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■娘たちのベイビー(7)

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8月16日(日)博多海浜公園.
 
この日のこの会場は元々アクアのツアー用に押さえていたのだが、キャンセル料を払うのももったいないので、利用しようということになり、高崎ひろか・品川ありさのダブルコンサートを実施した。
 
イベントは冒頭2人が登場して“3番勝負”をした。
 
1回戦の懸垂対決はスポーツ少女・品川ありさの圧勝である。
2回戦のオセロ対決は高崎ひろかの勝ち。
3回戦のクイズ対決は3勝2敗で高崎ひろかの勝ち。
 
ということで、ひろかが後半を取ったので、前半の1時間は品川ありさ、後半の1時間は高崎ひろかが歌った。
 
このライブでは、いわゆる“最前管理”行為(前列の方に陣取り、お目当ての歌手以外の時間はスマホなどをいじっている行為)を防止するため、最前列ブロックは品川ありさと高崎ひろかで入れ替え制(抽選。料金+500円)にしている。それで冒頭の3番勝負の後、および前半と後半の間に、観客の大移動が行われた。
 
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(3番勝負の時間帯の分は希望者に先着順で無料の先頭ブロック指定券を渡した)
 

8月17日(月)福岡市・博多ドーム。
 
アクアの初めての全国ツアーが始まった。
 
ドラマの撮影は『ときめき病院物語』は大詰めの段階。本来は週1回の撮影が現在週2回にしてラスト付近を撮影している。夏の特集番組でスポット出演の番組も多い。コスモスは、全国20ヶ所みたいなツアーにしなくてよかったと思っていた。それではアクアが倒れてしまう。
 
今回のツアーでは、これまでの経緯もあり、ゴールデンシックスが伴奏を務めてくれる。楽曲については、約2時間以上に及ぶライブなので、ここまで出した2枚のシングルの曲に加えて、秋に出す予定のアルバムの曲も一部使用することにした。アレンジが固まっておらず、リリースするバージョンと大幅に雰囲気が変わる曲もあり得るのだが。
 
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幕間のゲストは、§§プロの歌手が日替わりで務めた。
 
8.17 福岡 桜野みちる
8.22 札幌 海浜ひまわり
8.23 大阪 秋風コスモス
8.29 愛知 川崎ゆりこ
8.30 東京 高崎ひろか
8.31 東京 品川ありさ
 
札幌に海浜ひまわりが登場したのには観客も驚いたし、その後ネットでもかなり騒がれていた。
 
「引退したはずなのに、出しゃばってすみません。実はアクアの公演は最初5公演の予定だったのが、あまりのチケット申し込みの多さに1公演追加されてしまいまして、それで§§プロの現役歌手が1回ずつちょうど5人登場するはずだったのが、1公演足りなくなってしまったので、あんた歌ってと言われまして」
 
とひまわりが、少し恥ずかしそうに言うと、観客が物凄い拍手を送ってくれた。
 
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「今はフリースクールに通いながら、日野ソナタさんの弟子にしてもらって、作詞の勉強をしています。その内、私が書いた詩を誰かが歌ってくれたらいいなと夢見ています」
と言うと、「頑張ってねー」という声がする。ひまわりが声の来た方へお辞儀をする。
 
「私現役時代のライブツアーでは、一度も北海道に来ることができなかったので、そのお詫びも兼ねて」
と言って彼女は現役時代の最大のヒット曲『私は恋する人形』を熱唱した。
 

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今回のセットリストは、公演ごとに微妙に順序を変えたり、一部楽曲を差し替えているのだが、最終の8月31日東京公演ではこのようになっていた。
 
前半
『ぼくのコーヒーカップ』最新シングル
『恋人たちの海』デビュービデオから
『白い情熱』デビューシングル
『朝食ラーメン娘』アルバム収録予定曲
『翼があったら』アルバム収録予定曲
『憧れのピーチガール』アルバム収録予定曲
『ウォータープルーフ』アルバム収録予定曲
『貝殻売り』最新シングルc/w
『テレパシー恋争』“ねらわれた学園”挿入曲
 
後半
『新宿港町』(新宿信濃子)
『衣川館炎上』(上野陸奥子)
『ピアノ』(立川ピアノ)
『恋するフルート』(大宮どれみ)
『いちごの想い』(日野ソナタ)
『キス・オン・ウォーター』(春風アルト)
『オペラ座の少女』(冬風オペラ)
『満月の伝説』(満月さやか)
『秋桜物語』(秋風コスモス)
『白い通学バス(川崎ゆりこ)
『nurses run』デビューシングル
 
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アンコール
『琥珀色の侵襲』(小野寺イルザ)オーディション本番で歌った曲
『白い情熱』(再)デビュー曲
 
後半の構成をどうするかはかなり議論したのだが、結局§§プロのこれまでの歌手のヒット曲を並べた。アクアは演歌系の『新宿港町』にはじまり、本格派系の『ピアノ』、ラテン風の『キス・オン・ウォーター』、純アイドル歌謡の『いちごの想い』など、様々な曲をちゃんとその原曲のテイスト通りに歌って観客を魅了し、歌唱力の高さを見せ付けた。
 
『ピアノ』の伴奏のピアノパートは超絶難曲なので、ここは花野子にもとても弾けず、ちょうど帰国していた水野麻里愛にツアーに付き合ってもらい弾いてもらった。つまりこの曲だけ7人で演奏している。
 
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『恋するフルート』の間奏のフルートはアクア自身が吹いた。『オペラ座の少女』にフィーチャーされているヴァイオリン・ソロもアクアが弾いた。
 

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「でもなんか楽曲が全部女の子の立場の歌詞のものばかりなんですが」
とアクアは言った。
 
川崎ゆりこの『白い通学バス』の歌詞は震災イベントの時は「彼に私の純情を捧げたい」となっている所を、男の子のアクアが歌うからといって「彼女に僕の気持ちを捧げたい」などと改変していたのだが、その後、作詞者からクレームが入ったこともあり(*3)、今回は原詩通り歌うことにした。それで全歌詞が女の子が歌うような歌詞になっている。
 
「アクアのファンは女の子が多いから、その子たちが愛唱するのによいよ」
と川崎ゆりこなどは言っている。
 
「うーん・・・」
 
「まあそもそもアクアちゃん自身が実は女の子ではないのかという疑惑もあるし」
と今回コーラス隊(実はボディガード兼任)で入っているハナちゃん。
 
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「うーん・・・・・」
 
(*3)事前連絡して承認を得るつもりだったが、作業が漏れていた。コスモスと紅川がレミー・マルタンを持って謝罪に行ったが、アクアちゃんにはぜひセーラー服を着て歌ってもらおう、というのを断るのに苦労した。
 

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8月20日は龍虎の14歳の誕生日だった。§§プロではタレントのプライベートとパブリックを分けて考えるので、ファンを招いての誕生パーティーみたいなことをする制度はない。その代わりその日は原則としてお仕事はお休みにしてくれる(この年は休めた!)。ただし龍虎は18日に福岡公演から東京に戻った直後、またまた倉庫に連れて行かれて、プレゼントの山を見せられた。
 
「えっと、いつものようにお願いします」
「OKOK」
 
バレンタインの時は一時的に倉庫を借りたのだが、ここはもうアクア専用のプレゼント置き場になっている。ケーキなどは日持ちしないので受け取って検査を通ったものは即福祉施設などに配っている。プレゼント処理担当は常時5人だが、誕生日ということで20人に増員している。
 
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龍虎がプレゼントの中の段ボール2個とケーキの箱1つを持って自宅まで小野さんの運転する車(白いアクア)で送ってもらったら、自宅には彩佳・宏恵・桐絵の3人、それに川南と夏恋まで来ていた。
 
「なんか大きなケーキがある。ボク、ファンの人からのプレゼントのケーキ1個持って来たのに」
「食べちゃう食べちゃう」
 
それで川南・夏恋・千里の3人でお金を出し合って買ってきたというケーキにローソクを14本立てて火をつけ、一気に吹き消して「ハッピーバースデー」を言ってもらい、その日は両親も一緒に楽しく夜を過ごした。
 

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この日は西湖の13歳の誕生日でもある。西湖は沢村さんから、アクアに来たプレゼントが大量にあるから少し持って行きなよと言われ、半生菓子の段ボールをひとつ、お洋服の段ボールを3つ、それにバースデーケーキの箱を1つもらって鱒渕さんの運転する車(水色のミラココア)で桶川市の自宅まで送ってもらった。
 
「あれ?お母さんとかは?」
「公演中だから、父も母も7月の頭から全く帰宅してないです。9月いっぱいまでずっと劇団事務所に詰めていると思います」
「だったら、御飯は?」
「自分で作りますよ」
「だったら、今日は私が作ってあげるよ」
「いいんですか!?」
「お誕生日だもんね」
「わぁ」
 
鱒渕は川崎ゆりこに電話して西湖と一緒に夕食を取ると連絡した上で、一緒に近くのスーパーまで買物に出かけた。
 
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それで鶏モモ肉、日清の唐揚げ粉(*3)、日清のキャノーラ油(*3)を買って帰り、鶏の唐揚げを500gほど揚げた。
 
「西湖ちゃん、ハッピーバースデー」
「ありがとうございます」
 
西湖が涙を流しているので
「どうしたの?」
と訊いた。
 
「僕、誕生日なんて祝ってもらったの初めて」
「あんた、なんか苦労してるみたいね!」
 
(*3)日清の唐揚げ粉は日清製粉、日清のキャノーラ油は日清オイリオ。ほかに日清のカップヌードルは日清食品。この3社は同じ「日清」の名前が付いているが、お互いに無関係の会社である。明治とか昭和とかが付いた会社や学校などがたくさんあるのと同じ。上皇后・美智子陛下は日清製粉の創業家の出身であり(よく「粉屋の娘」と呼ばれる)、美智子陛下がチキンラーメンの試食をしていた訳ではない(それは日清食品)。この3社はよく混同されている。
 
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8月24日(月). 『ときめき病院物語』の撮影がクランクアップ。翌25日からは『ねらわれた学園』の撮影がクランクインした。
 
「そういえばクランクイン・クランクアップというのは和製英語なんだよね」
とどちらにも出演する倉橋礼次郎さんが言っていた。
 
「そうなんですか?英語では何ていうんですか?」
と馬仲敦美が尋ねる
 
「クランクアップのことは wrap up (ラップ・アップ)という」
「へー! フィルムを巻き終えるのかな?」
「かもね。クランクインというのは特に決まった表現はない。普通に start shootingとかいう」
 
「出た!不規則動詞!」
と大林亮平が言った。
 
「そうそう。撃つとか撮影するという意味の shoot(シュート)は、過去形・過去分詞は shot (ショット)。shotは「撃たれた」とか「撮された」という意味になる」
と倉橋さんも楽しそうに解説していた。
 
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娘たちのベイビー(7)

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