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■娘たちの卵(23)

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2014年10月5日(日).
 
貴司たちは10回目となる体外受精を行った。
 
《きーちゃん》は10月4日(土)に札幌へ行き、またまたスクーリングで札幌に出てきている武矢と同じホテルに泊まった。そして10月5日早朝、武矢が半覚醒の状態で小春が採取した精液を持ち、飛行機で大阪に向かう。
 
千里は10月4日の午後インプレッサに乗って兵庫県市川町に赴いた。市川ラボで貴司と一晩一緒に過ごして明け方貴司の精液を採取する。貴司は眠ってしまうので、千里自身は豊中市内で待機していた《いんちゃん》と位置交換してもらう。
 
千里は豊中市の病院に行き、卵子の採取をしたが、例によって
眷属たちをできるだけ遠ざけている。
《きーちゃん》は精子採取のため札幌。
《すーちゃん》は千里の身代わりでスペイン。
《びゃくちゃん》は常総ラボ。
《いんちゃん》は市川ラボ。
《てんちゃん》はこの日はファミレスの夜勤明け。
《げんちゃん》と《せいちゃん》は市川町のアパートの改修作業。
 
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それで残っていたのは《とうちゃん》《りくちゃん》《こうちゃん》《たいちゃん》《わっちゃん》である。
 
卵子の採取をする時そばに居たのは《たいちゃん》と《わっちゃん》だけで《とうちゃん》たち3人は廊下で待機していた。全員千里の「大神様の操作で誰かの身体を重ねられた」という説明を信用している。
 
何度もやるとバレる気もするのだが、多分今回で卵子採取は最後だと千里は思っていた。
 

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卵子の採取が終わったら《いんちゃん》と交替で市川ラボに戻る。やがて目を覚ました貴司と一緒にA4 Avantに乗り、千里(せんり)まで行く。千里が降りて代わりに阿倍子を乗せて産婦人科に行く。精液を提出するとともに、阿倍子を入院させる。
 
それより少し前に《きーちゃん》が武矢から採取してきた“千里の精子”を持ってきて病院のスタッフに渡した。
 
5:20■小春が武矢を射精させる。
5:30■きーちゃんが精液バッグを受け取る
6:15■きーちゃんが札幌を出る。 札幌6:15(AirPort60)6:53新千歳
6:00○市川町で貴司を射精させる。
6:30○千里が豊中市の産婦人科に入院。
7:30○千里の卵子採取(局所麻酔)。
7:35■きーちゃんが新千歳を発つ CTS 7:35(JL2000)9:30 ITM
9:00○千里が退院。市川に戻る。
9:30■きーちゃんが伊丹到着
10:15■きーちゃんが理歌の振りをして精液を届ける
10:30○貴司が目覚め、一緒にブランチを食べる
11:00○貴司と千里が市川町を出発(千里が運転)
12:00○貴司と千里が千里到着。千里が降りて阿倍子を乗せる。
12:30○貴司と阿倍子が産婦人科到着(貴司が運転)。
14:00○阿倍子の卵子採取(静脈麻酔)。退院は翌日。
 
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受精は12:30に貴司が自分の精液のバッグを持って病院に到着した時点でDHを、14:00頃に阿倍子の卵子が採取出来たところでWCを受精させた。
 
DH.卵子提供者から採取した卵子×貴司の精子
WC.阿倍子の卵子ד理歌”が持ち込んだ精子(実は千里の精子)
 
こういう組み合わせにすることで、どちらの受精卵が定着しても、子供は貴司か阿倍子かどちらかの遺伝子を受け継ぐことになる。これを“理歌”が持ち込んだ精子と卵子提供者から採取した卵子で受精卵(DC)を作れば夫婦どちらの遺伝子も引き継がないことになってしまう。
 
そしてこれは医者も貴司も知らないことだが、DCの組み合わせでは千里の精子と千里の卵子を掛け合わせることになってしまい、大いに問題があるのである。
 
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それでこの組み合わせは絶対に間違わないように行う。今回阿倍子からは3個、千里からも3個の卵子を採取している。
 
貴司は受精が終わるとA4 Avantで帰宅した。
 

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千里(せんり)で降りた千里(ちさと)はピーコックで買物をしてマンションに入り、貴司が(A4 Avantで)病院から戻ってきたのを待ち、一緒に夕食を取ってお泊まりデートをする。寝室ではなく隣の客間を使う。むろんセックスはしないのだが、射精はさせてあげる。
 
そして10月6日(月)は「あなた、いってらっしゃーい」と言って、貴司を送り出した後、自分が居た痕跡を消してからマンションを出、A4 Avantを運転して市川ラボに行き、そこで自分のインプレッサに乗り換えて東京に戻った。
 
貴司は午後3時で会社を終えるとチーム練習は休ませてもらって病院に行き、阿倍子と一緒にタクシーでマンションに戻る。その夜は久しぶりに貴司もマンションで朝まで過ごした。
 
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ところで市川ラボをインプレッサで出た千里は、少し考え事をしたかったので自分で車を運転して東京に戻ろうとした。ところがふと気付くと、いつの間にか北陸道を走っていた。米原JCTで直進して名古屋方面に進まなければならない所をうっかり分岐して北陸道に入ってしまったようであった。
 
あれ〜?なんで間違ったんだろう?と思う。
 
ま、いっか。ついでだから高岡に寄って行こうと思う。取り敢えず賤ヶ岳SAで停めて青葉たちへのお土産にお菓子を買ってから高岡まで行ったが、月曜日なので朋子は会社に行っているし、青葉は学校に行っている。それでお菓子はメモを付けて居間のテーブルに置き(千里は一応ここの鍵を持っている)、桃香の好きな鱒寿司でも買って帰るかと思い、8号線を富山方面に向かって走った。富山空港近くの笹義で“ますの寿し”の輪っぱを1つ買う。ここが桃香のお気に入りのお店なのである。
 
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それで帰ろうとしていた時、千里は竹刀を持った中学生くらいの少女を見た。そして反射的に言っていた。
 
「ね、君、今日は学校無いの?」
 
彼女は千里を見ると逆に訊いた。
 
「お姉さん、補導員か何か?」
 
「ううん。私は通りすがりのバスケットボール選手」
「へー! バスケットするの?」
 
彼女は果たし合いをして来た所だと言った。
 
「ちなみにこの竹刀は念のため持って行っただけで、実際には素手で倒したよ」
「偉い偉い。喧嘩は道具使っちゃいけない。お互い素手でやるもんだよ」
「お姉さん、話分かるね」
 
それで気を良くした彼女は状況を説明した。自校の女子生徒が他校の男子生徒にレイプされた件で両者の中学の番長同士の争いになったが、女が被害者だったのに男同士で決着つけられるのは不愉快だと言って、彼女が向こうの学校の番長と果し合いをして倒してきたらしい。
 
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「へー、男の子に勝ったんだ?」
「私はそこら辺の人間の男には負けないよ」
「まあ、そういうのもいいんじゃない?」
 
「やっぱ、お姉さん、話が分かる人みたい。名前教えてよ」
「私は千里。君は?」
「私はアキ」
 
と少女は言った。
 
そして彼女は自分にバスケットを教えてくれないかと言った。何となく意気投合したので千里も「いいよ」と言い、近くの体育館まで彼女を乗せていき、空いていたので1時間借りる。それでアキの方を振り返って「借りたよ」と言うと、そこにはバッシュを持った、何だか儚げな少女が居た。顔はさっきまで居た少女と同じだが、雰囲気がまるで違うのである。
 
「君、アキちゃんだよね?」
と千里が尋ねると
 
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「えっと・・・・私ハルです。ここどこ?」
などと彼女は訊く。
 
「市民体育館だけど」
「私、なぜここに居るの?」
 
ちょっと待て。この子、私に拉致されたとか騒ぎ出さないだろうな?と千里は焦る。
 
「君がバスケの練習をしたいと言うから連れてきたんだけど。君もバッシュ持ってたんだね」
 
「あ、このバッシュお姉ちゃんのだ」
などと彼女は言っている。
 
千里はもしかしてこの子、さっきアキと名乗った子の双子の妹で「お姉ちゃんのバッシュ」ってそのアキの方のバッシュなのかな?と思った。
 
「バスケの練習する?」
「してみたい!」
と彼女が言うので、千里は微笑んで
 
「1時間借りたから。それで少し練習してから、お昼には君を学校に送り届けるよ」
と言った。
 
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それで千里はこの左倉ハルちゃんと一緒に1時間ほど汗を流した。彼女はバスケの初心者だったが、ひじょうに良い運動神経を持っていた。
 
「ハルちゃんはバスケは何でやってみようと思ったの?」
「お姉ちゃんがバスケ強かったの。もう死んじゃったんだけどね」
「へー!」
 
お姉ちゃんが死んじゃったって・・・まさかさっき私が最初に話した女の子がその死んだお姉ちゃんで、幽霊だったんじゃないよね?と千里は冷や汗を掻いた。
 
しかし千里はこれを機会にこの左倉ハルちゃんを度々指導してあげることになったのである。もっとも学校があっている時間に教えたのはこの時だけで、次回からは学校が終わった後にしている。そして彼女はみるみる上達していき、その上達スピードに千里は驚くことになる。
 
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∞∞プロの鈴木社長と§§プロの紅川社長はその日も秘密の会談を持った。2人はこの所頻繁に会って話をしている。
 
「そういう訳で残ったのはこの3人なんですよ」
「これは3人ともヒバリちゃんにかなり接触を持っているよ」
「でしょ?しかも薬物検査に協力してもらえない。忙しいと言われて」
「忙しいとは思えないけど」
「そうなんだよ。だから今この3人の身辺調査を進めている」
「すみません。本当にお手数をお掛けして」
 
「いや。これはもう§§プロだけの問題ではなくなった。実はこれを機会にうちの系列の全てのプロダクションで全タレントの薬物検査を進めた所、薬物使用者が5人も見つかったのですよ」
「そんなに!?」
 
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「その内の2人は知っていて使用していた。僕自身が面接して話した。彼らは二度と使わないと約束した。だからそれを信じることにした。彼らは半年間の謹慎にするけど、その間も給料は出す」
「優しいですね」
 
「残りの3人は本人も知らなかったというんだな。どうもヒバリ君と同じケースのようなんだよ」
 
「うーん・・・」
「その子たちの周辺調査も進めているんだけど、結果的にね」
と言って鈴木社長は1人の人物の名前が書かれた紙を見せる。さっきヒバリの周辺に居たと言っていた3人の内の1人である。
 
「この人はこの3人とも接触があるんだな」
「ホンボシなのでは?」
「その可能性が濃厚だと思う。彼女にはちょっと怖い思いをしてもらった方がいいかな」
「・・・・・」
「ああ、今の聞かなかったことにしてね」
「ええ」
 
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桃香は、2年ほど前(実は千里との“結婚”が破綻した直後)から断続的に続いていた真利奈との関係が、彼女の帰郷で消滅してしまい、公的?には別れて友だちに戻っている季里子との関係だけを維持していたのだが、彼女は出産直後で性的な関係は結べない。千里も忙しくしていて、なかなか会えないことから、その日は久しぶりに都内のガールズ・オンリー・バーに出かけてみた。例によって入店時に、性転換した元男と思われて一悶着あるが、店内に居た常連客が桃香を知っていて、間違い無く天然女と証言してくれたので中に入ることができた。
 
その日はわりと豊作で、数人の女の子と楽しく会話することができて、桃香もここしばらく溜まっていた“浮気心”を解消することができた。3人の女の子と会話し、その3人目が帰宅してしまったので、こちらもそろそろ引き上げようかなあと思っていた頃、身長は167-8cmと長身であるものの、すっごく可愛い雰囲気の女の子が入って来た。桃香はすぐにその子の隣に座った。
 
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「こういう所初めて?」
などと声を掛けると何だか恥ずかしがっている。かなりウブな子のようだ。
 
「カクテル分かる?」
「実はそれあまり詳しくなくて」
と話す彼女のトーンは思ったのより低い声である。
 
「じゃ教えてあげるよ」
と言って、割と人気のあるカクテルについて桃香は解説してあげる。それで彼女は結局チャイナブルーを頼むことにした。
 
「きれ〜い!」
と言って喜んでいる。
「度数も低いから飲みやすいと思うよ」
それで彼女には甘口のカクテルをいくつか勧めて、ファッションのこととか、音楽の話題とか話していたのだが、彼女が結構洋楽、特にガールズバンドに詳しいので、わりと意気投合する。
 
しかし調子に乗っておしゃべりしながら適当にカクテルを頼んでいたら、酔ってしまったようである。トイレに行って来たが足取りが怪しい。
 
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「ごめーん。飲ませ過ぎちゃったかな」
「いえ。私も調子に乗って飲み過ぎたみたい」
「ひとりで帰れる?」
「はい。大丈夫です」
と言ったものの、彼女の足取りは怪しい。
 

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「送っていくよ。下心無しで」
と桃香は言い、彼女が飲んだ分も一緒に精算してお店を出た。
 
「どこに住んでいるの?」
「千葉市なんですけど」
「私も千葉市だよ。じゃ一緒に電車に乗っていこう」
「すみませーん」
「でも千葉のどの付近?」
 
千葉方面なら、総武線に乗るか、京葉線に乗るか、あるいは京成に乗るか、場所次第で変わってくる。
 
「緑区なんですよ。京成の学園前という所が最寄り駅なんですが」
「ああ。だったら京成で行けばいいね」
と言って桃香は彼女と一緒に京成上野駅まで行った。津田沼で、ちはら台方面に乗り換えられるはずである。桃香は彼女を学園前まで送っていった後、西登戸駅まで戻れば自分のアパートまで歩いて帰れる。
 
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それで一緒に電車に乗る。幸いにも座席が空いていたので並んで座った。ふたりでお店の中での会話の続きのような感じで、ケイティ・ペリーが昨年出したアルバム『Prism』のことなど話していた。やがて津田沼駅に着くので乗り換える。席を立った時、彼女が一瞬ふらっとしたので慌てて支えた。
 
しかしその時桃香は彼女の身体に触って「え!?」と声を出してしまった。
 
取り敢えず電車をおりる。
 
「えっと君さ、もしかして」
「ごめーん。あのお店では私の性別内緒にしてくれる?あそこ結構気に入っちゃったし」
「まあいいけどね」
 
まあこの子なら女にしか見えないから問題ないだろう。
 
そして彼女は言った。
 
「ごめんね。桃香さんにお手数掛けちゃって」
 
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「・・・・」
「え?どうかした?」
「私、本名、名乗ったっけ?」
 
あの店ではレスビアンの子が多いこともあり、本名はあまり名乗らない習慣がある。
 
「あ・・・」
「ちょっと待って」
と言って、桃香は彼女の顔をあらためてじーっと見た。
 
「あ!」
桃香はようやくその人物の“正体”が分かった。
 
「全然気付かなかった!あんた、夏樹さん?」
 
それは季里子の前夫・古庄夏樹だったのである。あまりにも可愛くメイクしていたしロングヘアだし、今夜は女声を使っていたので、全く気付かなかった。
 
「ごめーん。見逃して。季里子にも内緒にしてくれない?」
「じゃ季里子は知らないの?」
「うん。多分」
 

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「ちなみにおっぱいはあるの?」
「内緒」
「ちんちんあるの?」
「内緒」
「たまたまあるの?」
「内緒」
 
「なぜ内緒にする〜〜?」
 
だけど彼、季里子との間に子供作ったんだから、睾丸はあるよね?ね??ね???
 
「足のムダ毛と顔のムダ毛と脇毛は全部レーザー脱毛してる」
「なるほどね〜」
「喉仏は数年前に削っちゃったし」
「あ、そういえば喉仏が目立たないなと思ってた」
「この髪の毛は自毛だよ。普段はワイシャツの中に入れて隠してる」
「凄い」
「下着は女物しか持ってない。実は季里子と結婚生活している時は男物つけてたから自分でも全然落ち着かなかった。会社にもブラジャー着けて出て行く」
「へー。でもウェスト細いね。66cmくらい?」
「これウェスト61cmのスカートだよ」
「負けたぁ!」
 
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桃香は71cmのズボンを穿いているのである(桃香はスカートを持っていない)。
 
「ちなみに女の子名前は?」
「えっと。モニカかな。こういうのもある」
と言って見せてくれるのは MONIKA KOSHO という名前の入ったクレカである。
 
「こんなのよく作れたね〜。でも由来は?」
「えっと・・・そういう名前のポルノ女優さんがいたもので。Gカップで、この胸すげーと思っていたんだよね」
 
「あまり人には言えない由来だな」
 

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娘たちの卵(23)

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