広告:まりあ†ほりっく 第6巻 [DVD]
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■娘たちのベイビー(20)

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アクアは12月31日は紅白歌合戦に出たが、高校生なので途中で退席させてもらい、その夜は予め取っておいた都区内のホテルのスイートルームで、田代の両親と3人で過ごした。1日からの仕事に備えるには都区内に泊まる必要があったが、一方で田代の両親とも一緒に過ごしたかったので、こういう選択になった。
 
1月1日は早朝、お屠蘇代わりのサイダーで乾杯して今年も良い年であることを祈る。朝6時にはFM局に入って新年の生番組に出演した。この日はテレビ・ラジオ合わせて10本もの番組に出演した。そして最終の飛行機で福岡空港に飛び、福岡市内のホテルに泊まる。
 
それで2日は博多ドームでライブをし、夕方の飛行機でセントレアに飛んで名古屋市内のホテルに泊まる。3日は愛知ドームでライブをして夕方の新幹線で東京に戻り、寮に泊まる。
 
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そして4日から6日までの3日間は様々な所に挨拶回りに行くことになった。この挨拶回りには川崎ゆりこ副社長が付き添ってくれることになっていた。公共交通機関を使うとファンに捉まって面倒なことになりかねないので、この3日間はゆりこ副社長の愛車ポンガDXに乗って移動する。この車は馬力があり頑丈なわりにコンパクトなので、駐車に困らないのが利点である。国産にはなかなかこういう傾向の車が無い(NISMOやスイフトスポーツくらい)。概して小さい車はヤワで非力である。昔のミニが割と良かったのだが最近のミニは巨大化して“ミニ”の名前を返上すべき状態になっている。アクアも車体を見てコンパクトカーと思っていたら意外にパワーがあるので驚いていた。
 
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「まあそういう訳でまずは着換えようか」
と言われて連れて来られたのは、呉服店である。ここで和服を借りることになっているらしい。
 
「はい、承っております。訪問着と振袖でしたね」
「ええ。よろしくお願いします。こちら肌襦袢と長襦袢は持参しました」
 
アクアはゆりこに尋ねた。
 
「もしかしてボク、振袖を着るの?」
「着たいでしょ?」
「え?でもいいのかなぁ」
「タレントさんはお正月にはみんな振袖着るんだよ」
「そうですよね!」
 
ということで簡単に“転んで”振袖を着付けしてもらった。
 

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足には草履(ぞうり)を履くが、ゆりこは運転の時はそれを脱いで足袋(たび)だけの状態で運転していたようである。特に今日ゆりこが履いている足袋は裏にゴムが貼ってあって滑りにくいものだと言っていた。
 
最初にテレビ局6社を回っていくがこれだけで4日の15時まで掛かった。アクアは自分が振袖を着ていることで何か言われないかなとドキドキしていたが誰も何も言わず、むしろ「おっ、可愛いね」とか「さすが似合ってるね」と言ってくれた。
 
テレビ局を回った後、アクア・プロジェクトの名目上の統括者である東郷誠一先生の所に行ったのだが・・・・
 
この日はこれで終了となった。東郷誠一さんの家を出たのはもう24時すぎであった。中学生はもう帰さないといけないのでとゆりこが頑張ってくれたので何とか離脱できたが、一緒に先生につかまっていた丸山アイやリダンタリダンなどはどうも徹夜態勢のようだった。
 
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「着付師さんがこの時間からは手配できないけど、なんとか自分で脱いで、できるだけしあわにならないように衣紋掛けに掛けておいてくれない?」
と疲れた表情のゆりこが運転しながら言う。
 
「大丈夫です。ボク振袖の着付けもたたみ方も分かりますから」
「そうだったんだ!」
「川南さんにだいぶ習ったんですよ」
「なるほどねー」
 
「だから明日も自分で着付けておきますから」
「助かる。じゃ明日朝8時に寮に迎えに行くね」
「はい」
 

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5日は早朝から、AM4局、FM3局にMUSIC BIRD とラジオ系の放送局を回った。それで15時をすぎた所で、上島雷太の家に行ったのだが、この日は昨日同様ここで終了となった。春風アルトさんや、偶然来ていた松浦紗雪さんから「おお、可愛い可愛い」「このアクセサリーも付けてごらん」などとたくさん“可愛がられ”、やっとここから脱出できたのは夜中の2時だった。
 
「だめだぁ、とても五反野まで辿り着けない」
「この付近のホテルに泊まりましょうよ」
「そうしよう」
 
ということで、上島邸からあまり遠くない所のビジネスホテルに入り熟睡した。部屋が1つしか空いてないのを、“姉妹”ということにして一緒の部屋に入った。(少なくとも姉弟には見えない)
 
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「アクアちゃんを襲ったりはしないから」
「ゆりこさんなら大丈夫そう。社長はちょっと怖いです」
「ああ、アクアちゃんを解剖してみたい顔しているよ」
「あはは」
「私はアクアちゃんが女の子の身体だというのは知っているから問題無い」
「うーん・・・」
 
ゆりこの訪問着はアクアが脱がせて畳んであげた。
 
「ごめんね〜」
「いえ、こういうのはできる人がすればいいし」
 
それで朝までひたすら寝ていた。
 

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翌6日朝は交替でシャワーを浴びて朝御飯を食べた後、アクアが自分の振袖とゆりこの訪問着を着付けして、ゆりこが自分とアクアのメイクをした。そしてこの日は昨日までに回れなかった作詞家・作曲家さんの所を訪問した。
 
9:00 醍醐春海
10:00 南国花野子(Golden Six)
11:00 絹川和泉(KARION)
12:30 音羽・光帆(XANFUS)
14:00 マリ&ケイ(Rose+Lily)
15:30 松浦紗雪★早めに引き上げる
16:30 蔵田孝治★早めに引き上げる
17:30 日野ソナタ(=霧島鮎子)
19:00 秋風メロディー(=上野美由貴)
 
ケイのマンションに来たとき、ちょうど別コースで挨拶回りをしていたコスモス社長と遭遇。その後の松浦紗雪さんと蔵田孝治さんの所はコスモス社長と一緒に回ったが「ここは挨拶だけしたらさっと帰るよ。あがってと言われてもあがらないよ」とコスモスが事前に言っておいたので、今年のアクアは松浦紗雪に拉致されて女の子への改造手術を受けさせられることもなく、蔵田孝治に襲われて貞操を奪われることもなかった!!
 
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この2大難関を何とか無事通過した後は、ほぼ身内の日野ソナタさんのところで一息付き、最後は完璧な身内の秋風メロディーの家で、生まれたての薫生ちゃんと戯れながら、のんびりと今日1日の疲れを癒やしたのであった。
 

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「でもこれでアルバムに楽曲を提供してくれた作家さんたちには一通り挨拶を終えたね」
とコスモス社長は言った。
 
「あれ?そうですかね?」
「ヤコちゃんたちは身内だからいいでしょ」
「ああ、そうですね」
 
アクアは指を折って数えてみた。
 
東郷誠一、上島雷太、千里と花野子、和泉、音羽と光帆、マリ&ケイ、松浦紗雪、蔵田孝治、日野ソナタに秋風メロディー。。。
 
「ゆきみすず先生は?」
「外国旅行中だから省略」
「なるほどー。紅型明美先生は?」
「あの子たちには、頻繁に会っているからいいでしょ」
「あの子たち!?それボクが知ってる誰かですか?」
「あれ?知らなかった。あとでアコちゃんにでも訊いてごらんよ」
 
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「そうします! あと針谷童夢(はりがいどうむ)先生は?」
「今日会ったじゃん」
「え〜〜〜!?」
 

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1月7日は学校の始業式だった。龍虎は年末年始のCMで振袖を着たのを何か言われたりしないかとドキドキしていたのだが、それより、4日に放送された『ねらわれた学園』1時間スペシャルの反響が凄くてクラスメイトたちから質問攻めにあった。
 
「でも学生服なの?3学期からはセーラー服着てくると思ったのに」
「ボクのこと分かってるくせに」
「じゃ3年生になったらセーラー服にするの?」
「しないよ!」
 

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7日は学校が終わったら、放送局に入って、まだ続く特別番組の撮影を1本やった上で、生番組にも出演した。
 
8日は普通に授業を受けた後で、学校が終わってからそのまま熊谷駅に直行。新幹線で東京に出て、羽田から新千歳に飛び、札幌市内のホテルで泊まった。そして1日置いて10日は北海ドームでライブをして、今回のツアーの打ち上げとなった。アクアはそのまま夜の便で東京に戻り、自宅のお布団でひたすら寝た。
 

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オールジャパンの準決勝は少し日を置いて1月9日(土)に行われた。40 minutesの相手は亜津子のいるエレクトロ・ウィッカである。
 
試合は第4ピリオド途中まで40 minutesが優勢で進んでいた。
 
今日も誰も千里を停められない。
 
亜津子がタイムを要求した。ベンチで仁王立ちになった亜津子は水のペットボトルを2本開栓すると、両手に持ち、いきなり頭から水を掛けた。
 
他の選手たちが仰天している。
 
トレーナーがタオルを持って来て亜津子に拭くように言うが、亜津子はコートを見つめたままである。仕方ないのでトレーナーが亜津子の服を拭いた。
 
(亜津子は試合後この行為について運営側から厳重注意を受け、始末書を書かされた。実際その場で退場をくらっていても仕方ない行為だった)
 
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コートに戻った亜津子の動きが見違えた。彼女はこの後4本連続でスリーを決め、あっという間に2点差まで追い上げた。
 
更に1本決めてとうとう逆転。そしてこの後、1点を争うシーソーゲームが続き、残り3秒で79-78とエレクトロ・ウィッカが1点のリード。ここで40 minutesはロングスローインから千里が亜津子を抜いてシュートするも、これを中丸華香がぎりぎりで指1本当ててボールのコースを変え、ゴールを防いだ。
 
結局40 minutesは1点差で敗れ、アマチュアチームが決勝戦に進出するという快挙は成し遂げられなかったのであった。
 

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オールジャパンは3位決定戦が行われないので、千里たちはこれで銅メダルを獲得した。優勝はサンドベージュであった。千里はむろんスリーポイント女王になり“鳥の居ない島の蝙”という自称を返上することになった。千里はベスト5にも選出された。
 
スペインの方は、この後10,17,23,30日に試合があったが、この月は3日の試合も含めて5連勝で、チーム成績は13勝5敗となった。
 
「コラ、最近ちょっと凄くない?」
とサンドラなどに言われたが
「うーん。まあ調子いいかもね」
などと千里は答えていた。
 

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1月11日(月).
 
★★レコードの持ち株会社である★★ホールディングと大手流通会社トラゴンは共同で記者会見を開き、両者の合弁で株式会社TKR (Tool Kit for Retail) を設立し、下記のアーティストを★★レコードから分離することを発表した。
 
(1)§§プロで2014年秋以降にデビューしたアーティスト、具体的には
アクア・高崎ひろか・品川ありさ・西宮ネオン。【Marine Record】
 
(2)ΘΘプロのステラジオ世代以下のフォーク系アーティスト、具体的には
ステラジオ、キープロス、立山みるく。【Broad Record】
 
(3)主としてファン層が20代以下の委託契約(に移行される者を含む)アーティスト
Cry暗いクライシス、ビヨンドシー、香宮由佳、田倉真一など。【Verre Record】このレーベルは配信をメインとする。
 
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新会社の会長兼CEOは★★レコードの松前社長が兼任、社長兼COOはトラゴン傘下の通信会社トリプルスターの森原専務、副社長が★★チャンネルの朝田常務で、森原と朝田は現職を外れてこちらの専任となるとされていた。
 
(4月には会長と社長が交代して、森原会長・松前社長になる)
 
アクアを分離した理由は、アクアに関する売上げが物凄くて、万一病気や不祥事などで突然彼の売上げが消滅した場合、★★レコードの倒産が免れないので、リスク回避である。
 
ステラジオを分離したのは、彼女らがあまりにも無軌道で、業界でも寛容なほうである★★レコードでも、とても容認できない状態になっていたためである。しかし無軌道すぎるといって契約を切れば巨額の利益を失うことになる(おそらくもっと寛容なЮЮレコードか龕龕レコードに移籍するだろう)。それで子会社に分離することにしたのである。
 
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(他のアーティストは道連れである)
 

1月11日の午後、§§プロの紅川会長・秋風コスモス社長は記者会見を開き、会社分割を行うことを発表した。
 
現在の§§プロダクションを§§ホールディングと社名変更した上で、その100%子会社として、§§プロダクション、§§ミュージック、§§出版という3つの会社を設置する。現在§§プロダクションに所属しているアーティストの内、下記のアーティストを§§ミュージックに移籍し、それ以外のアーティストは(新)§§プロダクションに残す(手続き的にはこちらも移籍)。§§出版は著作権・原盤権などを管理する“音楽出版社”とする。
 
§§ミュージックに移籍されるアーティスト:
秋風コスモス、川崎ゆりこ、アクア、高崎ひろか、品川ありさ、西宮ネオン、今井葉月。
(桜野みちるは新§§プロに移籍)
 
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各々の役員はこのようになる
 
§§ミュージック 秋風コスモス社長・紅川勘四郎会長・川崎ゆりこ副社長
§§プロダクション 紅川勘四郎社長・日野ソナタ副社長・桜野みちる常務・新宿信濃子取締役
§§出版 紅川勘四郎社長・日野ソナタ取締役・秋風コスモス取締役・ケイ取締役
 
会社分割の表向きの理由は、昨年コスモスが社長になって、彼女より上の年代のタレントさんたちが少しやりにくそうだったので、その人たちとコスモスより若い世代を分離するというのがあった。その時、日野ソナタが
 
「でもこれだとシニア会社の方は売上げが少ないから、誰かひとりこちらにトレードしてよ」
と言って、桜野みちるはジュニア会社ではなくシニア会社に行くことになった。
 
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しかし実は言及しなかったもうひとつの理由がある。それは桜野みちるを§§プロ、アクアを§§ミュージックと、2枚看板を別会社に分離することで、両者を競わせるというのがあった。同じ会社のままであれば、どうしても今売れているアクアが中心になってしまい、ここ数年§§プロを実質1人で支えてきた桜野みちるは面白くないだろう。彼女は温和な性格なので文句を言ったりはしないし、アクアにも優しいが内心は複雑な思いだったはずである。
 
 
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娘たちのベイビー(20)

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