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■娘たちの予定変更(3)

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千里は渋谷駅で降りてから近くのファーストフードで香奈・玲奈しばらくおしゃべりした上で別れ(お店から出る直前に千里がやはりお店の女子トイレに入っていくのを2人に見られている)、1人で坂を登っていった。
 
渋谷という町は盆地状になっており、駅のある所がいちばん低いので、どこに行くにも坂を登る必要がある。新島さんのマンションはこの坂を400-500m登り、そこから細かい道に入り込んだ所にある。毛利さんなどはこの坂を登る度に息が上がっているが、バスケット女子の千里は平地と変わらないペースで登っていく。
 
この通りはあまりお店とかは無いのだが、その新島さんのマンションに行く道の入る所の角に、全ての食器が有田焼の深川製磁製という、60代のマスターがやっている喫茶店がある。サイホンで美味しいコーヒーを入れてくれるし、このマスターが作る「スパゲティ・ナポリタン」は絶品である。やや価格設定が高いので、客は多くないものの、実はお金に余裕のあるミュージシャンの隠れ家的溜まり場になっている。千里はここで新島さんや雨宮先生、加藤課長などと打ち合わせしたことも数回ある。
 
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千里はふと、その喫茶店のすぐ向こう側に呉服屋さんがあることに気付いた。そういえばこの店、昔からあったなと思う。
 
人は自分の関心が無いものは「見ていない」ものである。
 
さっき友人たちと振袖を見てきたので、和服に関心ができて、それでこの店にも気付いたのだろう。しかしこんなに人通りの少ない所に店を出して客は来るのだろうかと心配してしまう。
 
ふと軒先を見ると、紫外線をカットする加工がされているのか、やや茶色いショウウィンドウに、きれいな和服がマネキンに着せて飾られていた。えっとこれ袖が短いからたぶん訪問着だな。振袖は飾られていないのかな?と思い、見てみると、どうも反対側の端に飾られているのがそれっぽい。
 
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そちらを見に行こうとした時、喫茶店から出てくる人影がある。
 
「あれ〜?千里だ」
「清紀に美緒?」
「何見てるの?」
「いや、ここにも呉服屋さんあったんだなと思って」
「あ、そういえばなんか呉服屋さんあるねって、さっき言ってた」
 
「デート中かな?邪魔しちゃった?」
と千里は言った。
 
美緒はさっきデートすると言っていた気がする。紙屋君とデートするつもりだったのだろうか?
 
「千里、僕のこと分かっているくせに」
と紙屋君。
「清紀が女の子とデートする訳無い」
と美緒。
 
「いや、ひょっとしてと思っただけで」
「私がデートをドタキャンされて、この後どうしようと思ってたら、ちょうど清紀と会ったから、少しおしゃべりしてただけだよ」
「なるほどー。女の子同士のおしゃべりと似たようなものか」
「僕は女の子じゃないけどね」
 
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「千里についても色々情報交換した」
「あはは」
 
ちなみに紙屋君は例の付けひげを今は付けていない。それにさっき見た時と服が違う。レディスのチュニックを着ている。彼は女装の趣味は無いとは言っているが、結構レディスを着こなしている。実はスカートも持っていることを千里とデートしていた時に告白している。足はいつもきれいに毛を処理しているので生足でスカートが穿けるらしい。ブラは着けないし持ってないと言っていたが、パンティは実は女物の方が多いらしいし、男物も全て「前閉じ」だと言っていた。千里は前閉じ型って、おしっこする時不便なんじゃないかなとは思ったものの、千里自身はそもそも立ってしたことがないのでよく分からない。
 
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3人で(和服とは関係無い)話をしていたら、お店の中から若い男の店員さんが出てきた。絣(かすり)の着物を着ている。
 
「よろしかったらどうぞ」
と言って、ティッシュを配る。3人とも受け取る。
 
「和服をお選びですか?」
「ええ。でも、これは訪問着だねと言っていた所です」
「いえ。これは色留袖でございます」
「え〜〜〜!?」
 
「色留袖と訪問着は見分けが難しいのですが、訪問着の場合は上半身にも模様があるのが特徴で」
「着物、難しい〜」
 
「あちらにあるのが振袖ですよね?」
「はい、そうです」
「やった!当たった」
 
「成人式のお振袖ですか?」
と言って案内してくれる。
 
「袖が長いからたぶん振袖だなと言ってました」
「はい。それが振袖の最大の特徴でございます」
 
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桃香は「やった!」と思った。散々迷ったあげく出た通りの左手遙か向こうに随分賑やかな雰囲気のポイントがある。あちらに行けば、きっと帰れる!と思うと楽しい気分になって歩いて行った。
 
実は迷路を歩く要領で、ずっと右手を壁に付けたまま歩く感じで歩いていたらやっとここに出られたのである。桃香は「理論はすばらしい」と思いながら坂道を降りて行った。
 

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店員さんは美緒・千里・紙屋君の3人に振袖について説明を始めた。が、どうも紙屋君にメインに話している雰囲気もある。ひょっとして、紙屋君が私と美緒の保護者か何かに見えた?などと思いながら千里は説明を聞いていた。
 
千里たちが数分間その男性店員さんの説明を聞いていたら、店内から30代くらいの女性の店員さんが出てくる。小さな花がたくさんプリント?された和服を着ていて、千里は思わず「可愛い!」と思った。(後で小紋というのだということを知る)
 
「長時間立ち話もなんだし、中に入って椅子に座って頂いたら?」
とその女性店員は言ったが、
 
千里と美緒は
「いえ、大丈夫です!」
とほぼ同時に言った。
 
中に入っちゃうなんて恐ろしい!気付いたらいつの間にか割賦販売契約書にサインしていたりしかねない!
 
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「でもどういうのがお好みなのかしら?」
と後から来た女性店員さんが言う。
 
「いや、和服に馴染みがないので、全然分かりません」
と美緒。
 
すると、先に対応していた男性店員さんが
 
「お姉さんの方は目鼻立ちがしっかりしているから、派手な加賀友禅がお似合いだと思うんですけどね〜。妹さんたちは優しい雰囲気の顔立ちだし、むしろ京友禅や東京友禅が合いそうな気がするのですが、鈴木さん、どう思います?」
 
などと言う。
 
その言葉に、千里と美緒は「ん?」と声を出して顔を見合わせた。
 
「もしかして」
「うん。どうもそうみたい」
 
と千里と美緒は言い合う。
 
紙屋君も誤解に気付いたようである。真っ赤になっている。
「あのぉ、僕は・・・」
と声を出す。それでやっと男性店員さんは気付いた。
 
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「あ、済みません。お客様、男の子でした?ごめんなさい。男の子は振袖着ませんよね」
 
と言って、頭を押さえている。
 
「せいちゃんの振袖姿は可愛くなりそうではあるが」
「僕は取り敢えず成人式は背広着る方向で」
「せいちゃんにさっきミニフレアーのスカートを試着させたら可愛かった」
「それ誰にも言わないでって言ったのに」
「女の子用の服を着る時はMだって言ってたけど、ミニフレアースカートだと61でも行けた」
 
多分フレアーなので、ヒップがカバーできたのだろう。
 
「それは凄い。清紀ちゃん、スカートで大学に出ておいでよ」
「その言葉、そのまま千里に返す」
 
どうも紙屋君は美緒のおもちゃにされていた雰囲気だ。しかし何だかこれで話がうやむやになってしまったようである。ちょうどいい潮時だと感じたので、千里と美緒は
 
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「でも詳しい話色々聞かせて頂いてありがとうございました」
 
と言って振袖の傍から1歩離れる。
 
「いえ、妹さん方もまた興味がおありでしたら、お寄り下さい。買わなくてもお茶でも飲みながら眺めて頂くだけでもいいですし」
と鈴木さんと呼ばれた女性は笑顔で言っている。
 
いやお茶まで頂いたら、なおさらその先が恐い。
 
その時、美緒が悪戯っぽい表情で千里の方に手を向けながら言った。
 
「ちなみにこの子も男の子ですから」
 
「え?」
と男性店員さんは声をあげたが、鈴木さんはにこやかな表情を崩さない。
 
「男の方でも振袖に興味おありでしたら、また色々見て行ってくださいね」
と千里と紙屋君を見ながら、鈴木さんは言った。
 
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美緒と紙屋君が《手を繋いで》渋谷駅の方に降りて行く。あの子たちデートではないと言ってたけど、その割には仲がいいじゃん。もしかしたらあのままホテルにでも行くつもりなのかも?と千里は思った。女性に興味が無い紙屋君は美緒にとっては「安全に遊べる相手」だ。紙屋君も着衣の女の子になら傍に寄られても平気と言っていたし。
 
千里も新島さんのマンションの方に行くのに2人から少し離れて動き出す。店員さん2人が店の入口のところで、丁寧にお辞儀をして見送ってくれた。
 
千里は最後にチラっと向こうの方にある振袖を見てから、小道に入って行った。
 

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桃香は坂をかなり降りてきた所で、少し先の所に千里が立っているのに気付いた。寄って行き、声を掛けようと思ったのだが、千里は何かのお店の展示をチラっと見てから、脇道に入っていってしまった。
 
桃香は何だろう?と思い千里の居た場所まで降りて行くと、そこには呉服屋さんがあった。
 
ふーん。。。千里も和服に興味があるのか。もしかして成人式は紋付き袴?と思ったものの、千里が立っていた位置のそばに展示してあったのは、美しい“振袖”であった。
 

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千里は新島さんと1時間ほど話し合ったが、内50分くらいは新島さんの雨宮先生への不平をひたすら聞いてあげた。電話だとこういう話ができない所だが、実はそういう話ができるように、わざわざ彼女のマンションまで来たのである。
 
結局、作曲する曲数は変わらないものの、一部の曲目を入れ替えて、期限に余裕のあるものを書かせてもらうことにした。
 

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この日千里は結局22時すぎに合宿所に戻った(一応門限は23時)。
 
今回のフル代表の第6次合宿は、明日7日から20日までリトアニアに遠征し、リトアニアおよびブルガリアのナショナルチームとの試合(一部は観客入り)を6試合行うことになっている。
 
この遠征には、フル代表候補として発表されている24名の他に、高梁王子・前田彰恵・鞠原江美子・中丸華香の4人のU20組も補欠扱いで同行することになっている。千里・玲央美も含めてこの6人は先日のロシア遠征に続く東欧遠征となる。
 
ミィーティングは明日の朝、成田空港で簡易なものが行われることになっている。
 
なお、ドーピングに引っかかるような薬(風邪薬や生理痛の薬など)を持ってないかの確認やパスポートを持っているかの確認は既に3日に行われている。パスポートは念のためその時点でチームで預かり、7日朝成田で航空券と一緒に返すということであった。「前科」のある王子については夜明コーチが特にしっかり注意しておいたので、2日に岡山を出る前にお母さんが持ち物チェックをしてくれたらしい。
 
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「だけどプリンは帰ってきてからすぐインターハイで大変だね」
「でも私はまだ1週間あるから」
「今回はU17代表に入っている子たちが大変」
「うん。25日までフランスで世界選手権があるのに、29日からは沖縄でインターハイだからね」
「なんか移動で体力使うなあ」
 
「決勝トーナメントに進出できた場合は、フランスから帰国するのが27日になるから、帰国したらすぐ沖縄に行くと言っていた。予選リーグで敗退して早く帰って来た場合も、そのまま沖縄に行けと言ってある。その場合、練習パートナーを先行して沖縄入りさせる」
と千里は言う。
 
「うちの久保田希望も同じ。たぶんそういう方式にする所が多いんじゃないかな」
と玲央美も言った。
 
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「特におたくら、北海道組は大変だよね」
とWNBAの羽良口英子が言うが
 
「いえ、羽良口さんには負けます!」
とその場に居た全員が言った。
 
彼女は日本代表の活動に参加するため、わざわざアメリカから来ている。愛知J学園の出身だが、山形生まれで、鶴田早苗の中学の先輩でもある。
 
「でもインターハイももう少し時期を考えてくれたらいいんだけどねぇ」
 

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