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■娘たちのベイビー(21)

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(C) Eriki Kawaguchi 2019-09-09
 
今年の“08年組”主宰の東北復興支援ライブは3日間・4部構成でおこなうことが1月22日に発表された。
 
(花)2016.2.28 12:00-14:30 アクア(単独)
(鳥)2016.2.28 16:00-18:30 ローズ+リリー(単独)
(風)2016.3.05 10:00-17:00 多数のアイドル
(月)2016.3.06 10:00-17:00 08年組を含む実力派アーティスト
 
会場は花鳥風月の内“風”だけが、福島市みどり総合体育館(6000人)、他は福島市みどり球場(2万人)である。3/5-6日の出演者はこのようになっている。
 
3月5日 桜野みちる、高崎ひろか、品川ありさ、川崎ゆりこ、森風夕子、北野天子、松梨詩恩、春野キエ、七浜宇菜、上月宝、篠崎マイ、遠上笑美子、南藤由梨奈、鈴鹿美里
 
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3月6日 Golden Six, Flower Four, チェリーツイン、坂井真紅、富士宮ノエル、槇原愛、ステラジオ、貝瀬日南、KARION, XANFUS, AYA
 
今年の震災復興イベントは★★レコードが後援してくれた最後の年になったので、様々な事務所のアイドルやアーティストが出てくれた。翌年からは★★レコードの社長が村上氏になったことから“儲からずに経費ばかり掛かるイベント”からは撤退。サマーガールズ出版と§§ホールディングの共催となる。
 

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このイベント詳細が発表された2日前の1月20日、千里は冬子(ケイ)からこのイベントで龍笛を吹いてくれないかと頼まれた。ところが2月28日はまともに試合とぶつかっている(下記は日本時間)。
 
LFBの試合 2.28 25:00 ラ・セゥ・ドゥルヘル
WJBLの試合 2.27 15:00 秋田/ 2.28 15:00 秋田
 
まあLFBはこちらの夜中だから何とかなるのだが、問題は秋田のWJBLの試合である。チームへの帯同と15:00-16:30くらいと思われる試合の観戦を求められているので、16:00からの福島のイベントには(常識的には)参加できない。
 
それで千里は代わりに青葉を推薦するからと冬子に言った。
 
「青葉は受験中じゃないの?」
「大丈夫。その時点では終わっているから」
 
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青葉は石川県の国立大学を受けるので、数日前1.16-17にセンター試験を受けているが、青葉は推薦入学なので、そのセンター試験の成績のみで評価され2月8日に合格発表がある。しかしそれに落ちていた場合、2月15日に東京の△△△大学を受けたり、2月25日の一般入試を受けたり、更には3月12日の後期日程の試験(富山県の国立大学)を受けたりすることになる可能性もある。
 
しかし千里は2月28日の時点で既に青葉の合格は決まっていると言った。要するに推薦入試で合格するということなのだろう。まあ千里が言うなら間違いあるまいと冬子は考え、青葉に連絡を取った。その際、千里が2月28日にはもう行き先が決まっていると言っていたということも言い添えた。
 
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青葉は冬子からの電話に了承したものの、費用をどうしよう?と思った。実はこのところ、霊関係の相談事で、無茶苦茶経費が掛かったのに事情により相談料を取れなかった件が相次ぎ数百万円もの赤字が出ていてお金が無かったのである。
 
ちょっときついけど、高速バスで往復しようかな、などと考えていたら千里から電話が掛かってきて、交通費と宿泊費は自分が出すからと言ってくれたので、青葉は助かった!と思った。
 

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1月21-22日、この2日間龍虎は仕事は休みをもらい、更に学校も休ませてもらって、21日は取り敢えず丸1日、熊谷の自宅でひたすら寝た。
 
そして1月22日に龍虎は渋川市の病院に行き、朝から夕方まで1日掛けて定期検診を受けた。だいたい12月に定期検診を受けていたものの、今年は12月は凄まじく忙しくてとても受けられなかった。それで1月にしてもらったのだが、ハードスケジュールで仕事をしている中で唐突に1日休みをもらって健康診断なんて受けたら、異常が出まくるのは間違い無い。それで検診の前日はゆっくり休ませてもらったのであった。
 
今回の検診でも龍虎はペニスのサイズは「自分で測ります」と言って、計測器だけ預かり、トイレの中で測った・・・ことにして数字は適当に書いた。主治医の先生もその数値を見て「おお、順調に育っているね。これなら声変わりが来るのもそう遠くないかもね」と笑顔で言ってくれた。
 
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《こうちゃんさん》は主治医の先生から聴診器を当てられる時だけは龍虎の胸を男の子みたいな胸に変えてくれたので、怪しまれることもなく検診を終えることができた。
 
むろん腫瘍の再発の兆候は全く認められないという診断であった。
 
龍虎はデビュー前に宮崎に行った時、霧島神宮で出会った、千里さんが“神様”だと言っていた、すごくきれいな女の人が、もしかしたら何かしてくれたのかもという気もしていた。
 

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「結局女性ホルモンずっと飲んでいるんだっけ?」
とその日の夕方、龍虎の自宅にやってきた彩佳は龍虎の“メディカルチェック”をした上で訊いた。両親はまだ帰っていない。
 
「飲んでない。でも大宮万葉先生のセッションを受けているんだよ。それで男性ホルモンがボクの身体に作用しないように調整してくれている。だから身体が男性化しないから、結果的にバストも小さくならないんだろうと思う」
 
「ブレストフォームを貼り付けているのが凄い隠れ蓑だよね」
「そうなんだよ。あれで実はバストがあることがバレなくて済む」
 
「でも、男性ホルモンが効かないようにじゃなくて、いっそ女性ホルモンが効くようにしてもらえばいいのに」
 
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「ボク別に女の子になりたいわけじゃないし」
「女の子にはなりたくないけど、女の子みたいなボディラインにはなりたいんだよね?」
 
「うーん・・・」
「ちんちんはどうするつもり?」
 
「それ困っているんだけどね〜。でも少しずつ大きくはなっているんだよ」
 
「だったら高校生になる頃までには、摘まめるくらいにはなるかな?」
 
「大宮先生のセッションで、男性ホルモンがちんちんにだけは効くようにしてもらっているんだけど、現時点ではまだマイナスサイズ」
 
「もう諦めて睾丸取っちゃったら〜?精液は保存しているんだし、睾丸は無くてもいいじゃん。私、その精液で龍の赤ちゃん産んであげるよ」
 
などと彩佳は言っている。赤ちゃん産んであげるよ、などと言われてちょっとドキドキする。彩佳、やはりボクのこと好きなんだろうな。
 
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「実際、今はちんちんも無いに等しいんだし。睾丸取っちゃったら、もう男性ホルモンの利きとか心配しなくていいようになるしさ」
 
「やだ」
 

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その翌朝、彩佳が龍虎の目の前でセーラー服に着替え
「龍もセーラー服着ない?それで女の子同士一緒にセーラー服で学校に行こうよ」
と誘惑し、龍虎も心が揺れて
「どうしよう?」
などと言っていた時、仙台に住む祖母・松枝が支香と一緒にやってきた。夕方とかでは会えないだろうと、前日夜の新幹線で出てきて支香の家で一泊し、早朝の電車(浦和5:32-6:16熊谷)で田代家まで来てくれたらしい。田代夫妻には前日連絡しておいたらしいが、昨夜は2人とも遅くなったので、龍虎には伝わっていなかった。
 
「こんな時間にごめんね」
「いえ、ホントにボクを捉まえるにはこの時間しかない気がします」
 
「これを持って来たのよ」
と言って松枝は和服バッグを2つ置いた。
 
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「これあんたのお母ちゃんが着ていた振袖」
「わぁ」
 
「ローズ+リリーのケイちゃんが、あんたがお母ちゃんの着ていた青い振袖に想い出があるんじゃないかと言っていた」
と支香が言う。
 
「へー!ケイさんが?でも実は凄く小さい頃、お母ちゃんが青い振袖を着てすごくきれいだったのを覚えているんだよ。実はボクが覚えてるお母ちゃんの姿ってそれだけで」
 
「だったら、こちらがその青い振袖だよ」
と言って支香がバッグを開ける。衣紋掛けに掛けて鴨居に掛けてみる。
 
「あ、この振袖だという気がする」
「着てみる?」
「え?着てみたいけど時間が」
 
「私が車で送って行くよ。アヤちゃんも一緒に」
と田代の母が言っている。母はなぜこんな早朝から彩佳が居るんだ?と思うもののまあいいことにする。
 
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「じゃ着てみようかな」
と龍虎が少し恥ずかしそうに言う。
 
それで松枝が龍虎に母の遺品の振袖を着付けしてあげる。龍虎は凄く嬉しそうな顔をしていた。彩佳が自分のスマホで記念写真を撮る。
 
「龍の振袖姿、やはり可愛いよ」
と彩佳が言うと、龍虎は照れている。
 
「こうしてみると、あんた支香の小さい頃によく似ている気がする」
と松枝。
「支香おばちゃんの〜?」
 
「まあ子供はおじ・おばに似ると言うもんね」
と田代母が笑顔で言っていた。
 
それでこの振袖2着は龍虎の宝物となったのである。
 

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2月15日、青葉から千里にお願いがあるといって連絡があった。千里はレッドインパルスのメンバーと練習していたのだが、ちょっと休ませてもらって電話を取ったら、確定申告で1000万円の追納が出て、それを払う資金が無いのだという。
 
「印税って源泉徴収されているから、それでいけると思ってたのよ」
「収入が1000万円未満の人だと源泉徴収でけっこう行けるんだけどね〜」
 
アクアの楽曲が特大に売れているので、その作曲印税が3000万円以上あり、それに1500万円くらいの税金が掛かるが、源泉徴収されているのは500万円程度なので、差額の1000万円を3月15日までに払う必要がある。ところが印税が実際に入金されるのは3月末・4月末なのである!入金していなくても売上げは発生した時点で計上しなければならないので、こういうことが起きる。
 
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それで千里は
「んじゃ取り敢えず1200万円ほど明日青葉の口座に振り込んでおくよ。印税が入ってから返して」
と言った。
「助かる!」
 
その会話を聞いたチームメイトの乃愛から千里は訊かれた。
 
「妹さん?」
「そうそう、女子高校生の妹。1100万円貸してと言うから余裕見て1200万円振り込んであげる」
 
「景気のいい話だね」
「何か最近物価が高くて、鉛筆1本1万円とかするらしいし」
「なるほどー。すごいインフレだね」
と言って乃愛は笑っていた。
 
乃愛は実際には12万円貸したのだろうと思ったようである。
 

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そのアクアの4枚目のシングル『桃色の予感/想い出海岸』は2月24日(水)に発売された。『桃色の予感』はマリ&ケイの作品、『想い出海岸』は東郷誠一名義だが、実際に書いたのは青葉である。自宅近くの雨晴海岸で深夜に書いた作品。千里があまりにも忙しすぎたので、受験勉強中の青葉に強引に押しつけたものである。青葉はこの印税に掛かる税金も凄まじいよなと思うと、頭が痛くなった。
 
なお、アクアは税務申告に関しては、§§ミュージックから紹介してもらった税理士法人に丸投げし、書類を作ってもらって2月15日(月)に追納金も支香に振込作業をお願いして申告書類を税務署に提出した(実は金額は見ていない!)
 
§§プロ・§§ミュージックのタレントの場合、事務所で最初から納税に必要と思われる概算金額(アクアの場合は報酬の半額)を別口座に振り込むようにしているので、そちらに手をつけたりしていない限り、納税で困ることは無いようになっている。ただし今回の青葉のように年度末に突然売れ始めたタレントの場合は納税資金が不足するので、その場合は事務所が無利子で貸し付けている。
 
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2月24日の発売記者会見では、前回同様にエレメントガードの伴奏でアクアが生歌唱した後で、趣旨説明や質疑応答となる。今回テーブルに並んだのはこういうメンツである。
 
アクア、コスモス社長、TKRの三田原課長、伴奏者のヤコ。
 
この席でアクアは三田原課長が今後直接担当していくことが言明された。1年間にわたって担当者がコロコロ変わっていたのが、TKRに分離されたのと同時にやっと担当者が定まった。実際には三田原の下にアクア専任部隊が5人いる。
 
今回も東郷誠一先生は出席していないので、平穏無事に記者会見は進んだ。
 

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