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■娘たちのベイビー(17)

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(C) Eriki Kawaguchi 2019-09-07
 
「よし、お着替え!」
とコスモスが号令を掛ける。
 
ネオンと山本君、撮影担当の男性が部屋を出る。
 
「みんな別の振袖に着替えて」
「お着替えするんだ!」
 
それで着付師さんたちが入って来て、全員今着ている振袖を脱ぐ。長襦袢はそのままである。そして別の振袖を着付けてもらう。
 
「年が変わったら、服も変えなくちゃね」
「なるほどー」
「これ予算掛かってますね」
「そりゃこういう所で手抜きしてはいけないんだよ」
とコスモスは言っている。
 
アクアは着付けしてもらっていて、何だかさっきのより豪華な振袖のように思ったので、訊いてみた。
 
「そうそう。全員グレードアップしている。みちるちゃんとアクアちゃんのは250万円くらいの加賀友禅、ありさちゃんとひろかちゃんのは120万円くらい」
 
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「なんかさっきのように高そうな気はした」
 
「社長、私のはさっきのより安い気がする」
とゆりこ。
 
「うん。私たちのは90万円くらいの振袖。タレントさんたちが主役だから、私たちは引き立て役」
「ま、いっか」
 
ゆりこはだったら本当はさっき自分たちのとひろかたちのが逆になっていたんじゃないかという気がしたが、些細なことである。
 
しかし本人も含めて誰もアクアが他の女子たちと一緒に着換えていることに問題を感じていない。
 

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12-13分で着替えは終了する。ネオンが入ってくる。ネオンも青い和服から黒い和服に着替えている。今度はこのように並んだ。
 
(ピアノ)アクア・ひろか・みちる・ネオン・ありさ
 
みちるが中心というのは変わらないが他の4人の位置は少しシャッフルした感じである。
 
今回ピアノも交換している。さっきのはカワイのGX-7(341万円)だったが、今回はヤマハのC7X (336万円)である。
 
「ピアノは5万円安い」
「それ誤差の範囲という気がします」
 
今度はコスモスは黒い指揮棒を持った。それで撮影担当の人が入って来て、カメラを回し撮影する。ゆりこが弾くC−G7−Cのピアノの音に合わせて全員お辞儀をした上で
 
「明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします」
 
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と一緒に言った。これは1月1-3日に放送されるらしい。
 

「お疲れ様でしたぁ!着換えて帰宅ね。全員ちゃんとおうちまで送らせるから」
とコスモスは言ったが
 
「私、寮に泊まります」
と品川ありさ。彼女は海老名市なので自宅まで戻るのは大変である。既に終電も出ている。
 
「ボクも寮に泊まろうかな」
とアクア。
「うん。龍ちゃんもそうすればいいよ」
 
「じゃ寮に行く人はタクシー相乗りしていこうよ」
 
みちるは都内の分譲マンション(今年春に10年ローンで買った)、ネオンも都内の賃貸マンションなので2人とも別途タクシーで帰ることにする。
 
「でもネオン君が羽織袴なら、ボクも羽織袴着たかったなあ」
などとアクアは言ったが
 
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「嘘つかないように。振袖着て嬉しそうにしてた癖に」
とありさから言われている。
 

「実際アクアちゃん、声変わりしないように、東郷誠一先生の勧めで、こないだ睾丸取る手術したんでしょ?それで年明けからは女の子タレントとして売り出すと聞いたけど。だから今日は振袖だったんでしょ?」
などとネオンが言っている。
 
「そんな手術してないよ!」
 
「その話聞いて、社長に僕も睾丸取ってくれなんて話にはなりませんよね?と訊いたら、アクアちゃんは声変わり前だから睾丸を除去する意味があるけど、僕はもう声変わりが済んでるから去勢する意味ないから大丈夫と言われてホッとした」
 
「ネオン君ももし睾丸取りたいのなら手術代くらい事務所で出してあげるよ。今睾丸取れば、あまり男っぽい身体にはならずに中性的な魅力をキープできるよ」
とゆりこが言うが。
 
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「遠慮します!」
とネオンは即拒否した。
 
しかしうやむやの内に、アクアは睾丸を除去した、とネオンが信じたまま(?)彼はタクシーで帰っていった。
 
「まあ実態は、龍ちゃんの場合、睾丸を除去しようにも、最初から睾丸なんて無かったんだけどね」
とひろかは言っている。
 
「それは私たちお風呂で確認したもんね〜」
とありさ。
 
「ふーん、やはりねぇ」
と桜野みちるまで言っていた!
 

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2015年12月6日(日).
 
今年のYS大賞が発表になった。大賞は半年間の突然の休業を経て美事に復活したAYAの『変奏曲』、そして最優秀新人賞にはアクアが選ばれた。
 
そのほか新人賞に選ばれたのはホワイト▽キャッツ、丸山アイ、東山順之助、ユーカラ・ユーカリ・ユーカルであった。
 
丸山アイは2014年12月3日メジャーデビューなので、今年の新人賞の対象である。
 
なお、今年アクアに次ぐ大きなセールスを挙げた新人歌手・宮城イナイは“人間ではないので”という理由で選考から外された!
 
「人間じゃないからといって選考から外すのは20年後には差別と言われるかも知れないですね」
などと言って丸山アイは笑っていたが、
 
「アイちゃんも本当に人間なのか怪しいよなあ」
などと受賞式に出席していた千里は呟いていた。
 
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(千里はこの日東京都クラブ選手権もあったが40 minutesは1回戦免除なので出ていない。LFBの試合もあったが深夜なのでこの時間帯は日本に居た。実はWJBLのレッドインパルスの試合もあったが日中に千葉市だったのでこの時間帯は東京に居ることができた)
 
授賞式でアクアは満面の笑みでトロフィーを受け取り、それを抱えて元気に受賞曲『白い情熱』を熱唱した。
 
番組が終わった後でアクアは同席したコスモス社長に相談した。
「このトロフィーって、どこに置いておけばいいんでしょう?うちにはとても置く場所がないんですけど」
 
「だったら事務所に飾ろうか?」
「あ、助かります!」
 
§§プロで、YS大賞の最優秀新人賞のトロフィーは実は立川ピアノ以来15年ぶりであった。
 
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12月6日、貴司は阿部子・京平を連れてAUDI A4 Avantに乗ってショッピングモールまで買い出しに出ていたのだが、居眠り運転の車による事故に巻き込まれ、A4 Avantは大破する。しかし丈夫な車だったおかげで3人とも無傷であった。
 
3人は病院に運ばれ、念のためMRIなども取られたものの異常は無いということであった。それで貴司と京平はすぐ解放されたものの、阿部子は気分が悪い気がすると言って取り敢えずその日は入院して病院に1-2泊することになった。
 
貴司はこの機会を利用してDNA鑑定を実施することにした。あらかじめ自分の会社宛に送ってもらっていた鑑定キットを会社から取ってきて病室に持ち込み、
 
「これ病院の検査に必要なんだって」
と阿部子に言って、口腔内粘膜を採取してもらったのである。そしてそれを持って、京平を連れ鑑定会社の大阪支店に行った。
 
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そしてここで貴司は自分の運転免許証、京平の母子手帳を提示し、写真も撮ってもらい、指紋も採取した上で看護師さんから口腔内粘膜の採取をしてもらった。また貴司は千里に連絡し、千里には翌12月7日に、同じ会社の東京支店に行ってもらい、免許証提示・写真撮影・指紋採取の上、こちらも看護師さんに口腔内粘膜を採取してもらった。
 
それでこの鑑定は
・京平−千里、京平−貴司、の鑑定は“法的鑑定”
・京平−阿部子、の鑑定は“私的鑑定”
 
で行われたのであった。
 

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2015年12月9日(水).
 
アクアの初めてのアルバム『閼伽(あか)』が発売された。発売日にはアクアの学校が終わるのを待ち夕方から、★★レコードで記者会見が行われたが、この日は会見場に入りきれないくらいの多数の記者が詰めかけていた。
 
記者会見では、アクアがエレメントガードの伴奏でアルバム内から3曲ショートバージョンで歌ってから、説明や質疑応答が行われたが、アクアが生で歌っているのを聞いて
 
「口パクじゃないんだ!」
「この子、こんなに歌がうまいのか!」
と驚いている記者も随分あった。
 
今日のアクアの衣装は『翼があったら』のPVで使用したもので、背中に翼がついた修道士風の服(トゥニカ tunica)である。これは現代の女性用の服チュニック(tunic)の原型となったもので、要するに裾の長い上着である。上着にすぎないので、アクアは下半身には普通のスキニーを穿いている。
 
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しかしトュニカは洋服の形としてはワンピースに似ているので、この記者会見を見た多くの人が
「アクアちゃん、今日はスカートなんだね」
などと思ったようである!
 
そしてアクアがスカートを穿いていても誰もそれを不自然なものとは思わない!
 
伴奏を務めたエレメントガードは実は12月7日にドラムスのレイが正式合流して4人揃い、すぐこの日のお披露目となった。レイは本名ノリコ・タカギ(日本名は鷹木礼子)と言い、ライブハウスの専属バンドに居たのをヤコがスカウトした。彼女はハワイ出身の日系4世である。
 
彼女の就労ビザの在留資格変更に実は少し時間が掛かり、やっとその許可が降りての合流となった。
 

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この日の記者会見に並んだのは下記である。
 
アクア、事務所社長の秋風コスモス、★★レコードの福本深春と加藤課長、伴奏を務めたエレメントガードのヤコ。
 
東郷誠一さんも出席の予定だったのだが、風邪を引いたというので欠席の連絡があったと加藤さんから発表された。しかし記者たちの多くは、東郷先生があまりにも暴走発言が多いので、とうとう出席させないようにしたのではと思ったようである。ネットでもそういう想像をするファンが多く見られた。
 
ちなみに★★レコードの担当者は『白い情熱』の時は氷川真友子、2ndシングルの『ぼくのコーヒーカップ』では北川奏絵、先日の3枚目のシングル『冬模様』は富永純子、そして今回は福本深春と毎回変わっている。
 
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その点について記者たちから最初に質問があったが、現時点でアクアに関する作業があまりにも膨大すぎて、とても1人では処理できないので集団対応になっていると加藤からは説明があった。
 
「取り敢えずリーダーを決めようという話はしているのですが、現時点では難しい状況です。日常的に執行する予算の額が大きいので、最低でも係長クラスの人を充てる必要があります。場合によっては現在主任の肩書きを持っている人を係長に昇格させて専任にすることになるかも知れません」
 
と加藤は説明していたが、実はこの時点で既に三田原係長がアクアの専任でメイン担当になる方向で、現在三田原が担当している他の業務の引き継ぎを進めている最中であった。
 
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記者会見では、コスモスが楽曲の説明をして、アクアが随時補足していく。福本は主として営業面でのコメントをする。質問は随時受け付けていたのだが、音楽雑誌の記者が東郷誠一でクレジットされている『テレパシー恋争』に関して、変わった和音進行がありましたね、と言って専門用語を交えた質問をした。しかしこの場にその問題について分かる人間が居なかった。
 
加藤課長は「少しお待ち下さい。東郷先生に尋ねてみます」と言って電話したが、実際に掛けた相手は、本当にこの曲を書いた千里である!
 
千里はこの時はグラナダのアパートで仮眠していたのだが、加藤さんからの電話にはヤコに代わってもらい、彼女にも分かりやすいように丁寧に説明した。それでヤコがその内容を伝え、記者も納得したようであった。
 
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しかしヤコは最後に
「でも東郷誠一先生って女性だったんですね。全然知らなかった」
と言っちゃって、記者たちの間から苦笑が漏れていた。
 

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アクアが主演している『ねらわれた学園』は12月14日(月)の放送で、野球部員が3人、敷地外に飛び出したボールを追ってオーバーフェンスしたのを生徒会のパトロール委員が見つけて告発したのに対して、関耕児(演:アクア)が対抗し、2年3組に属する吉田一郎(演:鈴本信彦)に関する処分は関が委員長を務める同組の学級会に委ねられることになった所までを描いた。そして続きは1月4日(月)の1時間スペシャルに続くことが、ナレーターを兼ねる西沢響子役・馬仲敦美によって語られた。
 
この時点でここまで全く顔を映さず、後ろ姿や首から下だけのショットだけになっている、高見沢みちるの演者について、多くの視聴者が主題歌を歌っている品川ありさではないかと想像していた。一部、ここ半年ほど休養している女優の榊森メミカ説、アイドルの松梨詩恩説、この番組にセリフのない男子生徒役で出ている古賀秋生説なども一部で出回っていた。榊森説は制作側が意図的に流していた感もある。古賀説は出演者かスタッフの誰かから漏れたものと思われた。
 
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スペインでは千里たちのチームは12月6,13,19日に試合があり2勝1敗であった。ここまでの累計は8勝5敗である。次の試合は1月3日である。
 
千里は19日の翌日12月20日には東京都クラブバスケット選手権の準々決勝に出た。この日は実はレッドインパルスの試合も宇都宮であったのだが、日程重複した場合は当然正式に所属している40 minutes優先である。また千里は12月20日以降オールジャパンの終了まで、後述の理由により、レッドインパルスの練習場にも立ち寄らないことにしていた。
 
クラブ選手権は23日が準決勝と決勝なのだが、千里はその間を縫って12月22日、大阪に行った。
 
貴司との“非結婚記念日”なのである。
 
ふたりは千里中央駅前で待ち合わせた。この日阿部子は実家の権利問題(**)で揉めている従伯母との話し合いのため神戸に行っていた。京平はベビーシッターさんに見てもらっている。
 
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(**)阿倍子の実家の権利問題
 

 
・この土地建物を所有していたのは保子の伯父・龍造である。龍造は結婚もしていないし、実子も居なかった。
 
・輾子は太平洋戦争で戦死した龍造の友人の遺児で、育てる人がなかったので龍造が引き取って養女にした。
 
・保子は龍造の妹・忠子の娘だが、忠子が突然失踪(生死不明)したため龍造が育てた。
 
・龍造と保子の関係は良好で、龍造は保子に自分を「お父さん」と呼ばせていた。養女にしたかったが、輾子の手前、正式な養子縁組は届けていなかった。
 
・輾子は龍造との折り合いが悪く、中学を出た後、どうも名古屋に行ったようだが、すぐ音信不通になった。
 
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・龍造は全財産を保子に遺すという遺言書を書いて亡くなった。それで通常の相続手続きをしたので、現在この土地家屋は保子の名義になっている。
 
・ところが龍造が亡くなってしばらくして突然輾子が連絡してきて、自分こそが正当な相続者であり、龍造の遺書というのは偽造ではないか?万一本物だとしても自分は龍造の娘なのだから遺留分(50%)があるはずとクレームをつけてきた。
 
・以降10年ほど、ずっと揉めている。本来は保子が輾子と話し合うべき所だが、逃げているのでやむを得ず阿倍子が代理で話し合いに応じているものの双方の主張は平行線である。
 

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娘たちのベイビー(17)

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