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■春社(24)

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「じゃ、もしかして今はふたりのマソさんが同居してるんですか?」
「うん。だからこの子が」
と言ってジャネは左斜め後ろを見た。
 
「男と遊びたーいと言っているけど、しばらく我慢しろと言ってる。あんたのせいで水泳部の男が3人も死んだんだからねと言ったら反省してると言ってる」
とジャネは言う。
 
青葉は少しジャネの背景を霊査した。
 
「少なくとも今、ジャネさんには家系的な呪いはありませんよ」
「ワサオに落とされた時、地面に激突した瞬間、全てから解放される感覚があったんだよ。ああ、これで呪いが解けたんだと思った。すぐ意識失っちゃったけどさ」
 
「やはりそれで呪いは終了したんでしょうね」
 
「ワサオがサトギの生まれ変わりなのは分かってた。あの子、物心つく前からクミコ母ちゃんのおっぱい以上に、マラのおっぱいに触りたがってさあ」
「なるほどー」
 
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「マラとセックスもしたがってたけど、じらして絶対に身体を許さなかったよ。あの子、もし女の人の方がいいなら自分が性転換してもいいと言ってたけど、性転換してもセックスなんかしてやらないと通告しておいた。あいつ実際問題として結構女装が好きだったし、お化粧もうまかったよ」
 
「どっちみち、父と息子では法的に結婚できませんよ」
 
「それも何度か言ってやったよ。まあ、その分、ジャネの方ではデートしてあげたこともあるけど、あの子、ジャネ=マソだということには最後まで気付かなかったと思う。だけど、いきなり落とされるとは思わなかったよ」
 
「ワサオさんも色々屈折しているようですね。ところで結局マラさんは性転換手術は受けていたんですか?」
 
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と青葉が訊くと、ジャネは意味ありげな微笑みを浮かべたあと
「内緒」
と言った。
 

突然ジャネの表情が変わり、口調も変わってこんなことを言った。
 
「こいつは私の良心なんだ。こいつがイブ・ホワイトで、私がイブ・ブラックかな」
 
「あなたがもうひとりのマソさん?」
 
「私をたっぷり泳がせて、成仏させてくれたのはありがとね。あれで私は幽霊やめることができて、ジャネの所に戻って、眠っていたもうひとりの私を起こそうとした。でもなかなか起きなくてさ」
 
それ《成仏》と違うぞと青葉は思う。
 
「でもその内、青葉ちゃんが来てジャネの脳の怪我を治療してくれたから、あれでやっと起こすことができた。あ、なんか文句言ってる。隠れるね」
 
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またジャネの表情が元に戻る。
「もう。勝手に出てくるなって言ってるのに」
とふだんのジャネが言う。
 
しかし、結局はそのマソのお祖母さんのお姉さんを恨んだ人が、根本的な事件の犯人なのかも知れないが、あまりに古すぎて調べようが無いし、調べたくもない。調べることは掘り起こしてしまうことにもなる。
 
マソとマラについて、ジャネを精神科医が診察したら乖離性同一性障害いわゆる二重人格と診断するかも知れない。しかしこの2人の場合は、1人の人間にふたつの人格があるのではなく、むしろ2人の人間が1つの身体を共有しているというべきところだろう。だからエネルギーも最初から2人分持っている。以前関わったハルとアキみたいな関係だ。
 
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あれ?
 
「もしかしてマソさんとマラさんって、長距離泳ぐ時に50mとか100mごとに交代で泳いだりしてます?」
 
「企業秘密」
と言ってジャネは微笑んだ。
 

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「でもまあ、私は足の先は失ったけど、足を失うのも2度目だからさ。めげてないよ。このくらいのハンディは乗り越えて頑張るつもり。リオ五輪には間に合わなかったけど、2020年の東京五輪では、パラリンピックではなくオリンピック本戦を目指す。その前に当然来年の世界選手権は狙う」
 
ジャネは今年のリオ・パラリンピックの代表に内定している。
 
「はい、頑張って下さい」
と青葉は笑顔で言った。
 

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■簡易系図
   ┏━━┻━┓
   女    女
  ┏┻┓   ┃
 早子 姉■  女
┏━┻┓    ┃
妹■ としみ  女
 ┏━┻┓   ┃
マソ ホップ くろみ
■   ┃   ┃
   紗早江 ジャネ
        ■
 
※マソはマソとして2度死に、マラとして1度死に、ジャネとして2度死んで1人で5回分の死を引き受け、七人殺しの呪いを早めに解いてしまった。
 
■簡易年表(最終版)
1920 早子の姉 →1944年に工場で事故死
1922 仲邑早子(はやこ:俊足の母=マソの祖母)生まれる
1937 木倒カタリ(サトギの父)生まれる
1940 砂羽俊足(としみ:マソの母)生まれる
1942 俊足の妹 →1960頃に事故死
1954 中川恵一生まれる 1988年当時34歳(講師) 2016年時点で62歳(教授)
1965.10.31 城金自由(くろみ:ジャネの母)生まれる
1967.1.23 水渓一二三(ほっぷ)生まれる
1967.8.3 城金平泳(ひらみ)生まれる
1969.4.27 6:13 木倒サトギ生まれる (牡牛座生.金星逆行中 ボイド中) 牡牛と射手はincon
1969.12.6 0:27 水渓十二六(マソ)生まれる(射手座)
1988.06 水渓マソ(18歳.大1)が事故に遭い、足の先を切断
1988.08 木倒サトギ(19歳)が水渓マソを突き落としマソ死亡。サトギも自殺を図るが蘇生
1989.07 クミコが妊娠。9月婚姻届けを提出
1989.09 ほっぷが結婚
1990.04 木倒ワサオ生まれる
1990.08.04 双紗早江【ホシ】生まれる
1990.07.03 林波流美【ナミ】生まれる
1993.8.28 16:35 幡山ジャネ生まる
1994 木倒キミコ生まれる
1996 木倒ユメコ生まれる
2008.10 ステラジオ結成(高校3年) 
2009.08 ホシがLSDにはまる。3ヶ月(10-12)入院して薬を抜く。
2010.01 ホシたちがメーン長浜と知り合う
2010.07 木倒マラ(サトギから改名.数えの42歳)がDSを演奏して死亡。この時木倒サオ(20歳)は浪人中。メーン長浜が自分で1000万円調達してマラの遺族に補償金を払う。
2011.02.21 メーン長浜が死亡 カーナビを投げ捨てる
2011.06 ステラジオ・デビュー
2014.12 幡山ジャネが事故で足の先を失う
2015.01.12 木倒ワサオ(24歳.4年生)がジャネ(21歳,3年生)を突き落とす。ワサオは自殺?。
2015.01.12 キャッスル舞鶴が自宅マンションで死亡。
2015.07 多縞部長が一酸化炭素中毒で死亡
2015.11 **が白血病で死亡
2016.03 溝潟部長が感電死
2016.03.下旬 カーナビが回収される。中身を聞いてピュア大堀が公演先で膵臓癌により死亡。SDカードを焼き捨てる
 
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7月の中旬。ホシとナミが青葉のセッションを受けるため高岡に来たのだが、この日は青葉が忙しかったことから、青葉が中心部のホテルまで行くのではなく、ふたりに自宅まで来てもらった。
 
「今日はスカートなんですね」
と青葉はホシに言う。
 
「うん。来る途中、ファボーレで買ってきた。気分変えてみようかと思って」
とホシ。
 
「いいと思いますよ」
 
ふたりを自室に案内する。
 
「すみません。散らかってますけど」
と青葉。
 
「いや、多分ホシの部屋よりマシ」
とナミは言ったが、実際の青葉の部屋を見ると
「これで散らかっているのなら、ホシの部屋はもう夢の島だ」
と更にナミは言った。
 

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「しかし結局フロート大堀さんがステラジオのマネージャーになったんですか?」
「あの人、お母さん以上のやり手っぽい。マネージャーやるのに大学生まではできんと言って退学しちゃったし」
「覚悟してますね」
 
「うん。あの思い切りは見習いたいと思った。リハビリに小さなイベントに予告無しで出ないか?と言って地方のイベントをいくつか提案してくれたから、出てもいいかなと思っているんですよ」
「そういうのもいいかも知れないですね」
 
それでいつものようにホシが裸になって青葉のセッションを受ける。
 
「卵巣はしっかりお仕事してますね。一時期より感情の起伏があるでしょ?」
と青葉は言った。
 
「そうそう。生理周期に合わせて感情的なものが変わる感じなんですよ。なんか女って面倒くさいですね」
とホシは言っている。
 
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「やはり性転換しちゃう?」
とナミか言う。
 
「性転換してもいいなあとも思うけど、性転換しちゃったら今回事務所に多大な補償金を払ってもらったのに応えられないからなあ」
とホシは言いつつ、自分の作詞作曲能力が戻ってこなかったらどうしようかと少し悩んでいた。
 

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その時、ホシは青葉の勉強机の下に転がっている1枚の紙に気がついた。何だろうと思って手に取る。
 
「あっ」
と声を挙げた青葉が
「済みません。それ見ないで下さい」
と言って紙を取ろうとしたのだが、ホシは起き上がって紙を青葉に取られないようにする。
 
「何これ?」
「あ、えっと・・・作曲依頼なんですけど」
「岡崎天音(*1)の詩じゃん」
 
と言って、ホシは詩を読み出す。
 
(*1)岡崎天音はローズ+リリーのマリの別名。
 
青葉は参ったなという顔をして
 
「済みません。それ見なかったことにしてください」
と言った。
 
「それはいいけど、何よこの詩!?」
とホシは声をあげた。
 

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エメラルドの太陽の、光が響いてくる/
ヒスイの砂浜の、ざわめきが見える/
アメジストの海に、泡立つ波が甘くて/
スミレ色のパパイヤ、白く流れる。
 
夜になると空には、ダイヤモンドの月が/
アクアマリンの星たちと一緒に/
柔らかに輝く。/
 

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「太陽がエメラルド色とか、海がアメジスト色とか、色彩が無茶苦茶」
とホシ。
 
「まあ、マリさんですから」
と青葉。
 
「光が聞こえるとか、ざわめきが見えるとか、五感が混線してるし」
 
「マリさんですから」
 
「この子、クスリやってるんじゃないの〜? LSDとか、PCPとか、DMTとか」
 

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LSDは強い幻覚剤で五感が混線し遠近感や形状認識が崩壊する。座禅の浅い状態で見やすい幻覚:まさに魔羅:に似ているため、ヒッピーが流行した時代に「インスタント禅」と呼ばれた。ビートルズのLucy in the Sky with Diamondsは頭文字がLSDで歌詞もかなりぶっ飛んでいるためLSD体験から書いたのではと言われたが本人達は否定している。スティーブン・ジョブスはインドで瞑想集団に入っていた時期LSDをしていてLSDの合法化に賛成だったとも言われる。
 
LSDのいちばんの怖さはフラッシュバックで薬を止めてからかなりの時間が経っているのに突然幻覚状態に陥ることがあり、運転中などに発生すると極めて危険である。
 
LSDは元々麦角という穀物の病気の研究から発見された物質で、中世の魔女狩りの発端となった「サバト」は麦角に感染した穀物を食べたことによる幻覚ではという説がある。魔女狩りは麦角の流行地域で激しかったらしい。
 
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DMTは異次元に居るような感覚になり、これをやると高確率で宇宙人と遭遇する。LSDとDMTは似た性質を持ち交叉耐性がある。
 
PCPは別名エンジェルダスト。元々麻酔剤として開発されたものなので外部刺激を感じなくなるが、錯乱して統合失調症:昔の言葉でいう精神分裂病:に似た症状が1年ほど継続することから使用禁止になった。
 

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青葉は言う。
 
「マリさんはあまりにもぶっ飛んだ詩を書くので、これまで何度も薬物検査を受けさせられていますけど、完全に陰性なんですよねー。別にクスリとかしなくても、御飯たくさん食べて、半ばまどろみながら瞑想というより妄想している内に不思議な世界にトリップしてしまうことがよくあるそうです」
 
「うっそー!?」
とホシが驚く。
 
「マリさんにとっては、音が見えたり、色が聞こえたりするのは別に変でもなく、普通の感覚だそうですよ。遠近感が崩壊したり、ものの形が変形するのも珍しくないらしいし、妖怪や宇宙人とはお友達らしいし。UFOには10回以上乗っているそうですし」
 
「あの子、頭壊れてるんじゃないの?」
「ああ、壊れているのは昔から自覚しているみたいですね。中田マリ詩集って読んだことありません?これまで5冊ほど刊行されてますが、もっと凄い詩がたくさん載ってますよ」
 
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「あれは見たこと無かった。なんか怖そうだったし」
「ええ。あれ見て気分が悪くなる人も結構いるみたいです。だから表紙も怖い感じの絵にしてますし、中高生が安易に読まないようにわざと高い値段付けてるし、買ってから1週間以内なら返品も受け付けているんです」
 

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ホシは腕を組んで考えた。組んだ腕の上にバストが乗ってちょっと重い。こんなに胸無くてもいいけどな、と少しよけいなことを考える。
 
しかし・・・クスリなどしていないマリが、こんなに「壊れた」世界観の詩を書いている。だったら、だったら、・・・・これまで自分が、あまりに異常すぎると思ってボツにしていた詩だって、許されるんじゃないかなあ。
 
「よし。詩を書く。川上先生、ヒーリングちょっと待ってて」
とホシは言うと、バッグの中からいつも持ち歩いている五線ノートを取り出した。
 
「じゃそれが書き上がるまで休憩で」
と青葉。
 
「服着なくていいの?」
とナミが言うが
 
「裸の方が発想が豊かになる気がする」
と言ってホシは裸のままあぐらをかくという危ない格好で、ノートにサインペンで詩を書き綴っていった。
 
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「ハル、浮見子さんに電話してさ」
「うん」
「今からでも苗場ロックフェスティバルに出演できないか聞いてみてよ。私凄く歌いたい気分」
 
「それ来週だよ」
「場外のフリーエリアでの演奏でもいいからさ」
 
「うん。聞いてみる」
と言ってナミはスマホをタップした。
 
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