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■娘たちの予定変更(11)

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U17の選手は7月27日に帰国。全員がそのまま那覇に飛んだ。29日からインターハイが始まる。
 
千里は彼女たちを応援するため、7月31日、沖縄に入った。実はこの時期は大学の前期試験なのだが、千里はその直前まで代表合宿をしていた。そちらは公休にしてもらっている。それなのに試験だけ実際に受けろというのはあまりにも酷なので、前期の科目は全部レポートに代えてもらったのである。但し体育や英語・フランス語など無試験で単位をもらえた科目もある。
 
それでリトアニアから帰ってきた後は、曲を1曲作ってはレポート1枚書いてと作曲の仕事と大学の課題とを交互にひたすらやっていた。
 
千里は31日、今日の試合が行われる西原町民体育館に行くと、まずは原口紫に
 
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「U17で世界5位おめでとう」
と言い、湧見絵津子には
「U18で準優勝おめでとう」
と言い、みんなに
「今年はインターハイ、国体、ウィンターカップの三冠を狙おう」
と発破を掛けた。
 
「三冠ですか!?」
と湧見絵津子が驚いたように言う。
 
「去年P高校が三冠取ったでしょ?今年はN高校が三冠取る番だよ」
と千里が言うと
「うーん・・・・」
とかなり考え込んでいた。
 
この日は大会3日目である。29日の1回戦では高知県の高校に大差で勝利、昨日の2回戦では沖縄の高校に快勝している。
 
千里も実際さすがにここまでに負けることはあるまいと思い、3日目に沖縄入りしたのである。
 

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千里は背番号のないユニフォームを着て、松崎由実と話していた横田倫代に話しかけた。
 
「みっちゃん、とうとう手術しちゃったんだって?」
「あ。はい。夏休みに入ってすぐ、札幌市内の病院で去勢手術して、男の子を廃業することができました」
「おめでとう」
「私6月生まれだから。18歳以上なら、結構手術してくれる所あるみたいです」
 
「みっちゃんは私よりおっぱいあるからなあ」
などと由実は言っている。
 
「何か感じ変わった?」
「身体からきれいに毒素が抜けた感じなんですよ」
「うんうん。男性ホルモンは毒素の感覚だよね」
「既に睾丸の機能自体はもう停止していたはずなんですけどね〜」
「あれは機能停止していても、存在するだけで悪い影響があるみたいだよ」
 
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「なんか会話聞いていたら、男であることが悪であるかのようだ」
「うん。男は悪」
「そうだったのか」
 
「次は性転換手術だね」
「ええ。でもいつできるか。お金も掛かるし。一応、GIDの診断書は2枚もらったんですよ」
「えらいえらい。ちゃんと正式ルートを通っているね」
 
「千里先輩は正式ルートじゃないんですか?」
と由実が尋ねる。
 
「うん。正式ルートでは小学生の内に性転換なんてできないし」
「やはり小学生のうちに性転換しちゃったんですか!?」
「まあ色々誤魔化している所が、あちこちほころびているというか」
「でしょうね〜」
 

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なお、今年のインターハイは男女の会場が完全に分離されている。男子は沖縄本島北部の沖縄市とその周辺なのに対して、女子は沖縄本島南東部の西原町・南城市付近である。西原町民体育館がメイン会場になっている。
 
今回2回戦まで突破してBEST16に名前を連ねたのは、愛知J学園、岐阜F女子校、札幌P高校、福岡C学園、愛媛Q女子校、大阪E女学院、山形Y実業、宮城N高校、といった上位常連組に加えて、旭川N高校、千葉S高校、金沢T高校(神奈川)、新潟G学館、福井W高校、といった最近比較的安定した成績を上げている学校、地元の那覇V高校、将来有望という評価の高いセンター吉田愛美(182cm)を要する山梨F学苑、そして今大会の“台風の目”で“スーパー大学生級”フォワード高梁王子を擁する岡山E女子高(初出場)である。
 
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そして今日の3回戦で旭川N高校は、上位の常連・愛媛Q女子校と激突する。
 
Q女子高とは昨年ウィンターカップの3位決定戦を戦い僅差で破れている。それで昨年N高校はメダルを取れなかったのである。絵津子たちはその雪辱に燃えていた。
 
南野コーチが「試合前に疲れるからやめときなさい」というのを絵津子は千里と1on1を30本やってから、試合に臨んだ。彼女は無茶苦茶気合いが入っていた。
 
N高校は試合開始冒頭から猛攻を掛けた。ソフィア/カスミ/絵津子/不二子/由実という得点力の高いメンバーで頑張って得点を重ね、いきなり2-8とリードするも、向こうもキャプテン山形治美を中心にすぐに建て直して挽回。結局第1ピリオドは19-18でQ女子高1点リードで終わる。
 
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第2ピリオドは終始Q女子高のペースで試合が展開するが、N高校も粘って粘ってあまり離されないように付いていき、このピリオドは14-10で前半は33-28の5点差。
 
第3ピリオド冒頭、今度はQ女子高が猛攻を掛けて、一時期は15点差を付けられる。しかしここから客席最前列に陣取った、千里・暢子・夏恋・揚羽・蘭・志緒といったOGたちの凄い音量での声援で紫が開眼したかのように冷静さを取り戻す。ひとりでコートを走り回り、割と物事に動じない由実や不二子をうまく使って得点を重ねる。
 
紫は同学年のライバル水原由姫や宮川小巻同様、ボールを持った場合、パスもあれば自らペネトレイトしての近くからのシュート、そしてスリーと何でもあるポイントガードなので、相手はとても守りにくい。
 
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これにQ女子高は翻弄され、彼女らの活躍で、キャプテンの重責感もあり一時期精神的に混乱していた絵津子も自分を取り戻しN高校が完全に試合のペースを握った。結局このピリオドを21-22で終え、4点差に迫る。そして第4ピリオドもこの勢いが衰えず、N高校が完璧にQ女子高を圧倒する展開。最後にQ女子高山形のスリーが出たものの、このピリオドは結局17-26とN高校が大量リードを奪い、最終的に71-76で勝利を収めた。
 
これでN高校は4年連続のBEST8で準々決勝に進出した。
 
この日の結果
 
愛知J学園○75−44×山形Y実業
岐阜F女子○69−45×新潟G学館
札幌P高校○101−67×千葉S高校
福岡C学園○70−67×大阪E女学
宮城N高校○92−79×金沢T高校
福井W高校○74−66×那覇V高校
旭川N高校○76−71×愛媛Q女子
岡山E女子○98−79×山梨F学苑
 
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となった。
 
岡山E女子高の高梁王子(183cm 87kg)と山梨F学苑の吉田愛美(182cm 90kg)という“ヘビー級”対決も注目されたのだが、実際にはほとんど勝負にならなかった。似たような体格の両選手であったが、体格は似ていてもパワーの違いが鮮明になった。ゴール下で激突した時、他のチームの選手のように吹き飛ばされたりはしないのがさすがなのだが、吉田は王子のシュートを全くブロックできなかった。リバウンドは吉田もよく拾ったものの、王子のシュートが事実上フリーに近いので、結局20点近い点差となってしまった。
 
やはり高梁は凄いという印象を強く与えた試合だった。
 

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準々決勝の相手は福岡C学園で、この試合も激戦になったが、U17大健闘の勢いに乗る紫が終了間際自ら逆転のゴールを挙げ、1点差で勝利。2年ぶり3度目のBEST4に進出した。
 
この日の試合はこのようになった。
 
札幌P高校○90−61×愛知J学園
岐阜F女子○72−65×宮城N高校
旭川N高校○65−64×福岡C学園
岡山E女子○75−58×福井W高校
 
P高校とJ学園が準々決勝で激突したのは「もったいない」と多くの人が言った。決勝戦で当たってもいい組合せである。どちらもU17,U18代表が複数いるチームで特に“高校四天王”の一角である渡辺純子と加藤絵里の対決が注目されたのだが、意外に大差が付いてしまった。渡辺はこの試合で加藤を圧倒した。試合中、加藤が顔面蒼白になり足元までふらついたりしたので、審判が試合を停めて、交替を促す場面まであった。
 
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高梁王子の岡山E女子高はこの日も勝って、バスケ協会幹部からフル代表に呼ぶ条件として言われていた「インターハイ・ベスト4」を達成した。千里もやはり沖縄入りしている玲央美も
 
「これで王子のフル代表ロースター入りは決まったね」
 
と言い合った。
 

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大会は5日目に入る。今日は準決勝の2試合が行われる。
 
今日の旭川N高校の相手は、キャプテンの絵津子が一時期留学させてもらっていた岐阜F女子校であった。
 
湧見絵津子−鈴木志麻子、原口紫−水原由姫、というライバル対決が注目された。その他、今大会の二大シューターのひとりで、絵津子と交換で旭川N高校に留学していた神野晴鹿を、N高校がどう抑えるかもポイントだった。
 
実際には神野晴鹿と一緒に“村山学校”でシューターとして鍛えられた宮坂智加が神野のマーカーとなり、彼女のシュートをかなり防いだのでF女子高はいつものような爆発的な得点力を発揮することができず、かなり苦しんだ。しかしN高校も選手レベルの高いF女子高を凌駕するほどのパワーは無い。特にF女子高自慢の外国人センターにはN高校の耶麻都・紅鹿・由実といった170cm代のセンターは対抗できずに苦しんだ。
 
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この試合は延長戦にもつれる激戦となる。
 
しかし3回戦でQ女子校、準々決勝でC学園、準決勝でF女子校というのは今年のN高校はくじ運が悪すぎた感もある。
 
第3延長(第7ピリオド)の終了間際、同点の場面から紫がゴールを決めて2点差にしたものの、残り5秒からF女子校の水原由姫がスリーを決めて逆転。激戦を制した。最後はU17代表対決であった。
 
この日の結果
 
岐阜F女子○108−107×旭川N高校
札幌P高校○72−58×岡山E女子高
 
もうひとつの準決勝である、札幌P高校と岡山E女子高の対決は激戦が予想されたものの、あっさりとP高校が勝利を収めた。P高校は常に高梁王子に2人付けるという作戦に出た。「王子はふつうの選手の2人分」と十勝監督は後でインタビューで答えていた。
 
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さすがの王子も常に2人付かれていては、なかなか仕事ができない。その代わりP高校は残りの3人でE女子高の4人に対抗しなければならなかったのだが、あいにく今年のE女子高は高梁を除くと、そこまでレベルの高い選手が居ない。
 
そこがワンマンチームの悲しさである。
 
P高校が消耗を防ぐため計画的かつ短時間で選手を交代させてプレイした作戦ともあいまって、結局、14点もの点差でP高校が勝利を収めた。どうも札幌側は最初から、どのタイミングで誰々が出るという綿密な計画表を作り、それを元に作戦を実行していたようである。
 

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「あれって、私たちの時に、国体予選でレオちゃんにうちがダブルチーム掛けたのと似てるよね」
と観戦しながら千里は言った。
 
「そうそう。あれがヒントになったみたいだよ」
と玲央美は苦笑しながら答えた。
 

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王子は1年生のインターハイでは静岡L学園の舞田さん、ウィンターカップでは旭川N高校の山下紅鹿に厳しくマークされて封じられ敗れている。今年岡山E女子高と当たった各チームも同じ作戦で行ったものの、誰も王子を停めることができなかった。しかし今年のP高校は渡辺純子+赤坂正枝とか、久保田希望+工藤典歌とか、主力級の選手を2人、常に彼女に付けて王子を停めたのである。普通のレベルの選手なら3人分くらいである。
 
王子はそのくらいしないと停められない強烈な選手に成長していた。
 
試合終了後、高梁王子は仁王様のように怒りの表情で立ち尽くしてコートを見つめていた。
 
ここで相手選手を殴ったりしないのが、やはり1年間での成長か。むろん“前科”のある王子が人を殴ったりしたら、1年間くらいの謹慎処分をくらい、フル代表入りの話も消える所であった。
 
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