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■春銀(14)
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春風アルトの子供を秋風コスモスの姉メロディーに、本人の子供たちと一緒に面倒を見てもらっていたら、あけぼのテレビのスタッフの中にも、うちの子供を預けたいという人が出て来た。
希望を募ってみると、全部で(子供が)12人いることが分かる。そこで本格的な託児室を作ることにした。子供は男児・女児いるので、お世話係も男女いた方が何かと便利だろうということで、畑野秋美さんという人と中町大海さんという人を雇うことにした。
コロナの折りなので託児室は3つ作ることにして、今メロディーが面倒を見ている3人と合わせて15人を5人ずつ3つの部屋で見ることにし、メロディー、畑野さん、中町さんの3人が1人ずつ付く。畑野秋美さんに男の子5人を見てもらい、中町大海さんに女の子5人を見てもらい、残り男女1人ずつと、美音良・薫・夕霧の3人をメロディーが見る。メロディーの所が男女混合になるが、そもそもの男女比の問題もあるので仕方ない、
ちなみに女の子5人を見てもらう中町大海さんは女性で「ひろみ」と読む。また男の子5人を見てもらう畑野秋美さんは男性で「あきよし」と読む。本当に最近の男女の名前は分からんとコスモスは思った。
あけぼのテレビは放送時間が平日17:00-26:00 土日祝 8:00-16:00, 17:00-26:00である。それで会社の営業時間も平日16:30-26:30, 土日祝 7:30-26:30 ということにしている。ただし早番勤務・遅番勤務の人もあるし、土日だけ出社する人もある。それでキッズルームは平日16:00-27:00, 土日祝 7:00-27:00 の営業とすることにした。当然この3人だけでは無理なので、パートの保育士さんを他に5〜6人頼む方向で募集中である。スタッフが充足するまでの当面の措置として、ケイの母、マリの母(あやめ付き)、コスモスの母、ゆりこの母の4人を応援に頼んだ。コスモスの母などは“非常識人”で夜が平気なので(朝は苦手でコスモスもメロディーも“母に起こされる”という経験が無い)、夜間の子供の世話を全部引き受けてくれた(子供たちは眠っているので、何かあった時のためにそばにいるだけでよい)。
中町大海さん(20)はこの3月に短大を出て、幼稚園教諭の免許と保育士の資格を取得した。しかし就職先がどうしても見つからず、バイト先を探していたのだが、お姉さんがサンシャイン映像制作のカメラマンをしていたことから、使ってもらえないでしょうか?とコスモスに打診があり、面接してみたら明るい人なので採用することにした。ただひとつの欠点が朝に弱いことで、保育園の採用試験に遅刻して落とされたらしい。私がモーニングコールして起こしますからとお姉さんが言っていたが、この仕事は基本が夕方からなので、たぶん大丈夫だろう。
畑野秋美さん(31)は大学卒業以来9年間幼稚園の先生をしていたが、この3月いっぱいでそこが閉園になってしまい、仕事を探していた所をアルトが雇った。
畑野さんは実は、上島雷太の弟子を自称している山折大二郎の弟である。山折大二郎は「こいつならタダで使って下さい」と言ったが、それでは彼が生活できないので、お世話係のリーダーに任命して毎月35万円を払うことにした。ボーナスは2ヶ月分を予定している(年収換算560万円)。彼は昨年までは毎月給料が23万円、ボーナスは1.5ヶ月分(年収換算345万)だったらしい。30歳でこのお給料は辛かったと思う。
なお畑野秋美は、山折大二郎の“妹”ではなく“弟”である。念のため。
秋美の名前は前述の通り「あきよし」と読む。ちなみに山折大二郎の本名は畑野秀香で兄の方は「ひでたか」と読む。この兄弟の親の趣味が分からん、とコスモスは思った。
ちなみに山折大二郎が「大二郎」という男らしい芸名を決めたのは、自身の本名・秀香(ひでたか)がいつも「ひでか」と読まれて女性と誤認されて困っていたのもあったらしい。
大二郎さんは高校時代は野球選手だった(それで選手名簿を出した時に「女子選手は登録できないのですが」といつも言われていた)が、弟の秋美さんは、高校でも大学でもラグビー選手だったらしく、がっちりした体格である。(選手名簿を見て相手チームには女子選手がいるのかと思ったら体格の良いラガーマンなので向こうはびっくりする)。幼稚園児を両腕に2人ずつ4人ぶらさげたりして子供たちに人気の先生だったらしい。
「ちなみに女装とかの趣味はないですよね?」
「ああ。高校の文化祭で女役しましたよ」
「え〜〜〜〜!?」
「白雪姫のお母さんの魔法使い役ですけどね。女子が誰もやりたがらなかったから」
「少し安心した」
「スカートなんて穿いたの初めてで、あんなの穿いてたら転ぶ転ぶ」
「普通の男性だと、そうですよね〜」
恵馬は、ワンピース水着を着せられた後、水着のまま移動する訳にもいかないと言われ、夏向きの白いワンピースを着せられた。いつか着たようなミニのワンピースではなく、今日は膝付近まである長いワンピースである。それでAさんのフェラーリに乗り移動する。
来た所は、湘南の海岸のようだが、一軒のホテルのような所に入り、そこの庭に出た。
「他にお客さん居ないんですか?」
「お客さんというか、ここは個人の邸宅だから」
「もしかしてこれホテルとかではなくて、個人の家?」
「そうそう。だからここはプライベートビーチ」
「すごーい!」
「それを撮影用に借りた」
「わぁ」
この写真撮影、随分お金掛かってるよなと思う。なんかAさんの趣味の範囲を越えている気がする。やはり写真集を出すとか??
いつものアナさん・オナさんも来ていた。恵馬はそこでワンピースを脱いで水着姿になる。このプライベートビーチで、今日は1時間半ほどにわたって撮影をした。途中2回お召し替えをして都合3種類の水着で撮影した。3着ともワンピース水着である。ひとつは肩紐がバッククロスになっていて格好良い感じがした。
この日は最終的に水着を脱いで、ここに来る時に水着の上に着ていたワンピースを着て、家近くの駅まで送ってもらうことになった。この時、ワンピースの下には普通のショーツとブラジャーをつけることになる。
恵馬はまずショーツを穿いたが、余計なものが無いので変な操作をしなくてもショーツがピタリと肌に密着してすっきりしたフォルムになるのがあらためて凄くしっくりする感じだ。
恵馬はついでブラジャーの肩紐を腕に通し、前屈みになって豊かな2つの胸の膨らみをカップに収納すると、後ろ手でホックを留めた。
それを見てAさんが言った。
「へー。ちゃんとブラジャーの正しい着け方、知ってるんだ?」
「え?だってこないだからたくさんブラジャーもらったから」
「今までは胸の無い状態だったからね。どうにでも着けられた。今日はバストがある状態だから、そのバストをきれいにカップに納めるには今みたいな方法を取らなければいけない。ちゃんとやり方を知ってるじゃん。私、教えもしなかったのに」
「えーっと」
「まあいいわ。これからは毎回その着け方しないといけないしね」
「これ、このままにしておくんですか?」
「女の子には、ちんちんは無いし、おっぱいがあるからね。あんたはもう女の子になっちゃったんだから、ずっとこのままだよ」
「男の子には戻れないんでしょうか?」
「戻る必要ないでしょ」
「それはそうかもしれないけど」
「たださ」
「はい」
「接着剤で留めた部分は、おしっこしたり、お風呂に入っている間にどうしても弛んでくるんだよ」
「あ、そうですよね」
「特にお股の方は外れやすい。だから接着剤あげるから、毎日それで補修して接着が外れないようにするといいよ」
「補修しないと外れちゃいますか」
「男に戻ったりしたくなかったら、ちゃんと毎日補修してね」
恵馬は放置すればその内外れて男の子に戻っちゃうというのを聞いて少しホッとした。でも毎日ちゃんと補修して、女の子のままでいられるようにしておこうかな。と考えた。
「そうだ。次に会った時にさ」
「はい」
「君の御両親に一度挨拶しておきたいんだけど」
恵馬はドキッとした。
「父は小さい頃に亡くなったので母だけですが、いいですか」
「もちろん。じゃ、君のお母さんは苦労して君を育てたんだね」
「苦労したと思います」
「でも苦労して育てた子供がこんな可愛い娘になったら、きっと喜ぶよ」
恵馬はつい吹き出した。お母ちゃんは確かにボクが女の子の格好するのを楽しんでいるような気もするなあと思った。こないだしまむらでスカート選んでいる時も、凄い笑顔だったし。思い返してみると小さい頃から「あんたは女の子だったら良かったのに」と何度も言われたことがある。中学に入る時も「学生服着る?セーラー服着る?」なんて訊かれた。ボクは「学生服にしようかな」と言ったので、学生服を買ってくれたけど、あの時、セーラー服を着たいと言ってたら、どうなっていたんだろう?
「ところで、あんたを##駅前で拾って、**駅前で降ろしてるけど、実際問題として、どちらが便利なの?」
とAさんから訊かれる。
「実はその中間点付近なんですよ」
「あら、だったら適当に##駅と言ったけど、悪い選択ではなかったのね」
「そうなんですよ。だから##駅と最初聞いた時に、Aさん、ボクの家をご存じなんだろうかとギクっとしました」
「待ち合わせも**駅にする?」
「あ、その方がいいかな。校区外に出るから、知り合いに出会う確率が低いし」
「知り合いに見せて、女の子になったことを認識してもらえばいいのに」
「まだちょっと恥ずかしいてす」
「夏休みが終わったらどうせ女の子として登校しなきゃいけないのに。ちんちんも無くなって、おっぱいができたから、もうあんた体育の時とか身体測定の時に、男子と一緒にはできないよ」
体育?身体測定?ボクどうすればいいんだろう?? 恵馬はまた心臓がドキドキするのを感じた。
ところで、作者がそろそろ忘れかけている、デンデン・クラウドであるが。
昨年までは芸人としての年収が極めて僅かで、ラーメン屋の皿洗いをして、そのまかないでラーメンを食べさせてもらって命をつないでいたのが、世話好きの揚浜フラフラが、ローザ+リリンの付き人扱いにして、ローザ+リリンから毎月10万円の給料をもらえるようにしてあげたので、何とか生活可能になった。
フラフラとしては、クラウドにはラーメン屋の皿洗いとかしている時間に少しでも芸の修行をしてほしいというのもあった。実際彼には、空き時間にケイナが所有していた古い落語のCDとか、古い漫才の録画(多くは○○プロの丸花社長からケイ経由で借りたもの)を見せて“教育”をしている。その成果があったのか、春以降、彼のお笑いセンスは少しだけ向上したようにも思えた。
その彼が7月から始まる在来局のバラエティ番組『令和大運動会』に出演が決まり、フラフラもケイナも祝福してくれた。
番組の内容は、毎週“わりと過酷な”運動を課されるもので、初回はいきなりマラソンを走らされるらしい。その後、自転車50kmとか、登山などというのも待っているらしい。
どうも芸は無くても体力さえあれば何とかなるだろうというので起用されたようだ。
しかし彼はその体力も怪しい、とフラフラは思った、そこで番組に出るだけの体力を付けさせるため、フラフラはクラウドに毎日20kmのジョギングを課した。いきなりは20kmも走れないので最初の2週間は10kmで勘弁してやった。
もっとも20km(最初は10km)も走ると、筋肉痛が凄まじいし、クタクタになってその後、2時間くらい熟睡していたようである。彼がカロリー不足にならないよう、ケイナはクラウドにたくさん食料の差し入れをしてあげた。ついでにサロンパスとアンメルツも大量に差し入れてやった。
「お前最近少し脂肪が付きすぎな感じがしてた。これを機会にもっと筋肉を増やそう」
とケイナは言った。
(クラウドが(丸山アイたちの悪戯?で)半陰陽化されて卵巣の働きにより脂肪が付きやすくなっていることは、“犯人”の3人以外は、ネルネルのケンネルくらいしか知らない)
“犯人”の1人であるマリナは“共犯”の1人である千里に相談した。
「本人は企画の詳細知らないみたいだけど、遠泳とかも予定されているみたいなんですよ。男子水着になるとやぱいですよね?」
「女子水着を着せたらいいよ」
「それ事故映像になって視聴者からクレームが来ますよ」
「困ったなあ」
「あの子、だいぶ胸が大きくなっているみたいでBカップのブラ着けてるみたいなんですよ。何とかしてあげられません?」
「じゃ何とかしよう」
「すみません」
丸山アイに話すと、また変なことをしそうなので、相談を受けた千里(2番)は1番に頼んで処置をしてもらうことにした。
千里たちは取り敢えず、悪いこと大好きの《こうちゃん》に命じて、大阪出張中のクラウドの食事(お弁当を買ってホテルの部屋で食べていた)に眠り薬を混入させた。
それで彼がホテルの部屋で眠ってしまった所に、千里1がマリナと一緒に侵入する(3番は“裏”に回っている)。
取り敢えず睡眠薬を静脈注射して、しばらく起きないようにする。
その上で2人で協力して彼を裸にしてから、まず完全に女性化して女の身体に変えた。(これまでの身体は丸山アイが男から女に変える途中で停めていたもの)
その上で今度は女から男に変えていくが、ペニスができて卵巣が睾丸に変化した瞬間、停めた(タイミングは《びゃくちゃん》に指示してもらった。《こうちゃん》なら絶対に変なタイミングを指示する)。
するとこれも男女中間の形ではあるのだが、性腺が一応睾丸(変化させてすぐ停めたので機能はとても弱い)なので、脂肪は付きにくくなることか予想される。
(クラウドを完全な男にしたら絶対性犯罪で捕まるというのは、マリナ・千里・アイの一致する意見。実はケンネルやフラフラも心配していた)
バストは消失する所まで進めたので、これまでの女性的な胸は消えて、男のような胸になっている。ただし乳首はわりと大きいままである。
「このくらいはいいですよ。アクアだって男の子だけど乳首大きいし」
「まああの子は仕方ないね」
クリトリスが成長して5cmくらいの長さになりペニス状にはなっているが、尿道はまだ女性の位置にある。つまり立っておしっこをすることはできない。
「これは我慢してもらおう」
「これ以上男性化を進めると、男性機能が強くなりすぎそうですもんね」
膣と子宮は小さくなったものの完全には消失しておらず、股間の開口部も残っている。むろん陰嚢は無い。
この状態だと、男性とのセックスはぎりぎり可能だが、女性とのセックスは困難と思われた。
「男性機能は無いけど、男子水着にはなれるし、生理も起きないし」
「ええ。このくらいならいいと思いますよ」
とマリナも言ったので、それで2人は引き上げた。
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