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■娘たちのベイビー(15)

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越春は、高岡猛獅が亡くなった後、様々な詐欺にひっかかった。猛獅にお金を貸していたとか、高価な楽器を貸していたとかいうのもあったが、猛獅の子供だという母子も3組も現れて、最終的に弁護士との話し合いで撤退した。そういう背景があったので、2007年に上島雷太が「猛獅さんの子供が居た」といって龍虎を連れて行った時「もう欺されるもんか」と言ったのである。
 
龍虎のことを上島が知った段階で、龍虎には戸籍が無かった。上島が雇った弁護士の尽力で2008年2月に戸籍を作ることができたが、この時審判の過程としてDNA鑑定を行い、龍虎が猛獅と夕香の子供であることはほぼ確定している。
 
この時DNA鑑定に協力してくれたのは、松枝・支香、猛獅の父の弟の息子(つまり猛獅の従弟)である高岡鶴道さんである。そして鑑定の結果このようなことが明らかになった。
 
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・龍虎は松枝の女系子孫であるが、支香の子供ではない。
 
・龍虎は猛獅の祖父(越春の父・亀吉)の男系子孫であるが、鶴道の子孫ではない。
 

 
ここで、松枝には娘は夕香と支香しかいないので、論理的には夕香の子供であることになる。また亀吉には、息子は越春と鶴秋(鶴道の父)の2人しかおらず、鶴秋の子供は鶴道以外は全員女であり、越春の子供は猛獅だけであるから、論理的には龍虎はやはり猛獅の子供であるとしか考えられない。
 
万が一鶴道の姉妹の中に“女の子として育てられていた男の子”が居たとしたら、全くあり得ないことはないが!?
 

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「まあ猛獅の子供でないというのなら、あんたが浮気してどこか他に息子を作っていて、その子供ということしかあり得ないね」
 
と尚子から言われて、越春は「浮気なんかしてない!」と怒っていたらしい。
 
「あら、だったら○子さんは?」
と指摘すると
 
「そんな昔のこと持ち出すな!」
と開き直っていたらしい。
 

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他にも龍虎のDNAは鑑定に協力してくれた、松枝・支香、および鶴秋の3人と様々な遺伝子的類似があった。
 
それで龍虎は夕香の子供と法的にも認定されて夕香の戸籍に入れられたのだが、ふたりが婚姻届を出していなかったこともあり、また越春の姿勢に配慮して、父親欄の記載は留保させてもらうことにしたのである。審判文でも、越春が同意すれば猛獅を龍虎の父親欄に記載するとされた。
 
支香と龍虎は毎年年賀状、暑中見舞いを書き、越春と尚子の誕生日にはプレゼントをするなどしてきたが、越春の態度は頑ななままであった。尚子は返事を出したかったが、越春から停められていたらしい。
 

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ところが今年龍虎が“アクア”としてデビューして、テレビ番組やドラマに出演する。尚子が
 
「ほら、龍ちゃん出てるよ、ちょっと見てごらんよ」
などと言われて、渋々見てみると、その顔形が猛獅の中学生の頃にそっくりであることに気付いた。
 
それで越春の態度は軟化し、一度会いたいと言ってきたので、日程を調整し、とりあえず支香と2人だけで会いに来たのである。
 
越春は龍虎が猛獅の子供、自分の孫であることを認めるとした上で、これまでずっと拒否していたことを謝った。
 
支香はやはり一昨年発覚したワンティスの楽曲の名義書換え問題が越春が軟化した下敷きだろうなと思った。あれで越春は人生観そのものが変わったのである。
 
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ワンティスの楽曲の作詞者は高岡猛獅ということになっていたものの、実は高岡が書いていたのはごく初期だけで、売れるようになってからはほとんど夕香が書いていた。しかし事務所が「高岡君の作詞ということにしておかないとレコード会社が企画を通してくれないから」と言い、夕香も猛獅と結婚するつもりだったから、印税はどちらが受け取るのでも構わないと思っていたようだ。
 
しかし2人の死後も名義問題はそのままになっていて、本来は夕香の遺族が受け取るべき印税を猛獅の遺族である越春が受け取っていたことが一昨年の春、明らかになった。
 
越春は不当な利益を得ていたとして世間の批判にさらされた。越春は知らないこととはいえ申し訳無かったとして、自分の全財産を現金化して長野松枝に贈ると発表した。しかし松枝は受け取りを拒否したので、結局、越春はこのお金を全額東日本大震災の被災地に寄付することにした。松枝たちが東日本大震災で自宅が崩壊し家財道具もかなり無くして苦労したことを聞いていたのもある(自宅は借家だったので被害は実質家財道具の分だけ)。
 
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越春と尚子はそれまでは猛獅が建ててくれた2階建て・4LDK2Sの家に住んでいたのだが、その土地家屋も売ってしまったので、現在は猛獅の遺品だけトランクルームに預けて、自分たちは1DKの古ぼけたアパート(築50年で家賃3万円)に住んでいる。
 
(実際には越春は猛獅が遺した借金の返済や事務所から請求された損害賠償に応じるため、当時この土地建物を担保に銀行からお金を借りて、その後、自分の給料と高岡の印税とで10年掛けて借金を返しているので“不当な利益”を得て“豪邸”を建てたというのは言い過ぎである。それに総二階の4LDK2Sは実際には建面積わずか20坪であり、結構コンパクトな家であった)
 

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今回の話し合いでは、最初はすぐに龍虎の戸籍の父親欄に高岡猛獅と記載してもらおうという話になっていた。龍虎の戸籍を作った審判の時の審判文があるので、越春が同意書さえ出せば、即記載してもらえるはずである。
 
この機会に苗字も高岡にはできないのかという質問もあった。これは想定内で支香が弁護士に確認しておいたのだが、猛獅と夕香が既に死亡しているため、2人の婚姻届を出そうとしても無効であり、どうしても高岡の苗字にするには越春が養子にするしかないということだった。
 
孫ではなく養子にするのは、やはり違うと思うということで、苗字は長野のままでよいことにした。ところが話がまとまったかと思った時に越春はこんなことを言い出した。
 
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「でも龍子ちゃんがこんなに売れた後で、今更祖父ですと法的に認定してもらうというのは何だかお金目当てみたいで気が引ける」
 
「それ猛獅が売れていた所に隠し子ですと名乗ってきた変な人たちがいたのと逆ね」
と尚子が少し遠い目をして言う。
 
すると龍虎が言った。
 
「その問題ですけど、もしよかったら私の父親欄はやはり空白のままにしておけませんか? 私は小学1年の時以来、今の里親の田代さん夫妻に育ててもらったので、今更父親欄を埋めると、田代さんたちが、子供を取られたみたいな気がすると思うんです」
 
「ああ、それはちょっと寂しいよね、田代のお父さん・お母さんにとっては。志水さんにとってもね」
と支香も言った。
 
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それで再度話し合った結果、戸籍の記載は引き続き保留することにしたのである。そして戸籍には記載しなくても、自分たちはお互いに祖父母と孫という気持ちを持って今後は付き合っていこうということにした。
 
ただ永遠にそのままという訳にもいかないから、越春は2枚の公正証書を作ることにした。1枚は自分が、龍虎の父親欄に高岡猛獅の名前を記載することに同意するという文書で、これは作成した後、龍虎に預け、龍虎がその気になったらいつでも提出してよいことにする。もうひとつは、遺言書で、同様のことを記載しておく。つまり龍虎が越春の同意書を提出しなかった場合は、越春が亡くなった時点で、猛獅と龍虎の父子関係が戸籍に反映されることになる。
 
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午前中いっぱいこの件で話し合った後、尚子が仕出しを取っていたので、それを一緒に食べてから、4人はタクシーでさいたま市郊外のトランクルームに行った。
 
「凄い・・・」
と龍虎は声をあげた。
 
「よく入っていますね」
と支香は言った。
 
「まあ芸術的な積み方をしているよね」
と尚子。
 
ここには猛獅が当時住んでいたマンションに遺していた楽器類、CD/DVD類、書籍、賞などの記念品、様々なミュージシャンと交換した品、などが大量に保管してあるのである。外国の超有名ミュージシャンがサインしたギターなどもあるらしい。
 
この荷物は元々は猛獅が亡くなった後は、越春の自宅の3部屋を占有して保管されていたものだが、自宅売却の際、ここに移された。その時、倉庫代をケチって、通常なら6畳程度の荷物を入れるようなサイズの倉庫に、強引に部屋3個分の荷物を“詰め込んだ”ので、密度が物凄い!
 
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ただしここは空調が常時働いており、湿度も一定に保たれているので、保管品が極端に劣化することはない。
 
実は一昨年の名義書き換え問題が起きた時にこれもオークションなどで売却することも考えたのだが、売却すると貴重な資料が散逸してしまうとして上島や雨宮などが反対、場合によっては上島が買い取るからといって、それで越春も売却を断念したのである。
 
その後、この遺品の中に多数の猛獅が書いた詩が隠されていたことが判明し(発見したのは青葉)、更には夕香の作詞ノートまで発見されて(美術全集の箱にはさまっていたのを雨宮が発見した)、その全容はまだ完全には明らかになっていない。
 

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この倉庫にある楽器などは好きなのを持って行っていいからと越春は龍虎に言ったが、龍虎は自分はまだ未熟なので、まだずっと先に考えたいと答えた。
 
最後にまた越春の家に戻って、帰る途中で支香が買ったケーキを4人で食べた。尚子がリプトンのティーバッグで紅茶を入れてくれた。最近では珍しくなった角砂糖が出てくるので支香は2個、龍虎は1個入れた。
 
「龍子ちゃん、ダイエットしてるの?」
と尚子から訊かれる。
 
「いえ。むしろもう少し体重増やしなさいといわれているのですが、ケーキが甘いから、紅茶はそんなに甘くなくてもいいかなと思って」
 
「確かに体重増やしたほうがいい。あんたホント細いもん!今何キロ?」
と尚子。
 
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「37kgかな」
「あり得ない!最低40kgにしなさい。忙しそうだし、倒れちゃうよ」
「事務所の社長からも言われています!」
 

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「実は春頃、歌を歌っている所とかもテレビで見たんだけど、その時はそんなに感じなかったんだよね。でも『ときめき病院物語』で龍子ちゃんが男の子の役を演じているのを見て、この子、男の子の格好したら猛獅の中学生時代とそっくりじゃんと思ったんだよ」
 
と越春は言った。
 
「あれ男役と女役の両方をしてと言われて『え〜!?』と思ったんですけどね」
と龍虎。
 
「同じ事務所の先輩ときょうだいの役をする予定だったんだよね。それが急に辞めちゃったから龍が1人で2役することになっちゃった」
と支香が言うと
 
「そんな経緯があったんだ!」
と越春も尚子も驚いていた。
 
「だけど今度の『ねらわれる学園』(←越春の発音通り)では、ずっと学生服着て、男の子役をしているんだね。確かに学生服姿もりりしくていいけど、アイドルなんだから、もっと可愛い格好もすればいいのに。今回は女の子役は無かったの?」
 
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龍虎は一瞬支香と視線を交わしたが、今の時点ではたとえ祖父母といえども情報を明かしてはいけないと判断した。それで龍虎は答えた。
 
「男の子役だけですよ〜。『ときめき病院物語』は緊急だったからボクが女の子役までしましたけど、あれも来年の春から放送するPart 2 では、妹役は別の女優さんに代わって、ボクは佐斗志役だけになる予定ですし」
 
(実際この時点ではその予定だった)
 
「あら、なんで男の子役の方をするの?龍子ちゃんは友利恵役だけにして、お兄さん役を別の男性俳優さんがすればいいのに」
と尚子。
 
ちょっと待って。なんでボクにみんな女役をやらせようとするの〜?などと思いながら、龍虎は答えた。
 
「一応ボク、男の子なので基本的には男役しかしません」
 
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「あら?宝塚の男役みたいな扱い?」
 
この時点で、長野夕香は重大な勘違いが起きているのではないかということに気付いた。どうも龍虎はまだ気付いていないようである。それで夕香は言った。
 
「あのぉ、念のため言っておきますけど、龍虎は男の子なんですけど、もしかして女の子と誤解したりはしてませんよね?」
 
「へ?」
と言って、越春も尚子もキョトンとしている。
 
「龍子ちゃんって女の子だよね?」
「ボク、男の子です〜!」
 
「うっそー!?」
と越春と尚子は驚いている。
 
「でも男の子なのに名前に“子”がつくの?」
「龍虎は空を飛ぶ龍に吼える虎です」
と言って、龍虎は自分の名前を紙に書いてみせた。
 
「その字だったの〜?」
 
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「猛獅さんは、自分がライオンだから、息子は虎にしようと思って、この名前を付けたそうです」
 
「そうだったのか!」
「女の子だとばかり思っていた!」
 
龍虎は自分が男だったら、今日の話の結論が変わったりしないか心配したのだが、越春も尚子も、
 
「女の子でないのは残念だけど、男でも女でも可愛い孫であるのには変わらない」
と言ってくれた。
 
「ちなみに、女の子になっちゃう気は?あんたそもそも女の子にしか見えないんだけど?最近は簡単な手術で男を女にしたり、女を男にしたりできるらしいし」
 
「たしか埼玉医科大でそういう手術してたんじゃないかな?ニュースで聞いた気がする」
 
「手術して女の子になるというのは勘弁してください」
 
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「だってこんなに可愛いのに男になっちゃうなんて、もったいない」
と尚子。
 
「まあ世間的にはそういう意見が多いです」
と言って、支香も苦笑していた。
 
「取り敢えず男みたいな声にならないように睾丸は取っちゃうとか?」
「嫌です」
 
「あんたが産む赤ちゃんの顔を見たいし」
と尚子が言うと
 
「まあこの子は男の子であったとしても、赤ちゃんくらい産むかもね。生理があるという疑惑もあるし」
と支香は言って笑っていた。
 
「あら、生理があるなら赤ちゃん産めるわね?」
 

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