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■夏の日の想い出・ラブコール(3)

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「小橋が辞めた後、一時的に崎守がギターを弾いたけど、ボーカルがいない。それで私たちは取り敢えずボーカルを探した。それで引き込んだのが高岡だったんだよ」
 
「へー」
 
「高岡はとにかく歌がうまかったから、それで何とかバンドは成立した。この時、メインボーカルが変わったから名前も変えようということになって、ノーバン:ノーバウンドから、ワンバウンドに進化してワンバンにした」
 
「ゼロから1への進化ですか」
 
「当時高岡はギターが弾けなかったけど、たくさん練習してうまくなったから、高岡にギターを弾かせて、崎守はユーフォに復帰した」
 
「ああ」
 
「大学卒業するにあたって、私と上島と高岡の3人がプロに転向することにした。崎守も誘ったんだけど、彼は一般企業への就職の道を選んだ」
 
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「一流大学を出てミュージシャンやるとか勇気いりますよ」
「親からもひどく反対されたみたいだよ」
「それはそうだと思います」
 
「ベースとドラムスの奴も就職した。それで別のバンドに居た、ベースの水上とドラムスの三宅を誘った。更にこれからのバンドではコンピュータ技術者が必須だと上島が言うから、ひとりでDTMやってた下川を誘った」
 
「それでワンティスの基本陣容ができた訳ですね」
とコスモス。
 
「あと、セカンドギターの海原と、トランペットの山根、コーラスの長野姉妹は最初はサポートメンバーだったけど、後に正式メンバーにして10ピースバンドになった」
 
「なるほど」
 
「もっともデビュー時点で、龍虎は夕香のお腹の中にいたんだから、龍虎もワンティスの11人目のメンバーかも知れないぞ」
 
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「わあ」
 
「マイナス1歳でバンドやってたとしたら、アクアは本当に音楽の申し子だ」
などと千里は言っていた。
 

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「そうそう。それで高岡と夕香がさ」
と雨宮先生が言うと、アクアは何だろう?という感じで雨宮先生を見ている。
 
「初期の頃はまだ同棲してなかったけど、やはりかなり頻繁にデートしてた」
「ああ」
 
アクアは興味深そうに聴いている。
 
「その時期、夕香のイヤリングに意味があることに、イク(三宅行来)の奴が気付いたんだよ」
 
「イヤリングですか?」
「イクの分析では夕香が金のイヤリングしてる時はデートOKの日だったらしい」
「へー!」
 
「そんなOKの日とNGの日ってあるもんなんですか?」
とアクアが訊くので
 
「まあ女には色々都合というものがあるからね」
とコスモスが言うが、アクアは首をひねっていた(この日出てたのはたぶんMの方だと思う)。
 
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「でもその金のイヤリングはどうなったんでしょうね」
とコスモスが訊く。
 
「すごくお気に入りだったみたいで、龍虎産んだあと復帰して以降はいつも着けてたみたいだったから、たぶん事故の時に燃えちゃったんじゃないかなあ」
と雨宮先生が言うと
 
「そうですか・・・」
とアクアは残念そうな顔をしていた。
 

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数日後、龍虎が私に言った。
 
「こないだ雨宮先生から聞いたイヤリングの件なんですけど」
「うん」
 
「ちょっと詩を書いてみたんですよ」
「へー」
「ちょっとケイ先生、見てもらえません?」
「私より和泉とかに見せればいいのに」
「和泉先生恐いです」
「あはは」
 
もうひとりマリに見せる手もありが、マリは“別の意味で”危ない。
 
それで見てみたのだが、ちょっと可愛いものの、まともな詩だと思った。
 
「少し添削していい?」
「はい、お願いします」
 
私は日本語の間違い!、表現上の問題や、韻が崩れている所、文字数が合わない所などに修正のヒントを赤いボールペンで書き込んだ。龍虎は「そっかー!」などと感心していた。
 
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「このあたりを修正すれば充分使えると思うよ」
「分かりました。修正してみます」
「龍ちゃんの次のアルバムとかにでも入れる?」
 
アクアのシングル曲はタイアップやドラマなどの主題歌で埋まってしまうので、この手の自作曲を入れるとしたらアルバムしか無い。
 
「それなんですけど、自分で歌うのはちょっと気恥ずかしくて」
「じゃ、舞音ちゃんか、ラピスあたりにでも歌ってもらう?」
「後輩に渡すのは何か偉そうで悪くて」
「アクアは充分偉い人だと思うけど。それにこないだ舞音ちゃんのビーナスの歌の歌詞を書いたじゃん」
「いや、あれはせっかく松芝電機さんが私にってオファーして下さったのに悪かったから」
とアクアは言った。
 
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「ビーナスの格好したら、アクアが女の子だってバレちゃうしね」
 
(とっくにバレてる気もするけど)
 
「私の性別問題は置いといて、この歌、ケイ先生に歌って頂くとかはできませんよね?」
 
「いいよ!」
「だったら頑張って歌詞の修正します」
「OKOK」
 

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それで、アクアからもらってしまったのが『イヤリングのラブレター』という歌だったのである。舞音のビーナスの曲で使った“東風”(トンプー)の名義を使うとアクアだとバレてしまうので、あまり知られていないもうひとつのペンネーム“水野歌絵”を使うことにした。彼の歌詞のテイストを最大限生かすために、敢えて松本花子の“岡原世奈”(私のコピー!)に曲を付けさせた。
 
そして私は、お礼にアクアには『白い恋の物語』という曲を書いて、これは彼のアルバム『ダブルボイス』に収録された。
 

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2921年6月25日(金).
 
★★レコードの株主総会が“ハイブリッド出席型”で実施された。
 
基本的に株主総会には“集中日”というものがあり、それは6月の最後の平日の前の平日(その日が月曜ならその前の金曜日)である。それは2021年の場合は最後の平日が6月30日(水)なので、その前日の6月29日(火)だが、最近全ての大企業が同じ日に総会をすることへの批判が多いため分散傾向にあり、★★レコードもその前の6月25日(金)に前倒しした。
 
(総会は月曜日には実施できない。なぜなら郵便で送られてきた議決権行使書が日曜日は配達されないため月曜日に土日分までまとめて届くので、月曜日では開催時刻までに集計するのが困難だからである)
 
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今年の★★レコードの株主総会はバーチャル・ハイブリッド出席型で行われた。
 
コロナの折、株主総会をネット開催しようという動きは強いのだが、それを完全ネット型で実施するための「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」の国会での審議が遅れ、5月20日に参議院で議決されて6月16日に公布、同日施行された。
 
つまり大企業の総会開催の通知に間に合わなかった!
 
そこで多くの企業が、やむを得ず“ハイブリッド開催”、つまり一応物理的な場所を確保して開催するものの、ネットでも参加できるようにしたのである。
 
ハイブリッド方式には、ネットからは株主総会の様子を“見るだけ”という“参加型”と、ネットからも意見を述べたり投票できる“出席型”があるが、★★レコードでは、★★チャンネルのネット環境を使用して、“出席型”で実施した。
 
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冒頭、町添社長は、2年前(2019.6.27)の株主総会で新社長になった時に「3年間で売上を倍増させる」と言ったのが、業績が伸び悩んでいることを陳謝した。しかしコロナの折、業績が悪化している企業が多い中、★★レコードは充分健闘しているし2年前と比べて業績自体は伸びていることから、これを問題とする意見は無かった。
 
特に★★レコードの場合は関連会社の業績が好調なのに支えられている。
 
アクア・ラピスラズリそれにステラジオが好調なTKRは2020年度の決算が2018年度から30%も利益を伸ばしている。UFOを抱えているライミューズ、スパイスミッションを抱えているパール&ゴールドが各々50%以上利益を伸ばしていて、★★レコード本体は2年前とほとんど変っていないものの連結決算では20%ほどの利益増になっている。
 
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これは充分健闘している状態だと多くの人が判断した。
 
なお議決事項として役員の交代が提案され承認された。
 
交替したのは、2013年以来、8年間人事部長を務めた須賀義晴取締役が勇退し、総務部長付きであった、鶴山嘉子を新たな取締役・人事部長に当てる案を賛成多数で可決した(議決権行使書で80% その場の投票で90%の賛成)。
 
これで新たな★★レコードの取締役は下記9名となる。
 
町添幸太郎(社長)、朝田寛美(専務:TKR副社長兼務)、佐蔵越子(常務:トリブルスター出身)、似鳥俊夫(営業部長)、紙矢直人(法務部長)、加藤銀河(制作部長)、鶴山嘉子(人事部長)、堂崎隼人(社外取締役)、中林麗子(社外取締役)、
 
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女性取締役が3名となる。
 
「本当は半分女にすべきだと思うんだけどねえ」
などと後で懇親会で佐蔵常務などは言っていた。
 
「ところで新取締役の鶴山さんって、アルトボイスなんですね」
という声があったのに対して本人は
 
「ああ、私、元男だから」
などとあっさり本人がいうので
 
「え〜〜!?」
と驚きの声があがっていた。
 
「それ結構知られていると思ったのに」
などと加藤制作部長が言っている。
 
「彼女は若い頃に性別変更して、入社以来女性社員として勤務していたんですよ。2014年に性別移行制度ができる以前から性別の変更を認めていた数少ない事例の1人だね。ただし2004年に法的な性別を変更できる特例法が施行されたら即法的な性別を変更したから、もう17年間法的にも女性ですよ」
と似鳥営業部長。
 
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「雑誌で紹介されたこともあるよ。当時は法務部長補佐だったね」
と加藤さん。
 
「そうそう。僕の下に付いてた」
と紙矢法務部長。
 
実は彼女は弁護士の資格も持っているのである。それで若い頃は法務部で大活躍していた。実は2014年に社内性別移行制度が作られた時も、その制度創設の中心となったひとりであった。
 
私は彼女の性別を知っていて承認投票した人と知らなかった人は半々くらいかなと思った。
 
ただ彼女は見た目は完璧に女性なので、多くの人が「ま、いっか」と思ったようである。17歳で去勢しているだけあって彼女の外見は完璧に女性である。ただ声変わりはした後だったので、未だに声が低い(女声は練習してみたもののなかなか習得できないらしい:忙しすぎて思うようにレッスンに通えないのもあると思う−喉仏は若い内に切削している)。
 
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しかし結果的にMTFの取締役が2名になったことになる。ただしもう1人の方の性別は非公開なのでMTFであることを知らない人が多い。
 

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鶴山嘉子は1971年生で今年50歳になる。★★レコードに入社したのは2000年のことで当時28歳であった。彼女は高校時代に去勢し、名前自体も20歳になってすぐに出生名の男名前から「嘉子」という女名前に変更して、それで司法修習も受けている。但し司法修習生時代は「法的に男であるなら男の格好しろ」と言われ、女にしか見えないのに、背広にズボンで修習していた。しかし弁護士になった後“磯弁”時代には
 
「女なんだから、ズボンじゃなくてスカート穿いた方がいいよ」
などとクライアントさんからまで言われるので、ボス弁護士の承認のもと、女装で“ほぼ”女性弁護士として勤務していた。
 
1997年(26歳)にタイで性転換手術を受けた後、“軒弁”として、それまでと同じ弁護士事務所に勤めていたが、2000年にそろそろ独立して自分の弁護士事務所を持とうかどうしようかと悩んでいた頃、★★レコードの当時の法務部長から「手が足りないから手伝って欲しい」と言われて、そちらに移った。この法務部長は彼女が務めていた弁護士事務所のボスの弟さんで、彼女の有能さを知っていたのである。
 
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2004年には(男性と)社内結婚している(普通に結婚式・披露宴をしたが、婚姻届けは法的な性別を変更した2014年に提出)し、夫の連れ子2人の母親を立派に務めている(現在、高校生と大学生)。彼女の夫は実はライミューズの副社長をしている。それで今回の人事には著しい営業成績をあげているライミューズの意向を本社に反映させる含みもあったのである。
 
性別変更で仕事を失ってしまう人が多い中、彼女はかなり恵まれていた部類だと思うが、法的に男という状態だった頃はかなり苦労していたようだ。
 

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「しかし★★レコードは随分分社化していて、それで各々の分社が独自の考えで運営されているおかげで、柔軟な運営がされて全体的な営業成績もいいみたいだけど、§§ミュージックはかなり規模が拡大してるけど分社化は考えないの?たとえば高崎ひろか・品川ありさとかを子会社に分離するとか」
 
と私は、ζζプロの観世社長から尋ねられた。
 
「それ検討したことはあるんですけどね。玉雪さんが必要無いと言うんですよ」
「ほぉ!」
 
「うちは各々のマネージャーの権限が物凄く強いんです。アクアの担当マネージャーの山村とか億単位の決裁を独自にする権限を持っています」
 
「そんなに許してるんだ!」
 
「一応1000万円以上は社長決裁が必要ですけど、よほどのことがない限り、全て承認します」
 
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「ああ」
 
「白鳥リズムのマネージャー本田覚とか、高崎ひろか・水森ビーナの主任マネージャーの月原美架とか、常滑真音の主任マネージャーの村上麗子とかも数千万単位の決裁権限や独自のバイト採用権があります」
 
「凄いな。僕はとてもマネージャーにそんな巨額の決裁権や人事権まで付与しきれない」
 
「各々のアーティストの売り出し方にしても、ほぼマネージャーだけで決めることができるんです。だから、うちは各々のマネージャーがそれぞれ1つの会社みたいなものなんですよ」
 
「なるほどー」
 
「だから既に分社化されているようなものなので、今更分社化する必要はないというのが玉雪さんの意見で」
 
「よくそういう体制になったね」
 
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「まあ忙しすぎて、細かいことにいちいち社長が関与してられないというのでそういう体制になってしまったというのが実態ですけどね」
 
「マジで忙しいみたいだね」
 

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夏の日の想い出・ラブコール(3)

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