広告:メイプル戦記 (第2巻) (白泉社文庫)
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■春一(27)

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10月3日(月).
 
多くの学校でこの日から衣替えとなった。
 
梨原可能(槇原歌音)は冬服セーラー服(ボトムはスカート)で登校した。もう1ヶ月間、ブラウスにスカートで登校していたので、セーラー服を着て登校することにもあまり抵抗はなかった。
 
セーラー服自体はこれまでもよく着ていたし!
 
S市の川口歩夢(遙佳の新しい妹)は、これまでの夏服女子制服から冬服のセーラー服に着替えて登校した。女子制服で登校することを宣言した6月16日以来、歩夢は女子夏服を着ていたが今日からは女子冬服である。
 
その間に戸籍上の性別も訂正され、学校の登録も既に女子生徒になっているのでこの服を着るのが普通ということになっている。
 
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H南高校で、吉川日和は女子制服の冬服で登校した。但しボトムはスカートではなくズボンにした。
 
「ひよりちゃん身体が弱そうだもんね。スカートじゃ身体にこたえるえね」
とクラスメイトは“理解”してくれた。
 
もちろん本人はスカートで学校に行くのが恥ずかしくてズボンにしている。
 
(今更だと思うけどなぁ)
 

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同じH南高校の高田晃も女子制服の冬服でズボンの登校であるが、ズボンを穿く理由が日和とは全く違う。
 
日和は元々身体が弱いので、男子よりも女子と一緒にあれこれ行動することが多く、結果的に“女子文化”に慣れていた。また女子とばかり話していたので男子とは話が合わなかった。
 
元々は女の子になりたいような気持ちは無かったものの小さい頃から友人の女子たちに唆されて女の子の服とかも着ていて性別意識も揺らぐようになってきていた。
 
高校生になってもまだ声変わりが来ない日和を見て、女性ホルモン飲んでるのではとか睾丸取っちゃったのではと思う子も多くなった。それで
 
「女の子になりたいんでしょ」
 
とか言われて、可愛い服を着せられたり、
 
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「女子制服で出て来てもいいんだよ」
 
とかみんなから唆されている内に、ボクいっそのこと女子生徒しちゃってもいいのかなあ、という気持ちになりつつある。でもスカート穿いて登校するのが恥ずかしいのでズボンを穿いている。
 
(スカート自体は小さい頃からよく穿かされていたので今更恥ずかしくない)
 

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晃の場合は様々な人の意図の競合で本人の意志に反して女の子の身体になってしまったものの、将来男子に戻りたいので、男に戻った時に女だと言っていたのは嘘と誤魔化しで、女子トイレや女子更衣室に侵入するため女を装っていたのではと思われないよう、そういう所に入らないようにすることにした。
 
その言い訳で「恥ずかしくてスカート穿いて女子更衣室とか使えない」と言っているだけである。スカートで出歩くこと自体は本当は恥ずかしくない。
 

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日和の性別意識は揺れているが晃の性別意識は明確に男である。これは日和には高校入学時点でまだ男子としての第二次性徴がきてなかったこともあった。(今女子としての第二次性徴が来つつある気がする)
 
日和はスカートで人前に出るのが少し恥ずかしいが、晃は特に恥ずかしいとは思わない。
 
日和は子供の頃から女の子の服をよく“着せられて”いた。晃は子供の頃からよく女の子の服を“着て”いた。どちらも男子トイレの小便器は使っていなかった。
 
日和は小さい頃
「中学に入る前に女の子になる手術受けようか」
などと母から言われてドキドキしていた。自分がセーラー服で通学する様子なども夢見て、セーラー服姿の自分の絵とかもよく描いていた。
 
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(↑本当に手術受けたんだったりして)
 
晃は小さい頃から
「あんた性転換手術受けて女になってもやって行けるよ」
と姉から言われて
「いやだ」
と返事しながらも、強制的に性転換されるシーンを妄想していた。
 
(晃は男の子なので妄想から自慰に至る。日和は性別未分化だったので、単に想像するだけで終わる。むしろ期待する)
 

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彪志は、嫌がらせが減ってきた後も夢をよく見ていた。今度は性転換しちゃう夢が多かった。
 
青葉が出て来て
「2人目の赤ちゃんは彪志が産んでほしいの。だから女の子になってね」
と言われて、青葉が性転換手術を受けた病院に入院する。松井先生が出て来て
「大丈夫だよ。君は可愛い女の子になれるよ」
とか言われて麻酔を打たれ手術が始まる。
 
やがて意識を回復してお股を見るとペニスも陰嚢も無くなっていて、きれいな縦の筋が1本ある。なんか随分スッキリしちゃったなあと思った。でもこれも悪くない気がした(←危ない傾向)。
 
陰唇の左右に皮膚を縫い合わせた傷跡が1本ずつある。なんで縫い合わせたところが左右にあるんだろう?と疑問を感じた。
 
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「きれいに女の子になったね」
と青葉が言って、その割れ目ちゃんを開いて中を確認する。
 
「大陰唇・小陰唇ちゃんとあるし、クリトリスも、おしっこの出てくる所もヴァギナもある。これで彪志も立派な女の子になったね。名前どうする?女で彪志は変だから、“月子”とかにする?」
青葉は言っている。
 
でも自分が女になってしまったらどうやってセックスすればいいのかなと彪志は思った。そこで目が覚めた。
 

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またこんな夢も見た。
 
会社に出ていったら
「君はコールセンターに転属になったから」
と言われる。
 
それでコールセンターに行くと
「ここの制服はこれだから着替えてね」
と言われて女子制服を渡される。
 
「私男ですけど」
「あら?そうだった?だったら女になればいいわよ」
「え〜?」
 
それで医務室に連れて行かれる。
「この子、男らしいんです」
「ああ、すぐ女の子にしてあげるね」
と言われベッドに寝るように言われる。それで横になるとズボンとトランクスを脱がされる。
 
「じゃ女の子になる手術するね」
「待ってください」
と言ったものの
「大丈夫すぐ済むから」
と言われて手術されちゃった!
 

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手術はすぐ終わったようで
「終わったよ。きみはもう女の子だから女子制服を着れるよ」
と言われる。
 
見るとペニスも陰嚢もなくなっていて、きれいな縦の割れ目ちゃんがある。
「女性の股間ってやはり美しいな」
と思った。でも左右に縫い目が1本ずつあるのは何故だろうとやはり疑問を感じた。
 
「あなた女になったからこれ穿いてね」
と言われてパンティを渡される。穿いてみると股間に邪魔なものがないので(←邪魔なものと思ってしまうのはかなり危険な傾向)とピタリとフィットした。これ快適〜と思う。
 
上もスーツ・ワイシャツ・アンダーシャツを脱ぎ、いつの間にかできているCカップサイズのバストをブラジャーに収める。ブラジャーの着け方は教えてもらった。肩紐を通し、俯き加減でカップにバストを収めて、後ろ手でホックを留める。
 
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その上にキャミソールを着るがこのナイロン生地の感覚がやみつきになりそうである。キャミソールやスリップにハマっていつも着けている男性は多いと聞くか、こんなに感触がいいならハマるのも無理無いと思った。
 
その上にブラウスを着て、リボンも結ぶ。制服の上下、ブレザーとスカートを着た。スカート穿いた時の感覚がまた心地良い。風通しがよくて冬以外はこれでいいよなと思う。
 

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「これ新しい名刺です」
と言われて
「D製薬株式会社東京本店コールセンター主任/鈴江月子」
という名刺を渡された。
 
やはり俺、月子になったのか・・・と思う。
 
それでその制服で電話の前に座って仕事をしていた。そのうちトイレに行きたくなったので、受話器を上げたまま(離席中に着信しないようにこうする)トイレに行く。男子トイレに入ろうとして
 
「君違う」
と言われて女子トイレに入った。女子トイレは小便器が無くて個室ドアだけが並んでいる。なんか異世界に来た気がした(異性世界に来たのだけどね)。
 
それで蓋を開け、アルコール噴霧したトイレットペーパーで便座を拭き、それからスカートをめくり、ショーツを膝付近まで下げておしっこをした。するとおしっこが凄く後ろのほうから出るので
「そうか。女の子になると、おしっこがこんな後ろから出るのか」
と驚いた。
「でもおしっこするのに全然ストレスが無い。出終わった後残尿感も無い。これいいなあ」
などと思う(←既にボーダーライン越えてないか?)。
 
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それで出た所を拭き、パンティを上げスカートの乱れを直し、蓋を閉めて水を流して個室の外に出た。出た所に青葉が居たのでギョッとする。でも青葉は
 
「あ、女子社員になったの?可愛いよ」
と言ってキスしてくれた。
「女の子になった彪志もいいね。大好き」
などと言われて、恥ずかしくなり俯いた。
 
そこで目が覚めた。
 

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さて、H南高校で、日和も晃も放課後はフラミンゴに行き、女子バスケット部の練習に参加していた。晃は正式に女子の部員になったし、日和も曖昧にほぼ女子扱いになっているので、他の子たちと一緒に着替える。だいたい2人とも女子制服着てるし!
 
練習中に晃が時々胸を押さえるシーンがあるので、美奈子が訊いた。
 
「ルミちゃん、最近時々おっぱい押さえてる気がするけど、どうかしたの?」
「いや先月中旬くらいから胸が急に大きくなって来た感じてさ」
「ああ、少し育ってるみたいと思った」
 
(きっと排卵が始まったせい)
 
「なんか身体を動かす時にバストがブレーキになる感じで思うように動けないんだよ」
「それは女の子の宿命だな」
「だから女子の運動能力は中学生をピークに低下する」
「体操とかフィギュアスケートのオリンピック選手なんて胸の無い子ばかり」
 
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などと言っていたのだが、この日偶然練習を見に来ていた千里さん(*48) が言った。
 
「みんな普通のブラジャー着けてない?」
 
「普通じゃないブラジャーとかあるんですか?」
「スポーツブラをすればいいんだよ」
「あぁあ!」
 
(*48) この千里は1番。3番は日本代表を首になったし、2Aの出産も終わったので久しぶりに北陸に出て来た。
 

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「私とか試合の時はオーダーメイドのスポーツブラ着けてるし」
「すごーい」
「でもスポーツブラって高いですよね」
「安いのもあるけど気休め」
「ああ」
「最低でも6000円程度は出さないとバスケットみたいな激しいスポーツするのには耐えられない」
「それって逆にスポーツブラ使ってなかったら筋を痛めて将来バストが垂れやすくなりますよね」
と春貴が言う。
「そうそう。そういう選手も多いと思う」
 
「でもオーダーメイドのブラとかはかなりがっちり押さえるんでしょ?」
「うん。だからそれは試合中だけ着ける。普段の練習ではそこそこ押さえてくれるスポーツブラを着ける」
 
春貴は考えていた。
「千里さん、私がお金を出しますから、選手たちにオーダーメイドのスポーツブラを作ってくれる所、紹介してもらえません?それと普段の練習用の、既製品のスポーツブラも見立ててもらえると嬉しいのですが」
 
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「枚数は?」
「オーダーメイド2枚と練習用4枚かな」
 
「それ1人4-5万掛かると思うけど大丈夫?今何人いるんだっけ?」
「今14人ですね。だから70万くらい予算があればいいかな。私実は先日宝くじで3等の100万円が当たったんですよ。だからそれを使いますよ」
 
「わあ100万円って凄い」
と生徒たちの声があがる。
 
「でも自分用に使わなくていいんですか」
「こんなのパーッと使っちゃうに限りますよ」
「言えてる言えてる」
 
「残りはウィンターカップで優勝した時の打ち上げ費用に」
と春貴は言っている。
 
「おお」
「全員でフレンチとか」
「お寿司がいいなあ」
などという声もある。
 
「じゃスポーツ用品店に連れて行こう」
 
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それで全員フラミンゴの控室でシャワーを浴びて取り敢えず汗を流す。それで全員借りているマイクロバスに乗って小矢部市のスポーツ用品メーカーの販売店に行った。
 
事前に連絡していたので、すぐにひとりずつバストの“形”を計測してもらう。更に前回生理がいつあったか聞かれた。生理周期でバストのサイズが変動するからである。
 
「そうだ、奥村先生も必要だと思います」
と愛佳が言う。
「あ、そうかも」
 
春貴は試合に出ないので普通のスポーツプラだけ買うことにした。
 
日和については、今の彼女のレベルでは試合に出すことは無いとは思われるが念のため作っておくことにした。
 
それで日和もバストを計測されていたが、生理はいつあったか訊かれて
「9月23日に来ました」
と答えていたので、みんな頷いていた!
 
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それでその日はオーダーを入れた上で、既製品のスポーツブラを買って帰った。そして翌日の練習では全員それを着けて練習したのだが
 
「すごーい。おっぱい無くなったみたいによく動ける」
と全員に好評であった。
 
日和も「何か身体が軽い気がします」と言っていた。彼女はこの日、ミドルシュートが30本中3本も入り
「凄い。進化したね」
とキャプテンに褒められていた。
 

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