広告:女装男子はいかがですか?-フラワーコミックス-池山田-剛
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■春社(18)

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「そのことに気付いたのは4−5歳の頃です。何か言動が物凄くサトギに似ていたんです。最初は親子だから当然だろうと思っていたのですが、どうにもそれだけでは説明できないものがあって。10歳くらいまでには、この子はサトギの生まれ変わりであることを私は確信しました」
 
青葉は考えていた。30年前に起きたマソとサトギの事件。
 
それが近年まで眠っていたのは・・・マソはサトギの身体に転移し、サトギは息子・ワサオの身体に転生していたからだ。
 
「ただ純粋なサトギではなくて若干マラも混じっている感じで、女装が好きなようでした。でも女になりたいというのではなく、性格的には完全に男だったようです。ワサオの女装は純粋な趣味というかフェチに近いものだったようで」
「なるほど」
 
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ワサオがたまに女装していたというのは圭織さんからも聞いている。
 
千里が、お父さんに当時の時系列を確認してくれた。するとマソが交通事故に遭い右足の先を切断したのが1988年の6月、サトギがマソを病院の窓から突き落とし、サトギが一度死んだのは2ヶ月後の8月という。そしてワサオが生まれたのは1990年の4月で、サトギとクミコの結婚は1989年の9月。マソの一周忌が過ぎて少し置いてから婚姻届けを出したとのことであった。
 
「マソさんとサトギさんの生まれ年は?」
「ふたりとも1969年生まれで事故当時は1年生でした。マソさんは死亡により除籍、サトギも自殺未遂後、とても大学などに行ける状態ではなかったので、退学の手続きを取りました」
 
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「ということは、息子さんが2010年に亡くなったのは、数え年42歳の厄年ですね」
と千里が確認した。
 
「そうなんですよ。やはり厄年だからなあと思ったんです」
 

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■簡易年表(暫定2版)
1954 中川恵一生まれる 1988年当時34歳(講師) 2016年時点で62歳(教授)
1965.10.31 城金自由(くろみ:ジャネの母)生まれる
1967.1.23 水渓一二三(ほっぷ)生まれる
1967.8.3 城金平泳(ひらみ)生まれる
1969.4.27 6:13 木倒サトギ生まれる (牡牛座生.金星逆行中 ボイド中)
1969.12.6 0:27 水渓十二六(マソ)生まれる(射手座。牡牛座とはインコンジャンクト)
1988.06 水渓マソ(18歳.大1)が事故に遭い、足の先を切断
1988.08 木倒サトギ(19歳)が水渓マソを突き落としマソ死亡。サトギも自殺を図るが蘇生
1989.07 クミコが妊娠。9月サトギとクミコの婚姻届けを提出
1990.04 木倒ワサオ生まれる
1990.08.04 双紗早江【ホシ】生まれる
1990.07.03 林波流美【ナミ】生まれる
1993.08.28 16:35 幡山ジャネ生まる
2008.10 ステラジオ結成(高校3年) 
2009.08 ホシがLSDにはまる。3ヶ月(10-12)入院して薬を抜く。
2010.01 ホシたちがメーン長浜と知り合う
2010.07 木倒マラ(サトギから改名.数えの42歳)がDSを演奏して死亡。この時木倒ワサオ(20歳)は浪人中。メーン長浜が自分で1000万円調達してマラの遺族に補償金を払う。
2011.02 メーン長浜が死亡。
2011.06 ステラジオ・デビュー
2014.12 幡山ジャネが事故で足の先を失う
2015.01.12 木倒ワサオ(24歳.4年生)がジャネ(21歳,3年生)を突き落とす。ワサオは自殺?。
2015.01.12 キャッスル舞鶴が自宅マンションで死亡。
2015.07 多縞部長が一酸化炭素中毒で死亡
2015.11 **が白血病で死亡
2016.03 溝潟部長が感電死
2016.03.下旬 ピュア大堀が公演先で膵臓癌により死亡。SDカードを焼き捨てる
 
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青葉は考えていた。
 
サトギの身体を借りたマソは2010年の悪魔の曲の事件で死亡し、息子ワサオの身体に転生したサトギも2015年1月に死亡した。
 
ふたりが本当に死んだことで、水泳部の怪死事件は始まったのだ。もしかしたらワサオが死ぬ以前から、霊魂になったマソは多数の水泳選手を誘惑していたかも知れない。しかしサトギがワサオの身体に入っていた間は、サトギに邪魔されずにマソは男の子とのデートを楽しんでいたのではなかろうか。
 
しかし考えてみると、サトギは30年前にマソを突き落とし、昨年はジャネを突き落としたことになる。重罪犯である。美鳳さんが「禁固300年」と言っていたが、そのあと水泳部の男子を3人も殺していることを考えると、妥当な刑期だと青葉は思った。
 
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「お父さんは、メーン長浜さんが亡くなった件については心当たりがありませんか?」
と千里が質問した。
 
ん?と青葉は思う。それ何か関係あるんだっけ??
 
しかし千里から訊かれたお父さんは、辛そうな顔をして少し考えていたが、やがて
「これを見ていただけますか?」
 
と言って、机の引き出しの鍵を開けて1つのボイスレコーダーを取り出した。
 
「これ録音部分はUSBメモリーになっています」
と言って本体から取り出してみせる。
 
「このボイスレコーダーの索引を見てみて下さい。絶対に再生しないように」
と言って、再度USBメモリーをボイスレコーダー本体に填める。
 

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青葉はそのボイスレコーダーを操作してデータ一覧を見た。
 
「1件データが入っていますね。2010年7月22日0:13のタイムスタンプです」
 
「それが息子が亡くなった時刻です」
 
青葉はぞっとした。
 
「つまり」
「それが死の曲なのだと思います。長浜さんはデス・ソングとおっしゃって、そのデータをコピーしたSDカードにSR-DSと記入なさっていました」
 
それがあの譜面に貼り付けてあったSDカードか!
 
青葉はDSはDevil Songだろうかと思ったのだが、Death Songであったか。
 
「その時の状況を教えていただけますか?」
「はい。何とも不思議なんです」
 
「あれはマラが死んだ翌年の2月頃だったと思います。その日、長浜さんが金沢までいらっしゃいまして。最終的に金額も妥結して、長浜さんは現金で1000万円渡して下さいました。現金で渡せば税金とか面倒なことを回避できるとおっしゃって。その代わりこの件は絶対に誰にも言わないでくれと」
 
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「なるほど」
 
おそらくはデビュー直前のステラジオに関して「醜聞」の発生を防ぐために裏金的にそのお金を用意して渡したのだろう。春吉社長も知らなかったのを見ると、あるいは個人的に用意したのかも知れない。
 
「最後に長浜さんが、ステラジオ関連の伴奏スコアとか、写真とかあったら全部出して欲しいとおっしゃいました。それで写真などがデジカメの中に入っていたのを差し出しましたし、そのボイスレコーダーもお渡ししました。すると長浜さんはデジカメの写真は自分のパソコンにコピーしてからメモリースティックを初期化なさいました」
 
「ボイスレコーダーについてはインデックスを表示なさって、最後の録音が7月22日なので、これが問題の曲だろうとおっしゃって、専門家に分析させてみるとおっしゃって、その曲だけまずSDカードにコピーなさって、ファイルのようなものにセロテープで留めておられました」
 
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それがあの《SR楽譜集》なのだろう。
 
「そのあとで長浜さんはその曲をUSBメモリーから削除なさっていたようでした。その上で残りの曲をまるごと、カーナビから抜いたSDカードにコピーなさいまして帰り道聴いてみるとおっしゃいました。その上でUSBメモリーの方は初期化なさいました」
 
青葉は腕を組んで考えた。
 
「ところがその直後、長浜さんが亡くなったと聞いて。気になったのでボイス・レコーダーを見てみたんです。するとこの曲が入っていて」
 
「つまり初期化しても残っていたんですか?」
「はい。実は私もこのデータを削除してみたり、再度初期化してみたりしたのですが、どうしても消えないのですよ」
 
青葉は東京でSDカードと楽譜をお焚き上げしたにも関わらず、しばらくすると元の場所に戻っていたことを思い起こした。
 
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「ということは、もしかしたら、長浜さんが問題のデータを削除したあとで、中身をまるごとコピーした時、このデータも一緒にコピーされてしまった可能性がありますね」
と千里が言った。
 
「私もそのことに思い至って。でも人に言ったら頭がおかしいと思われそうで」
 
要するに事態はこのように進行したのだろう。
 
(1)USBメモリーからDSを抜き出しSR-DSというSDカードを作る。
(2)USBメモリーからDSを削除。
(3)残りの曲をカーナビのSDカードにコピー。
(4)USBメモリーを初期化。
 
初期化した後のUSBメモリーにDSが残っているのだから、長浜がコピーしたSDカードの中にもDSはコピーされてしまった可能性が高い。
 
SR-DSのSDカードは先日青葉が高野山で封印した。しかしカーナビの方はまだ残っている可能性がある。
 
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「その長浜さんが持っておられたカーナビですが、どこのメーカーのものとかは分かりますか?」
 
「あれは多分五洋社のアナコンダではないかと」
 
青葉はお父さんとの話をいったん中断して、春吉社長に電話を掛けた。手短に事情を説明すると社長は驚いていた。
 
「それで、長浜さんの自動車に五洋社のポータブル・カーナビが置かれていませんでしたか?もしかしたらメーカーは違う可能性もあります。もしそれを今誰かが使っていたらひじょうに危険なので即電源を落として欲しいのです」
 
「ちょっと待って下さい。確認して折り返し電話します」
 

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社長が調べてくれている間にお父さんとの話を続ける。
 
「これを再生してみたことあります?」
「ありません。怖くて。でも・・・」
「はい」
 
「孫が、ワサオがこれを何度か持ち出していたんです。私はそれは危険な物だから触ってはいけないと言いました。でも、危ないことには使わないからと言っていたのですが」
 
「危ないことに使わないって・・・何に使ったんでしょうかね?」
 
「分かりません。実は捨てたこともあるのですが、いつの間にか机の引き出しの中にまたあるんですよ」
 
「呪われた曲だからでしょうね。ワサオさんは、この曲がどういうものかはご存じだったんですね?」
 
「はい。知っていました。私とクミコに長浜さんは数ヶ月にわたって交渉をしていましたから、ワサオもそれを聞いていたと思います。一時はひょっとしてあの子が、初期化したUSBメモリーからデータを復活させたのか、あるいは密かにコピーを持っていたのかと思ったのですが」
 
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確かに初期化したUSBメモリーから初期化前のデータを復活させるのは原理的には可能である。但し凄まじく大変な手間が掛かる。以前からコピーを取っていた可能性はある。しかし長浜の死の状況を考えると、むしろこの曲は削除しても初期化しても勝手に自分で復活すると考えたほうが自然である、
 
「ちょっと削除してみていいですか?」
と青葉は尋ねた。
「はい」
 
それで青葉はボイスレコーダーを操作してその曲を削除してみた。確かに消える。インデックスには表示されない。そのあと目を瞑って10数えてから再度インデックス表示する。
 
復活している。
 
「初期化してみます」
 
それで今度は青葉はUSBメモリーを初期化してみた。いったん何も無い状態になることを確認する。10数えてから再度インデックスを表示させる。
 
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やはり復活している。
 
「お姉さん、やってみる?」
と言って青葉は千里に手渡すが
 
「私が触ったら誤って再生させてしまいそうだから、やめとく」
と言って千里はそのまま青葉に返した。
 
確かに、機械音痴のちー姉が触ると、そういう危険もある!
 
「しかし、これで長浜さんが亡くなった状況が分かりましたね」
と青葉は言った。
 
「やはり、それを聴いて亡くなられたのですか」
と言って、お父さんは肩を落とす。
 
「これは事故です。お父さんには責任はありませんよ」
と千里が言った。
 
それでお父さんはふっと息をついてから言った。
 
「それでですね、あの子が、ワサオが死んだ晩も、そのボイスレコーダーを持ち出したようなのです。鍵が開いていてボイスレコーダーが無くなっていることに気付いて焦っていた時、警察から連絡があって孫の死を知りました。そして葬式が終わってから自宅に戻ってふと見たら、その引き出しにまたそのボイスレコーダーは戻っていたのです」
 
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青葉はまた衝撃を受けていた。
 
警察も実は木倒ワサオは自殺ではと遺書から判断したものの、自殺方法に関しては首をひねっていた。鉄骨をうまく自分の上に落とす方法が分からなかったのである。それで結局検察官の判断としては、自殺・事故双方の可能性があるということになったのである。
 
「もしかして、お孫さんは、この曲を再生して自殺したのでは?」
「そんな気がします。これはクミコさんにも言ってないのですが」
 
青葉は少し考えた。
 
「いや、違うかも」
と青葉は自分で言った。
 
「はい?」
「もしワサオさんがこのボイスレコーダーを再生させて自殺したのでしたら、亡くなった現場にボイスレコーダーは落ちていたはずなんですよ」
 
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「あ、そうか」
「それに、どうせならこれを病室で再生して、ジャネさんと一緒に死のうとしたのではないでしょうか」
 
「ああ、そうかも」
 
「ですから多分お孫さんはこのボイスレコーダーをどこかに捨てるか焼却したのだと思います。でもこの曲の作用で復活しちゃったんですよ」
 
「あぁ・・・」
 

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