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■夏の日の想い出・ラブコール(7)
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海水浴ならではの楽しみということで、スイカ割りも実施する。イリヤ・カリナ・夢夜が交替で目隠し(各々個人用を使い、共用しない:間違わないように色分けしている)をして、10mほど先にあるスイカを割るが、勘の悪いイリヤは結局最後まで割れなかった。
砂遊びもした。スタジオに砂場を作り水で湿らせる。そこで砂の城コンテストをしたり(特別出演の花咲ロンドが「波が来たぞー」などと言って、時々水を掛けて崩してしまう:賽の河原の鬼のようだと言われた)、入団したばかりの、立山きらめき(*4)を首から下砂に埋めて豊かなおっばいを砂で作ったりなどして遊んだ。この悪戯は男の子でないとできない。むろんきらめきは男子水着を着ている。
(*4)広中礼音にコスモスが付けた芸名。彼が富山県の出身なので“立山”、“きらめき”は北陸新幹線の最速列車の名前。4文字名前は海浜ひまわり以来10年ぶりである。でも秋風コスモスも4文字である。ちなみに秋風メロディーはこの事務所で唯一の5文字(長すぎるので?しばしばメロディと書かれている。本人もうっかり自分でメロディと署名している)。
番組後半では“海水浴”ということに合わせて、海の家のメニューも再現していた。
実際に海の家の経営をしていた方に指導してもらい、出演者の女子たちが様々なメニューを作っては自分達で食べる!
初回焼きそばから始まって、その後、たこ焼き(なかなか難しい)、ラーメン、いか焼き(いかを丸ごと焼いた方:焼き不足でかなり指導が入った)、フランクフルト、アメリカンドッグ、とうもろこし、フライドポテト、トルネード、から揚げ、フライドチキン(揚げ時間不足で指導が入る)、ホットドッグ、ハンバーガー(バンをこがす子相次ぐ)、かき氷(ユニークな色彩のものができた)、焼き鳥、たこさんウィンナー、お好み焼き、などなど作っていって最終回はカレーライスで締めた。
「水泳より料理の方が楽しそうだ」
「作るのより食べる方だよね」
などという視聴者の意見であった。
むろん調理時にはマスクをし、食べる時はお互いにソーシャルディスタンスを取った席に座って食べた。
7月7日頃から、ネット上で“常滑真音のヌード写真?”という画像が拡散しはじめ、かなりの騒動となった。
常滑真音は6月25日に写真集を発売したばかりであるが、そのネットで拡散した写真は、舞音が衣装を交換するために着替えている最中を盗撮したかのような雰囲気で撮影されていた。
舞音の写真集は多数の写真家に撮ってもらっているが、ひょっとして管理の甘い写真家の助手かスタジオのバイトとかから流出したもの(ブートレッグ)では?などと勝手な想像をする者もあった。
騒ぎになってしまったので、舞音本人もショックを受けて、その週は学校も仕事も休んだ。
写真の発信元は新興の某写真投稿サイトであるが、8日にはアカウントが本人により削除されてしまった。それで当人に照会したりすることも困難になった。
コスモスも今回はどうにも手を焼いて、対策に悩んだのだが、そこにアクアがコスモスの所に来て言ったのである。
「社長、舞音ちゃんのヌードを撮影しましょう」
「え〜〜〜!?」
アクアの提案はこういうことだった。
・千里さんに確認してもらったが、ヌード写真の人物と舞音ちゃんは“波動”が全く異なる。だからこれは確実に他人の写真である。
・先日写真家の桜井理佳さんと話したのだが、人間の身体のパーツ配置や比率はひとりひとり違う。
・だから実際に舞音ちゃんのヌードを撮影し、その身体のパーツ配置・比率をネットで拡散しているヌード写真と比較すれば、赤の他人の写真であることを明確に出来る。
・念のためこの作業は、公正な第三者にさせた方がいい。何なら経緯を放送局にレポートさせる。
コスモスは
「じゃ千里ちゃんは間違い無く別人と言っているのね」
と確認し、念のため千里本人とも電話で話してから、アクアの提案で行くことにしたのである。
まず舞音本人に電話してアクアの提案を伝える。舞音はコスモスからまでヌードを撮影させてと言われて仰天したものの、説明を聞くと了承した。
ΛΛテレビに話を持ちかけ、同局の特別番組として“生放送”することが決まった。生放送でするのは、不正操作が絶対に行われなかったことを視聴者にアピールするためである。録画ならどうにでも誤魔化せる。
テレビ局は検証番組をするなら、検証に出る舞音が確実に本人であることを確認する必要があると言った。そこで
・常滑市の中学時代のクラスメイトを呼んで舞音と会話をさせ、本人であることを確認する。
・その場で舞音に歌を歌わせ、ホルマント分析に掛けてCD音源と同じ人の声であることを確認する。
というのが花ちゃんから提案され、舞音本人および放送局の承諾が得られた。
ヌード写真を撮影する人として、放送局から「舞音ちゃんができるだけ抵抗を感じないように女性写真家で」ということで、高居由紀さんではどうかという提案があり、コスモスは舞音本人に確認の上了承した。
中学時代のクラスメイトについては、舞音が中学時代の担任の先生に連絡し、舞音とあまり親しすぎず、公正な行動を期待できる人として、クラス委員をしていた子と生活委員をしていた子(いづれも女子)を先生が指名、本人たちには「証人という性質上、謝礼は出せない」というのを納得してもらった上で証人になっていいと了承してもらった。舞音もその子たちならと了承した。彼女たちは放送局の車で東京に連れてくる。
写真の比較をしてくれる人として、放送局から大学の先生にお願いした。
それで7月10日、検証番組が生放送で撮影・放送されたのである。
結果、写真は舞音本人とは似ても似つかぬ人物であることが判明。
“ヌード流出”騒動は収まり、24時間以内にはネット上の写真も消えてしまった。検索サイトなどにもキャッシュから削除してくれるよう要請を出した。
さすがの舞音もここ数日は夜もよく眠れない状態だったので、この結果にホッとし、結局7月11日の夕方までひたすら熟睡していた!
一方、千里はコスモスから照会された7月8日の段階で丸山アイに電話して言った。
「舞音ヌードの人物を見つけてくれない?」
「それ千里ちゃんにもできない?」
「私も青葉も、オリンピック前で忙しくて精神的な余裕が無くて」
「まあいいや。こちらも頭の体操になるし、やってあげるよ」
アイは潔斎の上で、その日の夜間に犯人の居場所を見つけてくれた。
(5年前の飴買い幽霊事件の時に千里が交通事故の加害者を見つけるのに使ったのと多分同じ方法。アイはそれを見つけたのは青葉だと思い込んでいる。青葉は加害者の車のナンバープレートまでは見つけたものの、加害者の所在地までは見つけきれなかった:そもそも青葉には千里やアイのように日本上空高度3000kmで浮遊するような手段が無い!)
千里は《こうちゃん》に命じて、犯人に「怒った舞音のファンに襲撃される」夢を見させた。そもそも被写体になった女性も「あれ本当はあんたじゃないの?」と会社の同僚などから追及されていたこともあり、犯人は
「あれは自分がやった」
と当地(佐賀市)のテレビ局に名乗り出て、彼と女性は警察の取り調べも受けることになった(任意で取り調べられ書類送検されたが、舞音側からの上申書により起訴猶予)。
この2人の名前・住所などをマスコミは匿名で報道したのだが、ネットの住人たちがすぐさま、本名と勤め先などを調べ上げ、2人は会社をやめる羽目になった(そもそも女性は周囲から追及されていた)。
コスモスと舞音は、犯人が捕まった報道の直後、ファンに暴走しないよう呼びかけ、舞音のファンが彼らに危害を加える事態は避けられた。
千里は《きーちゃん》に命じて、彼らのために福岡市内のアパートを借りてやり、また彼氏の就職先まで世話してやった(コスモスの代理人を称した)。それで2人は新しい生活を始めることができた。これは舞音のファンたちが彼らを襲撃したりすることがないようにするために必要なことであった。
ローズ+リリーの『ラブコール』の制作はワクチン接種の後1週間の休みをおいて7月10日に再開した。
(私もその間にスコアの調整をしたかった。また10日に“検証番組”の放送がされて視聴者もその検証内容を信じてくれたようであるのを見るまでは私も精神的な余裕がなかった)。
『白い雪・愛のテーマ』の次は『ガラスの靴・愛のテーマ』を制作した。これはタイトルから分かる通り『シンデレラ』を下敷きにした曲である。
これも基本的にはアコスティック楽器をベースに演奏している。
この曲では、弦楽器を入れずに金管を入れた。更に香月さんの友人のホルン吹き・長門さんにも参加してもらっている。長門さんには参加期間中、スターキッズと同レベルの毎日の健康チェック、外食禁止・公共交通機関の利用禁止・三密回避をお願いした。香月さんの自宅への往復はバイクを使ってもらうことになっている。
この曲のPVはシンデレラの物語のシーンを再現している。かぼちゃの馬車も使用した(先日ΛΛテレビのアクア主演『シンデレラ』で使用されたものがまだ残っていたので少し改装して使わせてもらった。アクア主演のドラマでは白馬を6頭使ったが、こちらは黒馬を6頭使用した)。
配役はこのようにしている。
シンデレラ:山鹿クロム
王子:花貝パール
魔女:花咲ロンド
御者:箱崎マイコ
母親:南田容子
姉:原町カペラ
シンデレラ役が男の子(男の娘)で王子役が女子なのはいつものことである!
ちなみに、花貝パールの方がクロムより背が高いので、実はこの組合せはちゃんと絵になっている。クロムのシンデレラは物凄く可愛いので、彼を知らない人はたぶん普通に女の子だと思う。彼は自分用のガラスの靴を作ってもらって喜んでいた。彼はハイヒールの靴は普通に履いて歩いたり走ったりできる
(パールの方が「私ハイヒールで走る自信無い」とか言っていたが、中学生では無理もない:クロムが履ける方が異常)。
これでガラスの靴は、東雲はるこ・アクア・常滑真音・恋珠ルビー・山鹿クロムと5つ作ったことになる:足の型を取って作るから本当に本人しか入らない。体重を靴全体で支えるので、かえって普通のハイヒールより歩きやすいし、指も痛くならないらしい。
先日のシンデレラのドラマでシンデレラの姉役をした花咲ロンドに魔女役をお願いした。姉役は原町カペラ、母親役はリセエンヌ・ドオの南田容子である。
佐藤ゆかに頼もうかと思ったら、ゆかは最近、常滑舞音や水森ビーナの付き添いやスタンドインで忙しいようである。ビーナは詩恩のスタンドインで忙しいのだが、そのビーナにスタンドインが必要な状態になっている!しかし、ゆかはアクアやリズムのスタンドインもしており、ゆか自身が多忙になってきつつある。
7月11日(日).
§§ミュージックが買い取った土地に建っているマンションに住んでいた3家族が全員近くの別のマンションに引っ越した。不動産会社による点検の後、その建物および土地が、翌12日不動産会社から§§ミュージックに引き渡された。
そこでムーラン建設は13日(火)からこの土地に女子寮2号館の建設を始めた(12日夜間に播磨工務店・茶組の手により古い建物は撤去された)。
それと同時に、本棟の前面に10m×5mほどの建物が建てられ始め、こちらは7月15日(木)夕方に完成して引き渡された。こちらは1階が食糧倉庫や更衣室、2階が“臨時厨房”である。2階の厨房から女子寮2階への渡り廊下も作られている。6月に作られた食事の配送システムも新しい臨時厨房から送出されるように変更された。調理器具などの移転のため、7/16のお昼だけが休業となった(夏休み開始前で、平日のお昼を頼む子は少ないので、そういうタイミングで移動した)。
本棟の厨房・食堂が空いたので、一時的に女子寮7階に退避していた花ちゃんは、この本棟の食堂の所に再度引っ越して来た。約半月間の退避だった。
花ちゃんは、寮生(多くが信濃町ガールズ)の日々の相談相手にもなってあげているので、7階では若い寮生たちが恐れ多くて部屋を訪れにくい。それでこちらに戻ったのである。
なお、風花を女子寮の方に入れれば、花ちゃんは退避の必要が無かったのだが、それをやると、風花の赤ちゃんが寮生たちに“可愛がられる”のが確実で、それはコロナの折、好ましくないため、花ちゃんが本棟の部屋を譲ってくれたのである。
なおこれまで倉庫に住んでいた海浜ひまわりは、工事にともない倉庫が撤去されたので、臨時厨房1階に部屋をひとつもらい移動した。「エアコンがある。お風呂もある。嬉しい!」と言っていた。倉庫を取り壊したのは建蔽率がオーバーするからである。ひまわりは配膳係なので「仕事に便利」とも言っていた。
7月14日、アクアの写真集『鏡迷宮のアクア Aqua in Mirror Labyrinth』が発売された。それと同時にこの写真を撮影した場所である“ミラー・ラビリンス”も一般公開された。
この写真集の帯には
「アクア本人の主張によれば、アクアは女の子ではなく男の子だそうです」
という注意書きが入っている。昨年の写真集の注意書きは
「アクアは男の子アイドルです。女の子ではありません」
だったのに比べると、今年のはアクア本人はそう主張しているけど、事務所は彼女の性別には関知しないという雰囲気であった!
なんでも、アクアと写真家さんとコスモスとの妥協の産物らしい。
来年の写真集ではもうこの手の注意書き自体が無くなるなと私は思った。
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夏の日の想い出・ラブコール(7)