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■娘たちの卵(11)

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控室にはJR西日本(後援)の魚重さんも来ていた。本番1時間ほど前に、SHINに連れられて青葉とその友人たちが入ってくる。会場前に居たから拉致してきた、などとSHINは言っていた。
 
待っている間に千里と青葉の龍笛のことが話題になる。青葉が千里の龍笛を聴きたいと言うが「青葉みたいな名人の前で吹くのは嫌だ」と言って拒否する。しかし梨乃が
 
「じゃ千里が露払いで吹いて、青葉ちゃんが真打ちで吹くというのは?」
と提案するので
 
「うーん。まあ、梨乃がそういうのなら」
と言って、千里は荷物の中から煤竹の龍笛を取り出し、自由に演奏した。例によって途中で落雷がある。終わると物凄い拍手である。千里は微笑んで礼をした。
 
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「凄い演奏を聞いた」
 
「でも私の演奏は青葉の足下にも及ばないよ」
と千里が言うので青葉は
 
「こんな凄い演奏をしてから、そんなプレッシャー掛けないでよ」
と言って、花梨製の龍笛を取り出す。青葉が吹き始める。この世の物とは思えない美しい音がする。
 
『こうちゃん』
と千里はポーカーフェイスのまま語りかけた。
『大丈夫だ。任せろ』
『うん』
 
青葉の龍笛演奏で部屋の中の色々なものが震動していたのだが、その中にJR西の魚重さんが持っている紙袋の中の皿のようなものがあったのである。
 
それがパリンと割れる。
 
何かが飛び出す。
 
その瞬間《こうちゃん》は千里の影から飛び出してその出てきたものを捕獲し、そのままどこかに運んでいった。
 
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その他、窓ガラスが割れ、TAKAOのギターの弦まで切れてしまった。
 

物凄い拍手があった。しかし青葉は謝った。
 
「ごめーん。できるだけ控えめに吹いたんだけど、あれこれ物を壊しちゃった」
「ガラス代は私が弁償するからいいよ」
と冬子が言った。土居さんがガラスを交換してもらうために管理人室に向かう。TAKAOの弦の替えは花恋がすぐ買いに飛び出して行った。
 
「魚重さん、何か壊れたようですが」
「実はこれなんですが」
 
と言って、魚重さんが見せてくれたのは、素焼きの皿である。
 
「私もよく分からないのですよ。今朝、高岡駅に新幹線反対派の方が見えられましてね。神様か何かなさっている方のようでしたが、この皿が新幹線を走らせれば大きな不幸が訪れると言っていると言って、渡されたのを、時間が無かったのでそのまま持って来たんですが。割れちゃったのはやばかったかな」
と不安そうに言う。
 
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しかし青葉はその皿を見て
 
「問題ありませんよ。この皿は今はきれいになっています。何かが封じ込まれていたようですが、中にあったものはもう消えてしまっていますね」
 
と言った。
 
「封じられていたものが消えたということは逃げ出したんですか?」
「いえ。消滅しています」
 
それで青葉は千里を見たが千里は無表情である。青葉は千里に対する疑惑を更に大きくした。
 
しかし実はこういうのも千里の布石だったのである。
 
京平をこの世に連れてくるための。
 

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神崎美恩と浜名麻梨奈は唐突に&&エージェンシーに呼び出された。見たことの無い若い社員が
 
「社長さんからお話があるそうです」
 
と言う。斉藤さんから何の話だろうと思ったら、社長室と書かれた部屋(以前は休憩室だった)の巨大なテーブルの向こうの立派な椅子に座った見たこともない60歳くらいの人物が言った。
 
「君たちとの作詞作曲契約を解除するから」
 
「どういうことでしょう?それと済みません。そちら様はどなたでしょうか?」
 
「僕は先月ここの社長になった悠木だ。君たちの書く曲は平凡で全く詰まらない。だから契約解除する。今後XANFUSの音楽はダンスナンバーに定評のあるガラクン・アルヒデト君に依頼することにした。以上」
 
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ふたりは顔を見合わせた。ガラクン・アルヒデトは30年前にハウスで一世風靡した人だ。生楽器演奏・ライブ感重視のXANFUSとは音楽性が違いすぎる。そもそもふたりは彼がまだ音楽活動をしていたこと自体を知らなかった。しかし争っても仕方ない。
 
「分かりました。これまでお世話になりました」
とふたりは答えた。
 
それで2人は社長室を出た。そこに外出から戻ったふうの見知った事務員、横浜網美が入って来たので、ふたりは彼女に小声で話し掛けた。
 
「社長交代したの?」
「そうなんです。私も何が何やらさっぱり分からなくて」
「後で話せない?」
「それがここの所、無茶苦茶忙しくて」
「じゃ網美ちゃんの時間が取れた時に連絡して」
「はい」
 
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KARIONのツアーは続いていた。
 
2014.08.23(土) 札幌体育センター
2014.08.24(日) 宮城ハイパーアリーナ
 
24日は北海道から移動してきてライブをやっているので、そのまま仙台市内で1泊した。この日にはアジア大会に出場する男子代表Aチームのメンバーが発表され、貴司は入っていた。千里は仙台のホテルから電話しておめでとうを言った。
 
「ところで社長の容態は?」
「全く進展が無い。まだ50歳なのになあ」
「お見舞いには行ったの?」
「行ったけど面会謝絶で会えなかった。実際僕みたいな素人が見てもどうにもならないけどね」
「心配だね」
 
貴司たち男子日本代表は25-29日に第6次合宿、8月30日から9月6日にはオーストラリア遠征をこなすことになっている(*1).
 
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(*1)史実では8月26日代表発表、8.27-31に第6次合宿、9.1-8にオーストラリア遠征なのを、物語の都合上2日ずらしています。
 

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「それで金曜日に医者と話したんだけど」
と貴司が言った時、千里は最初社長さんの話かと思った。しかし違った。
 
「今回も結局受精卵は子宮に定着しなかったんだよ」
 
あ・・・そちらの話か。
 
「それで医者は言ったんだよ。今回使用した精子は物凄く優秀な精子だった。多分これ以上優秀な精子というのは存在しないだろう。だからそれでも着床しなかったということは、これは阿倍子の卵子では妊娠困難だと。それで医者は卵子を誰かから借りないかというんだよね」
 
「でも阿倍子さんには女の親族が誰もいないんでしょ?」
「うん。それで阿倍子の友人で誰か提供してくれる人がいないかと言ったんだけど、あいつ、友だちも全く居ないんだよ。学校時代も会社員時代も孤立してて」
「ああ」
 
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「だったら、卵子の提供をしてくれるボランティアの女性グループに依頼しましょうかねと医師は言ったんだけど、その時、僕、思いついてさ」
「うん」
「僕の知り合いの女性で、阿倍子と同じAB型で、提供してくれるかも知れない人がいるから、その人に頼んでもいいかと言った」
 
「それ知り合いという所がミソね」
「そうなんだよ。僕の親戚では近親交配になってしまう。阿倍子はそれでいいと言った。実は前の旦那との不妊治療の時も、何度か他人の卵子を借りたらしい」
「なるほど」
「それでもダメな場合は最後は子宮まで借りる。つまり代理母という手もあるけど、できたら阿倍子も自分で産みたいというんだよね」
「まあ卵子も子宮も他の人となると、養子を取るのと変わらないしね」
「そうそう。しかも代理母の場合、日本の法律では実子として入籍するのが難しい」
「特別養子縁組するしか無いよね」
 
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「そういう訳で、他人の卵子を借りてもダメだったら、もう不妊治療は打ち切った方がいいと医者は言った。そうハッキリ言ってくれるのは嬉しいと阿倍子も言った。前の旦那とやってた時はエンドレスで何年もやっていて、苦痛でしか無かったらしいから」
 
「それは辛いよね。子供を産む道具になってしまったようなもんだよ」
「うん。だから不妊治療が長引く間に、どんどん夫婦仲は冷めていったらしい」
「養子でいいじゃん」
「だよね。だから年内に妊娠成功しなかったら、子供無しでいいから、一緒に夫婦だけで暮らして行こうよと僕も言った」
 
「それは困る」
と千里は主張しておく。
 
「えっと・・・その件はまた後で話し合うとして」
「ふーん」
 
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つまり阿倍子さんが年内に妊娠してくれればいいんだな。
 
貴司は言う。
 
「それで単刀直入に。千里の卵子を貸してくれないか?うまい具合に阿倍子も千里もAB型だから、子供が生まれて育った時に親と血液型が合わないことに悩まなくて済むだろ?」
 
こちらが思っていた通りの展開になったなと千里は思っているのだが、取り敢えずこう言っておく。
 
「私に卵子がある訳ないじゃん」
 
これは“眷属たちに”聞かせるためでもある。
 
「あのさぁ。話が面倒になるから、そういう嘘はこの際、やめて欲しいんだけど」
 
「じゃこうしない?誰かは明かせないけど、阿倍子さんと同じRH(+)AB型の女性に卵子を提供させる。ただそれが誰かは詮索しないで欲しいし、その採卵する時や事前に生理周期を確認したりする時、貴司も阿倍子さんも、その病院には近寄らないで欲しい」
 
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「分かった。それでいい」
と貴司は言った。
 
「じゃその女性に都合の付く時に一度こちらの病院に来てメディカルチェックを受けてもらいたいんだけど」
 
「分かった。伝えておく」
 

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8月25日(月)、青葉が千葉に出てきた。先月設置された社務所と、市が作っていた駐車場の様子を見に来るためである。もっと早く出てきたかったようだが、部活が忙しかったようだ。千里はこの日、朝一番の新幹線で東京に戻った。
 
千里:仙台6:36(はやぶさ2)8:07東京
青葉:高岡6:32(はくたか1)8:41越後湯沢8:49(Maxとき310)9:55東京10:08-10:46千葉
 
(北陸本線は大阪方面が上りで、上越新幹線は東京方面が上りなので、越後湯沢を境に列車番号は奇数/偶数が切り替わる。第三セクターのほくほく線もはくたかの番号に合わせてある)
 
先行して葛西の駐車場に飛んでもらった《こうちゃん》に東京駅まで迎えに来てもらい、それで千里がインプに乗って千葉市まで行き、まずは季里子の家で桃香を拾う。千里が「これ赤ちゃん産まれたお祝い」といって祝儀袋を渡すと桃香は仰天している。でもお母さんが「赤ちゃん見ていって下さい」と言うので、あがって愛でてきた。ついでに来紗ちゃんにもウエハースのおやつをあげたら喜んでいた。
 
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その後、桃香を乗せて彪志のアパートに行って彼を拾い、それから千葉駅で青葉を迎えた。
 

「でもちー姉がL神社の巫女してたなんて全然知らなかった」
と青葉は言っている。
 
舗装や社務所の工事などの件で、いちいちL神社の誰かに入ってもらうのは面倒だし、手間を掛けて悪いので青葉と直接話すことにしたのである。
 
「まあ訊かれなかったから言っていなかっただけで」
 
「例のパワーストーンの御守りを提案したってのも、ちー姉なんでしょ?」
「そうだけど。招き猫のストラップは谷崎潤子ちゃんの提案」
「あれも可愛いね!」
「普通の招き猫も売ってるし、高崎のだるまも売っている」
「なんか縁起物が増えてるみたいだ」
 
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神社に向かう車内では桃香の就職先が決まったことも話題になった。お茶の水付近にある広告代理店である。
 
「大学で学んだことを全く活かせない仕事で不満はあるんだけどね。何か仕事しないといけないし」
「千里さんの方はいかがですか?」
「今の所32連敗かな」
と千里は適当に言っておく。実際には就活など何もしていない。大学院を出たら作曲とバスケットだけに専念するつもりである。
 
「千里、真正直に性転換していることを言うからだよ。黙っていればバレる訳ないのに」
「それはアンフェアだと思うから」
 
そんな桃香と千里の会話を聞いて、青葉は何か考えているようだった。
 

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やがて玉依姫神社に到着し、市が作った駐車場の端に駐める。駐車場には他にも車が3台駐まっている。
 
「普通乗用車17台と大型1台駐められるんですね」
「駐車場にトイレまで出来ている」
 
「こんなに必要なのかなと思ったけど、社務所に詰めてくれている真知ちゃんによれば、これが全部埋まって、更に路駐している時もあるらしい」
 
「それ1人では対応出来ないよね?」
「L神社から応援呼んで4人くらいで対応することもあるって」
「嘘みたい・・・」
 
「関東不思議探訪で完全に定点観測点になっちゃったから。毎週何かレポートやってるもん。ネタが無い時は境内でキスマラソンとかギター曲芸引きとか企画やってるし」
「え〜〜〜!?」
「ローカル番組だと思って過激なことしてるな」
 
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「大型バスで来る人もあるんですか?」
 
「こちらが土日にだけ社務所を開けると最初テレビで流れたから、土日限定の市内観光バスがここをルートに入れちゃったのよね。千葉秘境ツアーだって」
「確かに秘境だ」
「それで神社のトイレに長蛇の列ができてしまうんで、市も急遽トイレを作ったんだよ。2台分の駐車スペース潰して」
 
「これ簡易トイレ?」
と言って桃香は覗いているが
「水洗!?」
と言って驚いている。
 
「トイレ自体は循環式。水道も下水道も不要。手洗いだけ神社の所まで来ている本管から水道を引いてきた。電気も神社から引っ張っていった。まあ結構な工事費が掛かったみたいだけど。特に循環式は普通のトイレより設置費が高い。でも市としてはエコを強調したかったみたいね。トイレの外装も木だし。それも間伐材を原料とした木製パネルを貼り付けている」
 
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「こんな小さな神社なのにぃ」
「駐車場が神社の4倍の広さあるな」
 

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娘たちの卵(11)

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