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■春一(28)
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目次 #
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緩菜と由美が来年度から幼稚園であるが早月が通っている幼稚園でいいだろうということで、(千里1が)二人を説明会に連れて行き、願書ももらってきた。
この時点での千里1の認識
由美:桃香が卵子を提供してくれて信次の精液を受精させて作った子
緩菜:貴司が美映にインサートしようとして仕掛けている呪により実際には千里1の膣に挿入され射精が起きて千里1の卵子と結合してできた子
それで幼稚園の先生から、緩菜と由美の関係について
「双子ですか?」
と尋ねられたが
「由美は私の連れ子で、緩菜は夫の連れ子なんです」
と答えておいた。
実際、由美は信次と千里の子供を作るべく、桃香の卵子を借りた子であり、緩菜は法的には貴司と美映の子として戸籍に登録されている。
「ああ、そういう関係ですか」
「でもこの2人姉妹みたいに仲が良いんですよ。男女なら結婚させてあげてもいいくらい」
「へー」
実際には(なぜなのか“この”千里には分からないものの)緩菜にはペニスが無く、割れ目ちゃんとヴァギナがあるので、結婚は不可能である。
それで願書をもらって来たので書くが保護者欄には悩んだ。悩んだ末にどちらにも「細川貴司・細川千里」と書いた。法的には
細川緩菜→保護者は父の細川貴司
川島由美→保護者は父の元妻・村山千里
である。でもこれを説明するのは物凄く面倒なので“面倒臭くない”形で書いた。
血液型を書く欄がある。
「えーっとこの子たちの血液型、なんだったっけ?」
と思う。
この千里はアバウトな上に特に物忘れが酷いのでこういうのを全然覚えていない。
まずは由美の母子手帳を見る。
これは仙台市役所で市長の職権で発行してもらったもので、父:川島信次、母:不詳、という凄い母子手帳である。由美の血液型はOと書かれている。桃香がB型、信次がO型だったので、このことより桃香はBO型であることが分かる。
それを由美の願書に記入する、
次に緩菜の母子手帳を見る。これは父:細川貴司、母:細川美映、という母子手帳である。貴司と美映が離婚した時、緩菜が美映に「パパに付いていきたい」と言ったので、美映はその希望を聞いて親権者を貴司にしてくれた。それで母子手帳もここにある。
緩菜の血液型を見るとA型と書いてある。それで千里は“なーんにも考えず”に、そのまま願書にA型と記入した。
この千里(千里1)はそれをそのまま桃香(桃香B)に渡しておいた。
翌日の朝、貴司が
「そうだ。緩菜と由美ちゃんの幼稚園の願書そろそろ出さないといけないよね」
と言っていたので桃香は
「ああ、千里が書いてくれたみたいですよ」
と言って、昨日千里1からもらった願書を渡す。
(桃香は朝は緩菜に強制的に起こされる。千里2Aはまだ産褥期間なので寝ている)
緩菜の性別が“女”になっているのは、まあそれでもいいんだろうなと思った。ところが血液型のところで「あれ?」と声を挙げる。
「どうかしました?」
「緩菜の血液型はABだったはずです」
「ありゃ、千里勘違いしたんじゃないかな」
と言って、桃香は緩菜の母子手帳を確認する。
「確かにA型って書いてありますよ」
「え〜!?」
と言って貴司が見ると確かにA型という記載である。
「あれ〜。僕の勘違いかなあ(*49)」
と言いながら貴司は出生事項の欄を見ていたのだが、もっと重大な問題に気付く。
「緩菜の性別が女になってる」
「緩菜ちゃん女の子でしょ?」
「え〜〜!?性別が曖昧だけど遺伝子的には男ということだったから、男で出生届とかも出したはずなのに」
「母子手帳で女になっているということは出生証明書にも女と書かれていたはずです。だからきっと緩菜ちゃん、戸籍上も女ですよ。だいたいあの子、お風呂で見ても間違い無く女ですから」
「うーん。どうなってるんだろう」
と貴司は悩んでいた。
貴司は性別のことで悩んでいたので、“そのこと”には気付かなかったが、桃香は気がついた。それで、冷静な話し合いができそうな千里3を捉まえて相談した(レッドインパルスの練習から戻った所を捉まえたので3番のはず)。
「この問題はまだ貴司さんは気付いてない。永久に気付かないかもしれない。これ千里1番が書いてくれた緩菜の幼稚園の願書」
「何か問題あるんだっけ」
「緩菜の血液型がA型なんだよ」
「なんかおかしい?」
「貴司さんはB型、美映さんはO型。だから、緩菜ちゃんは貴司さんと美映さんの子供ではない」
「ああ。あれ実は母親は私なんだよ。正確には1番。諸事情があって美映さんが産んだことにしただけ」
「あ、そうだったのか」
「私がABで貴司がBだから、A型の子供は生まれるよね?」
「うん。産まれる」
と言ってから、桃香は尋ねた。
「でもどうやってそれ誤魔化したのさ?他の人が出産したら、いくらなんでもバレるぞ」
「あの晩、私と信次のデートと、貴司と美映さんのデートが同時進行でしていたんだよ。ところが貴司は私以外とはセックスできない呪(じゅ)が掛かっていた」
「千里そんな呪を掛けてたんだ?」
「貴司が自分で掛けた」
「なんで?」
「あまりにも浮気して私を大概怒らせたから、もう浮気はしません。私以外とセックスはしませんと誓って自分自分に制約を掛けちゃった。ところが貴司はこういうのに素人だから自分の呪を自分で解除出来ない。本人が掛けた呪は他人には解除出来ないから永久にそのまま」
「うーん・・・」
「それに乗じて千里1は別の呪を掛けていた。それが、貴司が別の女性とセックスしようとしたら、その女性の女性器一式と自分の女性器一式が交換されるというもの」
「ほほお」
「だから貴司は千里以外とセックスしようとしても必ず千里の膣にインサートしてしまう。射精しても受精するのは千里の卵子。この交換は出産または生理で解除されて元に戻る」
「まあ出産もでっかい生理だからな」
「本当そうだよね。だから、あの晩、貴司のペニスが美映さんの膣口に触れた瞬間、美映さんの女性器一式と私:正確には信次とデートしていた千里1の女性器とが入れ替わってしまった。だから貴司がインサートしたのは美映さんの膣ではなく千里1の膣だった。それで貴司が射精した精子が美映さんの体内にある千里1の卵子と結合して妊娠した。出産したところで元に戻った」
桃香は少し考えていたが言った。
「その話はおかしい。貴司さんは当時ペニスが立たなかったから、美映さんに入れることができなかった。だから貴司君は膣内射精してない」
「あれ?ほんとだ」
「美映さんは言っていた。貴司君のペニスは堅くならなかった。その堅くならないペニスを陰唇ではさんで遊んでいただけだけど、多分我慢汁の中の精子が膣内に進入して卵管まで到達し受精したのではないかと。前から疑問があったのだが、そんなんで妊娠するとは思えない」
「うーん・・・」
「千里は多分何か大きな勘違いをしている」
「でも美映さんO型だから、緩菜は美映さんの子供ではないよね?」
「うん。それはさっき私が指摘した通りだ」
桃香は更に少し考えていたが言った。
「その晩、貴司さんと美映さん、信次さんと千里のデートが同時進行していて、女性器が入れ替わったとしたらだな。先に信次さんと千里のセックスがおこなわれて信次さんが千里に膣内射精した後で、貴司さんが美映さんとセックスしようとして女性器が入れ替わったということは考えられないか」
「ということは・・・・・」
「緩菜は千里1と信次さんの子供である可能性がある」
「う・・・・・」
そんなこと考えたことも無かった。
「なんなら一度DNA鑑定してみるといい」
「うーん・・・・・」
と千里は悩んだ。
10月8日(土).
彪志が伏木にやってきた。この日は§§ミュージックのHonda-Jet
goldを借りて熊谷から能登空港に飛んできて、初海が迎えに行ってくれた。
そして・・・青葉と彪志は8(土) 9(日) 10(祝) と3日間ずっと部屋に籠もっていて、トイレ以外全然外に出てこなかった。朋子もそっとしておいて食事だけ差し入れていた。
「少しお腹大きくなってきたね」
「うん。だんだん自分が赤ちゃんを産むという自覚が出てきた」
「女は子供を産むという現実を突きつけられるからなあ」
「彪志も一度赤ちゃん産んでみる?」
彪志は、2人目は彪志が産んでねと言われて性転換されちゃう夢を思い出した。
彪志が沈黙したので青葉は首をひねる。本当に産む気になってるってことないよね?骨格的に無理だと思うけど。
彪志は結局、彪志が産む?という問いには答えずに言った。
「でもここまでお腹が大きくなってきたら、もう来月以降はセックスしない方がいいかなぁ」
次は11月4-6日に来る予定である。3日(木祝)の休みを出勤して代わりに4日(金)を代休にしてもらい、3連休にしてもらえることになっている。
「セックス出来ないならわざわざ来ずにリモートデートにする?」
「別にセックスしたいから来るんじゃないよ!青葉に会いたいから来るんだよ」
と彪志は怒ったように言った。
青葉は楽しそうにしていた。
そして10日(月祝)夕方、彪志はまた浦和に帰っていった。
熊谷飛行場でパイロットさんにお礼を言って飛行機を降りる。すぐ帰ろうと思ったが「熊谷でホテルに1泊してから帰ったほうがいいですよ」と、能登空港まで送ってくれた女性(真珠)が言ってたなと思い出す。でも1人だからホテル取るまでもないと思い車中泊することにする。それで彪志は飛行場の駐車場に駐めている自分のフリード・スパイクの中で仮眠した。4時にアラームを掛けた。
夢の中に青葉が出てくる。
「青葉好きだよぉ」
と言って抱きついてキスする。
「彪志私と離れていても浮気しない?」
「そんなことしないしない」
「ほんとかなあ」
「だって、俺には青葉しか居ないし」
「そうだ。彪志が絶対浮気しないように、ちんちん預かっておくね」
「え〜〜〜!?」
「私が出産したら返してあげるから」
「ちょっと待って」
青葉は大きなはさみを取り出すと、彪志のちんちんをチョキン!と
切っちゃった!
「うっそー!?」
ペニスも陰嚢も無くなり、皮膚だけになったお股を見て、彪志は
「これ困るよぉ」
と言った。
すると青葉は
「そうか。おしっこの出るところが無いと困るよね」
と言って、糸と針を出すと、お股を縫っちゃった!
きれいな割れ目ちゃんができてる。
美しーいと思った。
「これでおしっこは割れ目ちゃんの中から出てくるから安心してね」
「うん」
「これで私が出産するまで彪志は女の子だから、他の女の子とは浮気のしようが無いね。彪志にブラとかスカートとか買ってあげる。スカート穿きたかったでしょ?」
「えーっと」
「あ、でも女の子で彪志って名前は無いから、男の子に戻るまで名前は月子にする?」
などと青葉は言った。
どうも自分が女になった場合の名前は月子で確定のようだ。
(本人がその名前を意識してるから夢でも言われるのだと思う)
そこで目が覚めた。
「夢かぁ!びっくりした」
と彪志は思った。
時刻はまだ2時である。取り敢えずトイレに行ってこようと思う。それで車を出て空港駐車場のトイレに行く。
「なんか最近性転換されちゃう夢をよく見るなあ。もう10回くらい見てる気がする」
などと彪志は思った(偶数回性転換されたら元に戻らない?)。
もちろん男子トイレに入るが、小便器を使う気分では無かったので個室に入る。アルコールで便座を拭いてから座る。そしておしっこをする。
え!?
何?おしっこの出方がおかしい。凄い後ろのほうから出る。
彪志はお股を覗き込み、声も出ないほどのショックを受けた。
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