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■春一(11)

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人形美術館跡の土砂を取り除いて“整備”した件は千里がN議員の秘書に連絡しておいた。
 
「一応簡単に整備しておきましたから」
「ありがとうございます」
などとやりとりをしたのだが、8月も中旬になってから秘書さんは土砂がきれいに取り除かれていることに気づき、
 
「全部取り除いて下さったんですね。ありがとうございます」
と連絡してきた。
 
「捜し物をして結果的に全部土砂を取り除くことになりました」
と言って、千里が渡したビデオを更に真珠が編集して5分にまとめたものを送ってあげた。
 
「人形見付かってよかったですね!」
「いえ。捜索の許可をしていただいたおかげです。やはり地震が起きている最中に多人数でやってるとよけい見落としがありますね。今回は4人だけで探したからかえって見付かったのかも」
「なるほど。ありそうですね」
 
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あの場所は相変わらず崖崩れ危険地帯であることには変わらないので公園として整備することにし、冬が来る前までには花壇なども作って休憩所として整備されたようである。美術館の駐車場はそのまま公共の駐車場とし、トイレも設置してポケットパーク化したら、結構一般の利用客があったようである。また一般道からここに到達するのに、すれ違い困難な細い道を通る所は、道路拡張工事をして、アクセスしやすくなった。その工事で、地元の土建屋さんも潤ったようである。
 
『霊界探訪』取材班は、11月になってからその公園として整備された様子も取材に行った。
 

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2022年8月19日(金・なる)
 
S市の人形美術館の建物(?)が竣工した。
 
以前の美術館は展示スペースが50坪(通路を除く)、建物全体は72坪(240m2) くらいの長方形であったが、新しい建物(?)は、約7倍の500坪(1660m2)ほどの円形!になっている。展示スペースは本来228坪だが、仮壁を設置して144坪に制限している。
 
今までが密集しすぎていた(適正密度を超えているのは分かっていたが拡張するまたは建て直す予算が無かった)のを適正密度にするのと共に、見学スペースを広く取った。
 
旧館 168m2÷5000体=0.0336 (18.3cm四方)
新館 477m2÷5000体=0.0955 (30.9cm四方)
 
これまでは後ろの子の足を前の子の間に入れるなどして無理矢理なレイアウトをしていたが、密を回避して、取り敢えず身体が重なりあわないようにした。
 
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金沢の展示会でやったように、人形を春夏秋冬の4つの季節に分けて展示する。それとVIPドールの特別展示室を作る。
 
春の桜
夏のビーチ
秋のコスモス畑
冬の子供部屋
 
観客は春→夏→解説室→秋→冬→VIPドール→喫茶スペース、という動線で見学することになる。
 
人形の展示場所は、人間が歩く通路より50cmほど高くなっていて、人間の目との距離を小さくしている。子供の観客でも見られるように50cmという高さを決めた。通路と展示スペースの間はポリカーボネイト板で仕切る。薫館長としてはほんとうは人形に触って親しんでもらいたいのだが、少なくともコロナが収まるまでは接触禁止にせざるを得ない。
 
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清掃会社と契約し、12時・15時・閉館後の18時半に清掃・消毒作業をしてもらうことにしている。
 
解説室は人形展示室より3mほど低くなっている。それで↑の図では分かりにくいが、喫茶室はレジの所から全体が見渡せる。また観覧通路とカフェの間は透明の難燃性ポリカーボネイト板で仕切られているので、喫茶室からは全ての人形を見ることができる。人形たちもお互いに全員の姿を見ることができる。
 
透明のポリカーボネイト板は大量に使用されており、この“建物”の“柔構造”の一部となっている。強い地震に曝された場合は自ら壊れることにより、揺れのエネルギーを吸収する。伝統工法の建物の土壁が大地震の時は自ら崩れることによって揺れのエネルギーを吸収するのと同じ考え方である。ガラスに比べて軽いし丈夫でまた割れた時の人的被害が起きにくい。また火事になった時にアクリルと違って有毒ガスを発生しない(但しアクリルより高価である)。
 
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“夏”から解説室に行く所と、解説室から“秋”に戻るところはエスカレーターになっている。ベビーカーや車椅子の人のためにエレベーターも設置している。
 
この解説室の天井=喫茶室の中央の床は、鉄骨を組んだ上に半透明の繊維強化プラスチック(FRP)の板を敷いて、透明ボディのグランドピアノ(Kawai CR-40A) を置いている。このピアノは某公共施設に死蔵されていたものを千里が100万円で買い取り(売主の自治体は喜んでいた)、オーバーホールさせて再調律したものを“置いている”。
 
(館長は買う予算が無いし、プレゼントすると贈与税が高い!)
 
ピアノは多分誰かが弾く・・・かも知れない。きっと館長が自分で弾く。薫館長はヴァイオリニストではあるがピアノもプロ並みに上手い。
 
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だから薫館長は、館長兼グランド看板娘兼カフェのウェイトレス兼ピアニスト。
 
(薫がグランド看板娘、珠望がシニア看板娘、遙佳がジュニア看板娘)
 
半透明の板を置いたのは、解説室の採光の問題である。ここは最初吹抜けで設計したが、吹抜け構造はどう考えても地震に弱いし、転落する人があってならないので、代わりに明かりが採れる半透明の床にした。FRPはプラスチックではあっても、自動車や飛行機のボディにも使われる丈夫な材料である。下に鉄骨も格子状に組んでいるので、地震の時に床を破ってピアノが転落する恐れは無い。
 

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竣工したので、輪島に退避させていた人形は、この日の内にこちらに持って来た。
 
最初に遙佳は輪島の倉庫にも掲げていた琥珀の絵を美術館の奥に掲げた。琥珀は結果的に長年住んでいた場所に戻ってきたので、嬉しそうにしていた(*25).
 
開封作業は、真珠や貴恵たち『霊界探訪』の関係者10人(*24)と、真珠や初海が所属しているTIF(バイク仲間)の男の娘たち(一部天然女子も)8人とでやってくれた。
 
彼らはまず金曜日の内に輪島の倉庫内の箱を3台のトレーラーに積み込み、トレーラーを千里がS市に運んだ。
 
「千里さんが3人居た気がするけど」(*24)
「きっと気のせい」
 
その後、協力者たちは、輪島からS市まで千里の友人・星子が運転するバスで移動した。
 
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彼女たちは人形美術館内でゴロ寝し!(女の子部屋と男の娘部屋を分けた(*26))土日いっぱいかけて人形の開封作業をし、日曜日の午後星子のバスで輪島に戻り、全員仮眠を取ってもらってから解散した。仮眠のつもりが朝まで寝ていた子もいた!
 

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(*24) 千里を3人とカウントすると12人になる。高さんの手伝いをして、おやつや飲み物を配っていた小杉まで入れると13人。
 
(*25) 琥珀は元々この土地に建っていたレストラン琥珀に住みついていた白い虎の精霊である。レストランに住んでいたので食べ物には困っていなかった。しかしオーナーが亡くなりレストランが閉鎖されたことから、食べ物に困り、夜な夜な出歩いては、妖怪などを捕食していたのが1月に起きた“白い虎”事件である。
 
事件後遙佳に保護された。遙佳は琥珀の依代(よりしろ)となる絵を2枚描き、1枚を祖父が経営しているレストラン・フレグランス、1枚を祖母が運営している人形美術館に掲げた。絵を2枚描いたため、エイリアスが生れ、遙佳と歩夢に1体ずつ付いている(2頭居るわけではない)。
 
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(*26) 女の子と男の娘の分類基準は、ペニスの有無なので、明恵や真珠は女の子部屋に寝たが、アリスやエリザは睾丸は除去済みだがペニスが残存しているので男の娘部屋に入れた。邦生は「ぼくは純粋男」を主張したが男の娘部屋に入れられた。(だいたい“男の子”部屋なんて設定してないし)
 

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土日に行った作業は4ステップである。
 
(1) 箱を開封し、中の人形を確認して受け入れ登録する。
 
(2) 人形を春夏秋冬に分類する。
 
(3) 分類した人形を取り敢えず仕分けエリアに置く。
 
(4) 仕分けエリアの人形を実際に春夏秋風の展示場所まで運ぶ
 

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受入登録の作業は、珠望・初海・明恵・真珠・邦生・瑞穂の6人で作業したが、トレーラーの中から箱を彼女たちの場所まで持っていくのは、TIFの男の娘たちがしてくれた。
 
春夏秋冬に分類するのは、薫館長と遙佳の2人であるが、判定に基づきシールを貼るのは、歩夢と広詩で作業した。
 
受入作業が済んだ印:名札の裏に金色のシール
春:プリキュア、夏:仮面ライダー、秋:ミニオンズ、冬:ちいかわ、のシール
 
分類した人形を仕分けエリアに置く(結構体力を使う)のは月見里姉妹がやってくれた。水泳選手なので体力がある。
 
そして仕分けされた人形を展示エリアに移動するのもTIFの男の娘たちがやってくれた。
 
これらの作業を幸花が撮影していた。
 
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作業は1時間ごとに15分休むパターンで行った。休憩時間には高がみんなにおやつやサンドイッチを配る。この他に朝食・昼食・夕食はゆっくり取る。
 
この人数でかかったので、土日2日間で全部とにかく展示エリアまでは移動することができた。しかしこの人数がいないと、遙佳と歩夢・広詩だけではとても無理だった。
 
後は各季節ごとの展示エリアで人形を並べて行く作業だが、これは遙佳以外にはできないので(薫館長は体力的に厳しい)、遙佳が頑張って美術館のリニューアルオープンまでにやることになる。
 

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受入登録をしていたら、金沢のビスクドール展に行っているはずの人形が全部で6体あった。恐らく金沢に出品した時の登録ミスと思われたが、あとで調査することにした。
 
今回受入登録されず、金沢に行っている人形でも館長が自宅に置いている子やレストランに出張している子でもなく、先日美術館跡から発掘した人形でもないもの(つまり行方不明!)が4体あった。おそらく↑の登録ミスの子と思われたが、数が合わないので、これも後で確認することにした。
 
「でも人形が勝手に移動するの対策で全員に名札を付ける作業をしていてほんとうに良かった」
 
「名札が付いてなかったら全く収拾が付かなかったね」
「なんか予定調和すぎる」
 
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