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■黄金の流星(26)

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9月30日、ゼフィランは
「面倒くさいなあ」
などと言いながらもフロックコートに着替える。シルヴィアは
「ドレス着たら?お化粧はしてあげるよ」
と言ったが、拒否した。
 
そしてシルヴィアの運転するプジョー・リオン・フェートン(*112)に乗って市役所まで出掛けて行った。
 
(*112) ここで車が付けているナンバープレートは、ミレイユのType 91 は 314-E, セルジュが使っていたフェートンは 108-U, シルヴィアが運転しているフェートンは 726-U であった。但し撮影では、同じフェートンをナンバープレートを付け替えて使用している。この当時のナンバープレートは、3桁の数字の後に1桁の地域コードで、パリが使用していた地域コードは、 E/U/I/G/X であった。
 
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ゼフィランは結婚の証人になるので、出生証明書を提示して本人確認した。ダカールの側の証人は、お母さんのルイーズ・ランド(助監督の美高鏡子!)(*114)が務める。彼女も本人確認書類を提示していた。
 
この結婚式に来ているのは、ダカールの姉2人と母、親族6人、ルクール銀行の副頭取、本店副店長、その他銀行の役員10人、そしてアトランティスの乗組員で3人の航海士、甲板長、機関長、司厨長、チーフパーサーのセルジュ、それにゼフィランで、合計30人、にプラスその配偶者たちである。シルヴィアは車で待機しておくつもりだったのが「奥様もどうぞ」と言われて「きゃー私こんな格好」と言いながらも出席することになった。
 
ミレイユたちは、教会結婚式も結婚パーティーもしないので、市役所結婚式の人数が膨れ上がった感じもある。
 
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司会役の市長が到着したということで市役所内の結婚式場(*115) に入場する。全員入場して着席し少し待つと、トリコロールの“たすき”を掛けた市長(友情出演:紅川勘四郎)が入ってくる。全員起立する。
 
市長は笑顔でお祝いのスピーチをする。副頭取とシャルル1等航海士がお祝いのスピーチをする。市長は、結婚に関する民法の条文をまとめたものを朗読する。これが法的な結婚式ではとても重要である(映画では大半を省略!)。
 
「結婚契約書はできていますか」
「はい」
と2人で言って提示する。その上で2人が結婚同意書を交換する。市長が結婚の意思について最終確認をする。
 

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「エトワールさん、あなたはこのミレイユさんを配偶者にしますか?」
「はい (Oui)」
とエトワール・ダカール(松田理史)。
 
「ミレイユさん、あなたはこのエトワールさんを配偶者にしますか?」
「はい (Oui)」
とミレイユ・ルクール(アクア)。
 
(市長のことばがうまく聞き取れなくても「ウィ」と言えばよい!!)
 
「それでは共和国の名において、ふたりが結婚により統合されたことを宣言します」
と市長は述べた。(*113)
 
参列者から拍手と「ブラボー!」という多数の声があがった。
 
市長から家族手帳を渡される。この後、2人は指輪の交換をし、新郎新婦がメッセージを述べる。結婚証書が朗読された上で、それに新郎新婦および2人の証人が署名して、結婚式は終了した(*116).
 
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(*113) 宇菜や美高さんから
「ひょっとして今の結婚式って本物だったのでは?」
とアクアと理史は言われていた。
 
市長を演じた紅川相談役も
「なんかふたりが本気で『ウィ』と言った気がしたんだけど」
と言っていた。
 
そして映画を見た人たちの中からも「この2人マジで怪しくない?」という声が出ることになる。
 

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(*114) フランスは基本的に夫婦別姓であるが、統一することもできる。複合姓を使用することもできる。配偶者の姓に改名した場合は、元の苗字を通称として使用できる。
 
子供の苗字はどちらかに統一しなければならない。例えば男の子には父親の苗字、女の子には母親の苗字を名乗らせるなどということは許されない。子供は自分の親の苗字を通称として使用できる。
 
例えば、ジャン・ベルナールさんと、エマ・リシャールさんが結婚した場合、子供の苗字は、ベルナールかリシャールのどちらかに統一しなければならない。ベルナールを選んだ場合、娘のリサは、法的にはリサ・ベルナールだが、母親の苗字を利用して、リサ・リシャールを通称として使用することもできる。
 
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(*115) フランスの市役所にはどこも立派な結婚式場がある。特にパリのは立派である。今回撮影に使用した結婚式場のセット(春日部)は、1908年当時の実際のパリ市役所の結婚式場を当時の写真と証言に基づき5000万円掛けて再現したもので、フランスの映画観覧者に評価が高かった。このセットは後で郷愁村に移設して一般公開される。ここで結婚式を挙げたいという希望も多く、2022年夏以降、結婚式で本当に使用されるようになった。
 
(*116) そういう訳で、結婚式に最低必要なのは、結婚する2人、各々の証人、市長の5人である。5人だけで結婚式を挙げているシーンを筆者は昔のドラマで見たことがある。
 
日本だとカップルが結婚を決めたら「式場を予約しよう」となるが、フランスでは「市役所に行こう」となる。
 
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市役所は日曜日がお休みなので、必然的に結婚式は土曜日が多く、土曜日の結婚式は半年くらい前から予約しておかないと取れない。このあと教会結婚式も挙げる場合は出席者が大移動する。
 
概して市役所結婚式と教会結婚式の間で数時間待たされる。その後、パーティーが続くのて、結婚式に招待された場合、だいたい丸一日潰れる。出席者の服装は一般に平服である。ミレイユの結婚式ではアトランティスのクルーは制服を着た。
 
市長が出張などで不在の場合は、市議会議員などが代行する場合もある。また市長の業務がずれこんで、予定通りの時刻に始まらないことも多い。(予定通りの時間に物事が行われないのはフランスでは普通のこと)
 

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語り手「結婚式の後、2人は日曜まで“結婚航海”するという話でした。普段のデートなのでは?とゼフィランは思いました」
 
画面はアトランティス(*117) がルアーブル港を出るのをゼフィランたちが見送る所。そしてゼフィランがシルヴィアの運転するフェートンで帰宅する所。
 
部屋の中でくつろいでいると、シルヴィアが熱々の夕食を持ってくる。
 
「料理はいつものようにミレイユ様の家から配送されてきてましたから、鍋とフライパンで温めました」
「お疲れ〜。でも助かるね、これ」
「ほんと楽でいいです。 自家製のバゲットやソーセージ、スープストックに、コンフィとかも時々置いてってもらえるから、お腹が空いた時はそれで結構食べられますし」
 
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「うん。夜通し作業してる時とかも助かる」
 

(*117) 今回の撮影では、春日部の“スタジオ村”に『シンドルバット2』のために建造途中であったガレオン船を一時的に蒸気船仕様に外観偽装して、モジーク号に関する撮影を行った。一方でアトランティスについては、千里が所有するクルーザー、アクパーラ (Akupara) を多少外装加工して、アトランティスに見立てて撮影した。ウペルニヴィク島に関する撮影以外では実は勝浦漁港をルアーブルやセントジョンズに見立てて撮影している。
 

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ゼフィランは机で何かの計算をしながら食事を取っている。シルヴィアは部屋の中に置いたサブテーブルで食べている。
 
やがて食事が終わったようなので、シルヴィアは食器を片付けて台所で洗った。部屋に戻るとゼフィランは難ししそうな本を読んでいる。シルヴィアは邪魔しないようにサブテーブルの所に座って、算数!の練習問題をしていた。
 
カメラは時計を映す。23:23である。
 
ゼフィラン(アクア)が眠り掛けてハッとして起きたので
「今夜は休みになったら?」
とシルヴィア(木下宏紀)が声を掛けた。
 
「そうだな。今日は結婚式で疲れたし」
と言い、トイレに行って来てからベッドに入った。ベッドで寝るなどというのは、子供の頃以来しておらず、アパルトマンでは本に埋もれて寝ていたのだが、航海中、またこの家に来てからは毎日ベッドで寝るようになり、これもいいかもという気がしている。
 
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シルヴィアもトイレに行って来たようである。彼女は普段は同じ部屋の中のサブベッドで寝ている。ところがこの日、トイレから戻ったシルヴィアは自分のベッドには行かず、ゼフィランの傍(そば)まで行くと、ドレスを脱いだ。
 

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「うっ」
とゼフィランが声を挙げる。
 
彼女がゼフィランの目の前で着替えるのは日常茶飯事なので気にしないようにしていた。彼女は普段はドレスの下にはシュミーズを着ていた。彼女はコルセットをしない。「あんなの、きつーい」と言っている。ミレイユもコルセットをしない。ミレイユの場合は「コルセットなんか着けて仕事はできん」と言っている。
 
しかしこの日のシルヴィアはデザビレ (deshabille) (*119) を着ていた。
 
「その服は・・・」
 
シルヴィアは何も答えずに、ゼフィランのベッドの中に入ってきた。
 
いきなりあそこを揉む!  (という設定!)
 
「待って、シルヴィア。ミレイユに何か言われたかも知れないけど、夜のお供は本当にしなくていいから」
 
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「違うの」
とシルヴィアは言った。
 
「これはお仕事でしてるんじゃないの」
「え?そうなの?」
「私ゼフィーのこと好きになっちゃった」
 
「ゼ、ゼフィー!?」
 
「好きだからしたいの。ね、していいでしょ?」
と言って、彼女は毛布の中に潜り込むと“作業”を始める。
 
「うっ・・・」
とゼフィランは声をあげたが、されるままにされていた。
 
字幕:9月30日23:45、ゼフィランは、とうとう“落ちた”。彼はこの夜、シルヴィアと事実婚した。
 

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(*119) デザビレ (deshabille) は、フランスでは今日でもこの名前で呼ばれることが多いが、日本では“ネグリジェ(negligee)”と呼ばれる。フランスでは18世紀から使用されていた女性用ナイトウェアである。
 
“ネグリジェ”という名称は1927年に発表された、ロイヤル・ドルトンの陶磁器に、この服を着た女性の絵が描かれていた時、そう呼ばれたことから広まった。
 
デザビレにしても、ネグリジェにしても“服を着ていない”という意味である。日本では必ずしもそうではないが、元々はシースルーのものを言った。このシーンで木下宏紀が着ているのも、シースルーのデザビレ(ネグリジェ)である。
 
わざわざ20世紀初頭のデザインを再現している。ちなみにバストがあるように見えるのはフェイクである!(木下君にバストが無いのは舞音も証言している)
 
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この場面は、男の子(男の娘?)の下着姿だから映しても倫理的に問題は無い!?
 
デザビレのショート丈のものがベビードール(Babydoll) だが、ベビードールが生まれたのは1942年で、この時代にはまだ無い。ベビードールが生まれたのは実は第二次世界大戦中の物資不足、生地不足のせいだった!
 

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ケイト(薬王みなみ)が判事公邸のお庭を掃除していたら、向こうの方からバイク(*120) に乗ってセス・スタンフォート(七浜宇菜)と、アルケイディア・ウォーカー(アクア)がやってきた。ケイトは今回は少し時間が掛かったなと思った。ふたりが5月18日に離婚して4ヶ月半ほど経つ。
 
バイクは公邸の前に停まる、
「ハロー、ケイトちゃん。判事さん居る?」
「はい、おります。お久しぶりですね」
 
2人は、セスがバイクを運転し、アルケイディアはその後ろにタンデムで乗ってセスに抱きついていた。
 
「ぼくたち結婚するから、判事さん呼んでよ」
「分かりました!」
 
ケイトが門を開けたので、2人はバイクに乗ったまま徐行で庭を進み、公邸の玄関前に停車させた。ケイトが判事を呼びに行く。
 
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(*120) ここに登場したバイクは、ハーレーダビッドソンのV-Twin 880cc エンジンを搭載したバイクで最高速度は100km/h である。1907-1910の間に非常に少数だけ製造されている。現存のモデルが存在するかどうかは不明。バイクマニアの山村マネージャーがこの貴重なモデルの写真を持っていたので、それを元に「走行は映画撮影中に限る」という条件付きでハーレーダビッドソン本社の特別な許可を取り、某バイクメーカーに依頼してレプリカを作成した。ただしアクアや宇菜の身長で足が届くサイズに調整している。
 

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プロス判事(大林亮平)が出てくる。
 
「お久しぶりです、スタンフォートさん、ウォーカーさん」
 
「ぼくたち結婚します」
「私たち結婚します」
と2人は唱和するように言った。
 
「書類は揃っていますか?」
「はい、揃えてきました」
と言って、2人は書類を提出する。
 

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