した。そこには3枚しかなくて、甲状軟骨の手術同意書が無くなっている。
 
「ボクの友人が、落ちていたのを拾って昨日ボクに渡したから、君と会う機会があったら、手術してあげてもいいかなと思ってた。でも今日会うとはボクも思わなかった」
 
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「あのお、この手術のお代は?」
「じゃこの御飯の代金で」
「分かりました!」
 

「何なら、他の3枚の手術もしてあげられるけど。ボクの手術は痛くないよ」
 
西湖はゴクっと唾を飲み込んだ。
 
残りの3枚って・・・去勢手術、豊胸手術、性転換手術!?
 
「アクアちゃんから聞いたけど、君、精液冷凍してるんでしょ?だったら睾丸はもう無くなってもいいだろうから、去勢してあげようか?」
 
それは女の子役をするのに長時間タックしているので、生殖能力に万一障害が出た時のためにといって、アクアと一緒に4度にわたって精液を冷凍保存したのである。保存の費用は事務所が払ってくれている。だから確かに睾丸を取ってしまったとしても子供は作れると言われた(その付近の仕組みも実はまだよく分かっていない)。
 
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でも・・・だからといって睾丸を取ってしまうというのはちょっと・・・
 
「いえ、いいです。ボク、女の子になりたい訳じゃ無いし」
と西湖は答えた。
 
「ふふふ。そのあたりがやはり西湖ちゃんとアクアちゃんの違いだね」
「はい?」
「アクアちゃんだったら『まだ手術しなくていいです』とか言うんだよ」
「あ!アクアさんがそう答えているの何度か聞きました!」
 

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西湖は少し考えるようにしてから丸山アイに訊いた。
 
「アクアさんは、その内、女の子になってしまうのでしょうか?」
「彼はそれを19歳の年に最終的に決断すると思う。だけど多分女の子にはならないよ」
「やはりそちらですかね」
 
「今はまだかなり迷っているけどね」
「ああ・・・」
 
「ただ彼の場合、いわゆるオカマさんとは違って、自分の性的自己同一性は全く揺れていない。自分は男だというのを認識していると思う。ただ女の子の服が凄く似合っちゃうから、女の子でも行けるとか、女の子になったら?とか周囲から言われることを快感に感じている。それでその状態をもうしばらくはむさぼっていたいだけだと思うんだよね。彼の場合、小さい頃の病気のために身体もまだ中性で、思春期が来てないし」
 
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と言いつつ、アイは思った。アクアの場合、中性のままでいたいから思春期が来るのを自分の意志で停めているんだよなあ。他人のことは言えんけど。
 
「だけど女の子でも行けるとか言われて快感を感じるのは、君もでしょ?」
とアイは指摘する。
「そーかもー」
と西湖が言うと
「実はボクもそうなのさ」
とアイが言う。
 
西湖は大きく頷いた。
 

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丸山アイは午後は一緒に遊ぼうよと言って、ディズニーランドの中を西湖と一緒に歩き回り、たくさんのアトラクションに入った。
 
「女の子1人で歩いているとナンパされやすいんだよ。2人だと割と安心」
「ボクあまり友だちが居ないんですよ。男の子も女の子も」
 
「まあそれも高校に入ってから少し作るといいね。中学は小学校から持ち上がりになるから、人間関係が継続してしまうけど、高校ではいったんバラバラになるから、みんな新しい人間関係を作ろうとする。友だちを作るチャンスなんだよ」
 
「そうですね。少し積極的になってみようかな」
「うんうん」
 
あまり遅くまで遊んでもということで、夕方5時に、ふたりで一緒にディズニーランドを出た。
 
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「でも結構汗を掻いたね」
「なんか午後から少し暖かくなってきましたしね」
「舞浜ユーラシアにでも寄って汗を流していく?」
「え?」
 
「行ったことない?」
「はい」
「スパだよ」
「スパってお風呂ですか?」
「そうそう」
「でも・・・」
 
西湖は今日は女装して出てきているので、そういう所に入ろうとすると問題が生じる気がしたのである。
 
「ボクと一緒なら大丈夫だよ」
「そうですか?」
「料金は各々払う」
「はい!」
 

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それで舞浜駅の北口からシャトルバスで舞浜ユーラシアに入った。3Fまで上がり、靴をロッカーに入れてからフロントで入場料を払う。エレベータで4Fにあがる。
 
丸山アイは女性用ロッカーの方に歩いて行く。西湖は立ち止まってしまった。
 
「どうしたの?」
「あのぉ、アイさんはそちらに入るんですか?」
「もちろん。西湖ちゃんもこっちでしょ?」
「ちょっとボクは・・・」
「もしかして男湯に入るの?」
「ちょっと女湯はまずいかなと思って」
「まあ男湯に入りたいというのなら、試してみる?」
とアイが言った。
 
「試してみる?」ってどういう意味だろうと思いながら西湖は男湯のロッカーの入口を通ろうとした。
 
途端に従業員が飛んできた。
 
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「お客様!こちらは男性用ロッカーです。向こうにお回り下さい」
と言って、丸山アイが行こうとしていた方角を指し示している。
 
西湖は困ったような顔でアイを見る。アイが微笑んで近寄り
 
「セイコちゃん、何やってんのよ?あんたそちらに入るには性転換しないといけないよ」
と言って、西湖の腕をとって、女性用ロッカールームに強制連行した。
 

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女性用ロッカールームの入口の所にはカウンターがあってエステの受付をしているようだが、丸山アイと西湖がロッカールームに入っていくのを見ても何も言わなかった。西湖はちょっとドキドキしていたのだが、中に入ってしまうともう開き直ってしまった。
 
アイと並びのロッカーを開け、服を脱ぎ始める。
 
「偉い。開き直ったね」
「だって、私、3年間女子高生するんだから、女湯くらい入れなきゃ」
「そうそう。そうでなきゃ」
 
西湖が全部脱いで裸になった頃、アイも全部脱いでいた。
 
「アイさん、女の人にしか見えない」
「男に見えたら大変。西湖ちゃんも女の子にしか見えないよ」
 
それで浴室に入るが、浴室の中は何も身につけていない裸の女性がバストを曝したまま歩き回っている。しかしそれを見ても西湖は特に何も感じなかった。強いて言えば、その中にすごくスタイルのいい女性がいて、わあ、おっぱいの形がきれ〜い、うらやましい〜と思った。
 
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身体を洗って浴槽に浸かるが、なんか過去に男湯に入った時と大差無い気がした。1年前に安曇野で女湯に入った時は初めての体験であそこが反応して大変だったけど、やはり2度目だからかなぁという気もした。
 

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