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■黄金の流星(29)

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(C) Eriko Kawaguchi 2023-01-02
 
下記はこの物語のタイムラインである。→が入っている所は原作から変更した部分を示す。変更理由は後で述べる。
 
Timeline
 
3月12日(木)★結婚 MF (*128)
3月16日(月)7時37分27秒から7時37分29秒 最初の出現
3月24日(火)天文台へのお手紙
4月17日(金)夜9:19:09、ボストン天文台が天体を確認
4月21日(火)☆離婚MM (*128)
4月22日(水)午後 ミッツが首を掛けて主人を諫める 3度目の天体観測
5月 2日(土)パリ天文台が天体が金であると発表
5月 6日(水)グリニッジ天文台が天体のサイズを確定
5月 8日(金)★結婚FM (*128)
5月10日(日)ジルダルが操作を始める
5月11日(月)天体の軌道がずれ始める
5月13日(水)フランシスとフローラの話し合い
5月14日(木)2人が天体の落下を予想。F:6.28日本/H:7.7パタゴニア
5月15日(金)ジルダルが落とす場所を決める
5月18(月)裁判と判決
5月18(月)☆離婚FF セスはFを信じて日本へ。アルケイディアはHを信じてパタゴニアに行くと言う
5月19(火)ボストン天文台の発表。全員旅行を中止。
5月25(月)国際会議が開かれる
5月29(金)ジルダルが旅行に出掛けちゃう
6月 1(月)ボストン天文台が軌道が乱れていると発表
6月10(水)ジルダル帰宅。機械を再設置。
7月 6日(月)操作完了。ジルダル出発
7月15日(水)ボストンが落下位置を予測
7月18日(土)ジルダルがウペルニヴィク到着 (*130)
7月27日(月)Mozik出発
7月30日(木)ボストンに寄港。セスが乗り込む
8月_7日(金)コンフォート岬を通過
8月_9日(日)ディスコ島
8月10日(月)18h ナヴィク島到着(*131)
8月16日(日)最後の船(Oregon)が到着
8月18日(火)朝6:57:35、流星落下。アトランティス発進。 (*132)
8月19日→21日(水) アンドロメダ出港。(*132)
8月25日→30日(日)までに16ヶ国の軍艦が集結 (*133)
8月28→30日(日)ジルダルが隕石を転落させると言うがルクールは9月3日まで待ってと言う(*133)
9月_3日(木)流星転落
9月_4日(金)Atlantis戻る。ジルダルたちを回収。
9月18日(水)Mozikがチャールストン港に帰港
9月30日(水)フランシスとジェニーの結婚式
9月30日(水)ミレイユの結婚式 (*129)
9月30日(水)ジルダルの結婚 (*129)
9月30日(水)★セスとアルケイディアの結婚式
 
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(*128) セスとアルケイディアの結婚離婚(恣意的変更)
 
2人の性別がコロコロ変わってしまうのは、この翻案のオリジナルで原作には無い設定である。最初からセスは男性でアルケイディアは女性のままだった。また原作では2人は次のように行動している。
 
3/12 結婚
5/18 離婚。隕石落下地点で意見が合わないため
9/30 結婚
 
しかしこの程度はあまり珍しくもないため、離婚・結婚を1回ずつ追加した。また原作は、離婚中のアルケイディアをMrs. Stanfort と呼んだりして作者自身が混乱している感じもあり、そのあたりの呼び方も整理している。この翻案では2人は↓のように行動したことにした。
 
3/12 ★結婚 Arcade Walker(M) | Sethie Stanfort->Walker(F)
4/21 ☆離婚 Arcade Walker(M) | Seth Walker->Stanfort(M)
5/08 ★結婚 Arcadia Walker->Stanfort(F) | Seth Stanfort(M)
5/18 ☆離婚 Arcadia Stanfort->Walker(F) | Sethie Stanfort(F)
9/30 ★結婚 Arcadia Walker->Stanfort(F) | Seth Stanfort(M)
 
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最初は7月,8月にも結婚・離婚させるつもりだったが、グリーンランドに行っていて判事さんの所に行けないので諦めた。
 
5/18の離婚は本当は6月までずらしたかったのだが、作中でも書いたように、隕石落下を見るのに日本に行くなら、5/18はもう出発のぎりぎりなので、ずらすことができなかった。それで2人がわずか10日で離婚したことになった。
 

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そもそも性別が変わったら結婚は無効になるのではという問題については、最初下記のような会話を入れるつもりだったが考えた末カットした。
 
「合衆国では男性同士、女性同士の結婚は認められていないので、もし誰かに提訴されたら、あなたたちの結婚は無効になってしまいますが、誰も提訴しなかったらこのまま夫婦の状態を維持可能だと思いますが」
 
「誰も私たちの結婚には文句は付けないと思うし」
「どちらも跡継ぎじゃないから気楽だしね」
 
リアルでは、1941年にアメリカで性別変更を裁判所に認められたエドワード・リチャーズの場合、裁判所は性別変更を認めると同時に彼女の結婚は無効であるとしたので奧さんと別れさせられています(実際には同棲を続ける)。
 
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ところが、同じアメリカで1995年に性別変更を申請したデアドル・マックロスキーの場合は、性別変更の審判と同時進行で奧さんから離婚訴訟を起こされており、離婚を認める審判が出る数日前に、性別変更が認められています。つまり数日間だけ、女性同士で結婚している状態にありました。
 
だから「誰もアピールしなかったら」性別が変わっても結婚が維持できる可能性はあるかも知れません。
 
いづれにしても、そもそも世の中の流れは同性婚を認める方向に進みつつあります。奧さん公認で性転換しちゃう人はわりと居るんですよね。奧さんが性転換手術に付き添ってくれたとか。
 

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(*129) 9/30の結婚式
 
原作では9月30日に結婚するのは、フランシスとジェニー、セスとアルケイディアの2組だけである。しかし今回の翻案では、みんな結婚させてしまおうということでジルダル、ルクールも各々結婚することにした。
 
ミレイユとエトワール船長との結婚は、配役の玉突きの結果、松田理史が船長役をすることになってしまった段階で決めていたが、ゼフィランがシルヴィアと結婚しちゃったのは、物語の成り行き上の問題で、作者もびっくりであった。
 

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原作は、アメリカ人を少し小馬鹿にしている雰囲気があり、アメリカさんって、簡単に離婚結婚しちゃうんだからと、セスたちを笑っている感じもある。しかし、現代的に見ると、セスたちの行動がわりと現代的っぽく、ジェニーたちの行動は古くさく見えてしまう。
 
結果的に今回は4種類の結婚を描くことになった。
 
市役所婚:ミレイユとエトワール
判事婚:アルケイディアとセス
教会婚:フランシスとジェニー
事実婚:ゼフィランとシルヴィア
 

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(*130) ジルダルがウペルニヴィクに到着した後の行動
 
原作では、ジルダルたちはウペルニヴィクに到着すると、次のような行動を取っている。
(1) 8日間でフェンスと小屋を建てる
(2) 7/26 軌道修正の作業開始
(3) 8/17 作業成功を確信。海岸から50mの位置に落とす
 
しかし落下地点を間違えてその位置を調整するのに時間が無いと言っているのである。それなのにのんびりと8日も掛けて小屋やフェンスを作ってる時間は無いはずである。それで今回の翻案では、テントのようなものを建てて、すぐ作業に取りかかることにした。
 
またフェンスなど作っても、隕石衝突の衝撃で吹き飛ぶので全く無意味である。それでフェンス作りは、隕石落下後におこなうよう変更した。
 
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原作では、現地の住民を雇って小屋やフェンスを建てさせたなどとあるが、小屋を作らなければならないのは最初から分かっていたことである。それを現地の人に頼るというのはあまりに無計画でルクールらしくない。それで作業員は最初から連れて行ったことにし、材料も持って行ったことにした。森林など無い場所で、いきなり材木などを調達しようとしたら、それだけで数ヶ月かかる。
 
また原作では隕石落下を落下地点から500mの所で待つことになっているが、そんな場所に居たら、衝突の瞬間、超高熱で跡も残さずに蒸発してしまうので、退避させることにした。
 

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(*131) 観光船の待機場所
 
原作では、ウペルニヴィクは有人島で、そこに観光船も来たことになっている。
 
しかし後述のように、隕石が落ちたら周囲2-3kmは1000℃以上の高温になり周囲10km程度は熱風が来て、温帯なら山火事が起きるし北極なら雪が融けてしまう。津波の衝撃も物凄い。
 
有人島にこんな巨大な隕石が落ちたら住民は全員即死するし、観光客が来ていたら、爆発の高熱か衝撃波か津波で船もろとも全員死亡する。
 
それで隕石を落とすウペルニヴィクは無人島であることにし、20km離れた所に有人島のナヴィク島があって、そこに観光客も来たことにした。20kmの距離があれば、途中に他の島があり衝撃波を停めてくれるという条件付きで何とか無事なはずである。
 
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船は港に入っている場合は確実に転覆するが、沖合に停めていた場合は何とかなる。基本的に津波に耐えられるのは、水深50m以上であることが必要。
 
また衝撃を小さくするため、隕石は2つに分裂していたことにした。そもそもヴェルヌが隕石は多孔質であるという設定をしたのは、隕石を分裂させるためだったのではないかという気がするのだが?
 
原作では隕石が多孔質なので速く冷えるなどと書かれているが、多孔質が地球衝突の衝撃で維持される訳が無い。全て潰れてしまう筈である。それに早く冷えると9月3日までもたないのである。
 
恐らくジルダルの件を加筆したヴェルヌ息子は、このあたりの物理学・化学の計算ができなかったのではないかと思う。
 
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(*132) 船の発進日問題。
 
原作では隕石が落ちたらすぐにアトランティスは発進し、翌日には観光船の内の1隻がこのことを報せるために電信の使える場所に向かうとされている。便宜上この船に今回の翻案ではアンドロメダという名前を付けた。
 
しかし後述のように、9月3日までとても近寄れないほどの高温が保たれるためには、隕石の当初の温度を原作の1064℃ではなく5000℃程度に設定する必要がある。そうすると隕石が地上に落ちたかどうかを確認できるのはどうしても3日後になるので、アンドロメダの出発は8月21日に変更した。
 
また隕石衝突の衝撃を避けるため、ジルダルたちもアトランティスで遠くに退避していたことにしたので、彼らを現地に置いてからアトランティスは発進しなければならない。それで“防護服を着ていれば”島の南側には何とか上陸できることにし、アトランティスは彼らを置いてから発進したことにした。
 
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また原作はタイタニックより前なので仕方ないが、北極では氷山や叢氷が漂っていることを考慮に入れていない。そのため、現実的に可能な航行時間は原作より、かなり長くなる。
 

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アトランティスのタイムスケジュール:−
 
8:18 10:00 Upernivik出発
8:20 16:00 St.John's到着 (54h)
_.__ 20:00 出発
8.23 14:00 Upernivik帰着 (66h)
 
8.30 18:00 出発
9.02 _6:00 St.John's到着 (60h)
_.__ 10:00 出発
9.04 20:00 Upernivik帰着 (58h)
 
アンドロメダの往復
8.21 23:00 Navik出発
8.25 20:00 St.John's到着 (93h)
8.26 _0:00 出発
8.29 22:00 Upernivik帰着 (94h)
 
原作の航行スケジュール
8.18朝 アトランティス発進
8.19朝 アンドロメダ出港
8.19夕 ルクール銀行に「売れ」の指示が届く
8.21朝 世界に向けて隕石落下の報
 

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(*133) 隕石転落決断の日付について
 
原作では8.21にアンドロメダのクルーから世界に向けて隕石落下の報せが届き、それに応じて各国の軍艦が集まって来て、それで8.28にジルダルが激怒して隕石を海に放り込むと言い出す。
 
とろこが↑までの考察でアンドロメダのクルーから世界に向けて発信されるのは、どうしても8.25になってしまう。すると軍艦の集結はどんなに早くても8.29-30に、なってしまうので、ジルダルが激怒した日も8.30日ということになった。
 

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↓以下は細かい問題(読まなくてもOK)。
 
●隕石の衝撃の大きさ問題
 
原作は、直径100mもの大隕石が落ちた時の衝撃をあまりにも小さく見ている。原作では「地面が激しく揺れた」などと書かれているが、こんなものでは済まない。
 
直径100mの隕石が落ちた場合、広島型原爆の数千倍の衝撃がある。周囲2-3kmは1000℃以上の高温になり、10km以内は火事で焼けてしまう。ここは北極で森林は無いので、雪が融けてしまうはすである。
 
ただし長崎原爆が凹状の場所に落ちたため被害範囲が狭くて済んだように、山陰であれぱ少しは被害が小さいはずである。それで今回の物語はウペルニヴィクには高い山があるため南側には雪が残ったことにした。それでもかなりの高温になるはず。
 
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●隕石の冷却時間問題
 
原作では隕石落下当初は金の融点(1064℃)を越えているとして、9月3日の段階でもまだ熱くて近くまで行けないということになっていたのだが、この条件がとても難しい。
 
ニュートンの冷却法則が仮に成立するとして、実際の冷却の様子を積分計算してみると、8月18日に1064℃であれば、8月23日には327℃でこれなら50mくらいまで、8月25日には246℃で20mくらいまで近づけて、政府による隕石の持ち出しも可能になる。
 
9月3日にまだ近寄れない状態にするには条件を色々変えて試行錯誤してみた結果、当初の温度が5000℃であったとしないと無理という結論に達した。また物語の記述にできるだけ合わせようとすると、隕石落下の24時間以内と48時間以内に崖崩れが起きて最初の崖崩れで隕石の半分、2度目で7割程度が岩石に埋まってしまったと考えないと、うまくいかない。
 
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その条件で冷却のシミュレーションをした結果、3日目なら2km程度離れた場所から隕石を確認できるという計算が成り立った。ただし、反射率の高いアルミの服を着ていれば24時間後には2km地点まで行けるという計算ができたので、防護服の登場となった。
 
 
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黄金の流星(29)

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