広告:ここまで可愛くなれる-男の娘メイクBOOK-SANWA-MOOK
[携帯Top] [文字サイズ]

■夏の日の想い出・ラブコール(20)

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 
前頁 次頁 時間索引目次

↓ ↑ Bottom Top

なお、チルチルは、ビーナより年上の石川ポルカ(高3)を当てることにした。チロは男性の役柄なので、西宮ネオンを当てた。
 
ポルカを起用したのは、実はもし坂田由里が実力不足と監督などから判定された場合に短時間で交替できるようにするためでもある。ポルカも「汚れ役OKです」と言ってくれた。このことはポルカと、ビーナの付き添い・青野桃仁花にだけ言ってある
 
チルチルはあまり演技力を問われない。
 
なお、坂田由里はB契約なので、ギャラの取り分が2割しかないが、この仕事に関しては、特にA契約のタレント同様4割もらえるものとした。契約の変更については、また後日考えることにする。
 
また《§§ミュージック・アーティスト・坂田由里》という名刺を作ってあげたら、喜んでいた!
 
↓ ↑ Bottom Top

(ちなみにこの日はこの後、いつものように常滑舞音の付き添いをしっかり務めた。舞音は由里が大役をもらえたことを喜んでくれたので、舞音ちゃんって本当にいい人だなあ、と由里は思った)
 

↓ ↑ Bottom Top

『青い鳥』の撮影では、最初に監督さんがこの物語の位置付けに関して、簡単な説明をした。
 
「実は『青い鳥』、フランス語でいうと"L'Oiseau bleu"(ロワゾ・ブル)という物語は2つあります。ひとつがこのメーテルリンク (Maurice Maeterlinck) が1908年に書いた舞台用の劇。もうひとつはオルノワ夫人(*5)が1697年に書いた童話です。チャイコフスキーのバレエ『眠れる森の美女』の結婚式シーンに“青い鳥とフロリーヌ姫”というのが出て来ますが、これがオルノワ夫人の童話の主人公ですね。チャイコフスキーが『眠れる森の美女』を書いたのは1890年で、この時代にはまだメーテルリンクの舞台劇は無かったんです」
 
と監督が言うと
「そうだったのか!」
「誤解してた!」
という声が多数あがっていた。
 
↓ ↑ Bottom Top

(*5)オルノワ男爵夫人 Baronne d’Aulnoy, 実名 Marie-Catherine d'Aulnoy, マリ・カトリーヌ・ドルノワ。出生名 Marie-Catherine Le Jumel de Barneville. 日本では ドーノワ夫人という、英語式?に読んだ読み方も随分広まっている。
 

↓ ↑ Bottom Top

「元々のオルノワ夫人の童話では、青い鳥に変えられてしまったシャルマン(Charmant)王子、英語だとチャーミング王子を、フロリーヌ(Florine)姫、英語だとフロリーナ姫が苦労して元に戻してあげる話です」
 
「全然違う話ですね!」
 
「メーテルリンクは現代の人なんだよね。1862年生れで1949年に亡くなっている。彼は第二次世界大戦でドイツがフランスを占領したことに怒っていたから、自分の作品はドイツと、その同盟国であった日本には絶対版権を渡すなと遺言してる」
 
「それなのに日本で出版したり上演していいんですか〜?」
「よく分からないけど、遺族と話がついたんじゃない?ちなみに日本語訳は彼の生前からとっくに出版されていた。彼の死後もたくさん出版されてるし」
 
↓ ↑ Bottom Top

「ああ」
 
一応今回の制作に当たっては、中映がフランスの友好映画会社ラマンを通して、著作権を管理していた所から承諾を得ていることも説明された(*6).
 
(*6)メーテルリンクは1949年に亡くなったので、2019年12月31日で作者の死後翌年から70年、という保護期間は終了し、本来著作権は消滅したはずである。ところが日本では“戦時加算”のため著作権が約10年延長された可能性がある。ただ実は、規定が微妙で本当にまだ保護期間なのかは、よく分からない。今回の中映による交渉でも向こうは「許諾が必要なんだっけ?」と驚いていた。
 
戦時加算の規定は、個々の作品について適用されるかどうか、また何年加算されるかを調査するのがかなり困難であり、実際調査不能な作品も多い。本国ではとっくに著作権フリーになっているため、どこが著作権を持っているかの調査も困難な場合もある(有名作家ほど著作者の子孫が持っている可能性は低い)。
 
↓ ↑ Bottom Top

また、戦時加算は日本だけに課されている(戦争の張本人であるドイツには課されていない!)極めて不合理なものであり、現在日本政府は各国と解消に向けて交渉を重ねている。フランスからは好意的な返事をもらっているが、まだ正式な解消には至っていない。(多分勝手に制作しても、よほど原作レイプした作品でない限り、向こうはクレームしてこないと思う)
 

↓ ↑ Bottom Top

その後、メーテルリンクの舞台劇のあらすじが説明されてから撮影は始まる。
 
チレット役の坂田由里に関しては、これまで“その他大勢”みたいな役しかした経歴がないのて、監督も最初は不安がっていたようだったが、夜の女王を唆して意地悪させる所、その後何食わぬ顔でチルチルたち一行に戻る演技が、本当に表面だけ取り繕うのがうまい性悪な女という感じで、監督が感心していた。むろん坂田由里でそのまま行くことになった。
 
クリスマスイブ。貧乏なチルチルとミチルの家にはクリスマスなど来ようも無い感じであった。父と母は各々仕事に出かけていて、子供2人だけが取り残されている。
 
近くの家で賑やかなクリスマスパーティーが開かれているようであるのを寂しく音だけ聴いていた。それでもミチル(水森ビーナ)は聞こえてくる音楽に合わせて踊り、つられてチルチル(石川ポルカ)も一緒に踊った。
 
↓ ↑ Bottom Top

そこに唐突に妖精のお婆さん(入江光江)が入ってくる。そして病気の孫のために“青い鳥”を探して欲しいと頼む。
 
「青い鳥ですか?」
「うちの、みーちゃんはあまり青くないしなあ」
と言って、鳥籠を見る。中に居る鳥はやや水色っぽいが、どちらかというと白に近い。
 
(美高監督のお姉さんが飼っているセキセイインコでわざと白っぽい子を連れてきて映している)
 

↓ ↑ Bottom Top

妖精ベリリューヌは、チルチルにダイヤモンドの付いた帽子を渡した。
 
このダイヤモンドの力で家の中のものが活性化する。
 
最初に12人の時計の精(信濃町ガールズ関東の中学生メンバーから選抜)が出現する。お揃いのピンクのドレス(1〜12の数字が書かれている)を着て躍っている。
 
そして、パンの精(立山きらめき)・砂糖の精(美崎ジョナ)・ミルクの精(鈴原さくら)・火の精(夕波もえこ)・水の精(薬王みなみ)と出現。
 
チロ(西宮ネオン)とチレット(坂田由里)が対のように出現する。ここでチロは白い衣裳でチレットは黒い衣裳である。最後に光の精(恋珠ルビー)がまばゆい光に包まれて登場した(“まばゆい光”はCGで書き加える)。
 
↓ ↑ Bottom Top

そこに両親(峰沢義紀・古賀紀恵)が帰宅するので、チルチルは慌ててダイヤモンドを戻して現実世界に戻す。その回し方が急すぎたので、十二人の時計の精は慌てて時計の中に飛び込んだが(あんまり慌てていたので文字盤の数字の並びがメチャクチャになった!!)、他の精たちは戻ることができず、現実世界に取り残される。
 
そこでベリリューヌは、光に、チルチル・ミチルを案内して、青い鳥を探してきて欲しいと頼むのであつた。それで一行は出発した。
 
ドアを開けて中に入ってきた両親は、家の中が賑やかになっていた気がしたのに、ドアを開けてみると誰も居ないので首をひねった。
 
「子供たちはどこ?」
「お友だちの家にでも行ってるのかしら」
 
↓ ↑ Bottom Top

ここで父親役の峰沢義紀さんは実年齢が40代だが、古賀紀恵さんはまだ24歳である。しかし“老けメイク”で40代に見えるようにしている。この理由は後述する。
 

↓ ↑ Bottom Top

最初に行ったのは“想い出の国”(Le Pays du Souvenir)である。ここでチルチルとミチル(石川ポルカと水森ビーナ)は、数年前に亡くなった祖父母(中平弦太・室川紫織)と語り合う。
 
原作ではここに幼くして亡くなったミチルたちの兄弟が出てくるのだが、今回のドラマは「できるだけ密を発生させない」という観点から登場させていない。
 
おじいちゃんたちが青い鳥を持っているのを見てもらってくるが、現実世界に戻ると、鳥は黒くなって死んでいた。
 
(鳥はロボットを使用している。小道具係さんの力作!で、本物の鳥のような外見に加工してある)
 

↓ ↑ Bottom Top

次は夜の宮殿 (Le Palais de la nuit) に行くのだが、チルチルたちに先行してチレット(坂田由里)が、宮殿に行き、夜の女王(父親役・峰沢義紀の二役)に「今から人間の子供たちが青い鳥を奪いに来ますよ」と告げ口をする。この坂田由里の演技がほんとに性悪女っぽくて、参加しているおとなの役者さんたちが「凄いね、この子」と感心していた。
 
なお、父親役の峰沢義紀さんは、普通の(多分)ノーマルな男性俳優さん(*7)だが、昔から女役もこなしており、よく“女魔法使い”とか“意地悪な女王”とかの役をしている。昨年はテレビドラマで江戸川乱歩の黒蜥蜴を演じている。
 
声は男声でも女性の話し方ができるので、知らないと普通に女優さんと思ってしまう場合もある。むろん男役をする時はちゃんと男の話し方をする。
 
↓ ↑ Bottom Top

若い頃はハムレットのオフェーリアを演じたこともある。今回は夜の女王の方がメインで、父親役はついでである!(しかし「青い鳥」で夜の女王と父親を同じ役者さんが演じる例は時々あるようだ)
 
(*7) 元女優の女性と結婚して高校生・中学生のお子さんもいる。むろん性自認と恋愛対象は別々ではあるが。
 

↓ ↑ Bottom Top

チレットの告げ口で、夜の女王はチルチルとミチルに随分意地悪をして関係無い部屋のドアをたくさん開けさせるのだが、チロ(西宮ネオン)の活躍もあり、部屋から飛び出してきた、邪悪なものは全て向こうの世界に押し返した。そしてとうとう月の間まで辿り付いてしまうので夜の女王も根負けして、その部屋の扉を開けることを許し、鍵を渡す。
 
すると月の間の中にはたくさん青い鳥が飛んでいる。チルチルとミチルはその青い鳥を3匹も捕まえて籠の中に入れた(多数の青い鳥が飛んでいるシーンはCG)。しかし現実世界に戻ると、3羽の青い鳥は3羽とも死んでいた。
 
 
↓ ↑ Bottom Top

前頁 次頁 時間索引目次

[*前p 0目次 8時間索引 #次p]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 
夏の日の想い出・ラブコール(20)

広告:素晴らしき、この人生 (はるな愛)