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■春社(3)

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青葉は彪志に電話をして個人会社の取締役になってくれないかと打診し了承を得た。印鑑証明を取ってできたら実印と一緒に送ってもらえないかと頼む。
 
「その実印を巨額借用書に押したりはしないからさ」
「うん。いいよ。青葉を信用して実印送る」
 
また、自宅に戻ってから朋子にも取締役になってくれないかと打診し、これも了承を得た。誰か監査役をお願いできないかと朋子に訊くと「典子に頼もう」と言い、朋子が妹の典子(桃香の叔母)に電話して名前だけならいいよと言ってもらった。それで、朋子と典子おばさんに、印鑑証明書を取って欲しいと頼む。
 
「じゃ明日、昼休みにでも行ってくるよ。青葉、あんたの印鑑証明書は?」
「うん。私のは2枚いるんだけどね。実はお母ちゃんのは3枚」
「分かった。一緒に取って来よう」
 
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青葉が未成年なので、青葉が署名捺印する書類全てに、親権者である朋子の署名捺印も必要なのである。
 
「ありがとう! ついでにお願いしていい?」
「うん?」
「資本金の振り込み用口座を作らないといけないんだよね。私の名前でH銀行に作ってくれない?支店は既に口座のあるF支店以外ならどこでもいい」
 
同じ支店に同じ名義で複数の口座を作るのは困難である。データ処理上の問題も発生しやすい。
 
「じゃ会社の近くのN支店に作っちゃおうかな」
「うん。それでいい」
 

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青葉はその後、現在東京北区の合宿所で合宿中の千里に、練習が終わったくらいの時刻を見計らって電話した。
 
「こないだ話していた会社設立の件なんだけどね」
「ああ。計画は進んでる?」
「うん。今高岡市内の司法書士さんに頼んで作業を進めてもらっている。それでやはり発起設立にしようかと思って」
「いいんじゃない。その方が簡単でしょ?」
「そうみたい。それでこないだ借りたお金をまだ返してないのに申し訳ないんだけど、出資金を一部頼めないかと思って」
 
「ああ。いいよ。発起人になればいいの?」
「どういう形でもいい。発起人でもいいし、単に貸してくれるだけでもいい。来月返すから。あるいは、それを資本金に振り替えるのでもいい」
 
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「資本金はいくらにするの?」
「できたら800万円にしたいんだよね。事業の規模から考えて」
「2000万円くらいでもいいと思うけど」
「1000万円以上になると税金が高くなるんだもん」
「売上が10億なら関係無いと思うけど」
「さすがに10億は稼げない!」
「定款に書く業務は?」
 
「音楽・映像・公演の企画・制作および請負・委託、それらのソフトの制作・販売、グッズの制作販売、著作権などの知的所有権管理、書籍・ソフトウェアの制作・販売、そして人生相談と祈祷、念のため歌手やタレントの育成」
 
「ふーん。男の娘を育成して可愛い女の子に変えてあげる業務とかは?」
「何それ〜〜!?」
 
千里姉は時々意味不明のことを言い出す。
 
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「まあいいや。800万円の内、どのくらい用意できるの?」
「それが今手元に150万しかなくて」
「じゃ700万円貸すよ。発起人になるには書類への押印も必要でしょ?」
「あ、そうなるかな」
 
「発起人は定款に押印しないといけないし、発起人決議書・発起人会議事録にも押印する必要がある」
「じゃ大変そうだから、単純に貸して」
「了解。今夜中に振り込んでおくよ」
「助かる!」
 
「会社名はどうするの?」
と千里に訊かれたので、青葉は候補としている名前を3個言った。
「うん。どれも大きな問題は無いと思う」
「良かった。誰か霊的な感覚のある人に確認してもらっておきたかったのよね」
「私、霊感無いけど」
「そういう話が面倒になること言わないで」
 
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「登記はいつするか決めた?」
「それが悩んじゃって」
と青葉は言う。
 
「理想的には、新月から満月に向かう期間で、太陽と月が同時に地上に出ている時間帯。水星逆行やボイドの時間帯は避ける」
 
「まあそれは会社の設立日を選ぶ時の基本だよね」
 

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月が次第に太くなっていくように企業も成長していくということから、こういうものは、朔望月の前半にした方が良いとされている。太陽と月が同時に地上に出ている時間帯は太陽と月の双方の恵みを受け取れる。ボイドはその時間帯にしたことが無駄骨・水泡に帰しやすい時間帯である。決して会社設立とか婚約や結婚のようなことをしてはならない。水星は商売の星であり、その水星が本来の力を発揮できない逆行時期というのも良くない。愛情関係を見る場合は金星の逆行を避ける必要がある。
 
ちなみに、2012年の貴司と阿倍子の婚姻届は2013.8.10、2018年の貴司と美映の婚姻届は2018.2.3、千里と信次の婚姻届は2018.2.16で、全てボイド時間帯に提出されている。
 
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貴司と阿倍子の結婚式はボイドではなかったのだが、婚姻届の提出は「忘れられていて」翌日慌てて届けたら見事にボイドであった(忘れるように呪いを掛けたのは千里)。
 
千里と信次の結婚式もボイドではないのだが、パスポートを新姓で作るために婚姻届は1ヶ月前に提出した。それがボイドに掛かってしまった(こちらの犯人は理歌・淑子と結託した青葉)。
 
美映の場合は色々な意味で問題外である。
 
千里と桃香の「結婚式」2012.9.9もボイドである。これは千里としてはボイドを避けるつもりでいたのだが、桃香が写真屋さんに遅刻して来て、結果的にボイド時間帯に突入してしまった。
 
千里・桃香・貴司「3人の再婚」2021.4.3、青葉と彪志の結婚式2023.5.23はちゃんとボイド時間帯を避けて婚姻届の提出および結婚式をしている。
 
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そういう訳で青葉は、新月〜満月の期間で太陽と月が同時に地上にあり、かつ水星逆行とボイドを避ける時間帯に会社登記をしたいと考えた。
 
「ところが、それが満たされるのは会社設立までに掛かる時間を考えて来週以降とすると、18日の14:55-17:15, 20日の16:45-17:15しかない。19日は日中が全部ボイド。21日以降は月出が夕方以降になってしまって、4月22日に満月、4月29日0:44から水星逆行に突入」
 
と青葉は言う。
 
「結構タイトだし、設立の作業は急ぐ必要があるね」
「そうなんだよ!だから定款の認証は時間の掛からない紙認証で行く」
「ああ。電子認証は料金は安いけど、時間が掛かるのが問題」
「そうみたい。3日は見て下さいと言われた。電子の方が時間掛かるって変なんだけどね」
 
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「税務申告の書類だって紙の方が楽だし簡単だし」
 
「あれもおかしいよね。そういうわけでできたら18日(月)に設立。もし間に合わなければ20日(水)の夕方ぎりぎり。それにも間に合わなかったら再度考えるけど、次は6月5日まで条件に合う日が無いんだよね」
 
「あまり遅くすると売り上げの処理が面倒になるでしょ?」
「うん。4月中に設立できれば5月頭の巨額印税入金を会社の売り上げとして処理できるから」
「まあ設立前1ヶ月くらいまでのは、設立前の売上として計上は可能だけどね」
「うん。その話は一応聞いた」
 

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翌13日。朝一番に千里から700万円が振り込まれてきた。ありがとうのメールを送っておいた。
 
昼休み、司法書士さんから連絡があり、青葉が候補としてあげていた会社名はいづれも法務局に類似社名は登録されていないということであった。またこちらで書いて今朝ファックスしておいた定款については特に問題は無いということであった。
 
青葉は社名は第一候補にしていたものを採用することにし、すぐにオンラインで「会社印セット」(代表者印・銀行印・角印・ゴム印)を頼んだ。即日発送ということだったので、明日14日に届く筈である。
 
その日帰宅すると、朋子が自分の分の印鑑証明3枚、青葉の印鑑証明2枚を取って来てくれていた。
 
「典子は印鑑証明は取ったということだった。取りに行って来ようと思う」
「だったら定款に押印してもらえるかな?」
 
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それで典子叔母さんに連絡して、了承を得て、朋子の車で高岡市内の典子の家まで行く。
 

それで定款に署名捺印をもらった上で印鑑証明も受け取り、その足で司法書士事務所に行った。まだ残って作業をしていた事務所の人に渡す。
 
先日霧川司法書士が「息子」と呼んでいた女性である。
 
「来られるということでしたので、所長からこれを渡してくれるように頼まれていました」
 
と彼女はふつうに女の人の声に聞こえる声で言い、登記に必要な書類と書き方セットを渡してくれた。
 
「ありがとうございます。あのぉ」
「はい?」
 
「先日、所長さんから、所長さんのご子息と聞いた気がするんですけど、女の方ですよね?」
 
「私ですか?」
「はい」
「私、男ですけど」
「え?」
「女に見えます?」
「見えます!」
 
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「不思議だなあ。確かに時々、お嬢さんとか、娘さんとか言われるんですよねぇ。私、いっそ性転換しちゃおうかな」
 
性転換って、それ男から女になるのだろうか?それとも女から男になるんだろうか?
 
「まあ別に仕事に支障はないから、性別なんてどう思われてもいいんですけどね」
 
と彼女はにこにこしながら言った。
 
「そうですね。確かに性別なんてどうでもいいですよね」
と青葉も笑顔で答えた。
 
彼女は今日もOLっぽい女性用スカートスーツを着ているし、ナチュラルメイクをしている。胸も見た感じ、Dカップくらいありそうだ。体型も女性的に脂肪が付いているように見える。少なくとも喉仏は認められないし、肩もなで肩である。身長は160cmくらいだろうか。
 
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「ああ。私の名刺も差し上げますね」
「あ、はい」
 
それで受け取った名刺には《霧川司法書士事務所・事務員・霧川裕子》と書かれていた。これって女名前だよね?
 
「読み方はきりかわ・・・ひろしさん?」
「いえ。きりかわ・ゆうこです」
「失礼しました」
 
やはりこの人の性別は謎だ!
 

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「そうだ。K大法学類の学生さんだそうですね」
「はい。1年生です」
「私も3月までK大法学類にいたんですよ」
「わあ、そうでしたか!」
「昨年、司法試験の予備試験に合格したので、今年は司法試験の本試験に挑戦です」
「それは頑張って下さい。優秀なんですね!」
 
予備試験に合格したというのは、つまり法科大学院卒業程度と認定されたことになる。学部在学中に予備試験に合格するのはひじょうに優秀な人である。
 
「はい、ありがとうございます。川上さんも法曹資格を取られるんですか?」
 
「あ、いえ。私はマスコミ関係を狙っていて。ですから総合法学コース(弁護士や司法書士を目指すコース)ではなく、企業関係法コースなんですよ」
 
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「へー。でも自分で会社経営しながら、弁護士や裁判官はできませんもんね」
「ええ。そんなことしたら罷免されます!」
 

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4月14日(木)は学校は休んで自宅で登記用の書類作成作業をした。午前中に彪志からの速達書留が到着する。取り敢えずありがとうメールを送っておく。自分の分と彪志の分を署名捺印し、朋子の会社と典子の自宅に車で行ってふたりの分の署名捺印ももらった。
 
そうこうしている内に、司法書士さんから定款の認証が終わったという連絡がある。それで青葉は資本金振込用に作った口座にネットで翌15日付けで800万円振り込むようにした。(資本金の振込は定款の認証後でなければならない)
 
これで登記作業が18日以降にならできることが確定したので、司法書士さんの所に行って書類を再確認してもらった上で、登記の日付は18日と記入した。
 
「じゃ18日(月)の15時以降に登記すればいいんですね?」
「お願いします。14:55-17:15の間ならいいのですが」
「それは確実にやりますよ。その時間帯の中で早い方がいいですか?遅い方がいいですか?」
「18日の場合は、できるだけ遅い時間帯で」
 
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19日0:07に月が青葉の出生の火星に重なるので18日の場合は、できるだけ遅い時刻のほうが、出生ホロスコープとの相性が良いのである。20日になってしまう場合は逆にできるだけ早い時間帯がよい。
 
「じゃ17時くらいになるように順番札を取りましょう」
 
「助かります。よろしくお願いします」
 

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