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■夏の日の想い出・ラブコール(8)

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7月17日(土).
 
その日、原町カペラは出演番組で、久しぶりに元同級生の女優・川井陽生と遭遇し、番組が終わった後おしゃべりしている内に「うちに来てゆっくり話さない?」ということになった。
 
それでSCCのドライバー橋本さん(石川ポルカ・原町カペラの主担当)に送ってもらい、五反野の女子寮まで来て、玄関を入ろうとした所で、警報が鳴る。
 
「わっ何!?」
と2人とも驚いたのだが、警備員さんが飛び出してくる。
 
「体温の高い方がいます」
「え?」
 
ハンディ体温計(非接触式)で確認する。
 
「あなた体温が高いです。ここを通すことはできません」
と警備員さんは川井陽生に言った。
 
「え〜!?」
と本人は驚いている。
 
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「夏だから外歩いている内に体温があがっただけでは?」
と原町カペラは言うが。
 
「風邪症状みたいなのは無い?」
と警備員さんは尋ねる。女子寮専任看護師の山口さんも出て来た。
 
「そう言われると、昨日あたりから少し頭痛はしてましたけど。生理近いから、そのせいかと思ってた」
 
「念のため簡易検査キットでコロナ感染をチェックさせてもらっていいですか?」
と山口さん。
 
「いいですよ」
と川井陽生も応じて、警備員室の隣にあるサロンに行く。
 
本当は入館証を持たない部外者との面会はここでしなければならない。しかし寮の住人の友人や親族で“女性”であれば、ルール違反にはなるが、本人と一緒の場合は通していたのが現状である。
 
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それで唾液を取って、簡易検査キットに掛ける。原町カペラも一緒に検査された。しばらく待っている間に、カペラ担当の小野市花マネージャーも飛んできた。
 
「川井さんは陽性です。コロナに感染しています」
「え〜〜!?」
 
「森下さん(原町カペラ)は陰性ですが、感染してから3日くらいは検査にひっかからないので、経過観察が必要です」
 
「どうすればいいの?」
「川井さんは、正式のPCR検査が受けられるよう連絡しましょう」
 
山口が提携医に連絡すると、往診して下さるということだったので、そのまま待つ、先生は20分ほどで来てくださった。ちょうどお昼の休診時間帯だったのが良かった、ζζプロからも連絡を受けて月里マネージャーが飛んできた。
 
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「コロナウィルス感染症の疑いが濃厚ですね。簡易検査キットでも陽性になっているのなら、罹っている可能性が高いと思います。PCR検査を受けることをお勧めします」
 
「受けられるようにお願いします」
 
それで医師が検査センターに連絡し、月里マネージャーがζζプロの車で彼女を検査センターに連れて行った。
 
カペラは濃厚接触者になるが、万一感染していたとしてもすぐには検査できないので、取り敢えず3〜4日、自己隔離の上で様子を見ることになった。ちなみにカペラはワクチン接種済みである。(§§ミュージックのA契約の子および信濃町ガーネルズ本部メンバー、マネージャーなどのスタッフは全員接種済み)
 
「じゃ、私、寮の部屋で引きこもっていればいいですか?」
「いや、隔離期間は寮には入れられない」
と小野は言う。
 
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「ではどこで?」
「ここで少し待ってて」
「はい」
 

待っている内にドライバーの橋本さんも来るので、カペラはどこか適当なアパートか何かに連れて行かれて隔離になるのだろうかと思った。しかし橋本さんもここで少し待機のようである。
 
カペラたちがしばらく待っていると、何か音がする。窓の外を見たらクレーンで庭に“部屋”が置かれるので驚く。
 
“部屋”は3つ置かれ、作業員たちがその間をボルトで留めているようだった。そして更にこの部屋の上に、重ねるようにして部屋が3個置かれ、それもボルトで留められた。更に2階に登る階段が取り付けられる。水道工事・電気工事の人も来て、カペラたちが見ている内にほんの1時間ほどで“アパート”ができてしまった。花ちゃんがアパートの部屋に101,102,103,201,202,203 というプレートを取り付けた。
 
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「隔離用のアパート作ったから、比南代(原町カペラ)ちゃん、悪いけど2週間ここで暮らして。外出禁止で。これ鍵」
と言って、203と書かれた札のついた鍵を渡された。
 
「2時間でアパートが建つんですね!」
「ユニット工法だから」
 
「2階なんですね」
 
「1階は感染者が出た場合の自宅療養用。2階が濃厚接触者や外国からの帰国者用の隔離部屋。ウィルスは空気より重いから、感染者は必ず下にする必要がある」
「へー!」
 
「橋本さん(運転手さん)も申し訳無いですけど、2週間の隔離をお願いできますか。外出禁止で。その間はずっと勤務していたことになりますので」
と言って、花ちゃんは彼に201の鍵を渡した。
 
「分かりました。でも私、男てすけど、女子寮内に居ていいんですか?」
「女装してもいいですよ」
 
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彼は奥さんに連絡して着替えなどを持って来てもらうようだった。
 
「エロ本とか男性用生理用品(*5)も必要でしたら用意しますが」
と花ちゃんが言うと
 
「女房に頼みます!」
と言って橋本さんは赤くなっていた。
 
(*5)テンガのこと。
 

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様子を見ていた、ひまわりが
「あのぉ、このアパートに自動で荷揚げするシステムの導入とかは?」
と言う。確かに階段を登って配膳するのは大変そうである。
 
「そうだなあ」
と花ちゃんが少し悩んでいたら、まだ残っていた播磨工務店の青池が言った。
 
「リフト作ればいいんですか?すぐ作らせますよ」
と言って、すぐに部材を持ってこさせ、ほんの1時間で作ってくれたのでその日の夕食の配膳にも間に合うこととなった!
 
青池がテキパキと作業員たちに指示しているのを見て、カペラが
「かっこいいー!建設会社の女性幹部ってなんか憧れちゃう」
などと言っていた。
 
カペラはビアンやバイではなくストレートだが、それでも青池の格好良さには憧れたようである。本人が女性なのかどうかは怪しいが! ちなみに、青池は播磨工務店の社長ではないものの、多分いちばん偉い人:急な仕事だったので彼女?が対応してくれた。
 
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なお、このアパートに配膳する分の食事は全て使い捨て食器を使用する。
 

それでカペラは取り敢えず2週間ここで隔離生活をしてもらうことになった。
 
4日後、8日後、2週間後に検査して陰性であれば寮に戻れる。むろんその間は仕事は休みになる。小野マネージャーは石川ポルカに連絡し、その間のカペラの仕事を代わってあげてと要請した。
 
また小野はカペラが出演している番組のあるテレビ局に連絡し、カペラが濃厚接触者になり2週間自己隔離するので、その間の仕事を石川ポルカの代役でお願いしたいと要請。全ての仕事で了承をもらった。
 
「私とポルカちゃんってわりとセット扱いされてて、どっちでもいいと思ってるテレビ局多いんですよ」
などとカペラは言っていた。
 
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また花ちゃんはカペラの服を適当に少々と、彼女のパソコン・iPodを寮内のカペラの部屋から持って来てくれた(偶然寮内に居た桜井真理子が手伝ってくれた)。
 
PCR検査を受けた川井陽生はCOVID-19の極めて感染力の強いデルタ株に感染していることが判明して入院になった。入院施設が逼迫しているが、新型のデルタ株であることで優先してもらえたようである。
 
「私ひとり暮らしだから自宅療養とか言われたらどうしようと思った」
 
などと彼女は電話で言っていた。カペラを濃厚接触者にしてしまったことも謝っていたが、カペラは
 
「こんなのお互い様だから気にしないで。私も2週間休めるし」
と明るく応じた。
 
なお陽生は翌日から熱がかなり高くなり、息苦しくなって酸素吸入を受けた。しかしカペラほか数人の友人とメッセージ交換するので、かなり気が紛れた。またCS放送や、あけぼのテレビが見られるモニターを設置してもらったのでも随分救われた(二ユース見るのは禁止と言われ、スマホも取り上げられ、WWW閲覧できないように設定されショートメールだけできる端末を渡された)。
 
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ζζプロの観世社長は川井陽生が出演していた番組のプロデューサーに緊急連絡を入れた。テレビ局側は仰天し、番組出演者全員の所属プロダクションに連絡。定められた期間の自己隔離をすることと、4日以上の後にPCR検査を受けて欲しいと要請した。
 
すると川井以外にも、タレントのAさんが、実は数日前から少し体調がおかしかったと言い、すぐにPCR検査をして陽性が判明した。彼もデルタ株だった。つまり、この番組出演者の中に最低2名のデルタ感染者がいたことになる。この番組の収録参加者から感染者が出ないかどうかは今は分からない。数日間、経緯を見守る必要がある。
 
川井陽生およびAさんの感染経路についても調査が行われた。その結果、2人が4日前に出演していた番組が怪しいということになった。そしてその出演者を追跡したところ、2人の他に10人の感染者がいたことが判明。クラスター認定された。感染者の内、熱か出ている2人が入院、他の8人は無症状だったがホテル療養となった。他の出演者と接触度の高いスタッフが取り敢えず自宅での自己隔離となった。
 
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その感染者たちの濃厚接触者も調査され、ということでかなり感染が拡大する雰囲気だった。
 

今回の事態を受けて、コスモスは、当面の間、女子寮でも男子寮でも、友人(寮生を除く)を寮内の部屋に連れ込む行為は禁止することにした(本当は元々禁止されている)。必ずサロンで話すように館内放送を通して厳命した。女子寮はサロンを3つに区切った上に、臨時に3個外側に(ユニットハウス)増設した。男子寮もやはりユニットハウスを置いてサロンを増設した。
 
「建蔽率やばくないですか」
と桜井真理子が尋ねていたが
 
「恒久的な建築物じゃなくて仮設物だから問題無い」
などと花ちゃんは言っていた。
 
(違反という気がするが)
 
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コスモスはカペラに電話を掛けた。
「大丈夫?」
「ご迷惑おかけしてすみません。今の所特に異常は無いです」
「よかった。でも暇でしょ?(誘導尋問)」
 
「暇で暇で。何か長編漫画でもアマゾンで頼もうかなと思ってる所です」
「じゃ暇つぶしにアルバム作ろうか」
「え〜〜〜!?」
 
(ラピスラズリと同じ手にカペラもひっかかる)
 
そういう訳で、カペラはこの2週間の隔離期間でアルバムを1枚作ることになった。
 
翌日には1曲目の譜面と仮歌入りの伴奏音源を渡されるので、それで練習する。むろんこの速度で楽曲を制作したのは松本花子である。この後、楽曲ができ次第、スコアと仮歌入りの音源を渡すので、1週間後から録音作業を始めると言われた。
 
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ここで仮歌を入れたのは、直江ヒカル(上田信希)である。カペラは彼女の歌を聴いて
 
「男の娘なのに、どうして私より上の音まで出るの〜?」
と思った。
 
カペラの元々の声域より半音だけ高い音が1ヶ所だけだが使用されているのである。直江ヒカルはその音を楽々と出しているので、カペラは闘志を燃やした。
 
「男の娘に声域で負けては」
というので頑張って練習し、何とかその音を出せるようになったのである。
 
(ラピスラズリのアルバム制作で七尾ロマンに仮歌を歌わせたのと同じ手)
 
 
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夏の日の想い出・ラブコール(8)

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