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■春銀(8)

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1時間ほどプリンセスドレスでの撮影をした後
「ドレスだけではもったいない」
と言われて、今度は侍女のようなコスチュームを着せられて、それでの撮影も30分くらいした。
 
その後で、この城まで来た時に着ていたアクリルスカートのカジュアルな服装に着替えて、30分ほどフルートの演奏を見てもらった。
 
「技術的には充分上手い部類だと思う」
と最初に言われた。
 
「レッスンか何かを受けてる?」
「いえ。吹奏楽部で吹いているだけです」
「それでここまで吹けるのは凄いよ。技術的なものはひたすら吹きこなすことだな。レッスンとか通っているんじないなら、今度会う時までに、あんたのレベルに適当な課題を用意しておくから、それを練習してみて」
 
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「はい、よろしくお願いします」
 
「後は、あんたのレベルなら要求していいこととして、感情を込めて吹くこと」
 
「感情ですか?」
 
「単に譜面通りに吹くだけなら、MIDIの打ち込みとかのほうがよほど正確に演奏する。人間のプレイヤーに要求されるのは、その譜面をきちんと解釈し、悲しい所は悲しく、楽しい所は楽しく演奏することなんだよ」
 
「それ具体的にはどうすればいいんですか?」
 
「そのフルートちょっと貸して」
「はい」
 
それで仮名Aさんはフルートの歌口をアルコールウェットティッシュで拭いた上で、それを構えると、さっき恵馬が拭いた“ハイドンのセレナーデ”をまず1回吹いた。物凄く上手いのでびっくりする。これはプロの演奏だと思った。
 
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「今のが1回目。次の演奏」
 
同じ曲なのだが、凄く悲しい感じがした。実際恵馬はつい涙が浮かんでしまった。
 
「今のが2回目。次の演奏」
 
やはり同じ曲なのに、今度は何かワクワクするような感じを受けた。踊りたくなってくる感じである。
 
「違いが分かったでしょ?」
 
「全然違いました!」
 
「その曲をどう吹くかは、結局その曲をどう解釈するか次第なんだよ。あんた、何か好きな曲があったら、それを色々な人の演奏で聴いてみるといい。その中であんたがいちばんしっくりする感じの演奏を手本に吹いてみて、それをベースに自分の演奏を確立していくんだよ」
 
「それって物凄い時間がかかりますよね」
「そうだよ。その作業は音楽家の一生を掛けて進行していくのさ。だからしばしば天才少女とかいわれて10歳か12歳くらいで有名オーケストラと共演する少女とかいるけど、そういう子は技術的には上手いけど、何も解釈できていない」
 
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「10歳じゃそうでしょうね」
「自分の人生を掛けて、ひとつひとつの曲を究めていく。それが音楽家の道だね。あんたはその道の入口に立っているのさ」
 
恵馬は自分の先に長い道が続いているのを感じた。
 
「まあ、私が指導していれば、1年後には、結構なレベルの美少女フルーティストに進化していると思うよ」
 
あはは、やはり“少女”フルーティストなのか、と恵馬は思った。
 
この日はこのフルートレッスンの後、自宅近くの**駅まで送ってもらった。
 

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その次の、8月8日(土)は初めての土曜日のセッション(?)となった。
 
普段着っぽい女子高生風の服に着替えて、まずは30分ほど歌の練習をしたが、最後の方で
 
「裏声のまま、声のピッチを下げて行って」
と要求された。
 
声が凄く不安定になる。
 
「その付近の声がミドルボイスといって、実声と裏声の中間なのよ。その辺りの声の出し方が、実は女声の出し方にとても近い」
 
「へー!」
 
「これ私と会わない日も自分の部屋で練習してみて。ただし練習をしすぎると喉を潰してまともな声が出なくなるから気をつけて。1日に最大30分にすること」
 
「はい」
 
歌および発声のレッスンの後で、今日は30分ほどフルートを見てもらった。この日はAさんも自分のフルート(総銀だ!さすがである)を持って、吹いてみせてくれる。この日は先週恵馬が吹いた“ハイドンのセレナーデ”について、しばしば問題になる箇所をいくつか取りだしていくつかの吹き方をしてみせてくれた。それで各々の箇所で恵馬か
「こっちの演奏の方が好きです」
と言うと
「ではそれでやってみよう」
と言われて、その演奏の仕方をする。それで30分ほどのレッスンの間に、自分でもかなり、演奏が上手くなったような気がした。
 
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「かなり良くなったよ。じゃ次回はこの曲をやろう」
と言って楽譜を渡された。知ってはいるが、吹いたことのない曲である。
 
「では練習しておきます」
「うん。頑張ってね」
 

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その後、この日は、振袖を着せられた。
 
和服なんて七五三で着せられたかもという微かな記憶があるくらいである。もっとも当時着せられたのは恐らく“男児用”の和服だろう。不確かだけど。
 
最初にタオルで体型補正された上で、肌襦袢・長襦袢と着せられ、振袖を着せられてから帯を結ぶ。着るだけで30分くらいかかったので、それにも驚いた。
 
「でもきれーい」
「可愛い子に着せると美しいね」
「まるで女の子になったみたいな感じ」
「君はとっくに女の子だよ」
 
この日はお化粧も和風に、これまでとは少し違う感じに化粧された。
 
髪は、最初に行った何とか邸ではカーリーロングヘア、前回行ったお城ではストレートロングヘアのウィッグを付けたのだが、今回は日本髪のウィッグを付けさせられた。
 
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でも重かった!
 
それからフェラーリに乗って、八王子市郊外にある、純日本風の邸宅に行き、アナさん・オナさんを撮影助手にして、2時間ほど撮影をした。
 
撮影終了後は普通の女の子の服に着替える。今日は細かい青白チェックのブラウスと、ジーンズのタイトスカートになって帰宅する。また普段着用にと言われてスカートを3着もらった。
 
「これで家の中では毎日スカートを穿いていられるよ」
「それはちょっと恥ずかしいです」
「慣れの問題と思うけどね」
 
恵馬は女の子の服が増えてきて、これをどこに収納するか悩み始めた。
 

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4回目のセッションが終わった翌日の8月9日(日)、恵馬はお昼を食べた後、母から「ちょっと一緒に出かけよう」と言われた。
 
それで恵馬がグレイのTシャツにジーンズ(ズボン)という格好で降りてくると
「スカートを穿いて」
と言われた。
 
「え〜〜!?」
と恵馬は言ったが、今日は弟は友だちと映画を見ると言って出かけているし、姉も例によって塾に行っている。
 
それで恵馬は自分の部屋に戻り、少し悩んだ末、膝下まで丈のある紺色の台形スカートに穿き換えた。これを穿くと上はグレイのTシャツは合わない気がして、レモンイエローのブラウスに着替える。ブラウスのボタンを留めるのにもだいぶ慣れてきたのでスムーズに留めることができた。
 
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その格好で降りて行くと、母は
「うん。可愛い」
 
と言ってくれた。母は更に
「これかぶりなさいよ」
 
と言ってウィッグを渡した。
 
「ごめん。つけかたが分からない」
 
写真撮影ではウィッグをつけているが、いつもAさんにつけてもらっていた。
 
「ちょっとそこに椅子に座って」
「うん」
 
それで母は恵馬の頭にウィッグをかぶせてくれた。
 
「可愛い女子高生のできあがりだね」
「えへへ。でもお母ちゃん、ボクが最近出かけて何してるのかって聞かないの?」
「聞いて欲しいの?」
「たぶんその内、ちゃんと話せる」
「うん、それでいいよ」
 

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それで母のキューブに乗って出かけた。
 
最初、カーマに行った。
 
「あんた、最近たくさんお洋服を持ってるみたいだから、衣装ケース買おうよ」
「あ、それ困ってた」
 
それで母はプラスチックの5段の衣装ケースを買ってくれた。大きいので、キューブの後部座席に積み込んだ。
 
その後、イオンに行き、洋服屋さんに行く。母が店員さんに声を掛けた。
 
「済みません。この子、転校してきて、2学期からU高校に入るんですが、制服を作りたいと思って」
 
「あ、はいはい、U高校ですね」
 
恵馬はびっくりした。U高校は今恵馬が通っている学校だが・・・むろん恵馬は男子制服で通学している。その制服をなぜ再度作るのだろう?と恵馬は母の意図が理解できなかった。
 
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しかし売場のお姉さんは、メジャーを出して恵馬の身体の寸法を測ってくれた。
 
最初に背中にメジャーを当てられ、首の後ろの所から腰付近までの長さ、お腹の後付近から膝付近までの長さを測られた。
 
「まだまだ成長期だから、着丈は余裕があった方がいいですよね」
「はい、それでお願いします」
 
手を水平に上げて、首の後から手首の所まで、次に手を下げて、肩の所からやはり手首の所までを測られる。肩幅、腕の太さも測られる。
 
腰周り、そこから少し上の部分の周囲、お腹のいちばん細い所の周りを測られ、最後に胸回りを測られた。
 
「1年生ですか?」
「はい、そうです」
「バストの成長が遅いみたいですけど、この年齢の女子は急速に発達しますから、少し余裕を持って作りましょうね」
「はい、それでお願いします」
などと母は言っている。
 
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ここに至って、恵馬は、もしかしてこれ女子制服の採寸?ということに気付いた。そういえば、お腹から膝までの寸法を測られた。ズボンなら足首までの長さを測る。膝まで測ったのはスカート丈なんだ!
 
母は注文書に住所・氏名・電話番号を書いたが、氏名の所は“恵真”と書き、“えま”と仮名を振った。ボクって恵真なのか!でも同じ読みでも字が変わると女の子っぽくなるんだなと思った。性別は女に丸をし、高校名はU高校と書く。そして服の種類は、夏服・冬服の双方に丸を付けた。
 
8月24日からの2学期からしばらくは夏服だが、10月からは冬服になるはずだ。
 

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洋服屋さんを出てから尋ねる。
 
「女子制服を作ってくれるの?」
「あんた必要になるんじゃないの?」
「まだよく分からない」
「10日くらいでできるというから、2学期からはそれで通学できるよ」
「女子制服で通学とかしていいのかなあ」
「それで通学したいんじゃないの?」
「どうしよう?」
 
と恵馬は悩んでしまった。
 
「でも制服高いのに」
「政府から出た10万円のあんたの分、まだ使ってなかったから、それを使ったよ」
「まだ取ってあったんだ!」
「飛早子のは塾の夏季講座の受講料に使った。香沙のは、PS5が出たら欲しいと言っているから、それに使う予定」
 
お母ちゃん、ボクたちの分の給付金、ふつうの家計には転用しないんだなあと思った。
 
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「あんたが飛早子と同じ高校に入ってくれていたら、あの子が1年生の時に着ていたお下がりでも行けたんだけどねぇ」
「ごめーん」
 
姉は実は胸が想定以上に成長してきつくなってしまったので作り直したのである。ボクも胸が成長したりしないかなぁ。
 

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姉は頭がいいので公立に合格して通っているが、恵馬は公立に合格できなかったので私立に通っている。授業料自体は“高校無償化”のおかげで掛からないものの、あれこれ要求される校納金がわりと高い。その上、好きなフルートも、中学時代に最初使っていた白銅?製品(怪しげなメーカーの品で2万円)が壊れてしまったので、昨年、まともなメーカーの洋銀製品(Pearl PF-505E Straight Covered-key 7万円)を買ってもらっている。
 
「高い楽器買ってもらってこめん」
と言ったが、
 
「いや、最初買ったのがさすがに安物すぎでごめん。それにお姉ちゃんの塾代より安い」
と言われた。
 
大学進学を目指すのも大変なんだなと思った。恵馬はあまり頭の出来はよくないのを自覚しているので、大学には行かずに、高校を出たら専門学校を出て、デザイナーか何かにでもなれたらと思っている。恵馬は音楽も好きだが絵も好きである。
 
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女子制服の注文をした後、更に母は恵馬をしまむらに連れていった。
 
「あんた、女の子の服があまり無いでしょ?少し買おうよ」
「あ、うん」
 
それで母はTシャツの女の子が着るようなものを5着、それにカジュアルなスカートを4着、更にパンティを6枚とブラジャーを3枚買ってくれた。
 
「家の中ではずっとスカート穿いてなよ」
「え〜〜?」
「だってスカート穿くの好きなんでしょ?」
「好きかも」
「自分に正直になった方がいいよ。あんた、小学生の頃はよくお姉ちゃんのスカート勝手に穿いてたし」
「知ってたんだ?」
「当然」
 
「髪も最後に切ったの6月でしょ?夏休み中ずっと伸ばしていたら、学校が始まるまでには女子としてもあまり不自然じゃない長さになると思うよ、学校始まる直前に美容院で女の子らしい髪型にしてもらおう」
 
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「美容院・・・」
 
なんて素敵な響きだろうと思った。恵馬は母や姉がいつも美容院で髪を切っているのを羨ましく思っていた。
 

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帰宅した後、置き場所に困っていた女の子の服を、買ってもらった衣装ケースの中に収納した。いちばん下の段は、パンティ、キャミソール、ブラジャーだけでいっぱいになってしまった。
 
更に母は
「これもう着ないよね?」
と言って、恵馬の部屋の衣装ケースから、男物の下着(パンツとシャツ)とワイシャツまで全部回収してしまった。
 
つまり、これ以降、恵馬は下着は女物しか着ることはできないことになる。またワイシャツが無いのでブラウスを着て学校に行くしかない。
 
ま、いっかと思った。
 
そしてその日は母にも言われたように、帰ってから家の中でずっとスカートを穿いていようかと思ったのだが・・・
 
この日はスカート姿で、姉や弟の前に出る勇気が無くて、結局キュロット(こないだAさんからもらった服の中にあった)を穿いていた。
 
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母が「根性無いね」と言っていた。弟は恵馬がショートパンツを穿いているように思ったようである。姉は恵馬のボトムをじろじろ見ていた。キュロットだというのがバレてる〜!と思った。だいたいキャミソールのラインが透けて見えているのだが、弟は恵馬がランニングを着ているように思ったようである。
 
 
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