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■娘たちのベイビー(11)

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『水辺のニュムペ』は"karion"でクレジットしているが、実際には小風作詞・和泉作曲である。美空は横で見ていてあれこれ注文を付けていた。伴奏はトラベリングベルズがしてくれている。
 
(ユニットの名前は KARION だが、編曲者名などとしてクレジットする場合は karion と小文字にするのはデビューの頃以来の流儀)
 
水辺に棲むニュムペ(女の精霊)の淡い恋心を歌った作品である。ちなみに最初は『水辺のニンフ』と英語(Nymph)にしていたのだが、美空が「水辺の妊婦?」と読み間違えたので、本来のギリシャ語でニュムペ(Νυμφη:Nymphe)にした。
 
女の子の立場から、男の子に恋い焦がれる気持ちを歌っているので、歌詞と現実を混同したファンから
 
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「アクア様はやはり男の子が好きなのかなあ」
などという書き込みもあったが、作詞者(小風)自身、かなり妄想が入っている感じもある。
 
テレビ番組で司会者からその問題を尋ねられたアクアは
 
「ごめんなさい。ボク、恋というものそのものがよく分からないんです。ですから実は男の子にも女の子にも興味が無いです」
 
と答えていた。(「女の子が好きです」とは答えないのがアクアらしい)
 
こういう発言と普段の言動からアクアは実はアセクシュアルなのでは?と思った人もあったようである(実際にはアセクシュアル傾向があるのは西湖の方)。
 

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たまたまその日同じ番組に出ていた桜野みちるは、アクアの性意識問題について尋ねられて
 
「この子は小さい頃にした病気の影響で身体的発達が遅れていて、まだ思春期が来てないんですよ。まだ男女未分化みたいだし。この子が女の子なら、これからおっぱいが膨らんで来るだろうし、この子が男の子なら、これからちんちんが生えてくるのでは?」
 
などと発言していた。
 
ネットでは
「これからちんちん生えてくるって、アクアにはやはり現在ちんこは無いのか?」
「ちんちんって生えてくるものなんだっけ?」
「アクア様はきっと、これから胸が膨らんでくるのよ」
 
などといった書き込みが見られた。
 
PVでは、アクアの代わりに高校生のハナちゃんが、ニュムペに扮して妖精っぽい半透明の衣装をつけ竪琴(私物!のライア)を弾いたり、横笛(私物のフラウト・トラヴェルソ)を吹いたりして、遠い目をしている。王子様のような衣装を着けた人物と馬車に乗っているシーンなどもあるが、その人物の顔は映っていない。ファンの多くが、西宮ネオンでは?と想像したが大正解である!
 
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西宮ネオンはこの時期、§§プロの“唯一の男子タレント”として、品川ありさや高崎ひろか、桜野みちるなどのPVにも登場して、かなり忙しかった。
 
「ハナちゃん、これ出演者をクレジットするのに、ハナちゃんと書いていいんだっけ?」
と沢村マネージャーが尋ねた。
 
「あ、そうですね。だったら竹本和恵で」
「本名?」
「本名は川内峰花で〜す。竹本和恵は作曲する時のペンネームで」
「あんた作曲するの?」
「コンペとかに応募したことありますけど、1度も通ったことありません」
「まあコンペって倍率が高すぎるからね〜」
 
それでこのPVには“演:竹本和恵”とクレジットされることになる。
 
なお、ハナちゃんが半透明の衣装の下に何も着けてないのでは?と話題になったが、アクアがその問題についてはコメントした。
 
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「あれは肌色の水着を着けた上であの半透明の衣装を着ているんですよ。裸ではありません。よく見て頂くとちゃんと水着の線が見えると思います。さすがに女子高校生のヌードは公開しませんよ」
 
それでビデオをパソコンに取り込み、大画面のテレビでコマ送りにして研究?した人が「確かに水着の線が見える! 1:37秒付近」と報告。多くの人がその付近を見てみた所、20インチ程度以上の画面ならそれが確認できることが判明した。
 

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『半分少年』はYa!Ye!の作品である。これはエレメントガードのヤコとエミが作った曲である。実はエレメントガードが結成されて最初に制作した作品である(但しドラムスはレイア)。
 
日本語の「え」には、あ行のえ e 、や行のえ ye 、わ行のゑ we があったものの、現代では発音上の区別は失われている。エミは漢字では「江美」で「江」という漢字は本来 ye と発音していた。それで彼女は自分の名前を Yemi Kakita とサインしており、Yako & Yemi で略して Ya!Ye! になったのである。
 
(ヤコは Yarida Kozue 槍田湖寿絵 *4 の姓と名から1文字ずつ取ったもので小学生時代からのニックネーム)
 
『半分少年』は小泉今日子の『半分少女』(橋本淳作詞・筒美京平作曲)へのオマージュであり、まだ大人の男になりきっていない“半分男・半分男の子”という少年の気持ちを歌ったものである。
 
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実は今回のアルバムで唯一の男の子立場の歌詞の曲である!?
 
しかしこの曲はタイトルだけが一人歩きして「半分少年」というのは、“半分少年・半分少女”と解釈されて、
 
「性別未分化のアクアちゃんにふさわしいタイトルだよね」
と書かれていた!
 
(*4)本名は「小豆絵」なのだが、「あずきえさん?」などと読まれてしまうので、数年前から「湖寿絵」と書くようになった。でも「ことしえさん?」と読まれてしまうらしい!
 

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PVでは、アクアの学生服姿が使用され、彼の理想の男性像としてパイロットの制服を着た男性が登場しているが、この人の顔は撮していない。その人の奥さんとセーラー服姿の娘さんの映像も一瞬だけ映るものの、奥さんの顔も撮していない。娘さん役を演じているのは川崎ゆりこである!ゆりこは今年23歳だが、元々童顔なので充分セーラー服が行ける。
 
しかしこの映像は「アクアはゆりゆりみたいな女の子になりたいのだろう」と解釈されてしまったきらいもあった!
 
ちなみに実際にパイロット制服の男性を演じているのはハイライトセブンスターズのケンタで、奥さんを演じているのは同バンドのヒロシである!制作現場に陣中見舞いに来ていたのを毛利さんが徴用した。
 
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(奥さん役は“1人を除いて”全員一致でヒロシと決められたが、夫役はジャンケンで決めたらしい)
 

『ウォータープルーフ』(water proof)は「防水」という意味である。実際の歌詞はダイビングで水中深く潜ってもその水圧に耐えてしっかり動いている防水時計のことを叙述しているが、防水時計のように、様々な圧力・濁流などに負けず、自分らしさを失わないようにしてほしいという、上島先生の祈りが込められた曲である。
 
でも実はこの曲は上島雷太さんの作品ではなく、福井新一さんが書いたものである。上島さんは、ほとんど自分の息子のような龍虎に曲を書くのは照れくさくて、彼女に頼んだ。春風アルトさんの手前があるので、福井さんが書いたのは秘密である。(知っているのはコスモスや千里くらい。龍虎も薄々は気付いている)
 
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(福井新一さんも、龍虎の保護者である支香も上島雷太の元恋人)
 
同時進行で制作されたPVでは、ダイビングを楽しむ若い男女が数人写っているが、これは∞∞プロの研修生4人をセーシェルに派遣し、現地に来ていた日本人ダイビング観光客も6人臨時雇用して撮影したものである。セーシェルの美しい景色が多数写っている。アクアがウェットスーツを着けている場面も写るが、これは伊豆半島の熱川でセーシェルに行ってきた4人と一緒に撮影したものである。
 
ちなみにウェットスーツの下にアクアは女性用ワンピース水着を着ているが、この水着姿は秋風コスモスの政治的判断?で公開ビデオには残さないことにした!
 

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2015年9月下旬。アクアの先月のライブツアーの様子を映したライブビデオがDVDとブルーレイ、及びダウンロードで販売された。ライブのチケットを入手できなかった人がたくさん居たこともあり、このビデオは価格が(DVDの場合)1万円もするにも関わらず、10月末までに合計30万枚(件)も売れた。
 
余波で1st,2ndシングルもまた売れたし、発売が予告されているアルバムの予約も物凄い件数入った。
 

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アクアのアルバム制作は続いていた。
 
『翼があったら』はマリ&ケイの作品である。
 
今年はマリもケイも海外ツアーなどまでしたおかげで、かなり多忙だったのだが(その多忙さが実は問題だった)、加藤課長から「よかったら1曲提供してもらえないかな?」とケイが頼まれた。
 
話を聞いたマリはアクアに直接電話すると
 
「アクアちゃんのためにこないだ書いた詩があるのよ」
と言った。
 
「わあ、ありがとうございます」
とアクア。
 
「珠(たま)と鉾(ほこ)の歌というの」
「なんか格好いいタイトルですね」
「2番には杯(はい)と幸(こう)も出てくるんだよ」
「武術の歌ですか?」
とアクアは尋ねた。この時アクアは古風な道着を着た男性が日本武道をしている様を想像したらしい。
 
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マリはアクアとおゃべりしながら、どうも歌詞を書いた紙を探しているようである。ケイは、大丈夫かな?と思ったので、アイランドキッチンに行き、軽食を作り始めた。マリはやがて
 
「あったあった。歌ってみるね」
と言う。歌詞ノートを見つけたようである。
 
「はい、お願いします」
「ちょっと伏せ字があるけどごめんね」
「伏せ字?」
 
それでマリはとんでもない歌詞を適当な節(ふし)に乗せて歌い始めた。
 
珠(たま)と鉾(ほこ)の歌
 
**鉾、切って女になろう。
**鉾、**鉾、ばーいばい。
**珠、取って男をやめよう。
**珠、**珠、いーらない。
**杯、育てて女になろう。
**杯、**杯、ほーしい。
**幸、掘ってお嫁さんになろう。
**幸、**幸、作りたい。
 
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「拒否します!!」
とアクアは断固として言った。
 
ケイも顔をしかめて調理を中断し寄ってくる。そして歌詞ノートをあらためて見て
 
「これは酷い」
と言った。
 
「待って待って、特別に伏せ字の所を公開してもいいから」
 
などとマリは言っているが、ケイは受話器を取り上げる。
 
「ごめんねー、もっとまともな歌もあるはずだから」
と言った時、ケイは思いついた。
 
「マリさ、こないだのワールドツアーの途中、日本からニューヨークへ移動する飛行機の中、アラスカ上空付近でマリが書いた詩が使えない?翼なんとか」
 
「ああ、あれならいいかもね」
 
とマリが言うので、ケイはパソコンを開き、その曲を検索して『翼があったら』という歌であることを確認する。アクアにタイトルを告げたら
「良さそうなタイトルですね」
と言っている。
 
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ケイがパソコンに入っているMIDIを再生させながら、自分で試唱する。
 
するとアクアは
「きれいな歌ですね!ぜひそちらにして下さい」
と言った。
 
それで『珠と鉾の歌』ではなく『翼があったら』をアクアは歌うことになった。(『珠と鉾の歌』はアクアが拒否しなくてもコスモスに確実に却下されている)
 
「だったら珠と鉾の歌は私たちで歌う?」
などとマリは言ったが
「そんな歌が公開できる訳無い」
 
とケイは言った。
 
マリはこの後、ローザ+リリンにまで提示したらしいか、彼ら(彼女ら?)も「嫌です」と拒否したらしい(彼らの事務所の社長は面白がったらしいが)。
 

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『翼があったら』は最初はやや複雑な和音が使用されていたのだが、アクアに渡すのでアクアのファンが受け入れやすいものにしたいこと、伴奏がエレメントガードなので彼女たちが演奏に苦労しなくてもよいようにしたいこと、を考慮して、七星さんに頼み、和音をシンプルなものに変更してもらった。その結果、ケイが高校生時代に書いていたようなクリアなサウンドになった。
 
この曲には信濃町ガールズのコーラスも入っているが、彼女たちはPVには出場していない。
 
PVは劇団桃色鉛筆の子役俳優さんたち男女20人ほどに出演してもらい、全員背中に小さな羽根が付いたペールブルーの衣装を着てもらい、同様の衣装を着けたアクアと一緒に大きな風船を転がし、多数のシャボン玉を飛ばして撮影している。
 
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(アクアの背が低いので小学生たちに埋没していた!)
 
またホンダから提供してもらったホンダジェットが空を飛んでいる所を別の飛行機から撮影した映像も混ぜたので、美しい映像になった。
 

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娘たちのベイビー(11)

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