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■娘たちのベイビー(4)

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8月8日(土)、横須賀でサマーロックフェスティバルが行われ、アクアは8万人入るAステージ(植物公園野外劇場)にトップバッターとして登場する。
 
今回は苗場の反省から、万全の体制で臨んだ。
 
苗場ではHステージに居た警備員は主催者側が用意していたほんの30人ほどであった。観客比200:1くらいである。今回の横須賀でも主催者が用意する警備スタッフは100人くらいで観客比800:1くらいである。
 
今回は★★レコード系のイベンター★★クリエイティブを通して1000人も警備員を用意した。警備会社からの派遣が300人と、残りはライブの警備の経験があるバイトさんである。“アクア”にちなんで水色系の特製のガードマンっぽい制服を用意して彼らに着せ、主催者の許可を得て会場に配置する。特にステージ前面で“最終守備”を担当する警備員にはラグビーやアメフト、あるいはレスリングや柔道・相撲などの経験者(実は現役選手もかなりいる)を配置した。制服を着た、がっちりした体格の男性がずらり並んでいると相当の威圧感がある。ちなみに女性の暴漢に躊躇無く対抗できるよう、2名の女子ラグビー選手と3名の女子プロレス選手も混じっている。
 
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苗場ではダンサーとかはいなかったのだが、今回は4人の女性ダンサー兼バックコーラスを入れることにした。実はこの子たちがタダ者ではない。
 
3人は∞∞プロの研修生やタレント、1人は§§プロの研修生なのだが、実は4人とも剣道の有段者なのである。
 
彼女たちは敢えてスタンドマイクを使うのだが、万一の時は、このマイクの支柱が竹刀代わりになるということになっている。そのためこの支柱は竹製で先端(地面側)には竹刀と同様の先皮が付いている。マイク側も握りやすいように皮が巻かれている。このスタンドマイクはいわば仕込み杖のような仕様になっているのである。
 
(但し相手が武器を持っていた場合は戦わずに逃げろと言ってある)
 
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∞∞プロに全部頼むわけにはいかないので、ダンサーを務めることになった“ハナちゃん”は、足立区の研修所に住んでいる(No.205)のだが、前夜アクアに
「万一の時は任せてね。私がバッタバッタと暴漢を倒してやるから」
などと言って竹刀の素振りをしていた。
 
「でもボク男の子なのに、女の子たちに守ってもらうって申し訳無い」
などとアクアは言ったが
「龍ちゃんが男の子だと思っている子なんて、まず居ないから」
とハナは言っていた。
 
「実際女の子であるのはお風呂で確認済みだし」
「うーん・・・」
 
ハナちゃんにも2回ヌードを見られたからなあ、などと龍虎は思っていた。
 

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この日アクアはゴールデンシックス及び4人のダンサーと一緒に登場すると最初に観衆に、このイベントは座って聴いてくれるように要請した。8万人の観衆が動き出したら、1000人程度の警備員ではとても制御できない。だからそもそも動いたりしにくいように、座って聴いてくれるよう要請したのである。
 
先日の苗場での騒ぎを聞いている人も多いので、みんなおとなしく座ってくれた。それで今日はアクアも普通に演奏することができた。
 
この日のステージは1時間なのでたくさん歌うことができた。しかし持ち歌は4曲しかないので、古いポップスを随分歌った。
 
最初に持ち歌4曲の内『ボクのコーヒーカップ』『貝殻売り』『白い情熱』と3曲歌った後は
 
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松田聖子の『赤いスイートピー』、森高千里の『ストレス』、小泉今日子の『常夏娘』、プリンセス・プリンセスの『世界でいちばん熱い夏』、スピードの『White Love』、そしてモーニング娘。の『LOVEマシーン』と歌う。
 
ダンサーの4人は『ストレス』ではミニスカのウェイトレスの格好でステンレスのお盆を持って踊り(いざという時はこのお盆も武器になる)、『常夏娘』ではビキニになってパラソルを持って踊り(パラソルは当然“柄物(えもの)”である)、『White Love』では、白いワンピースを着てクリスマスブーツを持って踊った(ブーツも当然投擲できる。しかも中に重りまで入っている!)。
 
しかし彼女たちが戦闘モードになる場面もなく、観衆は座ったまま歓声や拍手だけ送ってくれたので、無事最後の『nurses run』まで辿り着いた。この曲では『ときめき病院物語』に出演している看護師役の女性が10人出てきてくれたのだが、実はその中に看護師の衣装を着けた女性警備員さん(空手の有段者)も混じっていた!
 
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この日は脱出作戦も万全だった。アクアと同じ衣装を着けた天月西湖が演奏終了後、すぐ沢村が運転するタントの後部座席に乗って会場を出る。かなりのファンに取り囲まれたものの、何とか事故もなく植物公園を出ることができた。一方のアクア本人は清掃スタッフのユニフォームを着て、撤収作業に紛れて無事脱出することができた。
 

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8月9日(日).
 
昨年と同じ新宿文化ホールで、第2回ロックギャルコンテスト本選が行われた。昨年の応募者は全国で2000人ほどだったのだが、アクアが選出されたコンテストということで今年は応募者は5000人に膨れあがり、その中に男子!の応募者が500人もいたが、全員書類審査で落とした(つもりだった)。
 
この日は都道府県予選・ブロック予選を勝ち抜いた30人の参加者がこの本戦に出場した。
 
いきなり問題が発生する!
 
参加者の中に1人ズボンを穿いている子がいたので、
「歩く時の足の動きをしっかり見たいので、スカートを穿いてもらえませんか?」
と、今年の案内係に指名された桜野みちるが声を掛けたら
 
「僕、男なんですけどスカート穿かないといけません?」
と言ったのである!
 
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「なぜ男子がロックギャルコンテストに参加している?」
「え?まさか、このコンテスト女子限定ですか?」
 

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いったん別室に呼んで事情を聞く。彼は長野県代表の穂高充乃(ほだかみつの)君と言った。美少年だし、名前も女の子の名前にも取れる名前なので、主催者側でも男の子であることに気付かなかったようだ。
 
彼も昨年のアクア同様、“ギャル”が女の子の意味だとは知らなかったことが分かる。応募も、お姉さんが勝手にしたものらしい。そして彼は長野県予選、関東予選を、このコンテストが女子オンリーであることに気付かないまま、いづれもトップの成績で通過してしまったのである。
 
「どうします?」
 
彼の予選での成績が確認される。物凄く優秀である。今回の参加者の中でもトップ3人に入る成績だった。
 
「君、もしよかったら、このままこのオーディションを受けてくれない?」
と紅川が言った。
 
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「あのぉ、スカート穿かないといけません?」
と彼が不安そうに訊く。
 
「ショートパンツでいいよ」
とコスモスが言った。他の審査員も頷いている。
 
それで彼のウェストサイズを訊いて、急遽ショートパンツが用意される(信濃町の事務所から大急ぎで衣装を持って来てもらった。彼の一次審査を後回しにして、その間に他の子の審査を始めた)。
 
それでショートパンツを穿いてもらったのだが、
「足のむだ毛処理してないの?」
と彼のショートパンツ姿を見た川崎ゆりこが言った。
 
「僕、男なので」
と穂高君は困ったように言う。
 
「それ剃っちゃおうよ」
「え〜〜?」
 
ゆりこが会場からわりと近くにあり、事務所でも利用者が結構いるエステのエステティッシャンを呼び出し、彼の足の毛をきれいに剃ってもらった。
 
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「なんか美しい」
と穂高君は言っている。
 
「いつも剃っておくといいよ」
「そうしようかな」
と彼は美しく白い自分の足を結構気に入ったようである。
 
それで彼にはショートパンツを穿いて、一次審査のウォーキング&自己アピールをしてもらった。もっとも審査員からの質問に困るものがある。
 
「白雪姫とシンデレラと人魚姫、どれが自分に近いと思いますか?」
「あのぉ、お姫様はちょっと・・・」
 
「あ、そうか。ごめんごめん。だったら、白雪姫の王子様と、シンデレラの王子様と、人魚姫の王子様では?」
 
「その三択ならシンデレラの王子様かな。ちょっと馬鹿っぽいけど。女の子の遺体を欲しがる白雪姫の王子って気持ち悪いし、自分を助けてくれた女の子を捨てちゃう人魚姫の王子様もどうかと思う」
 
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「なるほど」
 
「なんか昔話の王子様って変な人が多くないですか?眠り姫の王子様なんて、眠っている女の子をレイプしちゃうし」
 
「言われてみると、おかしな人が多いね」
と紅川さんは笑っていた。
 

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二次審査では、他の女子は水着を着てもらって即興でダンスをしてもらったのだが、彼には男性用のレオタードを着てもらった。
 
三次審査は歌唱審査だが、彼は三代目J Soul Brothersの『R.Y.U.S.E.I.』を格好良く歌って、居並ぶ多数の女子参加者たちから
「素敵!」
「結婚したい!」
という声を受け、少し照れていた。
 
ゲストで桜野みちるとアクアが歌ってくれている間に審査をする。
 
「成績では12番の秋田利美ちゃんと24番の穂高充乃君が僅差だね」
「2点差ですけど、これは誤差の範囲だと思います」
「でも穂高君は男子なので審査対象外かな。凄く優秀なんだけど」
「彼は特別賞ということにしませんか?」
「ああ、それがいいです。では優勝、第2回ロックギャルは秋田利美ちゃんということで」
「ふたりともぜひ契約したいですね。穂高君はアクアに続くうちの2人目の男性アイドルという線で」
 
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「2度目の挑戦になった、8番のハナちゃん、去年よりずっとよくなってた」
「やはり研修生になって、日々レッスンを受けている効果でしょうね」
「でも彼女は3位かな」
「ええ。30番の大村祭梨ちゃんの方が勝っていると思います」
「大村さんが2位でしょうね」
 

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アクアの歌唱後、§§プロ社長であるコスモスの挨拶があって、コンテストは終了、解散となる。このコンテストではその場では結果を発表しない。ただし参加者には基本的に新宿付近のホテルに今夜は泊まってもらう。
 
それで優勝の秋田利美を呼び出すのだが、彼女は両親が急用で新潟に帰ってしまったと言って、ひとりでやってきた。紅川は今日契約書に親のサインをもらいたかったのだが、両親とは北陸大会の直後に沢村が一度会って芸能活動に関する合意はしてもらっているので大丈夫だろうと考えた。
 
(利美は新潟県→北陸→本選、穂高は長野県→関東→本選)
 
ところが彼女と話し合っている内に、彼女が小学生であることが発覚する。
 
「年齢確認してなかったの?」
「ごめんなさい」
と沢村が謝っていた。利美は大人びて見えるので、小学生とは思いもよらなかったようである。
 
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それで彼女は結局、ご両親とも電話で話して、研修生になってレッスンなどを受けてもらい、中学生になった時点でデビューという線になった。
 
それで秋田利美(後の白鳥リズム)は第2回ロックギャルコンテスト優勝者ではあるが、2代目ロックギャルではない(昨年のアクアと同様の扱い)。
 
これはプラハ時刻では6/27 21:00 で
 

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審査員は続いて穂高充乃を呼び出した。
 
彼には優勝者と同点であったこと(にした)、その優勝者が実は年齢不足で参加資格が無かったことをまず説明する。
 
「彼女には研修生になってもらって、中学生になってからデビューしてもらうことにしたんだよ」
「なるほどですね」
 
それで穂高さんをロックギャルにしたい所だが、穂高さんも男子なので、ロックギャルという訳にはいかないので、代わりに特別賞をあげたいと紅川は説明した。コンテストの最中は(どうせ落ちるだろうしと思い)新宿近辺を散策していたという両親は今日の今日まで女子のコンテストとは全く知らなかったということで、お母さんが大笑いしていた。
 
「あんた、いっそアクアちゃんみたいに、女装っ子で売り出す?」
とお母さんは言っているが
「勘弁してよぉ」
と本人。
 
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紅川は「アクア君は別に女装っ子ではなく普通の男の子なのですが」と断った上で、§§プロでは過去にも1度男性アイドルを売り出したこともあったことを説明した上で、ふつうの男性アイドルとしてデビューしてもらえないかと要請。本人も両親も同意。その場で契約書にサインしてくれた。
 
本人は「あまり女装とかさせられませんよね?」と不安そうに言っていたが、お母さんは「お仕事ならどんどんナース服でもセーラー服でも着せてやってください」などと言うので、本人は困ったような顔をしていた。
 
彼は“西宮ネオン”の芸名をもらい、§§プロ3人目の男性アイドルとして売り出されることになる(実際には最初の男性アイドルとみなされることが多い)
 
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トップ成績の2人が、1人は年齢不足、1人は性別違いで実質失格したので、“2代目ロックギャル”はその次の大村祭梨になるはずだった。しかし彼女は「自分は12番の人に明らかに負けていた」と言い、彼女がたとえ失格したとしても、あの実力差で自分はロックギャルを名乗ることはできないと言った。
 
それで彼女は研修生になってもらって、翌年このコンテストに再挑戦するという線で話がまとまったのである。
 
この結果“2代目ロックギャル”は空席になることが決定した。
 
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娘たちのベイビー(4)

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