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■夏の日の想い出・ラブコール(16)

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8月28日はゴールデンシックスの取材であった。
 
私・青葉・ラピスラズリ、カメラマンさんと長江ディレクターの6人で文京区のカノン(花野子)の自宅マンションに伺う。ここに相棒のリノン(梨乃)も来ていた。
 
「元々は旭川で結成したバンドだったんですよね?」
と朱美が尋ねる。
 
「そうそう。醍醐春海とか、KARIONの美空とかも一緒にやってた。DRK, Dawn River Kittens 旭川の子猫ちゃんたちという名前でさ」
 
「なんか可愛い」
「進学校だから、メンバーは15人くらい居たけど、塾とか補習で出られないことも多い。それでこのバンドは全員が部品に徹した。誰かが出て来てないから演奏できないということはないように。ひとつのパートが演奏できる人も最低2〜3人作る」
 
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「それが現在のゴールデンシックスのシステムに繋がるんですね」
「うん。私とリノンは固定だけど、残りの4人は演奏する度に違う」
 
「それが高校卒業でいくつかに分裂したんでしたっけ」
「うん。北海道に残った子たちは、Northern Fox, 東京近辺に出て来た子がGolden Six, 関西方面に行った子たちがViolet Max. でも他の2つは自然消滅して、ゴールデンシックスだけが残った」
 
「その他のバンドにいた人も“愉快な仲間たち”に入っている人多いんでしょ」
「そそ。あちこちでライブする時に近くに居る子を呼び出す」
 
「でもどうしても近くで調達できなくて、札幌から大阪に呼んだこともあった」
「ひゃー」
「あの時もらったギャラより、その子を呼んだ旅費のほうが高かった」
「あはは」
「でもステージをキャンセルすることはできないからさ」
「さすが。それがプロですよね」
と東雲はるこが感心している。
 
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「受けた以上はちゃんとやるのがプロだよ」
と花野子。
 
「昔居た六文銭というバンドはさ」
「はい」
「事務所がうっかりダブルブッキングしてしまった時にメンバーを2分割して、両方に半分ずつ行かせてちゃんと両方演奏するということをしたことがある」
「それも凄い!」
「分身の術ですね」
「ケイ得意の奴だな」
と花野子が言ってる。
 
「あ、やはりケイさん分身してますよね?」
と町田朱美。
 
「うん。美空の話では違うケイを3人見たことがあるらしいけど、色々な人の話を聞くと、どう考えてもケイは5人はいる」
 
「やはり」
と朱美が楽しそうに頷いている。
 
青葉は笑っていたが、私はどう答えていいか悩んだ!
 
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「そうだ。君たちにも“愉快な仲間達”のバッヂをあげよう」
と言って、花野子はラピスラズリの2人に“ゴールデンシックスと愉快な仲間たち”のバッヂを押しつけた。朱美が「え〜!?」と言っていたが、花野子は強引である。
 
「2人ともピアノが上手かったよな」
「朱美はヴァイオリンとギターも弾きます」
「はるこはフルートとクラリネットも吹きます」
 
「それは貴重な戦力だ」
などと花野子は言って、何かに登録している!。
 
「そのバッヂ何個くらい用意してるの?」
「最初に作った100個は全部誰かに渡した。それで追加で1000個作ったけど、その後まだ20個くらいしかはけてない」
 
「つまりこれまで120個配ったんだ!」
 
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8月29日は今回の取材の最終日でステラジオを訪ねたが、私は遠慮することにした。私が体調不良ということにして、代わりに千里に付き添ってもらった。私は気にしてない(つもりだ)が、ステラジオはこちらを物凄く意識している。それで青葉が
 
「すみません。ケイがお腹を壊したらしくて、代わりに醍醐春海に一緒に来てもらいました」
と言った。
 
「マリちゃんがユニークな料理作ってケイに食べさせたんじゃない?」
などとホシが言っていた。
 
(放送時に「ありそうだ」と視聴者の声。もっともケイの欠席は大方の視聴者が予想していたようである)
 
「でもその節には、大宮さんにも、醍醐さんにも本当にお世話になって」
とホシは青葉たちにあらためてお礼を言っていた。
 
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2016年の“悪魔の歌”事件で、ホシは青葉から、除霊をしてもらい、ずっと止まっていた生理が再開するとともに、酷いスランプから脱出することもできたのである。この事件では多数の死者(最初の死者がマラ)が出ているので、内容を明らかにすることはできない。
 
しかしその事件のあとホシは「せめてものお詫び」と言って、犠牲者の1人である幡山ジャネに活動資金を提供してきた。今回東京五輪を最後にジャネが引退したので、ジャネは今までの支援に感謝するとともに、もう支援は不要と伝えてきた。ホシ・ナミおよびΘΘプロの春吉社長はジャネのお母さんと話し合い、身体の不自由なスポーツ選手のための支援基金を作る方向で今具体的な運営方法を詰めている最中である。しかしこれも経緯を公にはできないことである。
 
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ラピスラズリはステラジオが書いて事務所の後輩・三つ葉が歌った彼女らのデビュー曲『恋のハーモニー』を歌った。
 
「おお可愛い、可愛い」
とホシもナミも喜んでいた。
 
(放送された時「本家よりうまい」とかなり書かれた。まあ、やまとの歌と比べてはいけない!)
 
町田朱美はステラジオの“ぶっ飛んだ”歌が好きだと言い、最近のいくつかの歌の例をあげて「この発想は思いつかないと思った」と言う。朱美がほんとによくステラジオの曲を聴いているようなのでホシもご機嫌で、とうとう
 
「だったらこの曲あげるから歌いなさい」
 
と言って、『午後23時のマリオネット』という曲を渡した。
 
「きゃー。凄い!」
と朱美は面白がっているが、東雲はるこは悩んでいる。譜面を見た青葉も千里も「うっ」と思った。これコスモスが絶対嫌な顔をする。しかしステラジオからわざわさ頂いたのでは歌わない訳にはいかない!
 
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2016年の事件に関しては、極端なスランプに陥ってしまい、田舎の温泉に行って療養していたら、そこで偶然“大宮万葉さんと妹の醍醐春海さん”(ホシの発言のまま:朱美が一瞬吹き出しそうになった)に出会い、ヒーリングしてもらったら、ずっと止まっていた生理が再開するとともに、スランプから脱出できた、とホシは説明した。
 
「生理が来ないのは、ホシが体質変化して男の子になったからではとか言ってたけど、ちゃんと女の子に戻ることができたね」
などとナミは言っていた。
 
「女性的な機能が滞っていたから、その滞りを解消しただけだよ。本当に閉経した人は、私もどうしようもないよ」
と青葉は一応釘を刺しておく。
 
でないと、生理が止まった人からのヒーリング依頼が殺到する!
 
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(インタビューでは生理が止まっていた期間が6年にも及ぶことは言わなかった。通常それだけ長時間止まっていたら再開は事実上不可能である。視聴者は恐らく3〜4ヶ月かせいぜい半年程度止まっていたと思ったと思う)
 
「いや、あの時期はちんちん生えて来た夢を随分見た」
「ホシが男の子になっちゃったら、ツアーとかで2部屋取らないといけないからコストが掛かるね」
「ちんちん要らねーと思った。男の娘さんの気持ちが少し分かった気がした」
 

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放送時にはこの部分
「ホシって本当に女だったの〜?」
「男の娘じゃなかったの〜?」
という声が随分あがっていた。
 

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「でもあの後、ホシちゃんの作る曲は朱美ちゃんの言うところのぶっ飛んだものが多くなったね」
と千里が言う。
 
「なんかこんな曲を出したら精神異常を疑われるのでは?精神病院に強制入院になるのでは?と思って出せなかったものを出すようになったからね」
 
「薬やってないかって調べられたでしょ?」
と千里は言う。
 
「だいぶ検査受けさせられた。でもそんなのやらないし」
 
彼女が初期の頃 LSD をやっていたことを青葉も千里も知っているが、彼女はその後、きっぱりと薬をやめた。彼女の作る歌からもそれが明確に感じられると青葉は思っている。彼女はタガが外れているように見えて“一線”を越えていない。****さんの曲とは違うと思って、青葉はある人のことを心配した。
 
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「でもあれからファン層が広がったね」
「なんか頭のおかしな女がいると思われたかも」
「まあノーマルだと芸術家とかできないと思うよ」
「そうですよね!」
 
「ホシちゃん、戸川純さんも好きと言ってたね」
と千里。
「はい。尊敬してます。昆虫軍とか大好き」
「あれも凄いよね」
「FLiPも好きと言ってたね」
「大好き。タランチュラとか、かごめかごめとか好き」
 
「私、かごめかごめ恐い」
と東雲はるこが言う。
 
「あれは人間の持つ恐怖心にわざとぶつけてるのがいいんだよ」
とホシは言う。
 
「私は『かごめかごめ』好きです。ステラジオさんの『鴉さんこんばんわ』も似た雰囲気がありますよね」
し朱美。
 
「うん。あれは悪夢を見たのをそのまま曲にした」
 
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今回のステラジオの取材では話が盛り上がりすぎて、後でどうやって時間内に納めるか、ディレクターが悩むことになった。
 
しかしかなり楽しく、この日の取材を終えたのである。
 

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8月30-31日(月火).
 
あけぼのテレビ・・ЮЮネット★★チャンネル(AYS連合)、ネットテレビ局大手のジェッターTV、アロロおよび友好社のホーライTV・ハイネットTV(AHH連合)、の3グループ共同で“ネットサマーフェスティバル2021”が行われた。
 
コロナの情勢下では、リアルで人を集めるサマフェスの開催は困難な情勢にあることから、ネットを通して、サマフェスを実施しようという趣旨である。
 
下記の9つのステージを“仮想会場”にしてフェスティバルを実施する。
 
桜ステージ・桃ステージ・椿ステージ・あじさいステージ・いちごステージ・ぶどうステージ・たんぽぽステージ・すずらんステージ・にんじんステージ
 
回線は3グループに能力に応じて比例配分して流すので、どこかのチャンネルが見られなかったら、他の所につないでもいい。但し“マナー”として、どこかにつながったら他の所は切って欲しいと呼びかけている。その人が切断することで、他の人が見られるようになる可能性があるからである。
 
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ビッグアーティスト専用の“桜”ステージに登場するのは↓9組である。たぶん現在の日本のポピュラーミュージックのトップアーティストが揃ったと思う。
 
30日
10:00 アクア
13:00 ステラジオ
16:00 バインディング・スクリュー 19:00 ローズ+リリー
(21:00end)
 
31日
10:00 スカイロード 13:00 レインボウ・フルート・バンズ 16:00 富士琵琶湖
19:00 リダンダンシー・リダンジョッシー
22:00 ハイライトセブンスターズ(Headliner)
(24:00end)
 

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“桜”はパラリンピックが行われている東京を避けて、愛知ドームから中継する。メイン担当はアロロである。
 
3万枚の書き割りを並べると言っていた。また一部の事務所が使用していた“自動サイリウム振り装置”を5000個、声援発生装置を1000個並べるらしい。
 
アロロの技術者さんが「あけぼのさん、よくフィードバックまでやりますね」と感心していた。あれはどうも則竹さんが書いた天才的なプログラムが可能にしているようである。特殊な方法で常識を越える高圧縮をしてトラフィックに負荷が掛からないようにしている。むろん元々あけぼのテレビがフィードバック用の帯域を確保しているという、設計上の背景もある。
 
“桜”の出演者は主宰者がチャーターした列車で運ぶ。1両に1ユニットのみ乗せる。移動中の他の車両への移動は禁止である(ドアをロックしておく)。
 
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私たちは主宰者に申し出て、アクア班とローズ+リリー班は同じ車両でよいことにした。他にも相乗りを申し出た所(みんな同じ事務所系列)があり、結局↓のようになり車両は6両編成のもので済んだ。
 
1.ステラジオ
2.アクア、ローズ+リリー
3.ハイライトセブンスターズ、バインディング・スクリュー
4.スカイロード、富士琵琶湖
5.リダンダンシー・リダンジョッシー
6.レインボウ・フルート・バンズ
 
(3号車は∞∞系列、4号車は○○系列)
 
「1−2号車が女で、3−4号車が男で、5−6号車が混成か」
とスカイロードの小松君が言っていた。
 
つまり・・・アクアは女子扱いされてるが、気にしない!
 
それにスターキッズには男性が4人いるんだけどね。ステラジオのバックバンド(トリテリス)にも男性は居たはず。
 
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また、バインディング・スクリューにはプロデューサーの田船美玲さんが付き添っているはずである。
 
 
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夏の日の想い出・ラブコール(16)

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